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Trademark Appeal Case

商標使用の同一性・表示態様

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18143号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第661631号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和38年9月12日に登録出願され、「カムカム」の片仮名文字を書してなり、第32類「昆布、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和39年12月15日に設定登録されたものであるが、その後、商標登録の取り消し審判により、その指定商品中の「強化米」については取り消すべき旨の審決がなされ、その確定審決の登録が平成9年5月28日になされているものである。

第2 請求人の主張

本件商標の指定商品中、「加工野菜および加工果実の登録を取り消す。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、甲第1号証ないし甲第2号証を提出している。

本件商標は、その指定商品「加工野菜および加工果実」について継続して、3年以上日本国内において使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

(1)答弁に対する弁駁

被請求人は、平成10年1月23日付提出の審判事件答弁書において、乙第1号証ないし4号証の各証拠方法を以て、本件商標「カムカム」の指定商品「加工野菜および加工果実」に属する商品「そうざい(「たたきごぼう」および「酢れんこん」)」との関係での使用を主張した。

しかしながら、いずれの証拠資料も、本件商標の使用事実に関して、証拠力を欠いている。以下に、各号証の順序に則して、その理由を述べる。

1.乙第1号および2号証の証拠力について

(イ)乙第1号証の写真は、透明蓋部分と白色受皿部分とからなる包装容器に、食料品「たたきごぼう」が収められた物品を、左から順に、裏面、表面と並べ撮影したものと解される。また、乙第2号証の写真は、やはり透明蓋部分と白色受皿部分とからなる包装容器に、食料品「酢れんこん」が収められた物品を、左から順に、裏面、表面と並べ撮影したものと解される。

(ロ)乙第1号証および乙第2号証並びにそれを根拠とする答弁書理由本文の記載内容に照らし、被請求人が、上記各写真に示されるいずれの表示事実を以て、本件商標「カムカム」の使用事実を主張されるのか明らかでない。しかし、同様の写真が貼付されたものと推測される乙第3号証の写真(1)(2)に関する理由本文の記載(第2頁最終段から第3頁3行目)に照らせば、被請求人は、乙第1号および2号証の各写真上、包装容器裏面に貼付された白色シールの「品名」欄に記載された「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の各表示事実を以て、本件商標「カムカム」の使用事実の根拠とされるものと解される。

(ハ)しかしながら、まず、上記「品名」欄の「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示は、いずれも本件商標「カムカム」を一部に包含するが、それと同一ではない。しかも、前者は7文字全体、後者は8文字全体が、それぞれ一体不可分の構成を有しており、その外観・称呼は4文字の本件商標「カムカム」と異なっている。

よって、いずれの表示も、本件商標「カムカム」との実質的同一の関係を有するものとは俄に認め難い。

してみれば、本件商標との同一または実質的同一の関係が認められない上記「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示を以て、本件商標「カムカム」の使用事実と言うことはできない。

(ニ)また、そもそも、商標の自他識別機能なり出所表示機能の保護を目的とする商標法の趣旨に照らし、「登録商標の使用」とは、商標が取引者・需要者との関係で実際に上の機能を果す態様で使用される場合を言うものと解される。そして、とりわけ簡易迅速に取引される「そうざい」の如き日常食料品との関係で考えれば、商標が包装容器の表面等に付された場合にはじめて、「登録商標の使用」と是認されるものと解される。登録商標は、例えば物品が平積みに陳列された場合でも、一般需要者によって一見して看取される必要があるからである。

(ホ)しかるに、被請求人主張の「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示は、包装容器の裏面に、しかも、他の「名称」「原材料」「製造年月日」等の表示項目と特別に差別化されることなく記載されている。通常の取引形態を想起してみても、一般の取引者・需要者が、「そうざい」の購入に際して、常に、わざわざ商品裏面の「品名」表示を確認し出所を特定するとは理解しがたい。食料品のような多品種かつ簡易取引の対象とされる物品に関しては、商標は、包装容器の表面等、一見して看取可能な部分に付されると解するのが相当である。

してみれば、このような取引の実情に反し、物品の裏面にしかも他の文字との識別も困難な状態で記載された上記「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示は、「登録商標の使用」と認められるものではない。

