Trademark Appeal Case
著名数字商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−91085(T2000−91085/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4398908号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年6月24日に登録出願、商標の構成を別掲(1)に示すとおり、黒塗り矩形内に白抜きに縁取りした字形をもって「76」の数字を表してなり、第14類「キーホルダー」を指定商品として、平成12年7月14日に設定の登録がされたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、別掲(2)に示す商標、すなわち、平成3年5月17日に登録出願、指定商品を第5類「潤滑油、グリース、その他本類に属する商品」として、平成6年8月31日に設定の登録がされた登録第2691872号商標(以下、「引用商標」という。)を所有する者である。
(2)引用商標は、米国をはじめ世界各国において申立人の取扱いに係るガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、暖房油、潤滑油等について使用し、本件商標登録出願の当時すでにわが国において、それら商品を表示するものとしてこの種商品の取引者、需要者並びに特に自動車レース愛好者の間に広く認識されるに至った著名な標章(商標)である。
(3)本件商標は、引用商標に類似するものであり、かつ、引用商標はキーホルダー等各種商品にも使用されていて、他人が本件商標を使用した場合、商品の出所を混同させるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
また、引用商標の「76」の数字は特殊字体であり、本件商標の字体がこれと全く同じであることは偶然の一致とみるのは困難であって不正の目的があるといえるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
よって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により取り消されるべきである。
3 本件商標の取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成13年6月20日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
引用商標の構成は別掲(2)に示すとおり、黒塗り正円内に白抜きに縁取りした字形をもって「76」の数字を表してなるものである。
申立人提出の証拠(甲第1号証ないし甲第16号証)によれば、申立人会社は、アメリカ合衆国における独立系石油精製業者最大手の一つで、引用商標は、同人がアメリカ合衆国全土に渡る小売り及び卸売りシステム、すなわち、自社小売店舗2400並びに同社が支配するディーラー営業による小売店舗1300、独立小売店舗1100、フランチャイズ店舗250を通じて販売するガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、暖房油、潤滑油等について永続的に使用していること、また、同社のガソリン、エンジンオイルは、アメリカ合衆国最大のストックカーレースとして知られるNASCARの公認指定を受け供給されていること、さらに、引用商標は、レース会場に大きく表示され、参加競技車両の車体に貼られるなどして広告され、また、レース会場においては、Tシャツその他の衣服、キーホルダー、帽子などに表示され販売されていたこと等の事実が認められる。そして、これらの点よりして、引用商標は、本件商標登録出願の当時すでにアメリカ合衆国において需要者の間に広く認識されたいわゆる著名商標と認められる。
また、我が国において、引用商標を使用した同社の製品は38の営業所で取り扱われており、1996年に鈴鹿サーキットで開催されたNASCAR自動車レースは、テレビ放映もされて視聴者の関心を惹くとともに、レース場内では、当該レースカーをはじめ給油所等の給油設備用品、広告看板等随所に引用商標が表示され、さらに、引用商標の付されたTシャツその他の衣服、かばん、キーホルダー、帽子等が会場内において販売されていたことが認められる。
以上の点よりして、引用商標は、本件商標登録出願の当時すでにわが国において、ガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、暖房油、潤滑油等を取り扱う当業者ないしこの種商品の需要者及び特に自動車レース愛好者の間に広く認識されたいわゆる著名な標章(商標)であることを認めるのに十分である。そして、申立人に係る著名商標または引用商標は、前記したとおり、黒塗り正円内に白抜きに縁取りした一種特異な表現手法をもって「76」の数字を表してなるものである。
しかして、本件商標は、別掲に示すとおり、黒塗り矩形内に白抜きに縁取りした一種特異な表現手法をもって「76」の数字を表したものであるところ、これと前記申立人に係る著名商標または引用商標とは、内部の「76」の表示態様において酷似するものであり、たとえ、それぞれの黒塗り外形図形において一方は四角形、他方は円形という差異を有するとしても、それら形状はともに世上一般にありふれていて格別特徴はなく、印象力が弱いのに対し、ともに特異に表現された前記「76」の字形は需要者の印象に強く残るものといえるから、結局、両者は、同字形の外観印象において彼此相紛らわしく、互いに類似のものと判断するのが相当である。
そして、両者は、「76」の字形各部に亘って全く同一といえる程に酷似すること前記のとおりであって、かかる一致が偶然生じたものとみるのは到底困難といわなければならない。
そうすると、本件商標は、前記各事情よりして、申立人に係る著名商標または引用商標が偶々本件商標の指定商品について登録されていないことを奇貨として商標登録を受けたことを推認するのに十分であって、この認定を覆すに足りる証拠は見出せない。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品または役務を表示するものとして日本国内または外国における需要者間に広く認識されている商標と同一または類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとすべきである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由の通知に対して、本件商標権者は、何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
本件商標についてした上記取消理由は妥当であって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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