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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第3686号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2717045号に係る商標(以下「本件商標」という。)は、「クリーンあっぷゾーン」の文字を横書きしてなり、昭和61年11月6日商標登録出願、第20類「家具 畳類 建具 屋内装置品(書画及び彫刻を除く。)屋外装置品(他の類に属するものを除く。)記念カップ類 葬祭用具」を指定商品として平成8年10月31日に登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

「商標登録第2717045号商標の登録は、無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決

2 請求の理由

(1)無効事由

本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

(2)商標法第4条第1項第11号違反について

請求人が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、次のとおりである。

▲1▼商標登録第1995429号商標(以下「引用商標▲1▼」という。)

商標の構成 「クリンナップ」

指定商品 第20類「家具、建具、花びん、水盤、風りん、照明がくぶち、つい立て、びょうぶ、ベンチ、灯ろう、立て看板、人工池、家庭用温室、記念カップ類、葬祭用具」

登録出願日 昭和55年11月4日

設定登録日 昭和62年10月27日

更新登録日 平成9年11月25日

▲2▼商標登録第2087633号商標(以下「引用商標▲2▼」という。)

商標の構成 別紙に表示するとおり

指定商品 第20類「洗面化粧台、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和56年2月10日

設定登録日 昭和63年10月26日

▲3▼商標登録第2087634号商標(以下「引用商標▲3▼」という。)

商標の構成 別紙に表示するとおり

指定商品 第20類「ユニット式下駄箱、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和56年3月18日

設定登録日 昭和63年10月26日

▲4▼商標登録第2087635号商標(以下「引用商標▲4▼」という。)

商標の構成 別紙に表示するとおり

指定商品 第20類「洗面化粧台、収納棚付鏡、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和56年3月18日

設定登録日 昭和63年10月26日

▲5▼商標登録第2087636号商標(以下「引用商標▲5▼」という。)

商標の構成 「クリーンアップ」

指定商品 第20類「洗面化粧台、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和56年4月30日

設定登録 昭和63年10月26日

▲6▼商標登録第2140150号商標(以下「引用商標▲6▼」という。)

商標の構成 別紙に表示するとおり

指定商品 第20類「家具、建具、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和56年10月19日

設定登録日 平成1年5月30日

本件商標は、全体として10音と長い称呼でその構成態様中の「クリーンあっぷ」が野球の強打者や清掃するの意味を表す単語として一般的に用いられ、耳慣れているので「クリーンアップ」の称呼も生ずる。本件商標は、上記引用商標と称呼において類似する商標であり、指定商品において同一又は類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項10号、第15号違反について

ア 請求人は、個人営業から井上食卓(株)、井上工業(株)を経て基本商標に由来する「クリナップ株式会社」となり、現在では東証一部上場企業となっている。請求人は、昭和35年5月商品「ステンレス製流し台」を製造販売するにあたり、商標「クリナップ」を採択すると共にローマ字表記の「Clean up」の使用も開始した。創業以来順調に発展し、昭和56年時点で大手5社(サンウェーブ工業、井上工業、松下電器産業、タカラスタンダード、ナスステンレス)の一角を占めると評価された(甲第17号証)。また、請求人は、サンウェーブ工業、タカラスタンダード、松下電器産業と共に4大流し台メーカーの一つである(甲第18号証)。

本件商標の出願時である昭和61年11月6日時点における請求人の状況は、ショールーム全国24箇所(昭和56年時点)、昭和61年3月の総売上高は約500億円、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ポスターなどにより広告宣伝活動を行い、白抜きの「クリナップ」及びローマ字の「Clean up」の商標(以下、「使用商標」という。)が用いられている(甲第18号証ないし甲第21号証)。

請求人は、昭和43年から平成1年まで、主な商品として、ガステーブル、ガスレンジ、洗面化粧台、ディスポーザー、浴槽、洗面化粧ユニットガス高速レンジ、ガスオーブンレンジ、業務用流し台、食器洗い器、暖房システム、ステンレス玄関ドア、ステンレスコイル、電磁調理器、調理用実習台、ステンレス製屋根材、温水暖房システム.ステンレス集合郵便受け、埋め込み式電気フライヤー、温水洗浄便座、浴室ユニット、スライド式レンジフード、自動センサー付レンジフード、宅配ボックス、フェンス、食器乾燥機、防火ドアを製造、販売し、平成1年には、総売上高が約700億円を突破した(甲第15号証)。

以上のとおり、「クリナップ」及び「Clean up」の使用商標は、社名表記と同一又は密接な関連を有する著名商標というべきもので、営業標ともなっている。そして、請求人は、上記商標を製造販売商品である「加熱器、流し台、調理台、浴そう類」「洗面化粧台、吊戸棚、郵便箱、宅配ロッカー」に使用している。