(へ)さらには、被請求人が乙第1号および2号証に示す物品の裏面に貼付された白色のシールは、食品衛生法第11条2項(甲第1号証)によって義務づけられた法定表示を意味するものと解される。何故ならば、物品「そうざい」は、食品衛生法施行規則第5条の表示義務対象となる食品に該当し、上の白色のシールに記載される「名称」「賞味期限」「保存方法」「販売者」等の表示も、同条の表示基準に沿った内容と理解されるからである(甲第2号証)。

してみれば、上の白色のシールにおける「品名」欄の「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示も、食品衛生法の制度趣旨の実現を意図した記載とみるのが相当である。そこに、商標法上の「商標」としての使用意図を認めることは、社会通念上、困難である。こうした実情に照らしても、上記「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示を以て、「商標の使用」と認めることはできない。

(ト)結局、乙第1号および2号証の各写真上、包装容器裏面に貼付された白色シールの「品名」欄に記載された「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の各表示事実は、本件商標「カムカム」の使用事実と言うことはできない。よって、乙第1号および2号証は、本件商標「カムカム」の使用事実に関して証拠力を欠くものと言うほかない。

2.乙第3号証の証拠力について

(イ)乙第3号証は、件外株式会社天満屋が、被請求人の注文に従い、同人に、写真(1)および写真(2)に示される商品を納品した事実を証明しようとするものと解される。写真(1)および写真(2)に窺われる「カムカムごぼう」および「カムカムれんこん」の表示が、本件商標「カムカム」の使用と言えないことは前述したが、その他の理由からも、乙第3号証に十分な証拠力は認めがたい。

(ロ)まず、当該書証において、写真(1)に照らせば、同写真に示される商品「たたきごぼう」の内容量は110gと認められる。しかるに、対応する納品書の表示「〈S〉たたきごぼう」の記載箇所には、必ず「IK」の記載が認められるところである(納品書(1)(2)および(4))。

(ハ)ここで、仮に、当該「IK」の表示を、実際取引の慣行上多用される「Ikg」の省略形と解すると、計算上、「Ikg」は内容量「110g」の整数倍にはなりえない。よって、各納品書に記載された「〈S〉たたきごぼうIK」の表示を以て、写真(1)の商品「たたきごぼう」の正確な納品個数を示すことは不可能となる。してみれば、上記の各納品書は、納品個数が正確に記載されるはずの商取引の実際に反するので、写真(1)に示される商品の実際の納品書と解することが困難となる。

(ニ)他方、当該「IK」の表示を数量表示とは無関係と解し、各納品書上の単価欄の「830円」の表示を、そのまま写真(1)の商品の1個の納品価格と解するならば、今度は、一般的な取引感覚および他の書証から窺われる事実に照らし、不可解である。すなわち、写真(1)の如き、内容量で110g、目算で約20本の小指大の「ごぼうの加工品」に過ぎない商品が、取引者間の単価で830円、そして恐らく一般市場価格でそれ以上するとは、一般的な消費者感覚からもして俄には理解し難い。またこの単価は、被請求人の乙第4号証において、件外薮内殿が当該商品の単価を400円と宣誓される事実とも平仄が合わず、不可解である。よって、「IK」の表示を任意の記号程度に解するとしても、やはり、各納品書を写真(1)に示される商品の実際の納品書と解することは、困難となる。

(ホ)次に、乙第3号証の「証明書」において、写真(2)に示される商品が、納品書上では「酢れんこん トレー」と表記される旨、記載されている。しかしながら、同商品と写真(1)の商品とを比較するに、ともに「そうざい」であり、しかも商品の包装形態なり外観態様を酷似させているにも関わらず、前者が「酢れんこん トレー」、後者が「〈S〉たたきごぼうIK」と、全く表記方法を異にしているのは奇妙である。通常の取引通念に照らせば「たたきごぼうトレー」「酢れんこんトレー」とするのが自然である。

(へ)また、そもそも、件外株式会社天満屋殿から被請求人に提出されたものと推認される納品書上に、一切、本件商標「カムカム」の記載事実が認められないことが、不可解である。商標が取引者間においても自他商品識別機能を果すことは言うまでもないが、固有の商標が存在し、しかもそれが実際に商品に付されているのであれば、納品等の重要な取引に際しては、取引安全確保の見地からも、一般的な素材名称ではなく、商品の特定を容易にする固有の商標を使用すると考えるのが常識的である。乙第3号証の写真(1)(2)に示される商品には、本件商標「カムカム」を一部に含む品名「カムカムごぼう」および品名「カムカムれんこん」の記載が認められるが、この品名さえ、各納品書上には記載されておらず、不自然と言うほかない。

