Trademark Appeal Case
称呼類似と要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成7年審判第19532号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「トーヨーリソコート」の片仮名文字と「TOYO LITHOCOAT」の欧文字(「TOYO」の文字は「LITHOCOAT」の文字に比べてやや小さく表示されている。)を上下二段に横書きしてなり、第3類「コーティング剤」を指定商品として平成1年3月3日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由に引用する商標
原査定が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標登録第2689970号に係る商標(以下、「引用商標」という。)は、「トーヨーケミフレーク」の片仮名文字(「トーヨー」の文字は「ケミフレーク」の文字に比べて約2分の1の大きさに表示されている。)を横書きしてなり、昭和61年9月24日登録出願、第3類「染料、顔料、塗料(電気絶縁塗料を除く。)くつずみ、つや出し剤」を指定商品として平成6年7月29日に登録されたものである。
3 請求人の主張
(1)請求の趣旨
「原査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする」旨の審決
(2)請求の理由
本願商標と引用商標とを比較すると、本願商標は「トーヨーリソコート」の称呼を生じ、引用商標は「トーヨーケミフレーク」の称呼を生じる。したがって、本願商標と引用商標とは7音中5音が異なり、類似ではない。
両商標に共通する「トーヨー」の部分は社名等の一部として広く使用されるありふれた名称であり、それ自体自他商品識別力の弱い言葉であり、それだけではいかなる商標を表しているかを認識することができない。したがって、「TOYO」「トーヨー」は、自他商品識別力の弱い言葉である。
本願商標と引用商標とが分離して称呼されるとしても、本願商標では「リソコート」の部分は、普通名称ではないので、要部であり、引用商標では「ケミフレーク」の部分は、普通名称ではないので、要部であり、両商標とも「トーヨー」のみの称呼が独立して生ずることはなく、本願商標では「トーヨーリソコート」又は「リソコート」、引用商標では「トーヨーケミフレーク」又は「ケミフレーク」と称呼されるのが自然である。
したがって、本願商標と引用商標とは称呼において混同するおそれのない非類似の商標である。
そうすると、両者は称呼上も相違し、通常の取引において混同を生ずるおそれはない。
次に、両商標の外観については、「トーヨー」を共通にするが、それ以外の識別力のある部分には共通性がなく、全体として容易に区別できる。
さらに、本願商標の全体から何らかのまとまった観念を導き出すことは困難であり、同様に引用商標も全体として何らかの特別の意味を有するものではなく、一種の造語として認識される。
したがって、本願商標と引用商標とは、外観、観念、称呼のいずれの点においても類似しない商標であり、需要者に出所の混同を生ずるおそれはない。
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は理由がなく、本願商標は登録されるべきものである。
4 当審の判断
(1)本願商標は、上記のとおりの文字構成よりなるところ、その構成中「TOYO」の文字部分は、「LITHOCOAT」の文字に比べてやや小さく表示されてはいるが、請求人主張のとおり社名等の一部として使用され、「東洋」の意味合いに通じることからすると、商号商標、いわゆるハウスマークとして表示したものと認識される。また、「LITHOCOAT」の文字部分は、英語において、「LITHO」が「stone」の意を表すギリシア語から借用の造語要素で、lithograph(石版)、lithography(石版印刷)の略語を意味し(小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」)、「COAT」の文字部分は、英語において、「塗り、塗る」を意味する語であるが、全体としては特定の語義を生じないものであるから、観念のない造語であると認められる。そして、取引において商標を表示する場合に、商号商標と商品商標とを併記して表示することが少なくないことを考慮すると、前記「TOYO」がハウスマークを表示したのに対し、「LITHOCOAT」は商品商標を表示したものとみるのが相当である。しかして、本願商標の上段部分の「トーヨーリソコート」の片仮名文字は、下段の欧文字との関係からみると、欧文字の発音に相応したものと容易に看取し得るので、欧文字部分の読みを表示したものと認められる。
そうすると、本願商標を付された商品に接する取引者、需要者は、「TOYO」「トーヨー」社、「東洋」社の製造、販売に係る商品であるとの印象、記憶、連想を生ずるものであるから、本願商標は、「トーヨーリソコート」の称呼を生ずるほか、「トーヨー」の称呼、「東洋」の観念も生じ、かかる称呼、観念をもって取引に資することもあるというべきである。
(2)引用商標は、上記のとおりの文字構成よりなるところ、その構成中「トーヨー」の文字部分は、「ケミフレーク」の文字部分に比べて約2分の1の大きさに表示され、請求人主張のとおり社名等の一部として使用され、「東洋」の意味合いに通じることからすると、商号商標、いわゆるハウスマークとして表示したものと認識される。また、
「ケミフレーク」の文字部分は、英語における「chemical」(化学の、化学的に作られた)「flake」(薄片)の意味合いを暗示させるが、全体としては特定の語義を生じないものであるから、観念のない造語であると認められる。そして、(1)で述べたとおり取引において商標を表示する場合に、商号商標と商品商標とを併記して表示することが少なくないことを考慮すると、前記「トーヨー」がハウスマークを表示したのに対し、「ケミフレーク」は商品商標を表示したものとみるのが相当である。そうすると、本願商標を付された商品に接する取引者、需要者は、「トーヨー」社、「東洋」社の製造、販売に係る商品であるとの印象、記憶、連想を生ずるものであるから、本願商標は、「トーヨーケミフレーク」の称呼を生ずるほか、「トーヨー」の称呼、「東洋」の観念も生じ、かかる称呼、観念をもって取引に資することもあるというべきである。
(3)請求人は、両商標に共通する「トーヨー」の部分は社名等の一部として広く使用されるありふれた名称であり、それ自体自他商品識別力の弱い言葉であり、それだけではいかなる商標を表しているかを認識することができない旨主張する。
しかしながら、「TOYO」「トーヨー」の文字部分が「東洋」に通じる語であり、複数の会社名又は会社名の一部として使用されていたとしても、それのみで、ありふれた名称であって、自他商品の識別機能が弱い語であるとすることはできない。
(4)してみれば、本願商標と引用商標とは、これを時と処を異にして離隔観察する場合には、「トーヨー」の称呼、「東洋」の観念において互いに紛れ易いものであって、しかも、両商標は「トーヨー」の文字を共通にしているから、外観上もある程度は類似するものであり、結局、全体として出所の混同の生ずるおそれのある類似する商標といわなければならない。
そして、本願商標の指定商品「コーティング剤」は、引用商標の指定商品中の「塗料」に含まれるものである。
(5)したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願について拒絶をした原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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