してみると、本件商標は、請求人の周知の使用商標と類似する商標で、商品も同一又は類似するものであるので、商標法第4条第1項第10号に該当する。

イ 請求人は、次のとおり白抜き「クリナップ」の商標につき第19類の商品について商標権を取得している。

商標登録第1730084号商標

商標の構成 別紙に表示するとおり

指定商品 第19類「加熱器、流し台、調理台、浴そう類」

登録出願日 昭和56年1月14日

設定登録日 昭和59年11月27日

更新登録日 平成7年1月30日

上記登録商標を原商標として、本件商標と同一商品を含む第20類に次のとおり防護標章登録を受けている。

登録番号 第1730084号の防護標章登録第11号

指定商品 「家具、畳類、建具、屋内装置品(書画および彫刻を除く)屋外装置品(他の類に属するものを除く)記念カップ類、葬祭用具」

一部放棄に係る指定商品「なべ類、湯沸かし類、加熱器、流し台、調理台を除く台所用品、及び浴そう類を除く日用品」(登録日 昭和61年5月12日)

登録出願日 昭和56年3月13日

設定登録日 平成2年7月31日

請求人は、次のとおりローマ字の「Clean up」に比較的肉太の下線を引き、丸輪郭で囲みさらに外方を方形輪郭で二重に囲った商標につき第19類の商品について商標権を取得している。

商標登録第1730087号商標

商標の構成 別紙に表示するとおり

指定商品 第19類「流し台、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和56年3月18日

設定登録日 昭和59年11月27日

更新登録日 平成7年4月27日

上記登録商標を原商標として、本件商標と同一商品を含む第20類に次のとおり防護標章登録を受けている。

登録番号 第1730087号の防護標章登録第2号

指定商品 「家具、その他本類に属する商品」

登録出願日 昭和61年3月4日

設定登録日 平成4年3月27日

「加熱器、流し台、調理台、浴そう類」に使用し、著名となっている上記原商標と同一又は類似する称呼を含む本件商標を指定商品に使用することは、取引者、需要者に請求人の業務に係る商品ではないかと出所について誤認するか、何らかの関係があるものと誤解することは避けられない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 証拠方法

請求人は、審判請求書記載のとおり証拠方法として甲第1号証及び甲第114号証を提出している。

第3 被請求人の答弁

1 答弁の趣旨

結論同旨の審決

2 答弁の理由

(1)商標法第4条第1項第11号違反について本件商標は、「クリーンあっぷゾーン」の文字よりなり、構成各文字は外観上まとまりよく一連に表され、観念上も特に軽重の差を見出すことができず、本件商標から生ずる「クリーンアップゾーン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであるから、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語よりなるものである。ゆえに、本件商標は、その構成文字に相応して「クリーンアップゾーン」の称呼のみを生ずる。

これに対して、商標登録第1995429号等6件の引用商標▲1▼ないし▲6▼は、「クリンナップ」「クリナップ」「クリーンアップ」の称呼が生ずる。

したがって、本件商標と引用商標▲1▼ないし▲6▼とは、称呼において類似するとはいえない。

また、本件商標と引用商標▲1▼ないし▲6▼とが外観観念において非類似であることは明らかである。

以上から、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第10号違反について

本件商標と「クリナップ」「Clean up」を構成要素とする使用商標とは、上記(1)で述べたのと同様の理由により称呼において類似する商標であるといえない。

また、本件商標と使用商標とが外観、観念において非類似であることは明らかである。

したがって、本件商標と使用商標とが類似するとはいえない。

また、仮に、使用商標は、営業標となっているとしても、第20類の商品「洗面化粧台、吊戸棚、郵便箱、宅配ロッカー」に盛大に使用されていなければ周知商標であるとはいえないところ、甲第15〜30号証には、そのような事実が示されているとはいえない。

以上から、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号違反について

仮に、「クリナップ」「Clean up」を構成要素とする使用商標が商品「加熱器、流し台、調理台、浴そう類」について著名となっているとしても、これらの商品は第19類の商品であるのに対し、本件商標は、第20類の商品を指定商品としているのであるから、出所について誤認を生ずることはなく、また何らかの関係があるものと誤解することもない。

以上から、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号違反について

本件商標は、「クリーンあっぷゾーン」の文字よりなるところ、その構成中の「クリーン」と「ゾーン」の文字部分を片仮名文字で、「あっぷ」の文字部分を平仮名文字で、同一の大きさ、等間隔に外観上一体として表示してなるものである。

そして、本件商標より生ずると認められる全体の称呼「クリーンアップゾーン」は、一連に称呼してみても、格別長い称呼というほどのものでもない。また、本件商標は、全体の文字構成よりみて英語の「clean up zone」を仮名書きしたものと容易に看取し得るものであって、その構成する英語も平易な語で「清掃・浄化した地帯」等の意味合いを認識させるものである。

