Trademark Appeal Case
自動車と消防車の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第1950号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「PHANTOM」の欧文字を標準文字とし、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機,乗物用盗難警報器」を指定商品として、平成9年5月16日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、平成10年9月9日付け提出の手続補正書をもって、第12類「自動車並びにその部品及び附属品(タイヤ・チューブを除く),陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機」と縮減補正されたものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定は、その理由において「・・・上記補正後の『自動車並びにその部品及び附属品(タイヤ・チューブを除く)』と、引用登録第3290744号商標の『消防車,自動車用シガーライター』とは、消防車が特殊な用途の自動車であるとはいえ、自動車の一種であり、また自動車用シガーライターが一般の喫煙用ライターと異なり、自動車のバッテリーに蓄えられた電気を利用して点火するライターであって、専ら自動車の部品あるいは附属品として製造され、流通するものであるから、類似の商品とみざるを得ない。」旨述べ、本願の登録を拒絶したものである。
そして、本願商標の拒絶の理由に引用した登録第3290744号商標(以下、「引用商標」という。)は、「PHANTOM」の文字を書してなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,レコード,ロケット,消防車,消防艇,自動車用シガーライター,犬笛,メトロノーム」を指定商品として、平成5年12月6日に登録出願、平成9年4月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3.請求人の請求理由(要旨)
(1)本願商標の指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」と引用商標の指定商品「消防車、自動車用シガーライター」は、取引の現状から見て非類似とされるべきものであり、本願商標は登録されて然るべきものである。
(2)「自動車並びにその部品及び附属品」と「消防車」の類否について
(ア)生産部門が一致するかどうか
「消防車」は、車体よりもこれに搭載される消火設備の方が重要であることから、消防用ポンプメーカーが、自動車メーカーに乗員数及びエンジン出力を指定して、運転席、エンジン及び車輪からなる半完成車体を納入させ(甲第4号証:「各自動車メーカーによる消防ポンプメーカーへのシャシー(半完成品)納入台数表」等を参照)、これに消防用ポンプ、梯子及びその他の消火用設備を架装し、更に塗装を施した上で、「消防車」として完成させている。また、消防用ポンプメーカーは、上述のようにして完成させた「消防車」に、それぞれ自己の商標を使用しており(甲第5号証を参照)、この点からも、消防用ポンプメーカーが「消防車」を自己が製造した商品として扱っていることが窺える。
(イ)販売部門が一致するかどうか
「自動車」は、各自動車メーカーと特約販売契約を結ぶ自動車販売会社を通じて、全国のあらゆる需要者に販売されている。一方「消防車」は、消火作業という公共性の強い活動に用いられる特殊な商品であることから、地方公共団体又は消防車の配置が義務づけられた企業が、消防用ポンプメーカーに直接発注し納品させている。
(ウ)用途・機能が一致するかどうか
「自動車」の用途は「輸送」であり、「消防車」の用途は「消火作業」であることから、両商品の用途・機能は一致しない。
(エ)需要者が一致するかどうか
「自動車」は最も一般的な生産・消費財の一つであることから、全国民がその需要者となる可能性を持っている。一方「消防車」の需要者は、b)で述べたとおり、地方自治体等の公共団体又は消防車の配置が義務付けられた企業に限定されている。
したがって、両商品の需要者が理論上重なることはあっても、「消防車」の需要者が極めて限定されている以上、現実に出所の混同を生じる恐れはない。
以上、(ア)ないし(エ)で述べたとおり、本願の指定商品中「自動車」と引用商標の指定商品中「消防車」とは、その生産部門、販売部門、用途・機能及び需要者の何れにおいても著しい差異を有するものであり、例え同一又は類似する商標が両商品に同時に使用されても、出所の混同を起こす恐れのないことから、両商品は互いに非類似と解されるべきものである。
なお、「自動車」と「消防車」が非類似の商品である以上、「自動車の部品及び附属品」と「消防車」もまた非類似であることは、論を待たないものと考える。