(ト)結局、乙第3号証においては、納品書(1)ないし(5)と写真(1)(2)に示される商品との対応関係に不自然ないし不可解な点が複数認められ、証拠として信用するに足りない。よって、乙第3号証は、本件商標「カムカム」の使用事実に関して、証拠力に欠くものと言うほかない。

3.乙第4号証の証拠力について

(イ)乙第4号証は、件外薮内良治なる一需要者が、平成9年8月25日付にて、被請求人より、「カムカムごぼう」なる商品を3ケ購入した事実を示す証拠と解される。

(ロ)しかしながら、同書証によっては、購入された「カムカムごぼう」なる商品が、本件取消の対象たる「加工野菜」なのか、またはそれと異なる「生野菜」なのかの事実、更に、肝心の、「カムカムごぼう」なる商品に如何なる商標が付されていたのか、別言すれば、件外薮内が、果して、本件商標「カムカム」が実際に付された商品「カムカムごぼう」を購入したのか、その事実はいずれも明らかとなっていない。

(ハ)被請求人は、理由本文第4頁第2ないし4行目において、乙第4号証は「本件商標を使用した商品(カムカムごぼう)の売買の証拠である」旨主張している。しかし、上記の証拠の実際からみて、乙第4号証からは商標の使用事実が商品類別上の特定商品との関係で具体的に示されないのであるから、当該主張は、「商品(カムカムごぼう)の売買事実」に関する限りでは正当と言えても、「本件商標の使用事実」との関係では失当と言うほかない。

(ニ)してみれば、乙第4号証は、本件商標「カムカム」の使用事実に関して、証拠力に欠くものと言うほかない。

4.商標使用の事実は認められない

(イ)以上を要約すれば、まず、乙第1号および2号証の証拠力は否定されるべきであるから、被請求人主張の加工野菜「たたきごぼう」「酢れんこん」との関係での本件商標の使用は不明である。また、乙第3号証には十分な証拠力を認め難いから、本件商標が付された上記加工野菜の製造事実も不明である。さらには、乙第4号証の証拠力は否定されるべきであるから、本件商標が付された上記加工野菜が、果して実際に販売されたのかも不明である。

(ロ)よって、本件商標「カムカム」の使用に関する被請求人の主張は、いずれも理由を欠き失当である。本件商標「カムカム」の加工野菜との関係での使用の事実は認めがたい。

以上に述べたとおり、本件商標「カムカム」は被請求人によって商品「加工野菜」について使用されている旨の同人の主張は失当である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

1.答弁の理由

(1)請求人は、本件商標は、その指定商品中「加工野菜および加工果実」について、継続して3年以上日本国内において使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきであると主張しているが、請求人は本件商標が使用されていない事実については一切立証していないばかりでなく、被請求人は、本件審判請求の日前3年以内に本件商標をその指定商品に使用しているので、本件審判の請求は成り立つものでない。

(2)被請求人である明石市朝霧町2丁目8番1号に本店を有する株式会社大阪屋昆布店は、大阪市天王寺区石ケ辻町8番13号に本店を有する株式会社天満屋に本件商標を使用した商品「そうざい(「たたきごぼう」及び「酢れんこん」)」の製造を委託し、同社から被請求人に乙第1号証及び乙第2号証の写真に示す通りの商品が納品されているのである。また、これらの納品を受けた商品は、被請求人の販売にかかる商品として、被請求人の店舗において、主として一般消費者向けに販売されているのである。そして、かかる被請求人の販売にかかる本件商標を使用した商品「そうざい(「たたきごぼう」及び「酢れんこん」)」は、いずれも野菜である「ごぼう」又は「れんこん」を加工した調理済食品である点において、本件指定商品中の「加工野菜」に属し、これに反することはあり得ないのである。

