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Trademark Appeal Case

略語の観念類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35169(T2001−35169/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第第4426664号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年1月22日に登録出願、後掲に示すとおり、「ドキュメントナビ」の仮名文字及び「DOCUMENTNAVI」の欧文字を上下二段に表示してなり、第9類「コンピュータプログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同光ディスク・同CD−ROM・同磁気テープ」を指定商品として、同12年10月20日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する登録第4449415号商標(以下、「引用商標」という。)は、平成9年5月9日に登録出願、「DOCNAVI」の文字を標準文字として、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,家庭用テレビゲームおもちゃ」及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成13年1月26日に設定の登録がされたものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む)を提出した。

(1)請求人が本件商標の登録無効の理由とする引用商標は、上記2のとおりである(甲第2号証)。

そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、構成中の「ドキュメント」及び「DOCUMENT」の文字は、「文書、書類」等の意味で親しまれている外来語及び英語を表したものであり(甲第3号証)、また、「ナビ」及び「NAVI」の文字は、「経路誘導、航海、航法」等の意味を表す語として広く知られている「ナビゲーション」、「NAVIGATION」(甲第3号証の1及び2)の略語を表したものとして容易に認識されるものというべきである。このことは、自動車の経路誘導装置を表す「カーナビゲーシヨン」,「car−navigation」が「カーナビ」、「CAR一NAVI」のように略称され広く知られている事実からみても明らかである。そればかりでなく、「ナビゲーション」や「ナビ」の語は、本来の意味が広げられ、例えば、「スポーツ・ナビゲーション」、「リクルートナビ」、「エデュケーションナビ」、「ドクターナビ」、「アートナビ」、「星ナビ」等のように「検索」とか「案内」の意味合いをも包含するものとして使用されている事実があり、略語である「ナビ」の使用のほうが圧倒的に多くみられる(甲第4号証)。

そうすると、本件商標は、全体として「文書に関するナビゲーション(検索、案内)」の意味合いを看取させるものである。

他方、引用商標は、「DOC」の文字と「NAVI」の文字よりなるところ、「DOC」の文字は、「DOCUMENT」の略語(甲第5号証の1ないし4)であり、また、「NAVI」の文字は、前記と同様「NAVIGATION」の略語として認識されるものである。そして、わが国においては英語を適宜略して使用することが一般に広く行われている状況からすれば、引用商標も全体として「文書に関するナビゲーション(検索、案内)」の意味合いを看取させるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とはその外観・称呼について言及するまでもなく、観念を同一にする類似の商標であって、同一又は類似の指定商品に使用するものである。以上の主張が妥当であることは、審決例(甲第6号証ないし甲第8号証)に照らしても明らかである。

(2)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求に対して、何らの答弁も行っていない。

5 当審の判断

本件商標は、「ドキュメントナビ」、「DOCUMENTNAVI」の各文字よりなるのに対し、引用商標は、「DOCNAVI」の文字よりなることそれぞれ前記のとおりである。

請求人は、「DOC」の文字は「DOCUMENT」の略語であり、また、「NAVI」の文字は「NAVIGATION」の略語であって、わが国においては英語を適宜略して使用することが一般的であると述べ、その結果、両商標は共に全体として「文書に関するナビゲーション(検索、案内)」の意味合いを看取させるものであるから、観念を同一にする類似の商標であると主張している。そこで、同主張の当否について判断する。

「NAVIGATION」(ナビゲーション)の文字(語)は、一般に「航海(術)、航法、経路誘導」等の意味合いで理解される平易な英語又は外来語であって、昨今、その略語とされる「NAVI」(ナビ)の文字(語)は、特に自動車運転の経路誘導装置(俗にいう「カー・ナビ」)に関して普通に用いられ、或いは、その原義をやや離れた意味合いで、例えば、学生の進路指導、就職案内、医療相談等生活一般の各種事柄に関して「○○○・ナビ」の如く、その指導的・指針的意義を表す用語として屡々用いられているのが実情である。

他方、「DOCUMENT」(ドキュメント)の文字(語)は、一般に「記録、文書、証書」等の意味合いをもって理解される平易な英語又は外来語と認められるところ、これを英文において略記又は略語形により表示する場合は、一般に「DOC.」(doc.)とすることが各種英和辞典等の記載より明らかであって、末尾にピリオド記号(「.」)を付してその旨の表示とすることは、略記又は略語表記においてみられる他の多くの用例の場合と同様と認められる。

また、逆に「DOC」(doc)の文字(語)に関して各種英和辞典等をみると、殆どの場合、その一番目の意義は「doctor」(ドクター)の語の短縮形とされていて、かろうじて二番目以降に「DOCUMENT」(ドキュメント)の意義が掲載されている程度であり、かつ、その場合は前記「DOC.」(doc.)を見出し語とすることが通例と認められる。

以上によれば、請求人主張の如く、「NAVI」(ナビ)が「NAVIGATION」(ナビゲーション)の略語又は略記とされる場合のあることは首肯し得るとしても、他方において、「DOC」の文字が直ちに「DOCUMENT」の略語又は略記であるとする点については甚だ疑問であって、是認し得るものでなく、したがって、本件事案において「DOC」の文字が請求人主張の如く理解されるというためには、それを具体的に理由づける特段の事情の存在が必要というべきところ、請求人提出の甲各号証(甲第5号証の1ないし同5)によっては、いずれも英和辞典類の一般的解説の域に止まるものであって、前記特段の事情を有するものとはいい難い。その他、請求人の主張を認めるに十分な証拠はない。

そうすると、「DOC」の文字を「DOCUMENT」の略語であるとし、これを前提に本件商標と引用商標との観念の類似を述べる請求人の主張は、その前提を欠くものであって適切でないから、その理由をもって両商標を類似のものとすることはできない。また、両商標はその称呼をそれぞれ「ドキュメントナビ」、「ドクナビ」を自然とするところ、両称呼はその構成音数、音の配列その他全体の語感において顕著に相違し彼此聞き誤るおそれのないものであり、また、両商標はその表示態様、構成文字数及び文字の配列等よりして全体の印象を異にするものであって、これを時と処を異にして離隔的に考察したとしても彼此見誤るおそれはないものであるから、結局、両商標はその称呼又は外観において紛れ得るものとはいえない。

してみれば、本件商標は、引用商標とその外観、称呼及び観念のいずれよりしても区別される非類似の商標というべきであるから、その登録は商標法第8条第1項に違反してされたものということはできない。

したがって、本件商標の登録は、同法第46条第1項により、これを無効とすることはできない。

なお、請求人は、審判請求書において、本件商標の無効理由の根拠とする法条の適用を商標法第4条第1項第11号と記載したものであるが、本件商標の登録時において引用商標は先出願・未登録に係る商標であったものであるから(上記1及び同2に示すとおり。)、本件請求はその限りにおいて不適切であった。しかしながら、請求人主張の全趣旨よりして、その理由は実質的に商標法第8条第1項該当にあったとみて差し支えないものであり、かつ、この点に関し被請求人は何ら反論していないから、その過誤は明白な記載の誤りというべく事実上治癒したものと認め、審決した。

よって、結論のとおり審決する。

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