Trademark Appeal Case
著名図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第11793号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成5年5月10日に商標登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が商品『被服』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『ポロプレーヤーの図形(例えば、登録第2691725号商標、別掲)』とその構成の軌を一にする図形を含むものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或いはこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
第3 請求人(出願人)の意見
1.本願商標は、「us」「pa」のローマ字と、その文字の中間に図形を配したものであり、その図形は、黒いシルエット図形で、右向きの馬の上にポロの競技者が下を見ながら真下にあるポロの玉を、下向きに降ろしたスティックで正に打たんとしている図であり、馬の足とスティックが混在し、全体として動きを感じさせる図形である。
2.引用されたポロ/ローレン社の図形商標である「ポロプレーヤーの図形」は、やや左向きの馬の図形で、左足を上げた状態の馬の上にポロ競技のプレーヤーが体を伸ばしてスティックを右手の上方に高々と振り上げている図形であり、振り上げられたスティックは競技者の左肩からはるか上方まで持ち上げられている。このスティック部分が上方に突出している事が他のポロプレーヤーを図案化した商標と比較して特徴的な部分と考えられる。
3.そして、本願商標と同一の図形と、引用標章と同一の図形は、これまでの審査において、何度も非類似と判断されてきたものである。
しかし、本願の審査においては、ポロ/ローレン社の商標の著名性だけが評価されており、「ユナイテッド ステイツ ポロ アソシエーンョン(United States Polo Association、全米ポロ協会)」の商標の著名性について何ら考慮が払われていないものである。
4.さらに、本願商標を使用した商品はすでに市場に大量に販売されており、他のポロ関連商品と併存して販売されているものである。また、ポロ図形の商標は出願人以外にも多数の者によって使用されている。これらの商標は、商標登録を受けているものを多数含んでおり、いずれも類似しないものであり、互いに商品が出所混同を生ずる事態は現実に生じていない。
第4 当審の判断
1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング(同58年9月28日)発行「舶来ブランド事典’84 ザ・ブランド」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
ラルフ・ローレンのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章(以下「ラルフ・ローレン標章」という。別掲に示したものはその組み合わせの一態様を表す。)が用いられ、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。
(2)株式会社洋品界(昭和55年3月)発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項、及びボイス情報株式会社(同59年9月)発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述、及び同63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が同51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、ラルフ・ローレン標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社(1971年7月)発行「dansen 男子専科」を始め、前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社(昭和54年5月)発行「世界の一流品大図鑑 ’79年版」、株式会社チャネラー(同54年9月)発行「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑 ’80年版」、株式会社講談社(同55年11月)発行「男の一流品大図鑑 ’81年版」、同社(同55年5月)発行「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、婦人画報社(同55年12月)発行「MEN’S CLUB 1980,12」、株式会社講談社(同56年5月)発行「世界の一流品大図鑑 ’81年版」、前出「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」、株式会社講談社(同60年5月)発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、前出「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、同「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑 ’80年版」、同「男の一流品大図鑑 ’81年版」、同「世界の一流品大図鑑 ’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」「ポロ」「Polo」「ポロ(アメリカ)」「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の標章の下に紹介されていることが認められる。
(4)前記(1)ないし(3)の事実を総合すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(ラルフ・ローレン標章)は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。
2.商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別掲のとおり「us」及び「pa」の欧文字の中央に、該欧文字に比し一際大きく馬上にまたがってポロ競技をするごとき黒塗りの図形を配してなるものである。
一方、前認定のラルフ・ローレン標章も、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を有するものである。
また、本願の指定商品は、「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」であり、これらの商品はファッション関連商品ということができるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形に注目し、前記ラルフ・ローレン標章を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
3.請求人(出願人)は、本願商標と同一の図形と、引用商標と同一の図形は、これまでの審査において、何度も非類似と判断されてきたものであること、「ユナイテッド ステイツ ポロ アソシエーンョン(UnitedStates Polo Association、USPA全米ポロ協会)」の商標の著名性について何ら考慮が払われていないこと、他の「POLO」に関係する商標登録を受けている商標と引用商標とは類似しないものであり、互いに商品が出所混同を生ずる事態は現実に生じていない旨述べている。
しかし、「USPA全米ポロ協会」が我が国において著名であることや、他の「POLO」に関係する商標と引用商標とが現実に混同を生じていないと認めるに足りる証拠はない。また、本願商標と同一の図形と、引用商標と同一の図形は、これまでの審査において、何度も非類似と判断されきたものであると述べているが、そのような例があるとしても、本願商標は前記認定判断のとおり、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるから、請求人(出願人)の主張は採用することができない。
4.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。