そこで、本件商標を使用した商品が株式会社天満屋から被請求人に納品された事実の一例を示すと、乙第3号証の証明書に添付の納品書(1)ないし(5)に示す通りであり、納品を受けた商品における商標の表示態様は、同書に添付の写真(1)及び写真(2)に示す通り、商品の容器に貼付したラベルに品名として本件商標に相当する「カムカム」の片仮名文字と商品の普通名称を端的に示す「ごぼう」又は「れんこん」の平仮名文字を明瞭に表わしたものである。そして、乙第3号証の証明書に添付の納品書によれば、少なくとも、本件審判の請求の日以前の平成7年12月22日、平成8年12月3日及び同22日に、同書添付の写真(1)及び写真(2)に示す通りの態様で、品名として本件商標に相当する「カムカム」の片仮名文字を使用した商品が、株式会社天満屋から被請求人に納品されていることは明らかである。しかして、乙第3号証の証明書に添付の写真(1)及び写真(2)に示す商品には、品名としてそれぞれ「カムカムごぼう」又は「カムカムれんこん」と一連に左横書きされた表示がなされているとしても、その中の「カムカム」は片仮名文字で表わされ、「ごぼう」又は「れんこん」は平仮名文字で表わされていることにより、「カムカム」の片仮名文字の部分と「ごぼう」又は「れんこん」の平仮名文字の部分が一見して別異のものと看取されることに加えて、商品との関係において、「ごぼう」又は「れんこん」の平仮名文字の部分は商品の普通名称を端的に表わしたものと理解されるため、かかる表示における商標の要部は「カムカム」の片仮名文字の部分にあると認識せられ、また、この片仮名文字「カムカム」は、「カムカム」の片仮名文字よりなる本件商標と同一性を有する商標を表示した態様のものであることは、何人といえども否定する余地のないものである。

(3)更に、本件商標を使用した商品「そうざい(「たたきごぼう」及び「酢れんこん」)」の如き、保存がきかず直ちに消費される一般消費者向けの安価な商品の取引においては、領収書等の取引書類が発行されることが少ないため、このような商品の販売日を具体的に示す資料が存在することも少なく、これによって販売日を明らかにすることは困難であるが、被請求人の保管している領収書控を調査したところ、たまたま顧客の求めに応じて領収書を発行した事例があり、その顧客が被請求人の常得意先で、被請求人の発行した領収書を保管していたことが判明したので、この顧客から領収書を添付した本件商標を使用した商品「カムカムごぼう」を被請求人から購入したとの事実の証明書を入手することができた。よって、この証明書を乙第4号証として提出し、被請求人が本件商標を使用した商品「そうざい(たたきごぼう)」を本件審判の請求の日前である平成9年8月25日に販売した事実を証するものである。

(4)以上によって、被請求人である「株式会社大阪屋昆布店」が、本件審判の請求の日前3年以内に、本件審判の取消請求にかかる指定商品「加工野菜および加工果実」に属する商品「そうざい(「たたきごぼう」及び「酢れんこん」)」に本件商標を使用していることが明らかになったので、このような本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定によって取消されるべきものでない。

2.第2答弁

被請求人は、平成10年1月23日付提出の審判事件答弁書(以下、答弁書という)に添付の乙第3号証に示すとおり、株式会社天満屋に本件商標を使用した商品「たたきごぼう」及び「酢れんこん」の製造を委託し、同社から納品を受け、被請求人の販売にかかる商品として、自店舗において主に一般消費者向けに販売している。

いうまでもなく、「たたきごぼう」及び「酢れんこん」は、野菜を加工した調理済食品であり、本件商標の指定商品中の「加工野菜」に属するものである。また、商標の使用態様は、答弁書に添付の乙第1〜3号証の写真に示すとおり、商品の容器に貼付したラベルに品名として、本件商標である「カムカム」の片仮名文字と、商品「たたきごぼう」又は「酢れんこん」の材料の普通名称を示す「ごぼう」又は「れんこん」の平仮名文字を一連に横書きし、それぞれ「カムカムごぼう」又は「カムカムれんこん」と表示しているものである。その構成中の「ごぼう」又は「れんこん」の文字部分は、自他商品の識別標識たり得ないものであるから、構成中の「カムカム」の文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部である。

よって、使用商標は、その要部において、本件商標の一の要部をなす「カムカム」の文字部分と同一性を失わない程度の態様をもって書してなるものであるから、結局、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の範囲を逸脱しない商標である。

したがって、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の範疇にある商標を、その指定商品中の「加工野菜」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していることは明らかであり、このような本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものでない。

第4 当審における審尋

(1)乙第3号証の(1)の納品書中「たたきごぼう1K」の「1K」は何を意味しますか。

(2)乙第1号証の「たたきごぼう」の定価は830円ですか。

(3)乙第4号証の薮内氏が被請求人より400円で購入したというカムカムごぼうは何グラムのものですか。

(4)同じような商品でありながら、商品名を「たたきごぼう1K」(たたきごぼう)、「酢れんこんトレー」(酢れんこん)と違う表示にしているのはどのような理由でしようか。

