結論テキスト
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35075(T2000−35075/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件商標登録第4226956号商標(以下「本件商標」という。」は、
「サラサラクリーン」の片仮名文字を横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年10月22日に登録出願、同11年1月8日に設定登録されたものである。
請求人の引用する登録第3196564号商標(以下「引用商標」という。」は、「サラクリーン」の片仮名文字を横書きしてなり、第25類「被服」を指定商品として、平成5年7月16日に登録出願、同8年9月30日に設定登録されたものである。
請求人は、「登録第4226956号商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨下記のように述べ、証拠方法としてとして、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(2)無効原因
本件登録商標は、以下に述べるとおり、請求人所有にかかる先出願の登録商標である引用商標と類似しており、商標法第4条第1項第11号に該当し、無効である。
(3)商標の類似
(a)外観類似
本件商標「サラサラクリーン」と、引用商標「サラクリーン」とは、外観上類似するものである。本件商標は、同じ書体、同じ大きさの文字を等間隔で「サラサラクリーン」と左横書きしてなり、他方、引用商標は、同じ書体、同じ大きさの文字を等間隔で「サラクリーン」と左横書きしてなるものである。本件商標と引用商標とは8文字中、6文字を共通にするものであるから、視覚上共通する文字である「サラクリーン」の部分がむしろ識別標識として看者に強く印象を与えるものである。したがって、時と所とを異にした場合に、本件商標に接する取引者・需要者に引用商標と外観上近似した印象、連想などを生じさせるといえる。
(b)称呼類似
本件商標「サラサラクリーン」は、全体として8音からなる冗長なものであることに加え、例えば、その指定商品「下着」との関連においては「油気・粘り気・湿気がなく心地よく乾いていてクリーン(清潔)なさま」の意味合いを有することから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、或いは、自他商品識別力がきわめて弱いといえるものである。
他方、引用商標は、その指定商品との関係において造語として認識されるものであって自他商品識別力を充分に有するものであり、造語として認識される「サラクリーン」の部分が強く印象づけられるものである。したがって、簡易迅速な取引を旨とする取引の実際においては、独立した識別力のある語として取引者・需要者の注意を惹く「サラクリーン」の称呼をもってして取引に資することがあるから、本件商標は、引用商標と「サラクリーン」の称呼を共通にする呼称であるという意味において、双方の商標は称呼において互いに類似する商標である。
(4)商品の類似
本願商標の指定商品を見ると、被服、ガーター等の商品区分に分類されているが、右分類は、引用商標の指定商品とは販売並びに需要者が同一で、類似する商品である。
(5)出所の混同
請求人と被請求人との間のこれまでの関係を考えるならば、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標である。
(a)請求人は、昭和62年7月1日に設立され、昭和62年ころから健康腹巻等の製造販売を開始した。請求人は、平成5年には失禁パンツを考案し、被請求人に対して失禁パンツの製造・販売を許諾し、被請求人から販売枚数に応じて手数料を受領してきた(甲第1号証の1及び2)。
請求人は、平成5年7月16日、商標サラクリーンを出願し、同8年9月30日登録された(甲第2号証)。
請求人は、平成5年12月2日、商標サラストップ及び商標サラキープをそれぞれ出願し、同8年11月29日、それぞれ登録された(甲第3号証及び第4号証)。
(b)被請求人は、平成5年3月31日に設立された。
平成5年8月ころ、被請求人から請求人に対し、請求人が開発した商品(失禁パンツ)について被請求人の側で販売を行わせてほしい旨の申入れがあり、請求人は被請求人の上記申入れを承諾した。平成5年9月から同9年3月までの3年半余りにわたり、被請求人は、請求人との契約にもとづいて、サラクリーンの商標にて失禁パンツを製造・販売してきた(甲第1号証の1及び2)。
(c)平成9年4月1日には、請求人・被請求人間で工業所有権実施契約を締結し(甲第5号証)、請求人は、被請求人に対し、商標「サラクリーン」の商標の使用許諾を行い、被請求人は、上記契約にもとづいて、平成12年3月までの3年間、「サラクリーン」の商標で失禁パンツを製造・販売してきた。
