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Trademark Appeal Case

不正目的による商標登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35257号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4211948号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4211948号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年6月10日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第9類「電波・音波を利用した魚類及び鳥獣類の防除装置」を指定商品として、同10年11月20日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人の引用する平成8年商標登録願第83429号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成8年7月25日に登録出願、第9類「鮫等の海洋生物を誘導する装置,鮫の撃退装置,その他の電子機器,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,その他本類に属する潜水用具,潜水用機械器具,測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とするものであり、現在、審査に係属しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第30号証を提出した。

(1)商標及び指定商品の同一性について

本件商標と引用商標とは、同一の構成からなるものであり、指定商品も表現が異なるが、いずれも、その目的がダイバーが身につけることによって鮫から身を守るためのものである。

(2)引用商標の周知性について

請求人の商品は、特許出願及び意匠登録出願にかかる商品であり、特殊な商品である。自己の海域で鮫の被害が発生している国又は地域において需要がある商品であるため、一般的な商品に比べて市場規模が余り大きくならず、販売個数それ自体も余り大きな数字にならないが(甲第24号証 世界8カ国における輸出状況)、他に競合商品が存在しないことから、このような商品市場では事実上の独占状態であり、そのユニークな存在であることから同商品の分野において十分に周知となっている。

そして、引用商標は、既に、10カ国に出願されている(甲第5号証ないし同第23号証)。

(3)被請求人の不正目的について

被請求人は、甲第25号証ないし同第27号証のとおり、請求人との代理店交渉中に請求人の商標を無断で出願し登録を受けたものである。

そして、被請求人は、その後の出願手続を代理店の立場で行い、実体審査において物件提出命令を受けた際、甲第3号証のとおり、請求人のユーザーマニュアルを提出している。

また、被請求人は,甲第28号証ないし同第30号証のとおり、請求人に関係のある複数の商標を無断で商標登録出願を行い登録を受けている。

(4)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

このような事情により、被請求人の登録商標は、不正の目的をもって使用するものであり、又、競業秩序の維持を図り産業の発達及び消費者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであるから、被請求人の商標登録を維持することは、社会一般の利益に反するものといわざるをえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は無効にされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断

本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなるものであるところ、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号にも該当する旨主張しているので、この点について判断する。

請求人の提出に係る甲号各証によれば、請求人は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなる引用商標を我が国に出願しており(甲第2号証)、引用商標の指定商品中の「鮫の撃退装置」は、請求人の出願に係る平成8年特許願第125649号及び平成8年意匠登録願第26869号に基づくものであること(甲第4号証 物件提出書)、請求人は、引用商標と同一の構成からなる商標を南アフリカ共和国、アルジェリア民主人民共和国、オーストラリア国、中華人民共和国、大韓民国、メキシコ合衆国、ニュージーランド国、タイ王国、台湾に出願していたこと(甲第5号証ないし同第23号証 出願証明書の写し)、鮫の撃退装置をオーストラリア、米国、日本等世界8カ国に輸出していたこと(甲第24号証 輸出状況を示した資料)を認めることができる。

更に、甲第25号証(1996年4月8日付のファクシミリ通信の写し)及び同第26号証(1996年4月17日付のファクシミリ通信の写し)によれば、被請求人は、弁理士佐藤強を通じて請求人と代理店交渉を行っており、同第27号証(代理店契約書の写し)によれば、被請求人は、請求人との間で1996年11月11日に代理店契約を締結したことを認めることができる。

以上の事実を総合すると、「鮫の撃退装置」等の指定商品に使用される引用商標は、請求人の業務に係る商品に使用される商標であると認められ、少なくとも、本件商標の出願前には、請求人の母国である南アフリカ共和国において、既に、商標登録されていたものと認めることができる。

そして、甲第25号証ないし同第27号証によれば、被請求人は、1996年4月頃には、請求人との間で代理店交渉を開始しており、その代理店契約は、同年11月11日に締結されたが、その交渉期間中である同年(平成8年)6月10日に、本件商標を我が国に出願したものであることを認めることができる。

しかして、本件商標と引用商標とは、別掲(1)及び(2)に示したとおり、正面からみた鮫と思しき魚を抽象化した独特の構成からなる図形商標であり、その構成を同一にするものである。また、その指定商品についても、本件商標の指定商品中の「電波・音波を利用した魚類の防除装置」と引用商標の指定商品中の「鮫の撃退装置」とは、いずれも、その目的がダイバーを鮫から守るためのものと認められる。そして、被請求人は、実体審査において審査官から物件提出命令を受けた際、物件提出書(甲第3号証)を提出しているが、その物件提出書に添付されている参考資料は、請求人が引用商標の出願の際に提出した物件提出書(甲第4号証)の内容と同様のものであり、請求人のユーザーマニュアルと認められるものである。

加えて、甲第28号証ないし同第30号証(商標登録の資料の写し)によれば、被請求人は、請求人の名称の略称あるいは請求人の親会社の略称と認められる「SHARKS BOARD」、「POD HOLDING」等の商標についても商標登録を受けている。

そうとすれば、被請求人は、請求人との代理店交渉の際に知り得た情報をもとに、「鮫の撃退装置」と同様の商品である「電波・音波を利用した魚類の防除装置」等の商品を指定商品として、引用商標と同一の態様の商標を請求人に無断で我が国に商標登録出願をし、その登録を受けたものといわざるを得ない。

してみれば、被請求人のかかる行為によって登録された本件商標は、国際商道徳に反するものであって、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し、公の秩序を害するものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものと判断するのが相当であるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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