(3) 「自動車の部品及び附属品」と「自動車用シガーライター」の類否について
(ア)生産部門が一致するかどうか
「自動車の部品及び附属品」の製造者は、我が国に多数存在している。一方「自動車用シガーライター」の製造者は、(株)東海理化電機製作所、ナイルス部品(株)及びスタンレー電気(株)の3社しかない(甲第6号証を参照)。
したがって、両商品の製造者が理論上重なることはあっても、「自動車用シガーライター」の製造者が極めて限定されている以上、現実に出所の混同を生じる恐れはない。
(イ)販売部門が一致するかどうか
「自動車の部品及び附属品」は、自動車部品販売店等を通して、広く需要者に販売されている。一方「自動車用シガーライター」は、自動車のインストルメントパネルに装着される電力供給コンセントとこれに挿入されるライター部とからなるもので、電力供給コンセントはそれぞれの自動車のインストルメントパネルに合うように形成されており、独立した商品として一般需要者に販売されることはほとんどなく、主として、自動車メーカーという特定の購入主体に納入されているものである。
(ウ)用途・機能が一致するかどうか
「自動車の部品及び附属品(12A05)」にどのような商品が含まれるか、「類似商品・役務審査基準」の例示を参照すると、「車輪、タイヤ、ハンドル、バンパー」等、いずれも自動車の構成部品(機械要素及び動力機械器具は除く)、あるいは「輸送」という自動車の本質的機能に密接な関係のある附属品が挙げられている。一方「自動車用シガーライター」は、専ら喫煙用ライターとして使用されるものであり、自動車の構成部品でもなく「輸送」という機能に直接関係する附属品でもない。
なお、特許庁商標課編「新商品・役務名リスト」を参照すると、商品名に「自動車用・・・」の語句が含まれながら、自動車の構成部品ではなく、「輸送」という機能にも直接関係のない商品がいくつか挙げられているが、これらの商品には何れも「12A05」以外の類似群コードが付与されており(甲第7号証を参照)、「自動車用シガーライター」もこれらと同様に扱われるべきものと考える。
(エ)需要者が一致するかどうか
「自動車の部品及び附属品」は、「自動車」が最も一般的な生産・消費財の一つであることに伴い、全国民がその需要者となる可能性を持っている。一方「自動車用シガーライター」の需要者は、b)で述べたとおり、ほぼ自動車メーカーに限定されている。
したがって、両商品の需要者が理論上重なることはあっても、「自動車用のシガーライター」は、製造者と共に需要者も極めて限定されていることから、現実に出所の混同を生じる恐れはないものと思われる。
以上、(ア)ないし(エ)で述べたとおり、本願の指定商品中「自動車の部品及び附属品」と引用商標の指定商品中「自動車用シガーライター」とは、その生産部門、販売部門、用途及び需要者の何れにおいても著しい差異を有するものであり、たとえ両商品に同一又は類似する商標が同時に使用されても、出所の混同を起こす恐れのないことから、両商品は互いに非類似と解されるべきものである。
なお、「自動車の部品及び附属品」と「自動車用のシガーライター」が非類似の商品である以上、「自動車」と「自動車用のシガーライター」もまた非類似であることは、論を待たないものと考える。
4.当審の判断
(1)商標の類否について
本願商標と引用商標の構成は、それぞれ前記のとおり、その構成文字を同じくするから、両商標は、外観、観念及び称呼を同じくする類似の商標と認める。
(2)指定商品の類否について
(ア)昭和35年3月8日通商産業省令第13号による商標法施行規則第3条は、「商標法施行令(昭和35年政令第19号)第1条の規定による商品の区分に属すべき商品は、別表のとおりとする。」と定めているところであり、当該別表によると、「消防車」は、該商品の区分第12類の「輸送機械器具」に属する「自動車」の範ちゅうに入るものとして例示されている。また、「自動車用シガーライター」は前記別表に例示はされていないが、同じく、「自動車の部品及び附属品」の範ちゅうに入るものと解され、取り扱われているものである。さらに、当該別表は、その後、ニース協定の規定に基づく国際分類の採用により、平成3年10月31日通商産業省令第70号をもって改正された結果、「自動車並びにその部品及び附属品」は、第12類に属する商品として例示され、「消防車」及び「自動車用シガーライター」は第9類に属する商品として各々例示されることとなった。
そして、国際分類の下であっても、「政令で定める商品及び役務の区分」と商品及び役務の類似範囲とは別のものである(商標法第6条第3項)。
(イ)商品の区分に基づいた「類似商品審査基準(特許庁商標課編集、社団法人発明協会昭和36年10月1日発行)」において「消防車」は、「自動車」の概念に含まれるものとして、必ずしも貨物(貨物自動車)、あるいは人間(乗用車、バス等)を輸送することをその主たる用途、機能としない特殊な車両である散水車、図書館車、宣伝カー等を含む他の前記省令に例示されている各種自動車と類似するとしている。また、「自動車用シガーライター」は、平成4年3月23日に改訂された「類似商品・役務審査基準」において、法令の定める商品の区分上、第12類の「自動車の部品及び附属品」に属するものでないとしても、商品の概念上、この範ちゅうに入り、それらは相互に類似するとしている。このことは、現在の国際分類採用下においても変更はない。