(d)被請求人は、平成9年4月1日に請求人の登録商標「サラクリーン」について3年間の使用許諾を得て「サラクリーン」の通常使用権者たる地位にあったにもかかわらず、同月21日、指定商品を「おむつ」その他として「サラクリーン」の商標登録出願を行った(甲第6号証)。同じく、同日、被請求人は「サラストップ」の商標登録出願を行った(甲第7号証)。「サラクリーン」については、同10年10月30日に拒絶査定が、「サラストップ」については同11年8月27日に出願却下処分がなされた(甲第6号証及び第7号証)。
(e)被請求人は、平成9年4月21日、「サラサラクリーン」(本件商標)の商標登録出願を行い、同11年1月8日登録された。請求人は、平成11年7月23日、「サラサラキープ」の商標登録を出願し、同12年5月19日、登録された(甲第8号証)。
上記に述べたところから明らかなように、本件失禁パンツは、平成5年ころに請求人が考案し、請求人から被請求人に対しその製造・販売を委託し、上記失禁パンツには商標「サラクリーン」が付されて被請求人により販売されてきた。にもかかわらず、被請求人は、(イ)平成11年11月ころ、「サラクリーン」の宣伝と同一番組及び同一時間帯にて失禁パンツ「サラサラクリーン」のテレビ宣伝を行っており(甲第12号証)、上記テレビ宣伝の中で、サラクリーンがサラサラクリーンに変更された旨の表現を行っている、(ロ)平成11年11月25日付毎日新聞、同年12月2日付朝日新聞及び読売新聞で失禁パンツ「サラサラクリーン」の宣伝を行い(甲第9号証の1及び2)、失禁パンツ「サラサラクリーン」の製造・販売活動を行ってきた。なお、被請求人が販売活動を行ってきた相手は、一貫して、大手の通信販売の会社であるが、通信販売の広告においては製造元、販売元の表示は一切なされない(甲第9号証の1及び2)。このため、平成11年12月ころ、請求人宛に「サラクリーンがサラサラクリーンに変わったのか」という旨の需要者からの問い合わせが何件かあった。被請求人は、平成12年1月ころ、インターネット上の被請求人のホームページにて、「サラクリーン」の広告宣伝を行い(甲第10号証の1)、さらには、同年4月ころ同様の広告宣伝を行っている(甲第10号証の2)。こうした被請求人の一連の行為は、請求人との間の契約(甲第5号証)に違反する違法行為である。
被請求人は、請求人の商品と同種の商品を本件商標により製造・販売してきている。被請求人が、請求人の「サラクリーン」について出所の混同を生ぜしめ、取引者及び需要者に対して、請求人と被請求人との経済的関係及び資本上の関係について誤認を生ぜしめていることは明らかである。
被請求人代理人は、請求人が「サラクリーン」、「サラストップ」及び「サラキープ」等の各商標の登録を受けている事実を知り、しかも、請求人代表者と以前から面識があったにもかかわらず、被請求人の上記各登録出願の代理行為を行っている(甲第11号証)。
よって、本件商標については商標法第4条第1項第11号及び第15号により無効とされるべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨下記のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)答弁の理由
請求人の主張は、『本件商標「サラサラクリーン」と、請求人所有に係る先出願の登録商標「サラクリーン」とが外観上類似すると共に、その指定商品も類似することから、無効にすべきものである。』との点に存する。しかしながら、本件商標「サラサラクリーン」と、引用商標「サラクリーン」とは、外観はもとより、その称呼及び観念においても一切相紛れることのない非類似の商標であることから、請求人の上記主張は失当といわざるを得ない。以下、理由を述べる。
(A)本件商標は、8文字の片仮名文字「サラサラクリーン」を横書きして構成しているのに対し、引用商標は、6文字の片仮名文字「サラクリーン」を横書きして構成していることから、両商標間には、語頭部における2文字の片仮名文字「サラ」の有無という外観上の差異が存在しているものである。而して、(ア)上記片仮名文字「サラ」の有無という差異は、看者の注意を最も強く惹き付ける商標の語頭部に存在していること、(イ)我が国において片仮名文字は広く親しまれた文字であるため、看者は片仮名文字「サラ」の有無という差異を一見して直ちに識別し得ることから判断すると、引用商標より「サラ」の2文字が多い8文字構成の本件商標「サラサラクリーン」と、6文字構成の引用商標「サラクリーン」とは、外観上明らかに非類似である。尚、特許庁の審判実務においても、構成文字数が異なる(a)商標「TRINITRON」 と商標「TRINITON」(b)商標「UNDERLINER」と商標「UNDERLINE」(c)商標「CHANNEL」と商標「CHANNE」(d)商標「SPORTYAGE」と商標「SPORTAGE」について、外観上非類似であるとの判断が示されている(乙第1号証ないし乙第4号証)。
