結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35565号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4232739号商標(以下、「本件商標」という。)は、「BLACK PRINCE」の欧文字(標準文字)を左横書きしてなり、平成9年10月17日に登録出願、第25類「スポーツに適した被服,その他の被服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年1月22日に設定登録がなされたものである。
請求人が本件商標の無効理由に引用する登録第425455号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「PRINCE」(囲い文字で表示している。)及び「プリンス」の文字を2段に書してなり、昭和27年6月20日登録出願、第61類「ゴム靴,革靴,ゴム草履,その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和28年5月18日に設定登録されたものである。
同じく、登録第2050129号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「prince」の文字を書してなり、昭和61年4月17日登録出願、第17類「洋服、コート、セーター類、くつ下、手袋、手ぬぐい、タオル」を指定商品として、昭和63年5月26日に設定登録されたものである。
同じく、登録第2095981号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「PRINCE」及び「プリンス」の文字を2段に書してなり、昭和56年1月8日登録出願、第24類「運動具」を指定商品として、昭和63年11月30日に設定登録されたものである。
同じく、登録第2394854号商標(以下、「引用商標4」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、昭和63年6月21日登録出願、第24類「運動具、つり具」を指定商品として、平成4年3月31日に設定登録されたものである。
同じく、登録第2540722号商標(以下、「引用商標5」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、平成1年3月20日登録出願、第24類「運動具」指定商品として、平成5年5月31日に設定登録されたものである。
同じく、登録第2540723号商標(以下、「引用商標6」という。)は、「プリンス」の文字を書してなり、平成1年4月24日登録出願、第24類「運動具」を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録されたものである。
同じく、登録第2540724号商標(以下、「引用商標7」という。)は、「prince」の文字を書してなり、平成1年5月23日登録出願、第24類「運動具」を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録されたものである(以下、これらをまとめて「引用商標」ともいう。)。
そして、引用商標は、いずれも現在有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第23号証を提出している。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものである。
(ア) 商標法第4条第1項第11号について
本件商標中の「BLACK」の文字は、「黒、黒色」を意味する語として一般世人においても非常に親しまれている外来語であり、色彩を品質の重要な要素とする被服等を取り扱う業界においては、「黒、黒色」は、色彩を意味する語として認識され、一般にも親しまれているものである。特に近年、白や黒を基調としたモノトーンの被服が流行していることをも鑑みれば、「BLACK」の文字部分は、単に、商品(被服)の品質を表すものと認識されると考えるのが自然である。
また、本件商標中の「PRINCE」の文字は、「王子、親王」を意味する語として親しまれているものであるが、かかる「PRINCE」の文字と「黒、黒色」を意味する「BLACK」の文字が結合し、特段の熟語的な意味合いを表すとはいえず、そうとすれば、本件商標は、これを常に一体的に把握しなければならない格別の事情があるとはいえないものである。
してみれば、本件商標の自他商品識別標識として機能する部分は、「PRINCE」の文字部分にあると認識・把握され、本件商標からは、当該文字部分に相応して、単に「プリンス」の称呼が生じるとするのが相当である。
