結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35214号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3368860号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成5年1月26日に登録出願され、「ダイナミックス・オブ・セルフ・モティベーション・プログラム」の文字を横書きしてなり、第16類「印刷物」を指定商品として、同10年2月13日に設定登録されたものである。
請求人の引用する登録第1906808号商標(以下、「引用商標」という。)は、昭和59年9月19日に登録出願、「Dynamics of」の文字と「Personal Motivation」の文字とを二段に横書きしてなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、同61年10月28日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録は、無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標中「プログラム」の語は、本件指定商品中の「印刷物」に関して記述的な言葉であり、自他商品識別力が認められないものであるから、本件商標の要部は、この語を除いた文字部分にあるものというべきであり、「自分自身への動機付けの力学」の意味合いを理解させるものである。
一方、引用商標は、「個人への動機付けの力学」の意味合いを理解させるものである。
両商標を比較すると、僅かに、「セルフ(Self)」と「Personal(パーソナル)」の差のみであり、これらの語は、中学レベルの英単語でほとんど日本語化されているといって過言ではなく、意味の上で極めて近似したものであるから、観念の上では、ほぼ同一の商標といっても過言ではない。
そして、本件商標のような語句で成り立っている商標の場合は、単なる音韻の響きのみでは認識されず、その語句から抽出される観念に影響されるところが非常に大きいものというべきであるから、本件商標を請求人の引用商標に類するものと理解してしまう蓋然性は高いというべきである。
したがって、両商標は、観念において類似する商標である。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人は、「人がその人生において真の成功を遂げられるよう豊かに生きる」ことについての人間教育・教化に関する各種のプログラム、人生に対する取り組み方・考え方を教示するソフトウエアの製造・販売をその事業の主目的にしている。請求人の創立者であるポール・ジェイ・マイヤー氏は、このような「成功の鍵となる人間の心の持ち様」をソフトウェア化して販売する事業を他に先んじて始めており、マイヤー氏及び同氏が創立した請求人は、当業界の草分け的存在として知られている。請求人の名称の核となっている言葉「サクセス・モティベーション」即ち「成功への動機づけ」という造語は、マイヤー氏の創造に係るもので、その事業を推し進める請求人の名称にその思想の中心となる当該造語を冠して、その事業の特性を明示しているのである。
請求人の「Dynamics of Personal Motivation」に関する事業は、我が国でも20年以上にわたって継続して行われており、この商標は、業界で顕著な地位を確立している請求人のグッドウイルと相俟って業界でも周知のものとなっている。請求人の創立者マイヤー氏の講演の記録等と併せて、当該商標の著名性の資料を後日提出する予定である。
更に、請求人の関与する業界では、請求人の「プログラム/印刷物」に「ダイナミックス・オブ・・」という特徴的な造語商標が頻繁に使用されることが知られており、請求人の引用商標の知名度から考えても、引用商標と観念上ほぼ同一である本件商標が使用されると、これが請求人の業務に係る商標ではないかと誤認・混同される蓋然性は極めて高いというべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
本件商標中の「プログラム」の語が、記述的であるという理由で省略されたとしても、「ダイナミックス・オブ・セルフ・モティベーション」と「ダイナミックス オブ パーソナル モティベーション」とは、互いに紛れることのない非類似の商標である。また、本件指定商品の「印刷物」においては、観念類似はあまり重視されていないが、これを考慮しなくとも、「個人(自分自身)への動機付けの力学」というのは、一体どういう意味か。この意味を理解できるものは、本件指定商品の取引者、需要者には、殆どいない筈であるから、このような観念など生じるはずがない。従って、本件商標と引用商標とは、共に造語というべきであって、観念類似に該当しないこと明らかである。
更に、請求人は、引用商標の周知、著名性をいうが、何ら証拠を提出しておらず、引用商標は、少なくとも日本国内において、取引者・需要者に広く認識されている事実は全くないものであるから、出所の混同など生じる筈はない。
なお、「ダイナミックス・・」、「ダイナミックス オブ・・」、「モティべ−ション・・」なる語は、乙第2号証及び乙第3号証に見られるように、本件指定商品について、多数の商標が登録若しくは出願されている通り、請求人の商品に独自のものではない。従って、この点からしても、出所の混同など生じるはずはない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記に示したとおりの構成からなるものであるから、その構成文字に相応して「ダイナミックス オブ セルフ モティベーション プログラム」の称呼を生ずるものであり、その構成中の「プログラム」の文字部分が記述的であるという理由で省略されたとしても、「ダイナミックス オブ セルフ モティベーション」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、上記に示したとおりの構成からなるものであるから、その構成文字に相応して、「ダイナミックス オブ パーソナル モティベーション」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異が認められるから、称呼上十分区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の意味を有しない造語よりなるものと認められるから、観念においては比較することができないものであり、外観においても、十分に区別し得る差異を有するものである。
この点について、請求人は、本件商標の要部部分からは「自分自身への動機付けの力学」という観念を生ずる旨主張しているが、請求人が引用商標を請求人の主張しているような意味合いのもとに用いているとしても、本件商標は、その構成から、客観的にみて、請求人が主張しているような意味合いを把握・認識するのは困難なものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人は、引用商標が周知・著名なものであり、その事実を示す資料は後日提出する予定である旨主張しているが、現在に至るも周知・著名性を裏付ける証拠を何ら提出していない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標であるばかりでなく、引用商標が請求人の業務に係る「人生に対する取り組み方・考え方を教示するソフトウエア」等を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないから、商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、その商品が請求人又は同人と何らかの関係のある者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(3)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。