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Trademark Appeal Case

称呼類似と普通名称性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18727号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3204206号商標の登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3204206号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ベセルタヒボ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成5年11月17日に登録出願、第30類「茶」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第74号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、「茶」を指定商品とし、外観上片仮名で「ベセルタヒボ」と横書きしてなるものであり、「ベセルタヒボ」の称呼が生じる。

(2)請求人の登録商標

請求人は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、昭和61年7月16日に登録出願、第30類「茶」を指定商品として、同63年12月19日に設定登録され、現に有効に存続している登録第2101823号商標(以下、「引用商標」という。)を所持している。引用商標の称呼は「タヒボ」もしくは「タヒーボ」であり、古代インカ語で「神の恵み」又は「神の光」という意味だといわれているが正確なところはわからない。加えて、請求人は片仮名で横書きの「タヒボ」と欧文字の「Taheebo」の2段書きの商標出願もしており、この出願は引用商標と連合する商標(平成8年法律第68号による改正前の商標法に規定する)として既に出願公告(平成8年公告第121007号)されている。

(3)請求人商品の原材料について

「Taheebo」あるいは「タヒボ」は、学名タベブイア・アベラネダエという名称の南米産のノウゼンカズラ科の樹皮を粉砕したものを原料とした茶(以下、「請求人商品」という。)の商標であり、制癌効果を呈する他、糠尿、リュウマチ、肝硬変等あらゆる疾病に効果があるといわれている。また上記タベブイア・アベラネダエは本件請求書に添付した甲第69号証乃至同第71号証に記載のようにブラジルでは通称を「イペー」(正確には「イペー=ロッショ」)又は「パウダルコ」〔Pau d’arco〕という名称を持つ樹木である。

(4)「Taheebo」の名称の由来について

請求人の代表者、畠中平八は、1986年に渡伯して、「Taheebo」の販売活動の一貫としてサンパウロ大学農学部のウオルター・ラダメス・アコーシ名誉教授に「タベブイア・アベラネダエ」すなわち「パウダルコ」に関する研究の日本での発表を依頼し、1987年に甲第72号証に示すポルトガル語の論文を受けとった。この論文は請求人によって翻訳され、甲第74号証の契約書に示すように、1988年に株式会社神戸新聞総合出版センターと株式会社ゼロ・プランニングによって編集され、更に株式会社神戸新聞総合出版センターにより主題〔TAHEEBO〕、副題〔奇跡の薬木「タヒボ」〕として1988年9月25日に初版が発行された。

上記論文の主題は甲第72号証の表紙に示すように〔PAU−D’ARCO〕となっており、副題として〔A MARAVILHOSA PLANTA MEDICINAL DA FLORA BRASILERA〕が付加されている。すなわち「パウダルコ1Fブラジル植物群の素晴らしい薬草」となっている。ところが、甲第73号証の邦訳(以下、邦訳という。)では、主題が〔TAHEEBO〕であり副題が〔奇跡の薬木「タヒボ」〕となっているのは、請求人の「タヒボ」の販売促進を目的とする意向が強く打ち出されでいることによる。すなわち邦訳は「Taheebo」の販売活動の一貫として発行されたものであるから、当然のごとく本文中の要所要所に「タヒボ」の文字が散見される。

また、邦訳の26頁最終行には「タヒボ」なる言葉が見られるが、この部分は甲第72号証(以下、単に原文という。)の23頁4行目に相当し、原文では「IPE ROXO」になっている。また、邦訳28頁4行目の「タヒボ」は原文の23頁9行目〜11行目に相当するが、対応する文字は見当たらない。更に、邦訳32頁の4行目の「タヒボ」の表現は原文24頁の下から4行目の「Tabebuia」に相当する。

また、例えば邦訳の50頁〜51頁に「タヒボ」なる文字が散見できるが、この部分は原文の45頁に相当する。しかしながら、原文の表記は全て「PAU D’ARCO」であって「Taheebo」は使用されていない。

