結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35675号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第3370109号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成6年10月3日に登録出願され、「レオナード」の文字と「REONARD」の文字を2段に横書きしてなり、第24類「織物(畳べり地を除く),メリヤス生地,フェルト及び不織布」を指定商品として、同10年8月28日に設定登録されたものである。
2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3169457号商標は、「LA MAISON DE LEONARD」の文字を横書きしてなり、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバ―クロス,レザ―クロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバ―,布団側,まくらカバ―,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カ―テン,テ―ブル掛け,シャワ―カ―テン,布製ラベル」を指定商品として、平成5年7月5日に登録出願、平成8年8月30日に設定登録されたものである。
3.請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第107号証を提出している。
第一に、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。
(1)請求人(レオナールファッション)は、世界で最も美しいプリントとして世界中の女性から愛され続けているブランド「LEONARD」―「花のレオナール」のイメージで受けとめられている―のファッションメーカーであるが、本件商標の出願当時日本を含め世界的に著名であり、日本においては、1969年より、三共生興株式会社をディストリビューター及びライセンシーとして展開され、三共生興株式会社は積極的に広告、宣伝等に務め、その取扱商品である衣服、かばん類、袋物、傘の三共生興株式会社による販売高は、本件商標の出願(1994年10月3日出願)の数年前(1989、1990、1991、1992、1993、1994年上半期)のみをとっても、卸売価格ベースで、30億円から40億円超であり、非常に大きなものであった。
「LEONARD」ブランドは、世界の一流品を記載した雑誌にも必ず取り上げられ、新聞等で広く報じられ、また、「家庭画報」、「ミセス」、「ヴァンサンカン」、「クラッシイ」、「ハイファツション」、「挿花」、「ル・クール」等のファツション雑誌等に掲載広告されている。(甲第1ないし98号証。尚、これらは、期間を1990年から1994年に限定し、かつ掲載された広告等の極く一部である。)
よって、本件商標の出願当時及び登録査定当時、「LEONARD」は衣類を中心として、かばん類、袋物、傘、布地などのブランドとして、また、請求人の名称として、日本において著名であった。
(2)他方、今日、ファッションビジネスは発展し、一つのブランドが例えば婦人服について周知になると、それに関連する商品(敷き物、服地用織物、靴などの履物、ハンドバッグ等のバッグ類)等についてライセンスをし、同一のブランドの下に婦人服、敷き物、織物、靴、バッグ類等が製造され販売されることが顕著である(甲第99号証参照。尚、同第99号証はかかる事例の一例である)。即ち、請求人の製造、販売にかかる商品と本件商標の指定商品である織物等とは類似し、また、ファッション製品として密接な関連を有する商品である。特に、請求人のブランド「LEONARD」は、世界で最も美しいプリントとして布地そのもの自体も世界的に有名であり、従って、本件商標の指定商品である「織物」と「布地」とは特に密接な関連を有する。
(3)本件商標は、請求人の著名商標であり、請求人の著名な略称である「LEONARD」と類似するものである。
即ち、本件商標は、「レオナード」及び「REONARD」よりなるが、請求人の著名商標、名称「LEONARD」からは英語読みしたときの称呼「レオナード」も生じうるから、本件商標の要部「レオナード」は「LEONARD」に類似する。
また、本件商標の「REONARD」は、「LEONARD」と対比すると、頭文字の「R」と「L」の相違のみにすぎず、外観上類似する上、称呼も同一の称呼を生ずる(ローマ字読みしたときは「レオナルド」、英語読みしたときは「レオナード」、フランス語読みしたときは「レオナール」)から、「REONARD」は「LEONARD」に類似する。
よって、本件商標は、請求人の著名名称及び商標である「LEONARD」と類似する。
(4)本件商標は、ア.請求人の著名な商標、名称「LEONARD」と類似し、イ.本件商標の指定商品は、請求人が製造、販売し、また、ライセンシーをして製造、販売させている布地を含み、かつ、衣服、かばん類、袋物、傘などと密接に関連するものであるから、ウ.本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するばかりでなく、エ.本件商標をその指定商品に使用するときは、本件商標を付した商品が請求人又は請求人のライセンシーその他請求人と関連する者により製造販売されたものであるとの誤認を需要者に生じさせる虞れが極めて大なるものである。よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号にも該当する。
上記のことは、請求人の異議申立が認容された別件についての異議決定(甲第100ないし102号証)に照らしても明らかである。
第二に、本件商標は、商標法第4条第1項第11号にも該当する。
即ち、請求人は、引用商標を所有している。そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する。
また、引用商標は、「LEONARD」を要部とするものである。
