結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35786号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3370083号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月30日に登録出願、第37類「管工事」を指定役務として、同10年8月28日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録は、無効とすべきものする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第40号証を提出した。
1.引用商標
請求人所有に係る登録第248571号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第1類「化学品、薬剤及医療補助品」を指定商品として、昭和8年4月22日に登録出願、同8年11月16日に設定登録、その後、商標権存続期間の更新登録が同28年3月26日、同49年5月27日、同58年12月21日及び平成5年10月28日にされ、現に有効に存続しているものである。
同じく登録第647377号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「SANKYO」の文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和35年3月16日に登録出願、同39年7月13日に設定登録、その後、商標権存続期間の更新登録が同59年9月17日及び平成6年9月29日にされ、現に有効に存続しているものである。
同じく登録第647378号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「三共」の文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和35年3月16日に登録出願、同39年7月13日に設定登録、その後、商標権存続期間の更新登録が同59年9月17日及び平成6年9月29日にされ、現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。
2. 請求人は、同人の提出に係る、平成9年4月5日、株式会社ぎょうせい第21版発行の「日本会社録」、同人により発行された「三共株式会社定款」及び「会社案内」の各記載に徴し、請求人会社は、明治32年三共商店創業、同40年三共合資会社に改組改称、大正2年3月1日株式会社に改組し、平成10年3月現在、資本金552億円、従業員数6,807名、年間売上高4,600億円を示し、株式も東京、大阪、名古屋の各証券取引所第1部上場、札幌、新潟、福岡の各証券取引所にも上場し、全国的に多数の支社、営業所、出張所及び工場を有するほか、海外の多数の有数企業と技術提携をしているところの、我国有数の製薬を主業務とする一流大企業である。
請求人の提出に係る、昭和34年1月15日商標研究会編修・発行の「日本商標大事典」、同47年9月5日商標研究会編集・発行の「新版日本有名商標録」、同51年9月27日商標調査会編集・発行の「日本商標名鑑」、同55年12月20日「日本商標名鑑’80」、同59年10月20日「日本商標名鑑’84」、同63年6月20日「日本商標名鑑’88」、平成3年9月21日「日本商標名鑑’91」、同6年11月20日「日本商標名鑑’94」、同9年10月1日「日本商標名鑑’97」、1970年及び1998年社団法人日本国際工業所有権保護協会(AIPPI・JAPAN)発行の「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN日本有名商標集」の各記載に徴するも、請求人の所有に係る引用商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、古くより広く認識されているものであることが明らかなところである。
3.本件商標は、その構成別掲のとおり、「SANKYO」のローマ文字を左横書きしたその上部に、幾何図形を配してなるところ、該幾何図形部分からは、何ら特定の称呼及び観念を生ずることがないものであるから、本件商標からは、顕著に表示してなる「SANKYO」の文字部分より、「サンキョウ」の称呼を生ずるものというを相当とする。
一方、請求人の所有に係る引用商標は、それぞれの構成上、これらよりは、いずれも「サンキョウ」(三共)の称呼(観念)を生ずること明らかであるばかりでなく、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、極めて周知、著名なものである。そうすると、本件商標をその指定役務について使用をするときは、その役務が、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、誤認、混同を生じさせるおそれのある商標であるといわなければならない。
さらに、請求人の名称は、「三共株式会社」であるところ、「株式会社」は法人の種類を表示する部分であって、自他名称を識別するための主たる重要な部分は、「三共」の文字部分にあり、これが、請求人の名称を表示するための実質的な部分であって、請求人は、「三共」(サンキョウ)とのみ略称されて、取引者、需要者の間において、極めて広く認識され、著名なものであることは顕著なる事実である。
一方、本件商標は、請求人の名称の略称として著名な「サンキョウ」と同一の称呼を生ずる「SANKYO」の文字を含んでいるにも拘わらず、本件商標は、その登録について、請求人の承諾を得ている事実はないものである。
請求人は、上記主張理由の正当性を立証すべく、著名商標(名称)を保護すべき旨の判決例(甲第23ないし第30号証)を挙げて、これを自己の主張理由に有利に援用する。
請求人の所有に係る引用商標1については、これを原商標登録とする防護標章が、第35類、第36類、第37類、第38 類、第39類、第40類、第41類及び第42類に、それぞれ登録されている(甲第8及び第31号証ないし第38号証)。ということは、請求人が製薬業務を主とする多角経営の法人会社であって、該登録商標を上記の各類に属する役務について、第三者が使用をするときは、その役務が、請求人の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所につき、誤認、混同を生じさせるおそれが充分にあるという証左に外ならない。
