結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成9年審判第12671号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第2716955号商標(以下、「本件商標」という。)は、「GAUFRE RITZ」の欧文字と「ゴーフルリッツ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第19類「台所用品、日用品」を指定商品として、昭和62年5月8日に登録出願され、平成8年10月31日に商標権の設定登録がされたものである。
II.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第24号証(枝番号を含む)を提出している。
1.請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第8号、同第15号及び同第16号の規定に該当し、同法第46条の規定により無効にされるべきものである。
(1)引用商標
▲1▼請求人の引用に係る登録第2219130号商標(以下、「引用A商標」という。)は、、昭和55年10月29日に登録出願され、別紙の通りの構成よりなり、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(ちょうちん、あんどん、石油ランプ、灯心、ほや及びろうそく立てを除く)」を指定商品として、平成2年3月27日に商標権の設定登録がされたものである。
▲2▼同じく登録第2297631号商標(以下、「引用B商標」という。)は、昭和60年3月1日に登録出願され、別紙の通りの構成よりなり、第19類「フランス製の台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)フランス製の日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、平成3年1月31日に商標権の設定登録がされたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号に関する主張
▲1▼本件商標の英文字部分は、中間に一文字程度の間隔があるから、外観上「GAUFRE」と「R1TZ」が分離されて認識される。
また、本件商標の称呼は、中間に一段落おかれ、しかも「リッツ」が強く明瞭に発音されるから、特にこの部分が聴者の印象に残る。
さらに、「GAUFRE」は、仏語で焼き菓子の一種を表すのに対し、「RITZ」は、請求人の著名な超高級ホテルの略称であり、かつ商標であるから、これらが1つの熟語を形成する合理的理由はない。しかも、「GAUFRE」は、既成語であり、さほど強い識別力はないのに対し、「RITZ」は、著名商標であり極めて強い識別力を有する。
したがって、本件商標からは、単なる「リッツ」の称呼が生じるというべきである。
一方、引用各商標からは「リッツ」の称呼が生じることは疑いない。
したがって、両商標からはともに「リッツ」の称呼が生じるから、これらの商標は、称呼上類似する商標である。
▲2▼本件商標は、「リッツホテルのゴーフル菓子」といった意味合いで認識され、引用商標は、「リッツホテル」と関連づけられて認識されるから、これらの商標は観念上類似する。
▲3▼以上本件商標と引用各商標は、称呼上及び観念上類似する商標である。
(3)商標法第4条第1項第8号に関する主張
▲1▼請求人は、フランス国パリに所在する世界的に著名な「RITZ」HOTEL(「リッツ」ホテル)を経営するイギリス法人である。同ホテルは、1898年に「ホテル王」と称されたセザール・リッツにより設立され、当初から今日に至るまでの多大な経営努力の結果、世界の超一流ホテルとして不動の地位にあり、確固たる名声を獲得し続けてきた。
「RITZ」 「リッツ」が異議申立人及び同ホテルの略称として、わが国で周知、著名なものであることは、フランス大使館作成の証明書(甲第4号証)からも明らかであり、特許庁、裁判所においても顕著な事実となっている(甲第8号証の1乃至甲第24号証)。
▲2▼同ホテルは、オープン当初から極めて高い評価を受け、世界の王侯貴族、大富豪、有力政治家、ヘミングウェイ、チャップリン、シャネル等世界的な著名人が愛用したホテルであり、昭和天皇も昭和46年に宿泊されている。また、「昼下がりの情事」等著名な映画の舞台あるいはその背景の一部として、しばしば使用されている。
同ホテルにおいては本館と別館の間の連絡通路に店舗が配置され、現在では世界的に著名なデザイナーの高級品店などが軒を連ねている。
また、同ホテルは、日本人の好む豪華ホテルのトップ5の中でも日本人の利用率が最も高い。特に、同ホテル内にある料理学校は日本人に人気があり菓子やケーキクラスの出席者の50%以上は日本人である。
▲3▼同ホテルは、著名人の賛辞を受け、マスコミにおいても高い評価とともにしばしば紹介されている。
また、英和辞書の「ritz」の項で「RITZ HOTEL」が掲載され、その他の刊行物でも高級ホテルとして紹介されている。
旅行会社のパンフレットを見ても、同ホテルでの宿泊や料理教室を目玉としてツアーを構成しているものがあるほどである。
▲4▼世界には「RITZ」を含む名称のホテルは、パリのリッツホテル以外にも存在するが、これらはいずれもセザールリッツに帰着する。
▲5▼請求人は、我が国において、現実に、本件商標の指定商品であるコーヒーカップ、ワイングラス、ジャム壷、トング、スプーンの他、スカーフ、ネクタイ、バスタオル、バスローブ、ボタン、財布、札入れ、カード入れ、パスポートケース、灰皿、ダイアリー、ペン、ペンスタンド、時計、本、写真立て等幅広い範囲の商品の販売活動を行っており(甲第5号証乃至同第7号証)、また、我が国における営業のため、その著名な商標「RITZ、リッツ」を含む商標を多くの類に出願し、登録になっているものも数多く存在する。
このように、「RITZ」といえば、請求人及び請求人の経営する「リッツホテル/RITZ HOTEL」の略称として、本件商標の出願日より相当以前からわが国において極めて周知、著名なものとなっていた。