他方、引用商標からは、その文字及びその構成態様より、「プリンス」の称呼が生じることは明白である。
よって、本願商標と引用商標とは、「プリンス」の称呼を共通にする称呼上類似の商標であるといわざるを得ない。
請求人の上記主張の正当性を立証すべく、特許庁における過去の審決例を挙げて、請求人はこれを自己の主張理由に有利に援用する。
昭和56年審判第220178号外8件(甲第9号証ないし同第17号証)
以上より、本願商標と引用商標とは、その観念及び外観の異同について論じるまでもなく、称呼において類似する商標であり、かつ、その指定商品も完全に抵触するものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(イ) 商標法第4条第1項第15号について
請求人であるプリンス、スポーツ、グループ、インコーポレーテッドは、世界有数のテニスラケットその他のテニス用具及びテニスウエアの製造・販売業者であり、我が国においても、請求人のハウスマークとして、これらの商品について、長年の間盛大に使用されてきたものである。その結果、現在においては勿論のこと、本件商標の出願時である平成9年10月17日当時にも、請求人のハウスマークとして広く認識されるに至っていたものである(甲第18号証ないし同第20号証)。すなわち、請求人は、我国における販売代理店であるダイワ精工株式会社を通じて昭和40年頃より、商品を継続的に販売しており、以降、同社のたゆまぬ営業活動及び宣伝広告活動と相俟って、請求人の商標は、極めて広く認識されるに至ったものである。
してみれば、請求人の著名商標を含んだ本件商標をその指定商品に使用した場合には、取引者・需要者は、あたかも甲立人の業務と一定の関連性があるかの如く認識することとなり、甲立人の業務に係る商品と現実に混同を生じるおそれがあるといわざるを得ない。なぜなら、請求人の商品であるテニス用具及びテニスウエアと本件商標の指定商品とは、販売者、取り扱い系統及び需要者層が完全に一致する関連性の強い類似の商品であるからである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである
(2)答弁に対する弁駁
(ア) 確かに本件商標中「BLACK」も「PRINCE」も共に既成語である以上、辞書などを紐解き両者の訳語を組み合わせていくならば当然に「黒い王子」、「黒人の国の王子」及び「黒社会の王子」の他にも多数の観念を創出できる。
しかしながら、本件審判事件において争われるべき点は、本件商標の訳語としてどのようなものが創出できるか否かという点ではなく、本件商標に接した一般的・平均的な需要者・取引者が本件商標からどのような観念等を直感するかの点であると考えられる。
ここで、本件商標の指定商品は第25類「スポーツに適した被服、その他の被服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」であり、その属する服飾業界においては「BLACK(黒色)」など色彩を表すことばは、品質を表示するものとして極めて一般的に用いられている。このように本件商標中「BLACK」の文字が商品の品質を表示するものである以上、本件商標の自他商品識別標識として機能する部分は「PRINCE」の文字部分にあると認識・把握されるものである。よって、本件商標からはその文字部分に相応して、引用商標と同一の「プリンス」の称呼が生じ、引用商標は本件商標と称呼上類似のものであることは、明らかである。
(イ)被請求人は「THE BLACKPRINCE」は、皇太子ウェールズ公エドワードの通称である旨を掲げているが、服飾業界に関連する一般的・平均的な取引者・需要者が本件商標に接した場合、これを皇太子ウェールズ公エドワードの通称と直感することはあり得ないと考えられる。また、そもそも皇太子ウェールズ公は、被請求人提出にかかる乙第1号証にも示されているように、わが国においては「黒太子」と称されているものである。以上より、本件商標から「PRINCE」の部分だけが商標の要部として分離されるべきではない、との被請求人の根拠となることはあり得ない。
(ウ)次に、被請求人は、本件商標がオートバイ用のジャケットにおいては著名性を獲得している旨、主張している。しかしながら、被請求人はその証左となるべき資料をなんら提出していない。そこで、請求人はその正確性を評価され現在わが国でもっとも使用されているインターネット上の検索エンジンである Yaboo!および Google の両者において、「BLACK PRINCE」、「オートバイ」及び「ジャケット」をキーワードとして検索をおこなった。その結果、甲第21号証にも示した通り、被請求人を示すようなホームページは1件もヒットしなかった。この事実のみを鑑みたとしても本件商標がオートバイ用のジャケットについてわが国において著名性を獲得している事実は存在しないことは明白である。
