Trademark Appeal Case
著名性の判断時期
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第9368号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ARNYS」の欧文字を横書きしてなり、平成6年6月17日に登録出願され、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧用具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬金具,愛玩動物用被服類」を指定商品として平成8年10月11日に出願公告されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
これに対して、登録異議申立があった結果、原査定は、「登録異議申立人の申し立ての全趣旨および同人の提出に係る証拠を総合して勘案するに、登録異議申立人は、フランスの法人、Societe Nouvelle de Chemiserie Arnys(以下「Arnys社」という)の輸入総代理店として、平成2年3月より株式会社コロネット商会を通じArnys社の商品に『ARNYS』の文字を含む商標を付して、大規模な販売促進活動を行ってきたこと。Arnys社は90年以上に亘って営業を続けているフランスの老舗ファッションメーカーであり、現在も洋服、コート、シャツ、ネクタイ、スカーフ等の被服類を始め、かばん、財布、ベルト等多くの商品を手がけていること。『ARNYS』の文字は、同社の商号の略称として、その商標と共に、フランスは無論のことわが国においても本願商標の出願前からすでに著名であったこと等が認められる。
しかして、本願商標の構成は前記のとおり『ARNYS』の文字よりなるから、登録異議申立人の引用する商標とは、その綴りを同じくし、これより生ずる『アルニス』の称呼をも共通にするものである。
そして、本願指定商品と引用商標の指定商品とは、ファッションの業界において密接な関連があること明らかであるから、『ARNYS』の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用するときには、取引者、需要者は、該商品が上記Arnys社あるいは同社と何らかの関連がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は、審判請求の理由(補充書)において、要旨、以下の主張をしている。
本願商標は、平成6年(1994年)に商標登録出願されたものである。これに対して、登録異議申立人がArnys社の商標の著名性、および、本願商標が商標法第4条第1項第15号の規定に該当する旨の立証を行うべく提出した各種証拠群は、ほとんどが平成5年(1993年)以前に発行された各種出版物の写しであると認められる。
このことはArnys社の商標について、少なくとも本願商標の出願時である平成6年当時に各種宣伝広告活動が活発に行われていなかったことを意味するものである。
仮にArnys社の商標がその時点においても著名商標であるならば、少なくとも本願商標の出願から出願公告に至る平成6年乃至平成8年当時の各種資料も著名性を裏付ける証拠として十分に提出可能であったということができ、そうであるにもかかわらず、その種の証拠が一切提出されていないという事実は、本願商標の出願後、出願公告に至る時期においてArnys社の商標に関する各種宣伝広告活動が我国において行われていなかったために提出することができなかったことを意味するものである。
登録異議申立人が提出した各種証拠群の中で最も最近の日付に係る甲第16号証(「世界のブランド大全集94」1993年11月10日発行)、甲第21号証(「世界の特選品’94」)からみても、本件審判請求時におけるArnys社の商標が、商標法第4条第1項第15号の規定を適用する程度に著名な商標であるという事実は一切存在しない。
したがって、Arnys社の商標が、商標法第4条第1項第15号の規定の適用判断時期の一つである査定/審決時(現時点)において、同号の適用を受ける程度にまで著名な商標であるとは認められないものである。
よって、請求人が、本件商標をその指定商品に使用しても、その商品の出所について混同を生ずるおそれはまったくないものである。
4 当審の判断
(1)原査定における「ARNYS」の文字よりなる商標の著名性の認定の是非、および、「アルニス」の文字よりなる商標の著名性について
原審において、登録異議申立人(以下、「申立人」という)が提出した証拠方法を総合して検討すれば、「ARNYS」の文字よりなる商標は、フランスの法人「Societe Nouvelle de Chemiserie Arnys(以下、「Arnys社」という)」社の商号の略称として、また、同社あるいはその代理店の取り扱いに係る商品「洋服、コート、シャツ、ネクタイ、スカーフ等の被服類」を始め、「かばん、財布、ベルト」に使用する商標として、わが国において本願商標の出願前から著名となっていたと認めて差し支えないものと判断される。
したがって、原査定における「ARNYS」の文字よりなる商標の著名性の認定に誤りはない。
また、同様に、「アルニス」の文字よりなる商標も我が国において、本願商標出願前に著名性を得ていたものと認められるものである。
(2)「ARNYS」および「アルニス」の文字よりなる商標の著名性の継続性について
平成6年以降のArnys社の商標の使用に関連して以下の事実が認められる。
▲1▼Arnys社の代理店と認め得る、コロネット商会により「アルニスジャケットとの名称のもと、商品「ジャケット」が取り扱われている旨の紹介記事が認められること(1994(平成6)年7月4日付 東京読売新聞)。
▲2▼「ザ・ギンザ、紳士服に米と仏の老舗ブランド投入」との見出しのもと、「輸入衣料専門店、ザ・ギンザは、95年3月に全面改装する東京・銀座本店で、新たに「シュルカ」(米)と「アルニス」(仏)の二つの紳士服ブランドを投入する。.........」との記事が認められること(1994年12月30日付 日本経済新聞)。なお、1995年3月8日付の同紙には、この輸入衣料専門店、ザ・ギンザが、店舗の改装に伴って、「シュルカ」と「アルニス」の紳士服を扱う旨の報道がなされている。
▲3▼「世界の一流品大図鑑’98」(1998年5月30日株式会社講談社発行)には、申立人を輸入元として、Arnys社の取り扱いに係るものと推認し得る商品「紳士服」に、「ARNYS」、「アルニス」の商標が使用されていること。
▲4▼「過去に学び現代性創造−ミシェル・グランベール・アルニス会長(ファッション)」との見出しのもと、「仏高級紳士服ブランド『アルニス』の本店は、パリのセーヌ川を挟んで『右岸のエルメス、左岸のアルニス』と並び称される有名店だ。.........現在は、パリのほか、日本では衣料品商社コロネット商会を通じ、大阪、名古屋にブティックを持つ。......このほか商品は、大阪と東京の和光や............」との記事が認められること(1999年6月3日付日経流通新聞)。
▲5▼インターネット上においても、「アルニス」の商標を付した商品「紳士服」の宣伝がなされていること(例えば、大阪「阪神百貨店」のインターネットのホームページ。1999年6月21日現在のもの)。
以上の▲1▼〜▲5▼の事実を総合して検討すれば、「ARNYS」および「アルニス」の文字よりなる商標は、、平成6年以降、現在に至るまで使用され続けており、かつ、当該商標の著名性の状態は、現在も継続していると判断するのが相当であり、他にこの判断を覆すに足りる証拠はない。
(3)出所の混同のおそれについて
しかして、本願商標は、「ARNYS」の文字からなるものであるところ、これは、「ARNYS」の文字からなるArnys社の著名商標と、文字の配列および「アルニス」の称呼を同じくし、また、「アルニス」の文字からなる上記の著名商標と称呼を共通にするものである。
そして、本願商標の指定商品は、「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧用具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬金具,愛玩動物用被服類」を指定商品とするものであって、本願指定商品とArnys社の商標が使用されている商品「紳士服」外とは、ファッション業界において密接な関連があること明らかであるから、本願商標を、その指定商品に使用するときには、取引者、需要者は、該商品が、上記「Arnys」社、あるいは同社と何らかの関連がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
5 結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、この理由をもって本願を拒絶した原査定の内容は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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