本件商標は、その構成中に請求人の周知、著名な略称を含むものであるにもかかわらず、被請求人はその登録について請求人から承諾を得ていない。
(4)商標法第4条第1項第15号に関する主張
「RITZ」「リッツ」がわが国において本件商標の出願日以前から周知、著名になっていたことは、前記の通りである。また、請求人は、幅広い分野の商品を販売している。
しかも、本件商標は、第19類に属する「台所用品、日用品」を指定商品とするの対し、請求人は、これらの商品と抵触するコーヒーカップ、ワイングラス、ジャム壷、トング等を実際に販売している(甲第5号証及び甲第7号証)。
したがって、請求人の周知、著名な略称及び商標と類似し、あるいは明らかに当該文字を含む本件商標が指定商品について使用された場合、需要者、取引者は、当該商品が請求人あるいはこれと何らかの関係がある者によって製造販売された商品であるかの如くその出所について誤認、混同を生じる可能性が高いというべきである。
(5)商標法第4条第1項第16号に関する主張
前述のように、請求人は、幅広い範囲において、優れた品質の商品の製造、販売を行っている。したがって、本件商標が指定商品に使用された場合、需要者、取引者は、請求人の業務との間に出所の混同を生じるばかりでなく、該商品が請求人の商品と同等の品質を備えた高級品であるかの如く商品の品質の誤認を生じるおそれがあるというべきである。
III.被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。
IV.当審の判断
1.請求人が提出した証拠及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(1)請求人の経営する「リッツ ホテル」は、1898年、セザール・リッツにより、パリの一等地ヴァンドーム広場に面した一角に設立された。豪華で充実した設備、優美な内装、配慮の行き届いた調度品、きめ細かなサービス等により、設立以来、極めて高い評価を受けてきた(甲第5号証及び「世界ホテル案内」・昭和58年乃至同60年刊)。
同ホテルには、プリンス・エドワード(後の英国王エドワード7世)、ウインストン・チャーチル、テディ・ルーズベルト大統領、ヘンリー・キッシンジャー、アーネスト・ヘミングウエイ、ゲーリー・クーパー、ココ・シャネル等、王侯貴族、政治家、作家、実業家、俳優等各界の世界的著名人が宿泊利用者として名を連ねている(甲第5号証<「リッツホテルの商品カタログ」昭和61年発行>)。
また、同ホテルは、一般客、ビジネス客を対象としたサービスも行っている(「世界ホテル案内」 ・昭和59年夏秋号)。
(2)昭和60年1月10日発行の「小学館ランダムハウス英和大辞典」の「ritz」の項には、「見せびらかし」、「見え」、「見せかけ」の意味とともに「スイスの著名なホテル経営者Cesar Ritzの名のついているホテルにちなむ」との記載が認められる。
(3)世界のホテルの広告宣伝を兼ねた情報誌「世界ホテル案内」 (昭和58年乃至同60年発行)は、「パリのホテル事情」という記事の中で、同ホテルを「リッツ」及び「RITZ」という略称表示とともに「伝統あるホテルの中で代表的な老舗」、「フランスの誇る現代の宮殿」であるとし、著名な宿泊客が多い旨紹介している。
また、一般向けの旅行案内書である「パリと近郊の本」(昭和57年発行)及び「交通公社のポケットガイド<パリ>」 (昭和54年発行)、さらに、内外の旅、世界各国の最新レポート等の特集記事を特徴とする月刊誌「世界画報」 (昭和57年発行)においても、略称表示で「リッツ」及び「RITZ」の項を設け、「ホテルの中のホテル」、「世界の代表的ホテル」、「著名人が利用」、「大衆旅行時代に適応」等と説明している。
そして、同ホテルは、日本での予約も可能であり、また年間を通じホテル宿泊日数の多い金融マンの選定に係る世界のホテルランキングにおいて昭和63年度には8位(世界のホテル200選)、平成元年には4位(毎日新聞)となっている。
(4)請求人は、インペリアル・エンタープライズ株式会社を通じ、「RITZ」の商標を使用した食器、衣類、印刷物、時計、装身具、袋物等を本件商標の商標登録出願以前から販売していた(甲第5号証)。
以上の認定事実によれば、「RITZ」及び「リッツ」は、請求人の経営に係るホテルの略称として、我が国においても、本件商標の商標登録出願当時には、ホテル関係者のみならず本件商標の指定商品に係る取引者、需要者の間にも広く知られていたものと認められる。
2.本件商標は、前記した通りの構成よりなるものであるところ、全体として特定の意味を表示するような語義的一体性はなく、またそのほかに全体が一体のものとして把握、認識されるものとすべき理由もないから、取引者、需要者は、これを「GAUFRE」と「RITZ」の結合及びその仮名表示「ゴーフル」と「リッツ」の結合としてとらえ、「RITZ」及び「リッツ」を含む商標として認識するものとするのが相当である。
してみれば、本件商標は、請求人の経営するホテルの著名な略称を含むものであり、被請求人は、その登録に関し、同人の承諾を得ているものとは認められない。
3.請求人は、我が国において、同人のホテルの宣伝、広告及び宿泊予約等の営業活動のみならず本件商標の指定商品分野を含む商品について、独自ブランドによる販売活動を行っていることが認められる。そして、本件商標は、同人の経営に係るホテルの著名な略称であり、商標としても使用されている「RITZ」及び「リッツ]を有するものである。してみると、被請求人が本件商標をその指定商品に使用する場合には、取引者、需要者は、その商品が請求人又は請求人と経済的、組織的に何等かの関係を有する者の業務に係るものであると商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるをえない。
4.したがって、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第11項第1号により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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