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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠能力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31165(T2000−31165/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3164922号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3164922号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ヘルスボード」の片仮名文字を横書きしなり、平成5年1月19日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として同8年6月28日に設定登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

(1)本件商標は、その全指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。

(2)乙第2号証及び同第3号証によれば、被請求人は、本件商標と同一と認められる「ヘルスボード」の片仮名文字と、当該片仮名文字をローマ字に変更したものであって、本件商標とは社会通念上同一と認められる「HEALTH BOARD」の欧文字を併記してなる標章につき、シルク印刷用製版の制作を有限会社三和技研プロセス(東京都小平市鈴木町2丁目223番地在)に依頼し、平成10年9月14日付でその納品を受けているものと認められる。

また、乙第4号証及び同第5号証よれば、被請求人は、前記印刷用製版を制作する一方において、人体の胴体部分を平面的に模したと思われる形状をしてなる成形用型枠の制作につき、有限会社窪寺工芸(東京都練馬区西大泉4−4−22在)に依頼し、平成10年4月23日付でその納品を受けているものと認められる。

そして、当該成形用型枠による被成形物(以下、「本件物品」という。)が、仮に、本件指定商品たる医療用機械器具であるものとするならば、なるほど被請求人は、少なくとも前記印刷用製版の納品を受けた平成10年9月14日においては、本件商標をその指定商品について使用する意思を有していたものと認められるところである。

なお、本件物品が、本件指定商品たる医療用機械器具と言うことのできるものであるか否かについては、被請求人において何ら立証するところがなく、明らかではない。

しかしながら、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用している事実を証明するために提出した乙第1号証の写真については、本件商標と、これを欧文字で表した「HEALTH BOARD」の商標が付された本件物品が、被請求人によるその撮影年月日(平成12年12月5日)において存在していることを示すに過ぎないものである。

しかも、当該平成12年12月5日は、本件審判請求の予告登録日(平成12年10月20日)よりも後であることから、この証拠方法をもって、本件商標をその指定商品「医療用機械器具」につき、本件審判の請求前3年以内に使用していたことを証明することはできないものと言わざるを得ない。

被請求人は、本件商標をその指定商品に使用していることを証明するに際しては、例えば商品の取引書類,カタログ,パンフレット,あるいは包装用箱や袋類ないしはタグ等の写真を併せて提出するなど、より客観性のある証拠方法を採ってしかるべきであったとともに、それらが現実に存在しているものとすれば、その提出を惜しむことはなかったものと思料される。

それにもかかわらず、本件商標の使用をしていることを証明するために提出された証拠は、唯一乙第1号証の写真のみであり、しかも当該写真はいわゆる全体写真でないばかりでなく、また前掲乙第2号証及び同第4号証の写真と同日に同一人(被請求人)によって撮影されたものでありながら、それのみが不鮮明なモノクロ写真であるという不自然をも伴うものであることから、証拠としての客観性を著しく欠くものであると言わざる得ない。

そうとすると、そもそも乙第1号証の写真が示すところの本件物品は、これがたとえ「医療用機械器具」と言うことのできるものであるとしても、反復継続的に製造販売された事実や、一般の市場へ流通する状態に置かれた事実を見ることができないものであって、少なくとも本件商標を使用した商品とは言うことのできないものと言わざるを得ない。

なお、被請求人は、自己の取扱業務に医療用機械器具が含まれるとして、乙第6号証の登記簿謄本の写し(目的欄のみ)を提出しているが、この証拠方法をもっても、本件商標をその指定商品「医療用機械器具」につき、本件審判の請求前3年以内に使用していたことを証明することはできないものと言わざるを得ない。

以上述べたとおり、被請求人による第1号証ないし同第7号証をもってしては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において商標権者又は使用権者のいずれかにより、その指定商品「医療用機械器具」について使用されていたものとは認めることができないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(証拠の符合を7−1ないし7−6と表示しているがこれを乙号証として順次符合を付した。)を提出した。

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者自らが使用した事実が存在するので、商標法第50条第1項の規定に該当しない。したがって、その登録は取り消されないものである。

その証拠として乙第1号証の「指定商品に登録商標を付して使用している事実を証明する写真」、同第2号証の「登録商標のシルク印刷用製版の存在を示す写真」、同第3号証の「シルク印刷用製版の制作および印刷に係る外部注文時の取引書類の写し」、同第4号証の「指定商品の成型用の型の存在を示す写真」、同第5号証の「指定商品の成型用の型制作に係る外部注文時の取引書類の写し」、同第6号証の「当社取扱業務に指定商品が含まれることを証明する謄本の写し」を提出する。

4 当審の判断

被請求人が本件商標の使用について提出した乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第1号証は、その形状をして直ちに如何なるものか理解し得ない成形物、即ち、請求人がいう本件物品の「人体のような胴体部分を平面的に模したと思われる形状をしてなる成形物」(以下、単に「成形物」という。)の上半分を表示し、かつ、その成形物上に本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる「HEALTH BOARD」の欧文字が付されてなる状態を撮影した写真と認められる(撮影年月日平成12年12月5日)。

乙第4号証は、上記成形物の成型用の型を示す写真であり、同第5号証は、被請求人が、その成形物用の型の制作につき、有限会社窪寺工芸(東京都練馬区西大泉4−4−22在)に依頼し、平成10年4月23日付でその納品を受けた納品書及び同請求書と認められる。

そして、乙第2号証は、「HEALTH BOARD」及び「ヘルスボード」の文字のシルク印刷用製版であり、同第3号証は、成形物に印刷する「HEALTH BOARD」の文字のシルク印刷用製版の制作を有限会社三和技研プロセス(東京都小平市鈴木町2丁目223番地在)に依頼し、平成10年9月14日付でその納品を受けた、納品書及び同請求書と認められる。

乙第6号証は、被請求人の「登記簿謄本の一部」の写しと認められる。

しかしながら、乙第1号証の写真が示す成形物は、通常の知識をもってしては、如何なるものか定かでなく、これが「医療用機械器具」に属するものとは判断し難い。

そして、仮に、これが「医療用機械器具」の範疇に属するものであるとしても、取消審判における登録商標の使用は、過去の商品の商取引において実際に使用されたかが立証されなければならないことが前提であるところ、本件商標の使用は、乙各号証全体からは、その成形物が実際に商品として流通し、取引者・需要者に対し販売され、本件商標が使用されたことの事実が、商品のカタログ等による広告宣伝他、納品書、請求書等の商品取引書類により客観的に証明されていないと認める。即ち、該証拠からは、成形物の試作・製造がされ、それに本件商標が付されていること、被請求人の業務が医療機器開発、製造販売であると窺えること、及び現在その成形物が存在することの事実によっては、成形物が審判請求の登録前3年以内における販売計画の中止等で現実に販売されていない場合、また審判請求の登録後の使用等の様々な不確定の要因が想定されるから、これをもって、市場に流通し、販売されたものと推認し、審判請求の登録前3年以内に登録商標の使用とすることはできない。結局、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に、社会通念上同一と認められる商標をその指定商品について使用しているものと認めることができない。

そして、被請求人は、請求人の弁駁に対し何ら答弁、立証するところがない。

したがって、本件商標は、その指定商品についての登録を商標法第50条の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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