邦訳の103頁の1行目〜2行目に「広く、民間ではタヒボとよばれ」とあるが、この部分は原文では74頁の8行目〜11行目あたりに該当する。この部分を直訳すると「パウダルコ(北部地方)あるいはイペー(南部地方)は同一のものである。ロッショ(赤紫)とアマレーロ(黄色)の2種類がある。両者とも薬用植物である。原産地に関して、最良のものは北部地方(マラニョン州)と北東部地方(ペルナンブコ州およびバイア州)に存在する。」となっており、「Taheebo」の文字は一切見られない。

邦訳の28頁9行目の「タヒボ」の表現は原文の23頁下から10行日に相当し、邦訳の38頁4行目の「タヒボ」の表現は原文の33頁6行目に相当する。ここでは原文でも「Taheebo」となっているが、原文の23頁下から10行目〜11行目には〔“taheebo”antiga civilizacao inca do Peru〕〔古代ペルーのインカ帝国ではタヒーボ〕とあり、原文の33頁6行目には〔Inca do Peru〕〔ペルーインカ帝国〕となっている。すなわち、古代インカ帝国での呼び名であることが明記され、このことは「Taheebo」は俗称や通称といった類ではなく、現在では死語であることを暗に意味している。加えて「Taheebo」が古代インカ帝国で使用されていたといっても、上記のように文献的な証拠がある訳ではなく、筆者(アコーシ博士)の研究の積み重ねからの推測で記述されている。

更に、上記のように「Taheebo」は古代でのみ通用したと推測される言葉であるので、アコーシ博士から請求人の代表者畠中平八に商品の名前として使用してはどうかという提案があり、畠中が日本での商標権を取得したのである。ただ「Taheebo」はこのまま読むと「タヒーボ」と読まれる可能性があり、日本人に馴染まないので、畠中が自分の姓を「はたけなか」といっていたのを「はたなか」に読み替えた経験から「タヒボ」と読ませるべく「タヒボ」と商品には付し、あるいは商標登録出願でも「タヒボ」としたものである。

(5)本件商標と請求人の商標との関係

本件商標の中「タヒボ」の部分は請求人の引用商標と称呼が全く同一であり、片仮名「タヒボ」の部分は請求人の公告済の商標(平成8年公告第121007号)と同一である。

また、本件商標の中「ベセル」の部分は被請求人の関連会社である株式会社ベセルの名称を表す文言である。すなわち、本件商標は「Taheebo」なる請求人の引用商標から生ずる称呼に単に関連会社を意味する「ベセル」を付加したに過ぎない。

ところで、ある登録商標「AAA」に対して該「AAA」の権利者以外の者に「000AAA」なる登録が認められたとすると、商品の需要者・取引者間に混同を生じさせることが必至である。

(6)請求人の商標の周知性について

請求人商品は請求人の代表者である畠中平八が昭和59年10月ごろから販売を開始し、昭和60年12月にこの商品の販売を目的として、タヒボジャパン株式会社を設立した。さらに、その後当該タヒボジャパン株式会社によって本格的に販売活動が展開され、雑誌・新聞・ラジオ・テレビにて多数の宣伝広告がなされ、本件商標が登録された平成8年9月30日以前はおろか、本件商標が出願された平成5年11月17日以前に請求人商品に付された請求人の商標は既に周知となっていることは明らかである。

(a)新聞、雑誌(甲第1号証乃至同第60号証)