即ち、引用商標は、「LE MAISON DE LEONARD」からなるが、「MAISON」はフランス語で「家、店、会社」などを意味する語であるから、「LE MAISON DE LEONARD」が「LEONARDの店」を意味する熟語であることは、我国におけるフランス語の普及度合、とりわけ、ファッション関連の業界においては生産者、流通業者、消費者及び広告、テレビ、雑誌等の媒体のいずれにおいてもフランス語を使用する傾向が顕著であることに鑑みれば、一般に理解されるところである。 そして、「LEONARDの店」という観念を生ずる熟語において「LEONARD」が要部であることは明らかである。
よって、本件商標が、「LEONARD」と類似することは、上述の通りであり、本件商標は引用商標と類似する。
即ち、本件商標は引用商標(登録第3169457号商標)と類似し、指定商品も類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
第三に、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
即ち、被請求人は、布地等の製造販売を業とする大手の会社であり、関連業界に関する充分な情報を有するものである。
当然、「LEONARD」が請求人の著名な名称であり、商標であることは熟知しており、かつ、既述の如く、三共生興株式会社を我国におけるディストリビューター及びライセンシーとして、商標「LEONARD」を付した商品の製造販売等の事業が広く展開されていることを知悉しているものである。
そして、被請求人において、「LEONARD」と類似する本件商標を採択する必然性は何ら存在しないものである。
よって、被請求人が本件商標を採択し、その指定商品に使用することは、国際信義に反し、「LEONARD」の著名性に只乗りするものであって、商標法の維持発展しようとする健全な商取引の秩序を阻害するものであるから、被請求人において本件商標をその指定商品に使用することは、社会公共の利益に反し、一般的道徳観念に反するものであり、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
第四に、本件商標は、その使用により請求人の著名な「LEONARD」商標の希釈化を招き、かつ、日本における確立された請求人の「LEONARD」の市場秩序を紊乱するものであり、被請求人がわざわざかかる商標を採択し、織物等に使用することは、「LEONARD」の著名性に便乗し、請求人に損害を加える不正の目的というほかないものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項により、無効とすべきものである。
4.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出している。
(1)本件商標は、平成6年10月3日に商標登録出願され、厳正なる審査の結果、同10年8月28日に登録されたものである。
本件商標は、上段に「レオナード」と片仮名ブロック体で、下段に「REONARD」と欧文字で配してなり特別の意味を持たない造語商標である。 かかる本件商標に対し、請求人は「LA MAISON DE LEONARD」の文字からなる引用商標を引用し登録無効審判請求が為され、「本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第15号の規定に該当するものであるから、無効を免れ得ない。」と主張している。
しかしながら、本件商標は、請求人の主張するようなものではなく、市場において相紛れることのない商標であるので以下の通り答弁する。
(2)商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しない理由
被請求人は、本件商標の審査において請求人より異議申立てを為され、答弁をした結果「本件異議申立ては理由がないものとする」という決定謄本を受理している(乙第3号証)。
すなわち、本件商標「レオナード/REONARD」と請求人の登録商標である「LA MAISON DE LEONARD」は称呼・外観・観念のいずれにおいても類似しない別異の商標である。
請求人は「LEONARD」が「LA MAlSON DE LEONAR1D」の要部である旨主張しているが、引用商標は特別冗長の商標ではなく「LEONARD」のみを抽出しなければならない理由があるものとは認められない。従って、引用商標からは「ラ メゾン デウ レオナール」の称呼のみを生ずるものといえる。
一方、本件商標は「レオナード/REONARD」の構成から見ても「レオナード」の称呼のみを生ずるものといえる。
そうとすれば、両商標は全体の構成音数、語韻、語調ともに全く異にし、相紛れることのない非類似の商標である。
なお、このことは異議申立ての決定謄本でも述べられており、特許庁審査官が厳正かつ充分なる審査の結果「両商標は非類似」との決定を出されたものである。
特許庁よりこの決定謄本を受理後、登録無効審判請求が提出されるまでの間はわずかに6ヶ月しかたっておらず、改めてこの決定を覆そうというのは甚だ身勝手な行為である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第10号に該当しない理由
請求人は、引用商標の著名性を表すため100件強の甲各号証を提出しているが、そのほとんどが婦人服・スポーツ用の衣料である。
引用商標が本件登録出願時に需要者間に広く認識され、著名になっていることは認め得るとしても、それは「被服」の分野であり、本件指定商品の「織物(畳べり地を除く)、メリヤス生地、フェルト及び不織布」についての著名性は認められない。また、本件商標は引用商標と類似するものではなく、また引用商標を想起させるものでもないから、本件商標をその指定商品について使用しても請求人または請求人と経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるものとは認め難い。