一方、「PRINCE」、「テニス」、「ウェア」をキーワードとして、同様な検索を行った結果、甲第22号証に示すように極めて多数のホームページがヒットした。これらのホームページは全て引用商標が当該指定商品との関係で用いられている内容であり、引用商標の周知・著名性を示す証左である。
また、このような引用商標の周知・著名性をさらに裏付ける資料として研究社が出版し、著名性を獲得した英語商標を紹介した「英和商品名辞典」においても、引用商標が紹介されている事実を掲げる(甲第23号証)。なお、かかる辞典において本件商標は紹介されていない事実も付言する。
以上より、本件商標が著名性を獲得しているという被請求人の主張は何ら根拠がないものであることは明白である。
(エ)被請求人は、「両者は類似しないことは明らである」旨主張し、その根拠として「欧米各国の登録においても、両商標は併存している」事実を挙げている。しかしながら、わが国における審査基準・法制度および英語の普及度などと欧米各国における審査基準などは明らかに相違するものであり、属地主義が採用されている各国工業所有権制度のもとでは、かかる併存の事実を根拠とするのは明らかに失当であると考えられる。
(オ)以上より、本件商標の要部は、「PRINCE」の文字部分であり、引用商標と称呼上類似するものであるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、引用商標は、その指定商品についてわが国において周知・著名である故、その一部に引用商標を含む本件商標は混同を惹起させ、商標法第4条第1項第15号に該当し、その一方、本件商標は、何ら著名性を獲得したものではなく、他国における併存の事実は斟酌すべき理由がないものである以上、本件商標の登録は、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証を提出している。
(1)請求人は、本件商標中の「BLACK」は、商品の色彩を意味する品質表示であり、「BLACK PRINCE」が特段の熟語的な意味合いを表わすとは言えず、自他商品識別力のある部分は「PRINCE」であり、「プリンス」の称呼において類似すると主張している。
しかしながら、本件商標は、同一の書体、同一の大きさの文字で横一列に書されているものであり、その構成態様からことさら、「PRINCE」を分離すべき理由は見当たらない。
本件商標は、「BLACK」と「PRINCE」の間にスペースが配されているが、2つの言葉を結び合わせて作られたことを示すものであり、語順から「BLACK」は「PRINCE」を修飾する言葉であることが理解される。つまり、「BLACK」(黒い)は「PRINCE」(王子)を修飾する言葉であり、全体として「黒い王子」の意味を表わすものである。
請求人は、「BLACK PRINCE」が特段の熟語的な意味合いを表わすとは言えない、と主張しているが、後述する辞書等の語義を参酌するまでもなく、2語が結合した特定の意味を持つ熟語であることは否定できないものである。
歴史的にも、「the BLACK PRINCE」と言えば、イギリス皇太子ウエールズ公(1330〜76)エドワードの通称とされており(乙第1号証、コンサイス人名辞典125頁、参照)、一体として特定の意味を持つものである。また、現代であれば、「黒人の国の王子」や、「悪社会の王子」をも連想するとも言える。
このように、本件商標は、特定の意味を容易に理解される言葉であり、意味のない言葉の羅列とは異なるものであるので、ことさらに、「PRINCE」の部分だけが商標の要部として分離されると言うことはできない。
なお、色彩を表示する言葉と他の語を組合わせた商標では、色彩表示語が指定商品の色彩を表示するものかどうかが、問題となることがある。
色彩表示語が指定商品の色彩を表示するものかを検討している判決例としては、「WHITE HORSE」と「GOLDEN HORSE」の類否が争われた裁判(「ホワイトホース事件」東京地裁S55(行ワ)4863号)がある。その判決においては、色彩表示が、商品の色彩または、商品の等級を表わす言葉として使用されているかどうかが詳細に検討され、結論として「色彩名は『馬』を修飾する言葉として用いられており、全体が基本的な商標名を構成している。」と判示している(乙第2号証)。
同様に、色彩表示語が商品の色彩を表示するものか否かを検討し、これを否定した審決としては、審判昭57−10713号、同昭58−20167号、同昭58−2769号等々を挙げることができる(乙第2号証〜乙第4号証)。
