Trademark Appeal Case
涼感快眠の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第13645号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「涼感快眠」の文字を表してなり、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不職布,布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん張」を指定商品として、平成7年11月9日に登録出願、その後、指定商品については、平成9年5月2日付け手続補正書をもって、「かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」とする補正がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『涼しそうな感じで快眠できる』の意を容易に認識させる『涼感快眠』の文字を書してなるが、これをその指定商品中、例えば『かや,敷き布,布団,布団カバー等』に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨、認定して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「涼感快眠」の文字を普通の態様で表してなるところ、これを構成する前半の「涼感」の文字部分は、「(暑中の)涼しそうな感じ」を意味し、また、後半の「快眠」の文字部分は、「ここちよく眠ること。その眠り」を意味する語(いずれも広辞苑第5版)として、普通に使用され広く親しまれていることから、本願商標に接する取引者、需要者は、前記「涼感」の文字と「快眠」の文字とを結合してなるものと容易に認識するとみるのが相当であって、それ以外の何ものをも想起させることはないといわなければならない。
ところで、本願の指定商品である「敷き布、布団」等の寝具類ほか、これに関連する各種商品を取り扱う業界にあっては、夏の暑さ等による寝苦しさを防止して快眠効果をあげる各種商品の開発がなされているところであるが、これに関連し、前記「涼感」及び「快眠」の各語がそれぞれの商品分野において、普通に用いられている状況は、例えば以下の新聞記事より窺うことができる。
(1)1988年7月21日付け朝日新聞東京朝刊16頁には、「快眠へ、シーツ新時代 寝返り打つと芳香、籐でゴザ感覚の涼」の見出しの下、「寝苦しい季節を迎え、どの寝具メーカーも『涼しく、快適な眠りを』と知恵を絞っている。木綿、平織りが中心のシーツにも、最近は工夫が目立つようになった。・・・籐やパナマ草で編んだシーツ、竹を用いたものもある。5000―1万数千円だが、ござのような感覚で気楽に横になれ、涼感もあるため、好まれているとか。天然繊維人気の広がりを示してか、東京・池袋の西武百貨店池袋店では『昨年より2割ほど売れゆきが伸びている』という・・」との記載がある。
(2)1999年8月31日付け毎日新聞東京夕刊11頁には、「去りゆく夏 真夏日が28日も−−8月の東京、過去2番目」の見出しの下、「寝苦しい夜をすっきり過ごす快眠グッズも売れた。東急ハンズ新宿店によると、竹製のシーツ、表面にひんやりするシート状のジェルをつけて頭の周辺の温度を数度下げるまくら、・・・、快眠商品が在庫切れになるほどだった。」との記載がある。
(3)2001年7月21日付け朝日新聞大阪夕刊13頁には、「涼感グッズ、景気好感!?猛暑、売り上げ好調」の見出しの下、「連日のうだるような猛暑の影響で、涼感を求めた商品の売り上げが好調だ。衣料品では、汗をすばやく乾かす素材を使ったTシャツなどがヒット。熱帯夜対策の竹製シーツや大理石まくらといったアイデア寝具にも人気が集まっている。・・」との記載がある。
また、同様にこの種寝具類メーカー又は販売事業者に係るいわゆるインターネット・ホームページにおいても、前記「涼感」及び「快眠」の文字は、例えば以下のように使用されているところである。
(4)大阪府泉大津市在の「今堀株式会社」のホームページには、寝具類の広告・宣伝として「夏を快適に過ごす。自然の恵みから伝わる優しさ、そして涼感。夏の快眠寝具です。」との記載がある(http://wwwl.odn.ne.jp/imahori/)。
(5)雑誌「ディノス」の2001年夏号の宣伝・広告に関するホームページにおいて「夏の快眠を考えた寝具を揃えました。涼感たっぷりの素材で作ったカバーリングやシーツ、洗える寝具など、熱帯夜を快適に工夫する商品が満載・・」との記載がある(http://www.dinos.co.jp/catalog/dinos_01_sum.html)。
(6)岐阜県羽島市在の「ふとんの綿新」のホームページにおける夏用ふとんの広告・宣伝において、「夏バテ防止の快眠健康法 それはぐっすり眠ること そのためにヒンヤリ シャリッの麻ふとん」「ヒヤッとした涼感の麻 水分を吸収発散する麻 水分を含むと強度を増す麻 洗濯されるのが好きな麻・・」との記載がある(http://www.ktroad.ne.jp/ ̄watashin/watashin20.html)。
以上の事実を総合勘案すれば、「涼感」及び「快眠」の各文字(語)は、本願の指定商品である「敷き布、布団」等の寝具類ほか、これに関連する各商品分野において、その品質、効能を表示(誇称)するものとして、また、特に夏季の生活環境の快適性を訴える普遍的用語として、さらには、その相乗効果を期するものとして両語が相互に密接に関連して使用されている状況を窺い知ることができる。
そうすると、前述の如く看取される「涼感」と「快眠」の各文字(語)を並列的に表したにすぎない本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、全体として「涼しそうな感じでここちよく眠れる」といった意味合いをごく自然に認識し、理解するというのが相当であって、単に該商品が涼しげで快眠効果をもった商品であること、すなわち、商品の品質、効能を表示(誇称)するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというのが相当である。
請求人は、登録例を挙げ、それと比較して本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないと主張するが、それら登録例はいずれも商標の構成等において、本件とは事案を異にするものであり、かつ、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に当たるものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様とその指定商品との関係に基づいて、個別具体的に判断すべきものであって、それら事例を本件の判断基準とすることはできないから、その主張は採用の限りでない。
また、請求人は、「指定商品についてその一般的な品質を記述するのに『涼感快眠』なる文字あるいは熟語を用いることは一般に実際に行われておらず、取引者、需要者はかかる『涼感快眠』の文字をみてこれを一般的な品質を記述する表示とは感得しないのが実状である」とし、また、「本願商標は、商品の品質を暗示する要素をもちながらも識別力を有する」旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「涼感」及び「快眠」の各文字(語)は、寝具類を初め、この種関連商品を取り扱う当業者であれば、誰でもその表示を必要とし、かつ、その使用を欲するところであり、また、これら両語を並列したにすぎない本願商標は、普遍的、相乗的な効能等表示であるとした前記認定を相当とするから、結局、このようなものを特定の者の権利(商標権)に帰属させることは、商標の本質(自他商品識別力)及びその保護をうたった商標法の法目的(1条)に照らし、妥当性を欠くものというほかなく、したがって、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるをえないから、同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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