(ウ)ところで、産業上の諸統計の作成に使用されるほか、各企業、業界における商品コードの基準としても利用されている「日本標準商品分類(総務庁編集、財団法人全国統計協会連合会 平成8年9月第3版発行)」(以下、「日本標準商品分類」という。)によれば、その序章に記載の如く、商品の用途、機能、材料、成因を基準として類似するものごとに集約し、中分類番号を基本コードとしており、「中分類47−自動車及び二輪自動車(原動機付き自転車を含む。)」中の、「47 1 完成自動車(四輪及び六輪自動車)」に、乗用自動車を始め、消防自動車、救急車、タンク車、じんかい車を含む特殊用途車が同一分類中に分類されているところである。また、「47 8 部品及び附属品」に、ワイパ・アーム・ブレード及びリンク機構、ホーン及びブザー類等の商品と共にシガー・ライターが同一分類中に分類されている。
してみると、「日本標準商品分類」の中分類中に分類されている商品が、必ずしも前記類似商品審査基準と同一にする、いわゆる、類似(範囲)商品の掲載を目的としているものではないとはいえ、前記のとおり、商品の用途、機能、材料、成因を基準として類似するものごとに集約して、現状の取引業界等の商品の生産、流通の実態に合わせるべく作成していることからすれば、「日本標準商品分類」においても、本願商標の指定商品中の「自動車並びにこれらの部品及び附属品」と、引用商標の指定商品中の「消防車、自動車用シガーライター」とは、その概念を同じくし、その範ちゅうに属する商品であるとする点において、前記類似商品審査基準と同じくするといえるものである。
(3)そこで、本願商標の指定商品中の「自動車」と引用商標の指定商品中の「消防車」とを比較するに、両者とも運転席、エンジン及び車輪等により構成されるものであり、一般的な概念として、それぞれ用途・目的は異なるとしても、ガソリン・電気などの動力機関の利用をもつて道路上を動く車という点において輸送がその主たる機能である点を同じくするものである。
そして、消防車及び他の特殊な車両である散水車、図書館車、宣伝カー等を含む自動車の主要な部品と認められる車体ないしシャシーが同一の自動車メーカーによって製造販売されている事実(請求人提出に係る甲第5号証のポンプメーカーの商品カタログ中の「大型化学車NPCT-II」フロント中央に自動車メーカーの商標が付されている)があることから、必ずしも消防車が独自に自動車メーカーから離れてポンプメーカーのみにより製造されるものといえず、乗員数及びエンジン出力等、自動車本来の機能・構造において密接な関連を有するものである。
また、「消防車」が他の自動車(広報車、救急車等)と共に同一の自動車販売業者によって販売されている事実があること等を考慮すれば、消防車と他の自動車とは、これらを取り扱うディーラー等の取引業者を同じくする場合も少なくないものであって、消防車とともに救急車、乗用車等を購入するところの地方自治体、民間企業等の需要者を同じくするものといえる。
してみれば、本願の指定商品中の特殊な車両である散水車、図書館車等を包含する「自動車」と引用商標の指定商品中「消防車」とは、その生産部門、販売部門、機能(輸送)及び需要者を同じくすることのある類似の商品といわざるを得ないものである。
(4)本願商標の指定商品中の「自動車の部品及び附属品」には、当該省令別表に例示されているように「シャシー、車体、タイヤ、バックミラー、ワイパー」等が含まれ、これと引用商標の指定商品中の「自動車用シガーライター」とは、自動車の部品ごとの用途及び機能において異なるとしても、いずれも自動車を構成する要素(部品)であるという点において同じくするものであり、該「自動車の部品及び附属品」と「自動車用シガーライター」とが同一の業者によって製造あるいは販売されている事実があるところから、その製造業者、取引業者及び需要者等を同一にする場合があるとみるべきである。また、これら部品及び附属品は当然として消防車の構成部品となり得るものであり、これら部品及び附属品が消耗ないし故障した場合、その部品を係る自動車の純正部品として交換修理すること少なくなく、この商取引に際し各自動車本体の車種名をもって商品を特定し販売されているところである。
そうすると、「自動車の部品及び附属品」と「消防車、自動車用シガーライター」とは、自動車の本質的機能において相互に関連性ある類似の商品であるというのが相当である。
(5)結局、本願商標と引用商標とは、商標において類似し、また、上記認定のとおり、本願商標の指定商品中には引用商標の指定商品と類似する商品を含むものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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