Trademark Appeal Case
絵手紙の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第17320号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標(標準文字による商標)は、「絵手紙」の文字を書してなり、第41類「技芸、スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画、演芸、演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映、制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,映写フィルムの貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、平成10年7月3日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『絵を主体として書かれた手紙』を意味する語として一般的に用いられている『絵手紙』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願指定役務中『絵手紙の書き方に関する知識の教授』について使用したときは、単に役務の内容・質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、「絵手紙」に関して行った職権による証拠調べの結果、以下の事実が認められる旨通知した。
(1)インターネットのホームページ「全国各地の『絵手紙教室』と『絵手紙の会』」に栃尾絵手紙の会(新潟県栃尾市谷内 栃尾郵便局)、十日町絵手紙教室(新潟県十日町市桜木町 桑原昭夫)、絵手紙サークルかりん(大阪府吹田市山田西 松広文江)、絵手紙サークルセロリ(大阪府吹田市五月が丘西 東佐井寺公民館)、磯薫絵手紙教室(栃木県下都賀郡野木町 近藤みつ子)、東新井絵手紙教室(埼玉県大宮市南中丸 岩本一子)、絵手紙入門(新潟市本町ヨークカルチャーセンター 斉藤とし江)、絵手紙「あ・うん」サークル(千葉県袖ヶ浦市/袖ヶ浦郵便局 加藤洋子)等が掲載されている。
(2)インターネットのホームページの書籍の紹介の絵手紙の項には、福間明子編著「これからの絵手紙」、尾見七重著「花の絵手紙入門」、浅見明子著「お母さんへの絵手紙」、大久保文夫著「楽しい絵手紙の描き方」が掲載されている。
(3)朝日新聞記事データベースによれば、2000年3月4日の朝刊、愛知版に「・・・朝日カルチャーセンターの『絵手紙講座』で鹿桜会主宰の有原雅香さんの指導を受けた江口八重子さんら13人の作品約30点を展示。」、1999年10月9日朝刊、山梨版に「大月市御太刀一丁目の大月郵便局(中島康行局長)でこのほど、日ごろ絵や文章をかくことの少ない主婦を対象にした絵手紙教室がひらかれた。」、1998年11月13日の朝刊、埼玉版に「講座 絵手紙『年賀状』の描き方教室・・・初心者を対象に画家の宇野藤雄さんが指導。」の記載がみられる。
(4)毎日新聞記事データベースによれば、2000年3月12日地方版に「飯南町の中谷シゲ子さん、絵手紙教室を開催・・・趣味で絵手紙作りを続けている飯南町深野、主婦、中谷シゲ子さん(52)が11日、先月完成したばかりの伊勢郵便局(伊勢市岩淵)で、約40人の女性を集めて『絵手紙教室』を開いた。」、1999年9月5日の地方版に「文化教養講座の受講生が作品展・・・同講座は、ホテルグループ『グリーンズ』(本社・四日市市)が、地域文化の創造を目指して企画。趣味と教養の2部門があり、絵手紙やビデオ、文学、歴史など15の講座が人気を集めている。」、1999年6月30日大阪本紙夕刊に「通信講座・絵手紙 遠方や仕事の都合で教室へ通えない人が自宅で学べる講座。はがきをキャンバスに日々の感動を描き、文を添えて心温まる絵手紙を。月1回、課題・自由題の2点を提出、講師の国分博子さんが添削指導。」の記載がみられる。
(5)読売新聞記事データベースによれば、2000年2月4日大阪読売朝刊に「川之江・紙のまち資料館が『紙講座』3月開始、受講生募る=愛媛・・・紙講座は、市の特産品である紙に親しんでもらおうと、毎年四月から一年間開講されており、新年度で十三回目。ペーパーフラワーや絵手紙など、七講座が企画されている。」、1999年5月30日大阪読売朝刊に「甲西町絵手紙サークル『絵交(えこう)』(中野由子代表)の作品展が二十九日から同町立図書館で始まり、色とりどりの絵手紙が入館者の目を楽しませている。」、1998年9月26日西部読売夕刊に「書道家の近藤紫鳳(しほう)さん(52)(北九州市戸畑区)は、九四年から、八幡西区岸の浦の北九州社会保険健康センター『ペアーレ北九州』で絵手紙の描き方を教えている。」の記載がみられる。
4 請求人の主張