第5 当審の審尋に対する被請求人の回答

1.(1)の乙第3号証の納品書中「たたきごぼう1K」の「1K」について

乙第3号証の(1)の納品書中「たたきごぼう1K」の「1K」は重量1キログラムのことです。

2.(2)の乙第1号証の「たたきごぼう」の定価について

乙第1号証の「たたきごぼう」の定価は、400円です。

3.(3)の乙第4号証の藪内氏が被請求人より購入した「カムカムごぼう」について

乙第4号証の薮内様が平成9年8月25日に購入されたカムカムごぼうは、乙第1号証に添付の写真と同じものであり、110グラム入りのものです。

4.(4)の「たたきごぼう1K」と「酢れんこんトレー」の商品名の違いについて

被請求人の店舗において、「たたきごぼう」は年間を通じて扱われるものでありますが、「酢れんこん」は正月用の商品として年末期(12月)のみ扱われる商品です。

その内、「たたきごぼう」は、12月を除く通常期には袋詰された状態で仕入先の天満屋株式会社より納品され、1キログラム単位で取引されておりますが、繁忙期である12月の年末期にのみ、乙第1号証添付の写真にあるとおりプラスチック製の容器に詰めた状態で納品され、納品書におきましては、通常期の「1K」をそのまま表示しているものです。なお、この時期の納品についても、1キログラム単位での取引であり、商品の形状から多少の重量誤差がありますが、天満屋株式会社との永年の取引関係上、問題の無い範囲であります。

一方「酢れんこん」は、商品が欠損しやすいため、また繁忙期である年末の商品であるため、袋詰めされたものではなく乙第2号証添付の写真にありますプラスチック製の容器に詰められた状態で納品され、天満屋株式会社においてこの容器を納品書上「トレー」との表示にしているものです。

第6 当審の判断

(1)よって判断するに、被請求人の答弁及び提出した納品書(乙第3号証)によれば、被請求人は、乙第1号証ないし乙第2号証の写真にみられる「たたきごぼう」及び「酢れんこん」の製造を「大阪市天王寺区石ヶ辻町の株式会社天満屋」に委託し、出来上がった商品の「たたきごぼう」を、乙第1号証の写真にみられるプラスチック容器に入れたものを、1キログラム830円で1995年12月27日、1996年12月3日、1997年12月20日に、また、「酢れんこん」については乙第2号証の写真にみられるプラスチック容器に入れたものを一個185円で1996年12月22日には100個、1997年12月24日には120個それぞれ被請求人に納品されているものとみるのが相当である。これを裏付けるものとして、顧客の一人「藪内良治」が平成9年8月25日これを400円で3個購入していることを述べ、その事実を証する領収書を提出している(甲第4号証)。

そうとすると、被請求人は、顧客に対し乙第1号証の写真にみられる商品「たたきごぼうを」を400円で販売していることが明らかである。

(2)本件商標「カムカム」の文字は、「カムカムごぼう」「カムカムれんこん」として乙第1号証ないし乙第2号証にみられる如く、プラスチック容器裏のシールの品目欄に表されているものである。

しかしながら、この種の商品には容器の表面ばかりでなく裏側にもシール等で商標が使用され、需要者もシールが容器の表面にない場合には裏側を見て、そこに表されている商標によって当該商品の出所の識別することが日常普通に行われているところである。

また、当該容器の裏面の品目欄に表されている「カムカムごぼう」「カムカムれんこん」の文字は、「カムカム」と「ごぼう」及び「れんこん」の文字の書体が異なって表されているばかりでなく、「ごぼう」及び「れんこん」の文字が商品の普通名称でもあるところがら、需要者は自他商品の識別機能を果たす部分が構成中の「カムカム」にあるものと容易に認識・理解すると判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標と被請求人が「たたきごぼう、酢れんこん」に使用している商標とは、社会通念上同一性を失わない程度の商標とみるのが相当である。

(3)商品衛生法によって義務づけられている表示の一部に商標が使用され、それが一方で自他商品の識別標識としての機能を果たしている場合に、その部分が当該商標の使用でないということはできない。

(4)そして、被請求人の提出している乙各号証及び当審の審尋に対する回答中、被請求人の答弁の一部には平仄が合わない部分があるとしても、それ以外の部分を総合勘案すると、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人が取消請求に係る商品中の「加工野菜」に属する「たたきごぼう、酢れんこん」について使用していたものと言うのが相当である。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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