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Trademark Appeal Case

著名商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90041号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4189833号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4189833号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成9年2月14日に登録出願され、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」を指定商品として、平成10年9月18日に設定の登録がされたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、国際的なトップデザイナーとして知られるイタリアの服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」の著名な略称である「VALENTINO」の文字を含むものであり、また、申立人が所有する登録第1304792号商標ほか7件の登録商標と類似の商標であって、その指定商品も類似する。さらに本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品が、恰も申立人の製造販売に係る商品であるか、または申立人と経済的或いは組織的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとしている。

3 本件商標の取消理由

登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成13年8月20日付取消理由通知)は、要旨次のとおりである。

<取消理由>

申立人の提出に係る証拠(甲各号証)によれば、次の各点が認められる。

(1)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名デザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。以来、同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで広く知られる国際的デザイナーの一人と認められる。

(2)わが国において、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の名称(氏名)または標章(以下、「申立人商標」という。)は、前記1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞を契機に知られるようになり、同時にその製作・発表に係る作品群、すなわち、その取扱いに係る婦人服その他の衣料品、かばん類、はき物類ほかファッション関連各商品を表彰するいわゆるデザイナーズキャラクターブランドとして、ファッション関連雑誌、新聞等により屡々日本国内にも紹介されてきたことが認められる。また、この間、日本及び極東地区総代理店として昭和49年に設立された「株式会社ヴァレンティノヴティックジャパン」の事業展開と相俟っていわゆるヴァレンティノ(VALENTINO)製品の輸入、販売及びその広告・宣伝活動が活発に行われてきた状況を窺うのに十分である。これら事情よりして、前記デザイナーの氏名ないしその作品群またはそれら取扱いに係る商品を表示する申立人商標は、わが国において、少なくとも昭和50年代前半においてすでにわが国の需要者一般に広く認識せられるに至ったいわゆる著名商標と認め得るものである。

(3)前記デザイナー名称または申立人商標は、一方において、前出新聞、雑誌の記事や見出し中において、単に「VALENTINO」または「ヴァレンティノ」の省略形または略称(以下、「略記商標」という。)をもって取り扱われている事実があり、ファッション関連分野において「VALENTINO」(ヴァレンティノ)といえば前記デザイナーに係る商品を表示するものとして、申立人商標と同様に需要者間に広く認識せられるに至ったものと認められる。すなわち、当審において調査するに、申立人商標はわが国において、「VALENTINO」、「ヴァレンチノ」または「ヴァレンティーノ」の略記(略称)をもって取り扱われていることが田中千代著同文書院1981年発行「服飾辞典」、山田政美著株式会社研究社1990年発行「英和商品辞典」、金子雄司ほか著岩波書店1997年発行「世界人名辞典」の当該各項の記載に徴して認め得るところであり、このほか、女性雑誌等においても、たとえば、「marie claire」(マリ・クレール)1996年2月号、「nonーno」(ノンノ)1989年12月号における当該記事の見出し表示等よりして、その状況が十分に窺われる。

(4)前述わが国への進出時期と前後する昭和43年頃から同49年にかけて、申立人会社は、「VALENTINO GARAVANI」または「VALENTINO」商標のわが国における使用権確保と他人による使用を排除すべく、被服、布製身回品、寝具類、はき物、装身具類、かばん類、宝玉類、喫煙用具その他いわゆるファッション関連各商品分野において商標登録出願を行い(爾後、商標登録済み。)、その後も引き続き関連商標について商標登録し権利確保を図ってきた状況が認められる。

以上、(1)ないし(4)の各点よりして、略記商標は、申立人商標と同様に、国際的デザイナーの一人に数えられる前記デザイナーまたは申立人会社に係る婦人服、紳士服等の衣料品、かばん類、宝玉その他装身具類、はき物類及び喫煙用具等の各商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成9年)はもとよりそれ以前においてすでにわが国の需要者間において広く認識せられたいわゆる著名商標と認め得るものであって、その状況は本件商標の登録査定時である同10年8月14日の時日においてもなお同様であったものと認められる。

ところで、本件商標はその構成別掲のとおりのものであって、下段の文字部分はそれ自体独立して自他商品の識別標識として機能し得るものと認められる。そして、同文字部分は、視覚上左側の「HUGO」と右側の「VALENTINO」とに分離して看取し得るばかりでなく、意味上においてこれら文字を常に一体のものとして把握しなければならないような特段の事情は見出せない。また、全13文字中9文字と視覚印象に占める割合も大きい部分というべき「VALENTINO」の文字部分は前記認定の略記商標と同一の文字綴りであり、かつ、その指定商品は申立人商標または略記商標の使用に係る貴金属製喫煙用具、身飾品、宝玉その他関連各商品を含むものと認められる。

そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、前記各事情よりして、略記商標または申立人商標を容易に想起するとともに、その商品があたかも上記デザイナーまたは申立人会社ないしはその関連会社の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を来すおそれが少なからずあったとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 商標権者の意見

本件商標権者は、上記3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。

5 当審の判断

本件商標についてした上記の取消理由は妥当であって、本件商標は、その理由に示すとおり、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがある商標というべきであるから、その登録は商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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