1 本件商標
本件登録第3064880号商標(以下、「本件商標」という。)は、「天恵」の文字を縦書きしてなり、平成5年2月26日登録出願、第33類「日本酒」を指定商品として、平成7年7月31日に設定登録されたものである。
2 請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1853395号商標(以下、引用商標という。)は、「天の恵み」の文字を横書きしてなり、昭和59年6月15日登録出願、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、昭和61年4月23日に登録され、平成8年9月27日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。
▲1▼本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、「天恵」の文字よりなるもので、該文字は「天が人間に与える恵み」の意味の語であって(甲第5号証)、人が思いもよらない幸運に恵まれた折りなどに「天恵!天恵!」などといって、その喜びを表現する際に往々に使用されているものであるから、「天が人間に与える恵み」の意味で一般に知られているものということかできるから、「天が人間に与える恵み」の観念を生ずるものというべきである。一方、引用商標は、「天の恵み」の文字よりなるものであるところ、その意味するところは、「天恵」と同じ「天が人間に与える恵み」であり、「天恵」と同様に、人が思いもよらない幸運に恵まれた折りなどに、「これは天の恵み」などといって、その喜びを表現する際に往々に使用されているものである。してみれば、「天の恵み」も、「天が人間に与える恵み」の意味で一般に親しまれているものということができるから、引用商標も「天が人間に与える恵み」の観念を生ずるものというべきである。したがって、本件商標と引用商標が、その指定商品である「日本酒」について使用されたとき、これに接する取引者、需要者が、いずれも同一人の業務に係るものであるかの如く、その出所を混同するおそれがあるとみるのが相当である。
▲2▼利害関係について
請求人は、引用商標の商標権者であるから(甲第4号証)、本件審判を請求することについて、利害関係を有するものである。
▲3▼以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものというべく、したがって、その登録は、同法第46条の規定により無効とされるべきである。
4 被請求人の答弁
被請求人は何等答弁していない。
5 当審の判断
本件商標は、前記に表示したとおり「天恵」の文字よりなるものである。
そして、請求人提出の甲第5号証(広辞苑第5版...株式会社岩波書店発行)によれば、「天恵」とは、「天が人間に与える恵み」を意味する語であり、また、当庁備え付けの大辞林(株式会社三省堂発行)によれば、「天恵」とは「天の恵み」を意味する語であることが確認できる。
前記事実を総合すると、本件商標からは、「天の恵み」の観念を生ずると判断するのが相当である。
一方、引用商標は、前記に表示したとおり「天の恵み」の文字よりなるものである。
そうだとすると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼上の相違点を考慮しても、「天の恵み」の観念を共通にする類似の商標といわざるを得ない。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。