請求人は、本件商標について、その構成中の「クリーンあっぷ」の文字部分が「野球の強打者、清掃する」等を意味する単語として用いられているから「クリーンアップ」の称呼が生ずると主張するが、該文字部分が英語の「Clean up」「Cleanup」及び外来語の「クリーンアップ」「クリーナップ」を想起するとしても、前記したとおり「クリーン」と「ゾーン」が片仮名文字で「あっぷ」が平仮名文字であるという特殊な文字配列で一体として表示されている態様及び全体として前記した意味合いを生ずることよりみて、本件商標に接する取引者、需要者は、通常「クリーンアップ」のみを抽出して称呼することはないとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、「清掃・浄化した地帯」等の意味合い及び「クリーンアップゾーン」の称呼のみが生ずるものである。

他方、引用商標▲1▼ないし▲6▼は、「クリンナップ」「クリナップ」「Clean up」「クリーンアップ」の文字構成よりなるものであるところ、これらの構成文字に相応して「クリンナップ」「クリナップ」「クリーンアップ」の称呼及び「野球の強打者、清掃する」等の観念を生ずるものと認められる(この点については当事者間に争いはない。)。

してみると、本件商標と引用商標とは、上記称呼において構成音を著しく異にするものであって、明瞭に区別し得るものであり、観念においても上記意味合いにおいて異なるものである。また、両商標は、その文字構成に照らして外観上区別し得るものであることは明らかである。

したがって、本件商標と引用商標▲1▼ないし▲6▼とは、外観、観念、称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当したものということはできない。

2 商標法第4条第1項第10号違反について

本件商標は、前記したとおり「清掃・浄化した地帯」等の意味合い及び「クリーンアップゾーン」の称呼のみが生ずるものである。

他方、請求人の使用商標は、「クリナップ」「Clean up」の文字構成よりなるところ、これらの構成文字に相応して「クリンナップ」「クリナップ」「クリーンアップ」の称呼及び「野球の強打者、清掃する」等の観念を生ずるものと認められる。

してみると、本件商標と使用商標とは、上記称呼において構成音を著しく異にするものであって、明瞭に区別し得るものであり、観念においても上記意味合いにおいて異なるものである。また、両商標は、その文字構成に照らして外観上区別し得るものであることは明らかである。

したがって、本件商標と使用商標とは、外観、観念、称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当したものということはできない。

3 商標法第4条第1項第15号違反について

請求人の主張及び請求人提出の甲第15号証(21世紀をめざして クリナップ40年史)、甲第17号証(81年版住宅産業読本)、甲第18号証(LIVING&SYSTEM Winter,1983)、甲第19号証(クリンテリアライフ・シンボルマークデザインマニュアル)、甲第20号証(クリナツプ基本デザインマニュアル)、甲第22号証(「奈良和モーニングショー」放送確認書昭和49年11月〜同50年5月)、甲第23号証(「奈良和モーニングショー」〜「溝口泰男モーニングショー」昭和50年6月〜同年10月 昭和51年4月〜同56年3月「アフターヌンショー」昭和49年8月〜同52年9月)によれば、請求人は、使用商標を加熱器、流し台、調理台、浴そう、洗面化粧台等に使用していること、そして、請求人の使用商標は、本件商標の登録出願時である昭和61年11月6日には我が国において、その使用に係る商品を取り扱う取引者、需要者の間に請求人の業務に係る商品を表示する商標として広く知られている事実を認めることができる。

しかしながら、請求人提出の前記甲号各証によれば、請求人の使用商標は、「Clean up」の欧文字商標も用いられてはいるが、「クリナップ」の片仮名文字商標が周知、著名であり、請求人の社名「クリナップ株式会社」の周知性をも考慮すると、加熱器、流し台、調理台、浴そう、洗面化粧台等を取り扱う取引者、需要者においては「クリナップ」と称呼され、その称呼をもって広く知られていたものと認められる。これに対し、本件商標「クリーンあっぷゾーン」は、全体として一連不可分の商標であって、「クリーンアップゾーン」の称呼が生ずること前記認定したとおりであるから、本件商標を付した商品は、請求人の使用商標を付した商品と誤認、混同を生じるおそれはないものというべきである。

そうすると、本件商標は、請求人の使用商標の周知性、著名性を考慮しても、請求人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれはなかったものといわざるを得ない。

請求人は、使用商標「クリナップ」「Clean up」と同一の登録商標につき商品区分第20類「家具、その他本類に属する商品」について防護標章登録があることを理由に、使用商標と類似する称呼を含む本件商標をその指定商品に使用することは、取引者、需要者に対して、請求人の業務に係る商品と出所について誤認するか、少なくとも何らかの関係があるものと誤解すると主張する。

しかしながら、防護標章制度は、一定の要件のもとに周知の登録商標と同一の標章について禁止権を非類似商品又は非類似役務にまで拡張するものであって、類似の標章まで防護標章登録をすることができる制度ではないから、請求人の主張は、その前提において失当である。

以上のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第10号、第11号、第15号に違反して登録されたとする請求人の主張は、理由がないから、同法第46条の規定により無効とすべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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