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Trademark Appeal Case

不使用取消と連合商標の使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第15167号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第955097号商標の登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第955097号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に示すとおりの構成よりなり、1966年3月24日ポーランド共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和41年8月17日に登録出願、第28類「ウオッカ」を指定商品として、同47年3月21日に登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、商標法附則(平成8年法律第68号抄)第10条第2項の規定により、被請求人が使用していると主張する本件商標と連合商標の関係にあった登録第732671号商標(以下、「本件連合商標」という。)は、「POLMOS」の文字を書してなり、昭和40年10月20日に登録出願、第28類「ウオッカ」を指定商品として、同42年2月8日に登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理 由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、 証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は商標権者により継続して3年以上、日本国内において何ら使用されていない。

また、本件商標の商標権には専用使用権は設定されていないし、通常使用権も登録されていないことから、本件商標権の通常使用権者も存在しないことを推認し得る。したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取消を免れない。

(2)答弁に対する弁駁

乙第1号証及び同第2号証は、被請求人による本件連合商標の使用を証明するものではない。

請求人の前身は、ポーランド国において、1927年から製造していた品目もあるほどの老舗の独占的酒類製造メーカーであるところ、ポーランド国においては、外国通商省の1964年ダイレクティブ第2条により、「ポーランド及び外国においては、商標を付して商品を輸出するために、商品、サービスに関する商標登録出願は、海外貿易会社によりその名義でなされるべきである。」と規定されており、輸出企業であった被請求人が、我が国に本件連合商標の登録をして、何十年もの間、ポーランド国における高品質の酒類の輸出を独占的に行っていた。

しかし、1971年ダイレクティブ発効により、その内容は改正され、当該2条では、「海外貿易会社によってなされた海外で販売されるための商品に関する外国における商標登録出願は、商標を付して商品を輸出するために、商品の所有者の名義でなされるべきである」と規定されることとなり、被請求人は、1975年にポーランドにおいて登録した商標を請求人に譲渡したが、我が国を含む海外においては、相変わらず、被請求人名義で「酒類」の商標登録出願がなされていたのである。

そして、1988年のポーランドの抜本的な経済改革により、請求人は、海外へ直接輸出する権限を与えられ(甲第3号証)、これにより、我が国に輸出できることとなったため、請求人が乙第1号証及び同第2号証に示されている商標を付して請求にかかる商品を我が国に輸出しているのである。

かかる際の我が国における請求人の代理店がミリオン商事株式会社であり、当該法人は1988年以降は、請求人の製造販売した商品のみ扱っており、被請求人の輸出した商品は一切取り扱っていない。

これを立証するため、ミリオン商事株式会社の作成した証明書を甲第4号証として提出する。

さらにかかる主張を補強するために、被請求人がミリオン商事株式会社に対して発信した取引の終了を宣言した1988年12月2日付けレターを訳文と共に提出する(甲第5号証)。

これによると、被請求人は、ポーランド国の新規則発効を契機に、ウオッカの我が国への輸出を中止し、請求人に輸出権限を移譲する意志があることが確認できる。これを参酌しても、被請求人は1988年以降は本件連合商標を我が国において使用していないことが明白である。

従って、乙第1号証及び同第2号証は、被請求人による本件連合商標の使用を証明するものではない。

また、乙第1号証及び同第2号証に表されている商標は、かなり特殊な字体であるから、本件連合商標の使用とは認められないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、請求人の請求理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出した。

(1)本件連合商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件連合商標に係る商標権の通常使用権者であるミリオン商事株式会社(東京都中央区新川1−15−2所在)により、その指定商品「ウオッカ」について使用されている。この事実を、乙第1号証及び同第2号証により証明する。

(2)弁駁に対する答弁

ミリオン商事株式会社が、1988年末以降、請求人とのみ取引しているとの一事をもって、被請求人側の不使用を主張するのは、請求人と被請求人のこれまでの権利関係を全く無視するものであり、余りにも短絡に過ぎるものと言わなければならない。

請求人は、1987年8月5日付輸出許可証により、独占的に外国貿易活動を行うことが認められることとなり、これにより、ミリオン商事株式会社は、1988年末以降、本件連合商標を付したウオッカを請求人からのみ輸入し、国内販売するようになったものであるが、この輸出許可証は、請求人に無条件で与えられたものでは決してない。