さらに、本件商標は公の秩序、善良の風俗を害するおそれがある商標とも言えないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第10号には該当しない。
(4)請求人は甲第102号証を提示し、過去の異議決定の審査例を示しているが、当該異議申立て事件においては、内2件は答弁書の提出もしておらず、残る1件についても商標、指定商品ともに本件とは異なり参考例とはならない。
(5)以上より、本件商標と引用商標は非類似なこと明らかであり、また引用商標が本件指定商品の「織物(畳べり地を除く)、メリヤス生地、フェルト及び不織布」の分野において著名であるとは認められない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
5.当審の判断
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するかものであるか否かについて
本件商標は、前記のとおり「レオナード」の文字と「REONARD」の文字よりなるところ、その構成は、「レオナード」の片仮名文字の下に「REONARD」の欧文字をまとまりよく書してなるものであって、上段の片仮名文字部分は、特定の語義を有しない造語といえる下段の欧文字部分「REONARD」の読みを英語文字風に特定したものと無理なく認識し得るところであるから、この構成に照らすと「レオナード」の文字と「REONARD」の文字は一体の関係にあって「REONARD」の欧文字部分のみを抽出しなければならない理由が存するものとは認められず、本願商標よりは、「レオナード」の称呼のみが生ずるものというべきである。
他方、引用商標は、前記した構成よりなり、これがフランス語としても構成各文字(語)は比較的平易なものであることからして、全体として「ラ メゾン デゥ レオナール」の称呼及び「レオナールの家」(LEONARDは男子名)の観念を生ずるものというのが相当であって、これを殊更に「LEONARD」の文字部分のみを着目すべき特段の事情は有しない。
そうとすれば、本件商標は、「レオナール」の称呼が生ずるということができないばかりか、特定の観念を有しない造語であるから、これを引用商標から生ずる「ラ メゾン デゥ レオナール」の称呼及び「レオナールの家」の観念と比較した場合には構成音数、意味合いの違いから、全体の語感、語調を全く異にし、両者は、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
また、本件商標と引用商標は、外観においても明確に区別し得るものであるから、結局、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない別異の商標といわざるを得ない。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当するものであるか否かについて
請求人は、同人が衣類を中心として、かばん類、袋物、傘、布地などに使用する「LEONARD」の商標(以下「引用標章」という。)が著名であると主張しているところ、請求人の提出の甲各号証により、引用標章が特に、婦人服等について使用され、相当程度取引者、需要者に知られていることは認められる。
しかしながら、ここで、本件商標と引用標章とが類似するかについてみるに、本件商標は、前示のとおり「レオナード」の文字が「REONARD」の文字の称呼を特定する一体の関係にあって「REONARD」の欧文字部分のみを抽出しなければならない理由が存するものとは認められず、本願商標よりは、「レオナード」の称呼のみが生ずるものである。
これに対して、引用標章は、前記のとおり「LEONARD」の文字よりなるから、該文字に相応して「レオナール」の称呼が生ずるものであり、そして、その外観、称呼をもって取引者、需要者に知られていると認められるものである。
そこで、本件商標より生ずる「レオナード」称呼と引用標章より生ずる「レオナール」の称呼を比較するに、両称呼は、「ド」と「ル」の音に差異を有し、これらの音は語尾音とはいえ音質において全く異っており、かつ、前音が長音「ー」であることから、長音も含め5音構成という比較的短い称呼においては、その差異がより一層が明確なものとなり、両称呼を一連に称呼しても十分区別し得るものである。
また、本件商標と引用標章は、欧文字部分において、その構成上最も印象にある語頭における「R」と「L」の文字の差異及び「レオナード」の片仮名文字の有無により、外観上十分区別し得るものであり、また、観念上は引用標章が外国の男子名の意味を有するとしても本件商標は造語と認められ、比較すべくもない。
そうすると、本件商標と引用標章は非類似の別異のものであると認められる上に、本件商標の指定商品と引用標章が使用されている衣類、かばん類、袋物、傘、布地とは、生産部門、販売系統、用途等を異にする非類似の商品といえるものであることから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これより請求人の商品を連想、想起させるとはいえず、その商品が請求人または請求人と何らかの関係を有する者の業務かかるものであるかのように、出所について混同を生ずるおそれはないものと認められる。
(3)本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び第19号に該当するものであるか否かについて
本件商標は引用標章とは非類似の別異なものであること上記のとおりであるから、被請求人が本件商標を採択し、その指定商品に使用しても、何ら外国の著名商標に只乗りすることの国際信義及び商標法の維持発展しようとする健全な商取引の秩序を阻害し、社会公共の利益・一般的道徳観念に反するものでもない。
加えて、本件商標は、請求人の引用標章の出所表示機能を希釈化させたり又はその名声を毀損させるなど不正の目的をもって出願されたものとは認められない。
6.むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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