なお、「GREEN PLAZA」と「PLAZA」を非類似と判断した審決(審判昭 57−10713 号)では、「構成中『GREEN』、『グリーン』の文字部分が必ずしも常に商品の色彩を表示したものと認識されるにとどまるともいい難いところであるから、結局、本願商標は、構成全体をもって一体不可分のものと認識されるものとみるのが相当である。」と判示している(乙第2号証)。
これらの、判・審決例からも、本件商標は、「黒い王子」を意味する一体の商標と理解されるものであり、「PRINCE」印の黒色の商品と考えることは出来ないものである。
以上の通り、本件商標は一連・一体にのみ、称呼・観念されるものですので、引用商標とは類似するものではない。
(2) 請求人は、本件商標が引用商標と混同を生ずるものである旨主張している。しかしながら、既に詳述したように本件商標は、引用商標とは、商標が類似するものではないので本件商標が引用商標と混同を生ずるものでないことも明らかである。
(3)本件商標の歴史
本件商標は、イタリアの会社である権利者により登録されているが、その起源はイギリスのベルスタッフによるものであり、ベルスタツフは、1924年に防水生地を開発し、1953年には、防水性のあるオートバイ用のジャケットに「BLACK PRINCE」の商標の使用を開始している(乙第6、7号証)。
なお、商標権利者は、英国のベルスタッフとの提携のもとに日本を含む極東における販売を担当しているものであり、日本国内の代理店としては、三井物産がその商品を取扱っている。そして、その商品は1953年より、「BLACK PRINCE」商標をオートバイ用のジャケットに使用して商品展開をしており、オートバイ用のジャケットにおいては著名性を獲得しているものである。
その後、請求人がテニス用ラケットを初めとする運動具に、商標「PRINCE」の使用を開始したが、両者がその商品において、混同を生じた事実はなく、両者は市場において平穏に共存しているものである。
(4) 世界各国における引用商標と本件商標の並存
本件商標と同一の商標は、CTM商標として登録(登録第630970号)を受けているものである(乙第8号証)。また、英国においては、ベルスタッフ社の商標管理者であるジェームス ハルステッド グループによって、1955年に本件商標と同一の商標の登録(登録第745973号)を受けており、その後1978年に、請求人である会社プリンス スポーツ グループが商標「PRINCE」について、登録(登録第1090629号)を受けている(乙第9号証)。さらに、欧米各国の登録においても、両商標は並存しているものであり、両者は類似しないことは明らかである。
したがって、日本においてだけ、並存を否定されるべき合理的な理由はない。
(5)以上の通り、本件商標は、その称呼を初め、外観、観念のいずれにおいても、引用商標とは類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく、また、商標も類似するものとは考えられず、商品の出所混同の可能性はないものであるから、同法第4条第1項第15号の規定に該当するものでもない。
したがって、請求人の主張には理由がないものである。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるか否かについて
最初に、本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1は、その指定商品については前記したとおりであるところ、それらの商品は互いに生産者、取引の対象、用途、取引系統が相違する非類似のものと認められ、指定商品において抵触しないものであるから、本件商標は、引用商標1との商標について論ずるまでもなく、同引用商標1を引用して商標法第4条第1項第11号に該当とすることはできない。
次に、本件商標と引用商標2ないし7との類否
本件商標の構成についてみると、本件商標は、前記のとおり「BLACK」の文字と「PRINCE」の文字との間を一文字程度の間隔を設け、等間隔に左横書きしてなる比較的簡明な構成であり、かつ、これを構成する欧文字は同一の書体であり、同一の大きさをもってなることは明らかである。したがって、本件商標を構成する「BLACK」及び「PRINCE」の文字は、その書体、大きさ、配置からみて、その間に主従、軽重の差の関係は認められない。