即ち、請求人には、これまでの販売政策に十分な配慮をし、既存の流通網を利用し、商標の保護を行った上で、被請求人と協定を締結すること等が義務付けられていたのである(乙第4号証)。そして、請求人と被請求人が締結した協定には、外国市場における商業活動の範囲内において、両当事者は、互恵の基礎に基づき、いずれの当事者の名義によるものか、または、何時商標が登録されたかにかかわらず、すべての商標権を使用することができるとの規定もある(乙第5号証)。

換言すれば、請求人に本件連合商標を付したウオッカの我国への輸出が認められたのは、ポーランド国の国家政策を契機として請求人と被請求人が締結した協定(契約)に基づいているのである。これは、正に、本件連合商標の商標権者である被請求人が、その自由意思により、請求人に対し、本件連合商標の使用を認めたことに他ならないのである。

そうとするならば、ミリオン商事株式会社は、1988年以降もなお、商標権者たる被請求人の意思と無関係に存在するものではなく、請求人を介して、被請求人の使用許諾意思を間接的に受けており、今もなお、被請求人の使用権者でもあるのである。

現に、ミリオン商事株式会社は、本件連合商標の存続期間更新登録出願(平成9年2月7日付)に際し、弊所の依頼により、本件連合商標が付されたウオッカの広告を使用証拠として弊所に送付してきており(乙第6号証)、また、商標登録第812020号商標の存続期間更新登録出願(昭和63年11月11日付)に際しても、同様である(乙第7号証)。これは、ミリオン商事株式会社自身が、1988年以降においても、商標権者たる被請求人の使用権者であることを積極的に認めたものに他ならない。

また、乙第1号証及び同第2号証に表されている商標は、洋酒業界における商標の使用態様に鑑みれば、同一字形における活字体と筆記体の違いに過ぎないものであるから、本件連合商標の使用を立証するものであることは明らかである。

以上により、本件連合商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者であるミリオン商事株式会社により、その指定商品について使用されていることは明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断

そこで判断するに、被請求人が本件連合商標の使用をしているものとして提出した乙第1号証によれば、世界の名酒事典’96には別紙(2)に示すラベルに表示されているとおりの構成よりなる商標(以下、「使用商標」という。)が付された ウオッカが掲載されており、説明記事によれば、製造元は「ポルモス」であり、輸入業者は「ミリオン商事」であること、また、同第2号証によれば、平成10年5月15日付けで撮影されたとされる写真には同じく別紙(2)に示す使用商標が付されたウオッカが撮影されており、ラベルの表示によれば、ミリオン商事株式会社が輸入業者であることを認めることができる。

しかして、被請求人が提出した乙第3号証ないし同第5号証及び請求人が提出した甲各号証によれば、ポーランド国においては、外国通商省の1964年ダイレクティブ第2条の規定により、輸出企業であった被請求人が、我が国に本件連合商標の登録をして、何十年もの間、ポーランド国における高品質の酒類の輸出をミリオン商事株式会社を介して独占的に行っていたものであるところ、その後のポーランド国の経済改革により、請求人も、1987年8月5日付輸出許可証を受け、直接外国へ輸出が行えるようになったことが認められる。

そして、甲第5号証によれば、被請求人は、ミリオン商事株式会社に対して取引の終了を宣言する1988年12月2日付けのレターを発信しており、また、甲第4号証によれば、ミリオン商事株式会社は、1988年12月19日以降は、使用商標を付したウオッカを請求人からのみ輸入し、国内販売するようになったものであり、請求人以外の者が我が国に輸出した商品「ウオッカ」を取り扱っていないことが証明されており、被請求人も上記各事実を認めている。

そうとすれば、乙第1号証及び同第2号証において示されているミリオン商事株式会社により輸入・販売されているウオッカは、請求人の取り扱いに係る商品と認められるから、上記乙各号証は、被請求人が本件連合商標をウオッカについて使用していた事実を立証するものとはいえない。

この点について、被請求人は、ミリオン商事株式会社の使用は被請求人の使用権者としてのものでもある旨主張しているが、ミリオン商事株式会社と被請求人との過去の経緯から、ミリオン商事株式会社が本件連合商標等の更新登録出願の際、被請求人の求めに応じて使用の事実の資料を提出していたとしても、被請求人とミリオン商事株式会社との間の契約は甲第5号証(被請求人のミリオン商事株式会社に対する1988年12月2日付けのレター)によれば、既に終了していたものとみるのが相当であるから、被請求人のこれらの点についての主張はいずれも採用できない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人により、その指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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