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Trademark Appeal Case

称呼類似性「ヌ」「ナ」

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35681(T2000−35681/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4408600号商標の登録は、その指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」について無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4408600号商標(以下、「本件商標」という。)は、「システィーヌ」の片仮名文字と「SISTIENE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成11年10月1日に登録出願、第25類「被服(ただし、和服・ずきん・すげがさ・ナイトキャップ・ヘルメット・帽子を除く。),靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成12年8月11日に設定登録されたものである。

2.引用商標

請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する各登録商標(以下、「引用各商標」という。)は、次のものである。

(1)昭和61年5月12日に登録出願、「システィーナ」の片仮名文字と「SISTINA」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、第22類「はき物(運動用特殊靴を除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和63年12月19日に設定登録され、その後、平成10年10月27日に存続期間の更新登録がされている登録第2100346号商標(以下、「引用商標1」という。)

(2)平成10年4月2日に登録出願、「システィーナ」の片仮名文字を標準文字とし、第25類「履物」を指定商品として、平成11年7月16日に設定登録された登録第4296036号商標(以下、「引用商標2」という。)

3.請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号含む。)を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、証拠(甲各号証)により明らかなように、引用商標1及び引用商標2と称呼において類似し、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するので、同法第46条第1項により、その登録は取り消されるべきものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記に示すとおりの構成よりなるところ、構成中の片仮名文字が欧文字部分の称呼を特定しているとみられるので、片仮名文字に相応して「システィーヌ」の称呼が生ずるものである。

これに対し、引用各商標は、前記に示すとおりの構成よりなるものであるから、いずれもその構成文字に相応して、「システィーナ」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標と引用各商標より生ずる「システィーヌ」と「システィーナ」の各称呼について比較すると、両称呼は、称呼上異なるところが語尾音の「ヌ」と「ナ」であり、これが同行音に属する相似音のため、称呼において相紛らわしいものである。

また、本件商標と引用各商標とは、その指定商品も互いに類似するものである。

したがって、本件商標は、引用商標1及び引用商標2とは、称呼において類似する商標であり、また、指定商品も互いに抵触するので、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、1947年(昭和22年)の創業にかかるシューズの大手メーカーであり、1986年(昭和61年)から商品「婦人用ブーツ」に「システィーナ」及び「SISTINA」を商標として使用し今日に至っており、取引者・需要者間において周知・著名となっているものである。

また、該商品は1986年(昭和61年)の発売以来、現在も全国的に販売している(甲第6号証ないし甲第21号証)。

請求人の製造販売にかかる商品「婦人用ブーツ」は、主力商品であり、かつ、我が国における市場占有率も極めて大きいものである。

したがって、本件商標の指定商品の分野における取引者・需要者は、引用各商標と類似する本件商標がその指定商品について使用された場合、請求人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所につき混同を生ずるおそれがある。

(3)答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件商標「システィーヌ/SISTIENE」と引用商標1「システイーナ/SISTINA」及び引用商標2「システィーナ」について、それぞれの語尾における文字の相違から、外観上判別ができ、かつ、その称呼「ヌ」と「ナ」の違いから称呼上も聴別できるので非類似であると主張している。

しかしながら、両商標が類似することは、さきの請求書の具体的理由で述べたとおり、「ヌ」と「ナ」が同行音に属する相似音であり、かつ、この前音で中間に位置する「ティー」の音にアクセントが掛かり、強音として発音されるため、続く「ヌ」と「ナ」が前音の「ティー」に吸収されるため、両商標を全体として一連に称呼する場合、彼此相紛らわしく明確に聴取し難いものであるから、本件商標と引用各商標とは、称呼上類似の商標たるを免れない。

(イ)被請求人は、請求人の商標「システィーナ」及び「SISTINA」が「婦人用ブーツ」について、周知・著名であると立証する十分な証拠の提出がなく、限られた特殊な用途であり、「日本有名商標集」にも掲載されてないと主張している。