媒体種ごとの宣伝広告および記事を証拠方法の欄にリストとして添付するとともに、各媒体より縮小コピーした宣伝広告の態様も添付した。各宣伝広告において商品の包装パックの写真があるものは、その包装パックに「Taheebo」なる表記がなされ、その上に「タヒボ」なる片仮名書き、あるいは「タヒボ&ラパチョ」なる片仮名書きが表記されているものが多い。また記事の場合は「タヒボ」なる片仮名書きだけの表記もある。また、請求人自身による宣伝広告でない場合もあるが、いずれも請求人の販売店の資格を持つ者の宣伝広告である。なお、証拠方法の欄に*印を付した証拠は本願出願の出願日以降の証拠であるが、本願出願後も請求人の活発な宣伝広告活動が継続していることを図り知る上で重要である。更に、各宣伝広告、記事に「Taheebo」あるいは「タヒボ」なる文字が含まれていることは各証拠を見ると明らかである。

(b)その他の印刷物

▲1▼甲第61号証の1、2は平成2年の大阪天神祭りのときに配付した団扇のコピーである。甲第61号証の2に「90」の文字が見え、平成2年の印刷物であることが分かる。この団扇は1000本製造され、800本が一般に配付されている。

▲2▼更に、甲第62号証の1は平成4年8月から平成5年7月にかけての大阪市営バスの窓への張り付シールの広告のコピーであり、甲第62号証の2の1〜11はそれに対応する広告会社(株)本州堂よりの請求書である。9月分の請求書は遺失しているが、年間を通しての広告であることが理解できる。甲第62号証の3の1〜12は阪神高速バスの車内広告に対する広告会社(株)大阪竜青社よりの請求書を示すものである。制作費として25万円(平成4年2月27日付)、広告代金として最初の月は7万円(平成4年3月15日付)2回目以降は5万円の請求がなされていることが読みとれる。この広告は平成4年末まで継続している。

(c)ラジオ、テレビ(甲第63号証乃至同第66号証)

▲1▼(株)広研アドバタイジングを介してのラジオ、テレビCMについて

甲第63号証の1は(株)広研アドバタイジングを介してのラジオ、テレビCMについて同社が証明した請求人の広告リストである。昭和62年から毎日放送ラジオでのCMが開始され、現在も継続的に行っているが、平成2年度に至ってはラジオ、テレビ合わせて1000万円以上のCMを当該(株)広研アドバタイジングを介して行っていることになる。

この中、平成2年6月以降のニッポン放送によるラジオCM、及びTBSテレビによるテレビCMについては請求人の側に(株)広研アドパタイジングが発行した請求書(甲第63号証の2の1〜8)が残っているので、証明書の信憑性が確認できる。甲第63号証の3は上記ニッポン放送によるラジオCMを作成する過程で(株)広研アドバタイジングが請求人に確認を求めた広告内容の原稿である。右下に(株)広研アドバタイジングの欧文表記である「KOHKEN ADVERTISING CO.,LTD」が見られる。

甲第63号証の4は請求人がまとめた、上記(株)広研アドバタイジングの平成2年12月〜平成3年1月にかけてのTBSによるCM(甲第63号証の1の下から2段目に表記されている)のスケジュール表である。上記(株)広研アドバタイジングが発行した証明書の下から2枠目の総額300万円の15秒スポットに対応する。

▲2▼(株)クリエイティブタグを介してのラジオ、テレビCMについて

甲第64号証は、(株)クリエイティブタグを介してのラジオ、テレビCMについて同社が証明した請求人の広告リストである。昭和62年から毎日放送ラジオでのCMが開始され、平成2年1月まで継続しており、広告費用は総額で1900万円余りに至っている。

▲3▼(株)大有社を介してのラジオ、テレビCMについて

甲第65号証の1の1〜10は平成2年3月〜12月迄のテレビ大阪が広告会社(株)大有社に対して発行した請求人に関する「テレビスポット放送通知書」である。月に18回または21回の15秒スポットCM(通知書の右下枠の15”は15秒スポットの意味、計の枠の数字はその月の放映回数)がなされているのが分かる。これに対応して(株)大有社から請求人に対して甲第65号証の2の1〜7に示すように、平成2年6月分から同年12月分(3〜5月分は請求人側で保存なし)の請求がなされており、TVO(テレビ大阪)の表示の欄より毎月50万円程度の請求額を読み取ることができる。

