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Trademark Appeal Case

著名商標の不正目的

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35561号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1771953号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOULIN ROUGE」の欧文字と「ムーランルージュ」の片仮名文字を上下二段に書してなり、昭和57年7月20日登録出願、第21類「頭飾品、かばん類、袋物、造花、化粧用具」を指定商品として、同60年5月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第17号証を提出した。

(1)「MOULIN ROUGE」、「ムーランルージュ」の著名性について

請求人の名称又は略称及び商標である「MOULIN ROUGE」、「ムーランルージュ」(以下、「引用商標」という。)の著名性については、既に特許庁の認めるところである(甲第2号証ないし同第5号証)。

そして、「角川外来語辞典」(甲第6号証)及び「広辞苑第2版」(甲第7号証)の記載から明らかなとおり、本件商標の出願前から引用商標は請求人を示すものとして日本においても著名であったことは明らかである。

さらに、請求人の歴史及び営業内容を示すパンフレットからすれば、本件商標の出願前から引用商標は日本においても著名であったことは明らかである(甲第14号証)。

(2)商標法第4条第1項第15号について

特許庁は引用商標を請求人の著名な名称又は略称として認定している。

また、特許庁は引用商標を請求人及び関連を有する者以外の第三者によって第4類に属する商品に使用された場合、出所の混同のおそれがあると認定している(甲第2号証)。そして、本件商標の指定商品には「頭飾品、かばん類、化粧用具」を含んでいる。これらの商品分野において、本件商標を請求人のコントロールの及ばない第三者に使用されることは、請求人等の関連企業によって製造販売されるブランドに係る商品であるとの出所の混同を取引者及び消費者に引き起こすおそれのあることは明らかである。更に、引用商標の著名性からすれば、上記商品分野における取引者である被請求人はこの著名性にフリーライドする意図をもって本件商標の取得行為に至ったと認定するのが自然であるから、不正競争の目的があったことは明らかである。

(3)商標法第4条第1項第16号について

本件商標を被請求人等に使用されることは、請求人等の関連企業によって製造販売されるブランドに係るプロ向け用の高品質商品であると、またはプロダンサー等のアドバイスの下で企画製造された商品であるとの品質の誤認を消費者に引き起こすおそれのあることは明らかである(甲第15号証)。

(4)商標法第4条第1項第19号について

本件商標を第三者に使用されることは、引用商標の出所表示機能を希釈化させ、かつその名声を毀損する目的があることは明らかであり、また請求人による当該商品分野における日本参入を阻止するための先取り出願又は信義則反する出願であることは明らかである(甲第16号証及び甲第17号証)。

(5)商標法第4条第1項第7号について

請求人の引用商標を被請求人が知らない理由はなく、むしろこの有名ブランドにあやかつて商品の販売を拡大しようとする意図は明白である。よって、本件商標の登録は国際信義に反するものである(甲第17号証)。

(6)請求人の利害関係について

上記の理由から請求人に本件審判請求の利害関係を有することは明らかである。また、請求人は商願平8−128490号及び商願平8−128491号の出願を行ったところ、本件商標を引用する拒絶理由通知を特許庁から受けている。よって、本件審判請求に関する利害関係を有する。

3 被請求人は、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号について

商標法第47条においては、商標登録が同法第4条第1項第15号(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)の規定に違反してなされたことを理由とする商標登録の無効の審判は、商標権の設定の日から5年を経過した後は、請求することができないと定められている。

これを本件商標についてみるに、請求人は、「引用商標の著名性からすれば、本件商標の指定商品の商品分野における取引者である被請求人は、この著名性にフリーライドする意図をもって本件商標の取得行為に至ったと認定するのが自然であるから不正競争の目的があったことは明らかである。」旨主張しているが、被請求人は、本件商標を不正の目的をもって取得行為に至ったと見なければならない格別の事情を認めることができない。また、その事実を証明する証左を見出すことはできない。

(2)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、「MOULIN ROUGE」、「ムーランルージュ」の文字よりなるものであるところ、その構成中「MOULIN」及び「ムーラン」の文字部分が仏語の「風車」を意味し、また、同じく「ROUGE」及び「ルージュ」が仏語の「赤い、赤色」を意味する語であり、構成文字全体として「赤い風車」の意味を有し、本件商標の指定商品は「頭飾品、かばん類、袋物、造花、化粧用具」である。

請求人は、「請求人等の関連企業によって製造販売されるブランドに係るプロ向け用の高品質商品、または、プロダンサー等のアドバイスの下で企画製造された商品であるとの品質の誤認を消費者に引き起こすおそれがある。」旨主張するが、本件商標は上記に述べた意味合いを認識させるものであって、本件商標はその指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるとは認められない。

(3)商標法第4条第1項第19号について

本号は、外国で周知な商標について外国での所有者に無断で不正の目的をもってなされる出願・登録を排除することを目的とするものである。

そこで、本件商標について検討するに、請求人は、「引用商標の出所表示機能を希釈化させ、かつその名声を毀損する目的があることは明らかであり、また請求人による当該商品分野における日本参入を阻止するための先取り出願又は信義則反する出願であることは明らかである。」と主張するも、それを具体的に証明する証左を見出すことはできないし、また、不正の目的があったと認め得る証左もない。

(4)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その構成前記のとおりであり、これを指定商品に使用しても、社会公共の利益、または社会の一般的道徳観念に反することのないものといわざるを得ず、公の秩序又は善良の風俗を何ら害するおそれのないものである。

請求人は、「有名ブランドにあやかって商品の販売を拡大しようとする意図は明白であって、本件商標の登録は、国際信義に反するものである。」旨主張するが、それを裏付ける証左を見出すことはできない。

(5)結び

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同条第16号、同条第19号及び同条第7号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、その登録は、商標法第46条第1項第1号により無効とすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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