請求人は、「本願商標は、当業者が常用している名称でないのは勿論のこと、一般名称にも該当せず、しかも審査官の指摘するものにも該当しないものであるから、いわゆる自他商品識別力を有し、商標法第3条第1項第3号に該当しない」と主張し、そして、請求人は、本件審判の請求理由及び証拠調べに対する意見を要旨次のように述べ証拠方法として、甲第1号証ないし同第19号証を提出している。
(1)本願商標「絵手紙」は、請求人である「小池邦夫」が創作した造語であり、しかも「小池邦夫」が日本国内において最先使用し、さらに継続して専一使用により国内において「小池邦夫」と結びつけられて広く周知されるようになり、国内において「小池邦夫」の標章として広く周知されるようになったものであること。
(2)本願商標の「絵手紙」は、市販されている国語辞典にも、記載されておらず、一般名称にも該当しない。
(3)審判官が証拠調べ通知書において指摘した1〜5に表示した「絵手紙教室の主催者」や「書籍の著者」は、何れも本出願人で日本絵手紙協会会長である小池邦夫に「絵手紙の描き方」や「絵手紙の教授法」を学んだものである。
従って、これらの者は、いわば本出願人小池邦夫の弟子に相当するものであり、「小池邦夫の絵手紙の描き方」や「小池邦夫の絵手紙の教授法」を実行しているものであって、独自に「絵手紙の描き方」や「絵手紙の教授法」を開発したものではないものである。
5 当審の判断
当審における証拠調べ及び請求人が提出した甲第1号証ないし同第19号証を総合すると、「絵手紙」とは、「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」のことをいう言葉として一般に理解されるに至っているものと認められ、また、「絵手紙」という言葉は、請求人である「小池邦夫」が創作した言葉であることがうかがえる。さらに、請求人が、「絵手紙」の創始者として指導、講演、展覧会の開催などの活動をし、新聞やテレビで紹介された事実が認められる。
しかしながら、前記の甲各号証によっては、請求人が、「絵手紙」という言葉を、自己の取り扱う商品や役務(サービス)を他人のそれと識別するための商標として使用した事実は認められないし、まして、これが需要者の間に周知の商標となっていると認めることはできない。前記の甲各号証には、「絵手紙」という文字が文章中などに記載されているが、前記した「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」のことをいう一般用語として使用しているものであり、商標として請求人が使用していることをうかがわせるものはない。そして、甲第13号証の「月刊 絵手紙」創刊号の題号として、「絵手紙」という言葉が使われており、この出版物の発行所が「日本絵手紙協会」であり、その代表者が「小池邦夫」である旨の表示がされていることが認められる。しかし、この出版物は、その内容が「絵手紙」に関するものであるから、このような題号を採用したとみられるものであって、かえって、「絵手紙」という言葉が、前記した「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」をいう一般用語として使用されていることを裏付けるものと評価できる。
そして、「絵手紙」という言葉が、市販の国語辞典に収録されていない語であるとしても、国語辞典は、一般に通用しているすべての語を収録しているとは限らないし、甲第1号証ないし同第19号証により、「絵手紙」は、「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」のことをいう言葉として一般に理解されるに至っていると認められることは、前述のとおりである。
なお、請求人は、証拠調べ通知書において指摘した1〜5に表示した「絵手紙教室の主催者」や「書籍の著者」は、何れも日本絵手紙協会会長である小池邦夫に「絵手紙の描き方」や「絵手紙の教授法」を学んだものであると主張しているが、上記の主催者や著者の中には、請求人より学んだ者も含まれているものと認められるが、全部の者が請求人から、絵手紙を学んだ者であることを認める証拠はない。また、請求人の主張どおりであると仮定しても、そのことは、「絵手紙」の語の用法とはかかわりないことであり、「絵手紙」が一般用語として使用されているか否かの判断を左右するものではなく、請求人の主張は採用できない。
してみれば、甲第15号証によれば、「絵手紙」に関する通信講座を「絵手紙通信講座」の名称で開催しており、上記に示した証拠によれば全国各地において「絵手紙」に関する教室、講座等が多数開催されている事実が認められるものである。以上のようにみてくると、本願商標を指定役務中「絵手紙の書き方に関する知識の教授」等に使用するときは、単に役務の内容・質を表示するものといわざるをえない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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