しかしながら、商標「システィーナ」及び「SISTINA」を使用する「婦人用ブーツ」は、積雪地域での需要が大きいとしても、我が国の積雪地域は決して狭い地域でなく、北陸、東北、北海道等の広範囲であり、これをもって限られた地域での特殊な用途といえないものである。

また、当該商標が「日本有名商標集」等に掲載されていないとしても、周知・著名か否かの判断が必ずしも全国的と限らないとされており、周知・著名の判断が認識されている度合いが強いか弱いかにあるとされていることからみれば、該商標の使用地域が積雪地域であるとしても、販売地域が広範囲で需要が多く、かつ、婦人層から高く認識されているものである。

したがって、引用商標1ないし引用商標2と類似する本件商標をその指定商品に使用するときは、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

4.被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標と引用各商標とを比較するに、本件商標は、上段に片仮名文字「システイーヌ」下段に欧文字「SISTIENE」を併記してなる二段構成である。一方、引用商標1は、上段に片仮名文字「システィーナ」下段に欧文字「SISTINA」を併記してなる二段構成であり、また、引用商標2は片仮名文字「システイーナ」を左横書きしてなり、本件商標と引用各商標とは、外観上、容易に見分けがつく。さらに、請求人提出の甲第19号証及び甲第20号証によると、請求人の欧文字の使用商標は非常にデザイン化された特徴的な態様をしており、本件商標と外観上明らかに判別し得るものである。

また、請求人が主張する称呼についても、本件商標より生じる称呼「システィーヌ」と引用各商標より生じる称呼「システイーナ」の比較において、両称呼は、識別上重要な語尾において「ヌ」と「ナ」の違いを有しており、称呼上、明確に聴別し得るものといえる。

よって、外観、称呼において、本件商標と引用各商標とは類似するものでないことは上述のとおりであって、商標法第4条第1項第11号に該当しているとはいえない。

(イ)百歩譲って、本件商標と引用各商標とが、商標類似と判断された場合においても、本件商標の指定商品中「被服(和服・ずきん・すげがさ・ナイトキャップ・ヘルメットを除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」については、引用各商標の指定商品とは商品非類似であり、同一又は類似には当てはまらない。よって、少なくとも本件商標の指定商品中の上記商品については、商標法第4条第1項第11号に該当しているとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

(ア)請求人は、「システイーナ」及び「SISTINA」について、請求人の製造販売にかかる商品「婦人用ブーツ」において、周知・著名性を訴え、商標法第4条第1項第15号の適用により本件商標の無効を求めているが、甲第21号証の会社案内中にも、「ブーツの代名詞コザッキー」(7頁17行目)と記されている。さらに、請求人であるアキレス株式会社の、平成13年3月21日現在のホームページを参照したところ、ハウスブランドページの「CASUAL」の「2001年Spring and Summer Collection」(乙第5号証)及び「COSSACKY」の「2000年 Autumn and Winter Collection」(乙第6号証)中の商品アイテムの中には「システイーナ」及び「SISTINA」の表示は見当たらない。そればかりか、請求人は、「婦人用ブーツ」において「システイーナ」及び「SISTINA」は周知・著名であると主張しているが、証拠方法として、市場シェアや売り上げ及び、広告宣伝の実績等、周知・著名性を立証する十分な証拠を何ら提出していない。

(イ)また、請求人提出の甲第19号証及び甲第20号証によると、「システィーナ」及び「SISTINA」は限られた地域での特殊な用途であることが分かる。

さらに、特許庁電子図書館の日本国周知・著名商標検索及び、社団法人日本国際工業所有権保護協会が、日本における有名商標として選定した商標を収録した1998年に発行した書籍「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN/日本有名商標集」においても、「システイーナ」及び「SISTINA」は、掲載されておらず、周知・著名商標とはいえない。よって商標法第4条第1項第15号に該当しているとはいえない。