さらには、本件商標が請求人の所有に係る引用商標1の防護標章登録第38号と、「SANKYO」の文字部分を同一とした商標であり、両者は、実質的に同一商標であって、請求人の防護標章登録に係る指定役務について使用をするものであるといわざるを得ない。
4.請求人の所有に係る引用商標は、いずれも第37類において、引用商標1の防護標章登録第38号、引用商標2の防護標章登録第26号及び引用商標3の防護標章登録第31号として、防護標章登録がなされており、また、特許庁ホームページに「日本国周知・著名商標検索」(甲第40号証)として掲載されているばかりでなく、「日本有名商標集」(甲第21号証)にも掲載されていることを総合勘案するとき、請求人の所有に係る各登録商標が、著名商標であることに疑いの余地はないところである。
してみれば、本件商標は、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている請求人の所有に係る引用商標と称呼において、彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならないので、これをその指定役務について使用をするときには、その役務が請求人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る業務であるかの如く、その出所について、取引者及び需要者をして、役務の誤認、混同を生ずるおそれのある商標であるばかりでなく、請求人の所有に係る防護標章登録と実質的に同一の商標であって、同一の指定役務について使用をするものであり、かつ、請求人の名称の著名な略称を含んでいる商標であるにも拘わらず、その登録について、請求人の承諾を得ていないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第12号及び同第15号に違反して登録されたものである。
被請求人は、請求人の主張に対し何ら答弁していない。
1.商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人の提出した甲各号証に徴すれば、請求人が、わが国において著名な製薬会社であること、また、請求人の所有に係る引用商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するものとして、取引者、需要者間において、広く認識されていることは認め得るものである。
(2)本件商標は、別掲に示すとおり、図形と文字の組み合わせからなる構成であるところ、当該構成中の「SANKYO」の文字部分は、「サンキョウ」の称呼を生ずるものであるが、「サンキョウ」の称呼を生ずる文字自体は、「三共」、「三協」、「山峡」、「三強」、「三京」等の字音に対応するものであり、それ程特異なものではなく、「三共」、「三協」、「三京」等の文字は、比較的一般に商号等の一部として採択使用されやすいものといえる。そして、当該文字部分は、これら実情からして、被請求人(商標権者)の会社(株式会社三協)の略称(三協)をローマ文字で表示したものとみることができるものであり、上段に表された図形と組み合わされた本件商標と引用商標とは、外観を著しく異にするから、両商標は別異の印象を与えるものというのが相当である。
そうすると、請求人の名称「三共株式会社」が製薬業界において、「三共」と略称され、著名であり、かつ、請求人の所有に係る引用商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するものとして、取引者、需要者間において、広く認識されているとしても、前記商品とは全く異質である本件商標の指定役務に、上記構成よりなる本件商標を使用した場合、当該構成中の「SANKYO」の文字部分よりは、取引者、需要者が直ちに請求人の略称「三共」の文字又は請求人の所有に係る引用商標を想起ないし連想するとはいい難いものと判断するのが相当である。
(3)以上によれば、本件商標の登録出願時において、本件商標をその指定役務である「管工事」について使用したとしても、引用商標の指定商品である「薬剤」等とは、取引者、需要者を異にする点を併せて考慮すると、これに接する取引者、需要者が、本件商標によって請求人又は請求人の引用商標を想起し、あるいは本件商標と引用商標とを混同するというようなことがあるものとは到底認められず、したがって、当該役務が、請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、当該役務の出所を混同するおそれがあるものとは認めることができないから、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するということはできない。
2.商標法第4条第1項第10号について
前記1.で認定したとおり、本件商標は、引用商標と構成態様を異にするものであり、かつ、両商標の指定商品及び指定役務も同一又は類似の商品及び役務ではないから、商標法第4条第1項第10号に該当する事由があると認めることはできない。
3.商標法第4条第1項第12号について
前記1.及び2.で認定したとおり、本件商標は、引用商標と構成態様を異にし、登録防護標章と同一の商標とはいえないものであるから、商標法第4条第1項第12号に該当する事由があると認めることはできない。
4.商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、前記1.及び2.で認定したとおり、引用商標と構成態様を異にするものであり、かつ、請求人の著名な略称を含んでなるものとはいえないから、商標法第4条第1項第8号に該当する事由があると認めることはできない。
5.したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第12号及び同第15号に違反してなされたものということができないから、同法第46条第1項第1号により無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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