結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30049(T2001−30049/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第1020243号商標(以下、「本件商標」という)は、昭和46年6月26日登録出願、「装道」の文字(漢字)を縦書きに表してなり、旧第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類」を指定商品として、同48年6月28日に設定の登録がされ、該商標権は、同58年9月29日及び平成5年8月30日の両度に亘って存続期間の更新の登録がされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標の事実経過については、甲第1号証及び甲第2号証に示すとおりである。
(2)本件商標はその指定商品である「旧第4類 化粧品(薬剤に属するものを除く)」について、本件商標の商標権者である山中ふさ江によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見出せない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権および専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない。
したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録をその指定商品中の前記商品について取り消すとの審決を求める。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)本件商標
本件商標(商標登録第1020243号商標)は、商標権者「山中ふさ江」により商標登録された。
(2)登録商標の使用
(ア)本件商標については、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者である「装いの道株式会社」が商品「化粧品」について使用をしている。同社は商標登録原簿上において通常使用権者として登録されていないが、商標法第50条における使用においては、登録されていない通常使用権者でも使用している事実が立証されれば、不使用取消を免れるものである。また、本件商標権者である「山中ふさ江」は、「装いの道株式会社」の役員である。「山中ふさ江」と「装いの道株式会社」(以下、「被請求人会社」という。)の間には通常使用権許諾関係が成立していた。したがって、以下においては、「被請求人会社」による本件商標「装道」の使用の事実につき立証する。
(イ)被請求人会社が本件商標「装道」について使用している商品は、本審判請求に係る指定商品である商品の区分旧第4類の「化粧品」に包含される商品「香水」についてである。
ここでいう商品「香水」は、「固形香水」「粉末香水」等の商品をも含むものであり、必ずしも液体状の形態を有することを要しない。
被請求人会社は、「装道」の文字を大きく書した外箱を用いて、「香水」の製造販売を行っている(乙第1号証)。
なお、これらの使用における「装道」の文字は、横書きに書された「装道」の文字と「香」の文字を左右に並べて配置してなるものであり、その使用態様は本件商標「装道」の文字とは物理的に同一ではない。しかしながら、商標法第50条にいう登録商標には、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含むのであり(商標法第50条第1項但書)、また、「香」の文字は商品との関係において識別力を発揮しない部分であることから、本件における「装道」の使用は、当然に商標法第50条にいう登録商標の使用に該当する。
(ウ)本件商標の使用時期としては、現在でも継続して使用中である。また、上記使用に係る商品は、衣装タンス用の香料として用いられる商品の区分旧第4類の「薫料」にも属する商品であるともいえる。しかしながら、本件商品が「薫料」に該当するとの判断は、あくまでも本件商品をいずれか一つの商品に分類する必要性がある場合に、商品の直接的用途により区分けを行った場合の本件商品の位置付けであって、需要者が本件商品が使用されている衣装タンスに収納された衣装を身にまとう際には、本件商品によりもたらされる香りにより、当該需要者にとっては本件商品が「香水」としての間接的な用途を果たすことは紛れもない事実である。
本件商品がこのような用途に供されるべき事実は、本件商品の外箱の裏側に書された商品説明文の「...衣裳をお召しのときには、上品な移り香が仄かな香水のように機能して装いの気分を一層快いものに致します。...」の記述からも明らかであり、需要者の側において、そのような記述に基づき、或いは、自らが過去に本件商品を使用した経験に基づいて、本件商品に対して「香水」としての用途を期待し、購入している事実がある。実際に、外出時には、その芳香を楽しむべく、身に付けて使用する需要者もいる(乙第2号証)。
したがって、本件商品の使用は「薫料」についての使用でもあるが、同時に「香水」についての使用にも該当すると判断するのが相当であるといえる。乙第3号証として、同様の判断に基づいて、ある商品が二つの分類に属することがある旨を判示した判決がある旨を述べた参考文献の写しを添付する。
(3)以上のとおり、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者「山中ふさ江」と通常使用権許諾関係にある「被請求人会社」及びその関係各社が、その請求に係る指定商品「化粧品」について登録商標の使用をしているのであるから、本件商標は商標法第50条の規定により取り消されるべきでない。
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、又は使用していない点について正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取り消しを免れない。