(3)むすび

上述のとおり、本件商標と引用各商標とは、外観及び称呼上同一又は類似とはいえず、また、商標「システィーナ」及び「SISTINA」は、周知・著名とはいえず、取引者・需要者に出所の混同を起こさせるとはいえない。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しない。

5.当審の判断

請求人は、本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものとして、その登録の無効の理由を述べているので、その当否について判断する。

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)商標の類否

本件商標は、前記したとおり「システィーヌ」と「SISTIENE」の各文字よりなるところ、これよりは「システィーヌ」の称呼を生ずること、及び、前記したとおり「システィーナ」と「SISTINA」の各文字よりなる引用商標1ないし「システィーナ」の文字よりなる引用商標2は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「システィーナ」の称呼を生ずること両当事者は認めているところである。

そこで、本件商標より生ずると認められる「システィーヌ」の称呼と引用各商標より生ずる「システィーナ」の称呼とを比較するに、両者は同数の音からなるうち、称呼の識別において重要な部分を占める語頭を含め「システィー」の音を同じくし、異なるのは語尾音が「ヌ」と「ナ」の差であるにすぎない。そして、両者の差違音である「ヌ」と「ナ」の音は、鼻子音[n]と母音(前者は[u]、後者は[a])とを結合した音節あって、口をとじて息を鼻に通して発音される点において相似た音であり、これが比較的に聴き取り難い語尾に位置するところから、両者をそれぞれ一連に称呼するときはその語調、語感が近似し称呼上彼此相紛れるおそれがあるものと判断するのが相当である。

そうすると、本件商標と引用各商標とは、称呼において互いに相紛らわしく、その外観、観念の点を考慮するとしても、なおその出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。

(イ)商品の類否

本件商標と引用商標1ないし引用商標2の指定商品は、上記したとおりであって、本件商標の指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」と引用各商標の指定商品とは同一又は類似するものである。また、本件商標の指定商品中の「被服(和服・ずきん・すげがさ・ナイトキャップ・ヘルメットを除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」と引用商標1ないし引用商標2の指定商品とは抵触関係になく類似する商品といえない。

(ウ)したがって、本件商標は、その指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」については、商標法第4条第1項第11号に該当し、これに違反して登録されたものといわざるを得ず、この限りにおいて、同法第46条第1項の規定により無効を免れない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

次に、本件商標の指定商品中の「被服(和服・ずきん・すげがさ・ナイトキャップ・ヘルメットを除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」については、上記のとおり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといえないから、更に、これが同第15号に該当し、その登録が無効とされるべきものか否かについて判断する。

請求人提出の各証拠(甲第6号証ないし甲第21号証)によれば、「システイーナ」及び「SISTINA」の各商標が商品「婦人用ブーツ」について一定の使用実績を認め得るとしても、それらは専ら他の製品とともに当該商品を紹介する商品カタログ又はシューズ・ブランド辞典とするものであって、その宣伝・広告の具体的状況、すなわち、広告の地域、手段、方法、費用等の状況を客観的に明らかにし得るものでなく、かつ、当該商品の流通市場における評価、占有率等の事情も不明といわざるをえないから、これら提出に係る証拠をもってしては、「システイーナ」及び「SISTINA」の各商標が本件商標の登録出願時において取引者・需要者間に広く認識されていたものと認めるに十分なものといい難い。

そうすると、本件商標を上記の指定商品に使用したとしても、申立人若しくは申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

してみれば、本件商標の指定商品中の「被服(和服・ずきん・すげがさ・ナイトキャップ・ヘルメットを除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいい得ず、その登録を無効とすることはできない。

(3)まとめ

したがって、本件商標は、その指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に該当し、それに違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

しかしながら、本件商標の指定商品中の「被服(和服・ずきん・すげがさ・ナイトキャップ・ヘルメットを除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しないものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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