▲4▼(株)大阪竜貴社を介してのCMについて

甲第66号証の1は、平成2年度の朝日放送によるラジオ、テレビCMについての請求人の広告料を証明した(株)大阪竜青社発行の証明書である。合わせて、当該(株)大阪竜青社の請求人からの広告料の入金を確認できる普通預金写し(甲第66号証の2)も加えられており証明の信憑性が確認できる。

(d)売上高

甲第67号証の1は請求人の代表者、畠中平八が昭和60年12月8日に請求人商品の販売をするためにタヒボジャパン株式会社を設立してからの各会計年度の売上高を示すものであり、甲第67号証の2は健康食品の品目毎の業界全体の売上高を示す、財団法人日本健康・栄養食品協会が平成4年3月に発行した資料である。なお、上記売上高の第1期は昭和60年12月8日〜昭和61年5月31日迄、以降は毎年5月31日が決算日であり、必要であれば決算書にて証明できる。

クロレラ、ローヤルゼリー等、古くから知られている商品は別として殆どの商品が億換算で2桁以下であり、1桁のものも多い。加えるに請求人商品は請求人が日本に持ち込んでから日が浅いこと、及び請求人1社で10億円前後の売上のある事実を考慮すると如何に請求人が宣伝広告に勢力をそそぎ周知性を獲得したかが理解できる。

(f)証明書

甲第67号証は(株)健康産業新聞社が請求人の「TAHEEBO」、「タヒボ」、「TAHEEBO/タヒボ」の3つの態様の商標についての周知性を証明した証明書である。

(6)結論

以上、証明したように本件商標はその出願前に登録されている請求人の引用商標と類似であるので商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効とされるべきである。また、広告量およびそれに要した費用、売上高いずれの観点からみても請求人の使用に係る商標は本願出願日より以前に既に周知性を確保しており、本件商標は商標法第4条第1項第10号、または同第15号に該当し、その登録は無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断

よって判断するに、請求人の提出に係る甲各号証を総合勘案すると、請求人は、ブラジルの樹木の一つであるノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種の樹皮を原料とする樹木茶である請求人商品の包装、広告等に「タヒボ」の片仮名文字からなる商標及び特殊字体の大文字のローマ字を横書きした「TAHEEBO」の商標を付して販売していることを認めることができる。ところで、「タヒボ」は、我が国においてノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種の樹木を示す名称として一般に通用しているものとは認められず、むしろ、前記のごとく請求人商品について使用している商標というのが相当である。

そして、請求人は、新聞、雑誌に「タヒボ」の商標を付した請求人商品の広告やテレビ、ラジオのCMに「タヒボ」の商標を使用した請求人商品の広告が相当程度なされ、また、新聞、雑誌に請求人商品の紹介とともに請求人商品についての記事が相当程度掲載された結果、本件商標の登録出願時(平成5年11月17日)には「タヒボ」の片仮名文字からなる商標は請求人商品を表示するものとして取引者、需要者の間において広く認識されるに至っていたものということができる。

なお、請求人の「タヒボ」の商標について、上記認定とほぼ同様に認定した大阪地方裁判所の判決(平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件、平成10年12月24日判決言渡)がある。

しかして、本件商標は、「ベセルタヒボ」の片仮名文字を横書きしてなるところ、該文字は特定の意味合いを表現した語とは理解されないものであり、また、本件商標の指定商品は前記請求人商品と同一又は類似する商品「茶」である。

そうとすれば、本件商標の「ベセルタヒボ」の文字が一連に表されているとしても、その構成中に請求人の広く認識されている商標「タヒボ」を含むものであるから、これをその指定商品「茶」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は「タヒボ」の文字部分に強く印象づけられ、該商品が請求人又は請求人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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