そこで、本件についてみるに、請求人が本件商標の登録の取消を求める商品は、「化粧品(薬剤に属するものを除く)」であるのに対し、被請求人は、本件商標はその通常使用権者である被請求人会社により「化粧品」について使用されていた旨述べ、乙各号証を提出しているので、以下、検討する。
(1)本件商標の使用の当否について
(ア)乙第1号証は、紙製のやや横長で平べったい形状をした包装箱の上・底面及びその拡大写真(3葉)と認められる。同包装箱上面には、中央やや左側の位置に虹様の連続線を背景として大きく「装道香」の文字を表し、同文字上・下部にそれぞれ小さく「虫よけ」の文字及び「大きな吸着力と吸湿力をもつ全く新しい衣装タンス用の添付剤です。」、「虫よけ、湿気どめ、かびどめに加えて上品なにおいを発散する芳香性をそなえておりますので一層気持ちよく衣装をお召しいただけます。」等の記載が認められる。
また、前記包装箱の底面には、「お召しのときに優雅な移り香を」なる見出しのもと、「装道香はよい香りと共に抗菌、抗カビ、湿気どめなど。虫よけをおぎなう機能を併せもった衣装収納用の添付剤です。衣装をお召しのときには、上品な移り香が仄かな香水のように機能して装いの気分を一層快いものに致します。・・・」旨の記載が認められるほか、数項目に亘る「使用上の注意」及び被請求人の述べる通常使用権者(「装いの道株式会社」)の表示その他おぼろげに成分表等の記載が認められる。
(イ)乙第2号証は、同一文面による定型様式の証明書、すなわち、乙第1号証包装箱を開封し中身の商品を一部覗かせた状態の写真を添付し、被請求人の述べる通常使用権者(「装いの道株式会社」)を名宛人として、「下記商品は一般の防虫剤と成分が異なり、芳香を発する成分が含まれており、私どもは下記商品を虫よけ等の他に外出時に身に付けて香水の用途としても使用しております事実を証明致します。」とする文面を予め印刷した書面にそれぞれ当該証明者が署名・捺印した証明書8葉と認められる。そして、添付写真に提示された中身の商品は、矩形でかつ扁平状にしたパラフィン様の小袋に小分けされたものであって、これを前記包装箱に数個封入してなるものと認められる。
以上、(ア)及び(イ)の各認定によれば、被請求人が本件商標の使用を述べる商品(以下、「使用商品」という。)は、その主たる用途、使用の方法その他取引状況よりみて本件審判の取消請求に係る「化粧品(薬剤に属するものを除く)」に該当するものでなく、また、使用商品の時間的、地域的又は数量的な取引状況も全く明らかでないから、結局、提出証拠によっては、本件審判の請求前3年以内に本件商標をその取消請求に係る商品に使用したとする事実は客観的に証明されない。
すなわち、乙号証写真は、当該写真の撮影時(撮影日すら不明)において当該商品が存在したこと、また、それに本件商標に相応する文字の表示があったことを示しているに止まり、使用商品を具体的にどの時期に、どの地域において、誰に対して、どのくらいの数量のものを販売したのか、その広告・宣伝状況はどうであったのか等、その具体的な取引状況を示すものは一切見出すことができないから、これをもって本件審判の請求前3年以内における本件商標の使用は客観的に証明されない。
また、使用商品は、前記包装箱上・底面の各記載並びに当該小分けされた商品の形状等よりして、専ら和服等の保存のために衣装タンスの隅部等に適宜配置するなどして、主として、虫よけ、湿気どめ、かび止めなどの目的で用いられる衛生用薬剤(防虫剤又は忌避剤)であって、一方、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用する化粧品とは全くその性質・性状を異にする異種・別個の商品であるから、使用商品への本件商標の使用をもって本件商標の取消請求に係る商品についての使用は証明されない。
(2)被請求人の主張について
被請求人は、使用商品は「化粧品」に包含される商品「香水」の一種であるとして、前記包装箱に表示された商品説明の一部である「...上品な移り香が仄かな香水のように機能して...」の記述を引用し、需要者もその効能面を期待し購入している事実があるとして、乙第2号証を挙げている。
しかしながら、使用商品は、化粧品とはその用途・性質等を著しく異にする異種・別個の商品というべきこと前記認定のとおりであって、この化粧品の概念に所属し、専ら芳香を発することを主目的として主として人の肌につけて使用する香水の場合も同様に異種・別個の商品というべきである。そして、たとえ、使用商品が一部利用者により「虫よけ等のほかに外出時に身に付けて香水の用途として使用する」場合があるとしても、その利用は副次的、嗜好的範囲に止まるものというべく、むしろ例外とすべきものであるから、それをもって使用商品を化粧品の範疇の商品とみるのは到底困難といわなければならない。よって、この点を述べる被請求人の主張は妥当でなく、採用できない。
また、被請求人は、使用商品は衣装タンス用の香料として用いられる「薫料」にも属するものとし、「薫料」であっても、当該移り香を通して需要者にとっては「香水」としての間接的な用途を果たす旨述べている。
しかしながら、平成3年9月25日政令第299号による改正前の商標法施行令第1条所定の商品の区分(以下、「旧類別」という。)及び旧類別第4類所定の商品の例示よりみて、「薫料」は香料の概念に属する商品であって、化粧品に包摂されるものでなく、また、仮に一部需要者が使用商品を香水代用品として用いる場合があるとしても、その利用はむしろ例外とすべきこと前記と同様であるから、それをもって直ちに使用商品を化粧品の範疇の商品とみるのは妥当でない。よって、この点を述べる被請求人の主張は主観論に止まり客観性を欠くものであるから、採用の限りでない。
このほか、被請求人の述べる主張を認めるに充分な証拠はなく、さきの認定を覆すに足りない。
(3)結語
以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判の取消請求に係る指定商品について使用していることを主張、立証し得たものとはいえないから、本件商標の登録は、結論掲記の商品について、商標法第50条の規定により、これを取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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