また、本件商標の観念についてみると、「BLACK」の文字が「黒い、黒、黒色」等を意味し、「PRINCE」の文字が「王子、皇子」等を意味する、いずれも日常普通にみられる平易な英語であって、多少なりとも英語の知識を有する者であれば、双方共に理解することができる。そして、「BLACK PRINCE」の文字(語)からは、強いて考えれば、「黒い王子」という意味に理解できないわけではないが、一般的には、和製英語としても特定の意味を有するものと認識することはできないから、全体として、特定の観念が生ずるものとはいえない。
そして、本件商標を称呼の面からみると、それを一連に称呼しても、促音を加えても八音程度のものでしかなく、極めて自然に「ブラックプリンス」と称呼することができ、冗長感を与えるものでもない。
以上の点を総合勘案すれば、本件商標は、商標として使用された場合には、取引者、一般の需要者は、これを全体として不可分一体の商標として認識するものであり、これを殊更に分離して「プリンス」とのみ称呼したり、単に「王子、皇子」等の観念をもって認識したりすることはないものと認められる。
したがって、本件商標は、「BLACK PRINCE」という特定の観念のない造語であって、「BLACK」の文字と「PRINCE」の文字とは分離されることなく不可分一体のものとして認識され、「BLACK PRINCE」なる一連の語の全体が自他商品の識別標識としての機能を果たしていると認めるのが相当である。
この点、請求人は、「本件商標に接した一般的・平均的な需要者・取引者が本件商標からどのような観念等を直感するかの点であると考えられる。ここで、本件商標の指定商品の属する服飾業界においては『BLACK(黒色)』など色彩を表すことばは、品質を表示するものとして極めて一般的に用いられているから、本件商標の自他商品識別標識として機能する部分は『PRINCE』の文字部分にあると認識・把握されるものである。よって、本件商標からはその文字部分に相応して、引用商標と同一の『プリンス』の称呼が生じ、引用商標は本件商標と称呼上類似のものである。」旨主張している。
しかしながら、上記主張は、あくまで商品自体又はその包装の現実の色彩に関していえるものであり、そうであるからといって、当該商品に用いられる商標を構成する文字部分の一部が色彩を表す英語表現である場合に、その文字部分自体又はその包装の色彩と関連付けられ、商品自体の色彩を具体的に表示するものと取引者、需要者一般に理解、把握されていると即断し得ないし、本件商標についてその証拠はない。してみると、本件商標は、これが商標として使用された場合には、取引者、一般需要者がこれを全体として不可分一体の商標として認識することは、前記のとおりであり、たとえ、「BLACK」の文字を含む本件商標が、その指定商品に使用されたとしても、「BLACK」の文字を色彩を表すものとは認識されず、不可分一体の本件商標の構成要素として理解されるものであって、取引者、一般需要者が本件商標のうち殊更に「PRINCE」の文字のみをとらえて取引に当たるものとは、前記認定のような本願商標の一体性に照らし、到底認められず、この点に関する請求人の主張は採用できない。
以上によれば、本件商標からは、「プリンス」の称呼が生ずることはなく、特定の観念の生ずることのない「ブラックプリンス」のみが生ずるものであり、一方、引用商標2ないし7は「プリンス」「王子、皇子」の称呼、観念が生ずるものであるから、本件商標と引用商標2ないし7とは称呼、観念を異にするものである。また、両商標はその構成からみて、外観上も区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標2ないし7は外観、称呼、観念のいずれにおいても類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるか否かについて
先にのべたとおり、本件商標は、その構成上及び全体が造語よりなるものであることよりみて、不可分一体の文字よりなるものとみるのが相当であって、該構成中「PRINCE」の文字部分のみが独立した標識部分として認識され得ないものというべきであるから、請求人であるプリンス、スポーツ、グループ、インコーポレーテッドが世界有数のテニスラケットその他のテニス用具及びテニスウエアの製造・販売業者であり、我が国においても、請求人のハウスマークとして、引用商標を長年の間、使用された結果、本件商標の出願時においてある程度取引者、需要者に知られていることの事実を考慮するとしても、前記のごとき構成にかかる本件商標をその指定商品について使用した場合、その商品が請求人または請求人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとみることができないから、同法第46条第1項の規定により、これを無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。