Trademark Appeal Case
著名人名の略称の周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91279号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
本件商標登録第4278999号(平成10年5月20日出願、同11年6月4日設定登録)は、願書に記載した商標のとおりであり、その指定商品は商標登録原簿記載のとおりである。
これに対して、平成13年9月12日付けで下記の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記取消理由は妥当なものと認められるから、本件商標登録は、この取消理由によって、取り消すべきものである。
よって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
記
1 本件登録第4278999号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年5月20日登録出願、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服」を指定商品とするものである。
2 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の主張の趣旨及び甲第7号証、同第13号証乃至同第62号証(枝番を含む。)を総合して検討すれば、次の事実が認められる。
「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は1932(昭和7)年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959(昭和34)年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967(昭和42)年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来、同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーと呼ばれ、国際的なトップデザイナーとして知られるに至っている。
我が国においても、ヴァレンティノ ガラヴァーニの名前は前記1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品は「Vogue(ヴォーグ)」誌などにより継続的に日本国内にも紹介されている。
昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンティノヴティックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファッション雑誌や業界紙、一般新聞にもより数多く掲載されるようになり、同氏は我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。
以上のとおり、ヴァレンティノ ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして本件商標が出願された平成8年4月当時には、既に、我が国においても著名であったものと認められる。
同氏の名前は「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられており、ファッションに関して「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば、同氏を指すものとして広く認識されるに至っているというべきである。
そして、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏がデザインした婦人服、紳士服、ネクタイ、バッグ、靴、ベルト、アクセサリー等のファッション関連商品は、「VALENTINO GARAVANI」「VALENTINO」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」「ヴァレンティノ」の商標(以下、これらの商標を合わせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたというべきである。
3 さらに、当審において調査するに、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」「VALENTINO GARAVANI」は、我が国においては、「ヴァレンチノ」、「ヴァレンティーノ」あるいは「VALENTINO」とも略されて表示されていることは、田中千代著同文書院1981年発行「服飾辞典」550頁、山田政美著(株)研究社1990年発行「英和商品辞典」447頁、金子雄司ほか著岩波書店1997年発行「世界人名辞典」84頁において裏付けられるばかりでなく、雑誌における表現においても、たとえば、「marie claire」(中央公論社)1996年2月号、「non―no」(集英社)1989年12月5日号等からも認められる。
4 以上の事実よりすると、申立人は、引用商標を、婦人服をはじめとして、紳士服、ネクタイ、バッグ、靴、ベルト、アクセサリー等のファッション関連の商品に使用しており、その結果、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願時には、既に我が国において、取引者、需要者の間に広く認識されていたといえるものである。
5 他方、本件商標は、その構成中に「VALENTINO」の文字を有するものであり、前記認定のとおり、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」は周知なものであるから、本件商標において「VALENTINO」の文字は、重要な意味を持つ言葉と認識される。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている被服等と同じファッション関連の商品である。
6 そうすると、本件商標を、商標権者が、その指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、周知商標である引用商標を連想させ、本件商標が付された商品が引用商標の一種ないし兄弟ブランド、ファミリーブランドであるなどと誤認し、あたかも上記デザイナーの「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)又は、同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する。
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