Trademark Appeal Case
地名と業種名の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−2142(T2000−2142/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「麻布テーラー」の文字を書してなり、願書記載の第25類に属する商品を指定商品として、平成10年11月11日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、当審において、同12年6月12日付け手続補正書をもって、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,靴下,ネクタイ,帽子,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」に補正されたものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、東京都港区にある地名として知られている『麻布』の文字と『洋服屋、仕立て屋』等を意味する『tailor』に通じる『テーラー』の片仮名文字を一連にして『麻布テーラー』と書してなるものであるから、これを指定商品に使用しても、『麻布にある洋服屋』を意味するもので、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」との理由をもって、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
本願商標は、上記に示したとおり、「麻布テーラー」の文字を書してなるものである。ところで、「日本地名百科事典」(1998年6月20日株式会社小学館発行)によれば、当該文字中の「麻布」は、麻布十番通りを中心とする商店街では江戸期からの老舗がみられ、また高級住宅街が多いことでも知られ、特にフランス(南麻布)、ロシア(麻布台)、中国(元麻布)などの外国公館が数多く存在する特色を持つ東京都港区中西部の地区であると記載されている。また、一般の辞典類、例えば、広辞苑第5版(1998年11月株式会社岩波書店発行)、大辞林(1993年12月株式会社三省堂発行)及び日本語大辞典(1989年12月株式会社講談社発行)にも同様の記載がされている。さらに、麻布地区には、2000年9月26日に営団地下鉄南北線「麻布十番駅」が、同年12月12日に都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」がそれぞれ開業、運転を始めた事実が認められる。
そうすると、該文字は、東京都区内にある地区名として、全国的に広く知られ親しまれたものとみるのが相当である。
また、当該文字中の「テーラー」が、「紳士服専門の仕立て屋」の意味を有する英語「tailor」に通ずる語であって、業種名を表示するものとして、例えば、「NTT タウンページ職業別」の[洋服店(紳士服)]、[洋服店(注文服)]及び[洋服直し(仕立て直し)]の欄において、氏姓あるいは地理的名称等を表した文字とともに多数掲載されていることが認められる。
以上の事実より、本願指定商品中の紳士服を取り扱う業界においては、地理的名称等を表した文字と業種名を表示するものとしての「テーラー」の文字とを組み合わせた標章が一般的に採択使用されているとみるのを相当とする。
そうすると、本願商標は、その指定商品が「紳士服」を含む洋服関連商品ということができるものであるから、これを前記商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、その商品の製造、販売地を表す「麻布」の文字と、紳士服店としての業種名「テーラー」の文字とを組み合わせてなるにすぎないものであり、特別顕著な構成ともいえないものであって、全体として「麻布にある洋服屋」程度の意味合いを理解、把握させるに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、本願商標について使用実績の証拠を提出しているが、これが使用による識別性を主張しているとしても、広告宣伝の期間、販売数量、店舗数において、いまだ取引者、需要者に知られているものとは認められない。
さらに、過去の登録例を挙げて、本願商標の登録の可否の審理に際し、これらの登録例と整合性をもって審理されるべきであると主張しているが、これらの登録例は、本願と事案を異にするものであることから、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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