(B)また、本件商標から生じる8音構成の称呼「サラサラクリーン」と、引用商標から生じる6音構成の称呼「サラクリーン」とは、称呼における識別上最も重要な要素を占める語頭音において、「サラ」の2音の有無の差異を有するものであり、該差異に基づき、両商標はその語感を全く異にするものであることから、本件商標と引用商標とは、その称呼においても明らかに非類似の商標である。さらに、本件商標「サラサラクリーン」及び引用商標「サラクリーン」は、特定の観念を生じさせることのない造語であることから、両商標は観念においても相紛れることはあり得ないものである。
以上述べた通り、本件商標「サラサラクリーン」と引用商標「サラクリーン」とは、語頭部における「サラ」の有無に基づき、外観はもとより、その称呼及び観念においても相紛れることのない非類似の商標である。
尚、特許庁の登録実務においても、語頭部における「サラ」の有無を有する、(a)商標「サラサラタッチ」と商標「サラタッチ」(b)商標「サラサラダ」と商標「サラダ」(c)商標「サラサラアップ/SARASARAUP」と 商標「サラ アップ/SALA UP」とが、指定商品は類似するにも拘わらず、相互に非類似の商標として別個独立に登録されている(乙第5号証の1ないし乙第7号証の2)。かかる事例の存在は、語頭部における「サラ」の有無に基づき、本件商標「サラサラクリーン」と引用商標「サラクリーン」とが非類似であるとする被請求人の上記主張を裏付けるものである。
(2)むすび
以上要するに、本件商標「サラサラクリーン」と引用商標「サラクリーン」とは、外観、称呼、観念の何れにおいても非類似の商標であることから、本件商標「サラサラクリーン」が、商標法第4条第1項第11号及び商標法第4条第1項第15号に該当しないことは明白である。
(1)本件商標は、上記のとおり「サラサラクリーン」の片仮名8文字、引用商標は、「サラクリーン」の片仮名6文字よりなるものである。
そして、両商標は、同じ書体の片仮名文字で一連に書された構成中、「サラクリーン」の片仮名6文字を同一にし、また、本願商標が、引用商標に比べると多い「サラ」の2文字部分も、次の「サラ」の2文字と同じ文字であるために、該「サラ」の2文字の差異が相対的に些少なものとなり、両商標を時と処を異にして接した場合には、外観上見誤るおそれがあるものと認められる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観において相紛れるおそれの多い商標といえ、かつ、本件商標の指定商品中「被服」と、引用商標の指定商品「被服」は、同一のものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「被服」については、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
(2)しかし、本件商標の指定商品中「被服」以外の商品である「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と、引用商標の指定商品「被服」とは、生産者、販売場所、需要者等を異にする非類似の商品と認められる。
また、請求人より使用許諾を受けた被請求人が「失禁パンツ」について引用商標を使用していたとしても、「失禁パンツ」は、特殊な下着であって、一般の被服とは、取引者、需要者、販売店等を異にする非類似の商品である。また、引用商標は、その指定商品「被服」に使用された結果、本件商標の登録出願前に需要者間に広く認識されていたとは認められない。
してみれば、本件商標を「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」に使用した場合、取引者、需要者が、これより引用商標を連想想起して、その商品が請求人あるいは請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所を誤認混同するおそれはないものといえる。
そうとすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということができない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「被服」以外の商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、その登録を無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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