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Trademark Appeal Case

方言の記述性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−91266(T2000−91266/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4413167号商標の指定商品の第3類「化粧品,歯磨き,せっけん類」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4413167号商標(以下「本件商標」という。)は、「うっちん化粧品」の文字(標準文字による)を書してなり、平成11年3月29日登録出願、第3類「化粧品,歯磨き,せっけん類」及び第42類「エステティック,美容」を指定商品及び指定役務として、平成12年9月1日に設定登録がなされたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、これを本件商標の指定商品に使用するときは、「ウコンを原材料とした化粧品」を直感させ、単に商品の原材料、品質を表す標章にすぎず、また、前記商品以外の指定商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要旨

本件商標は、これを本件商標の指定商品中、例えば、「うこん(うっちん)を原材料とする化粧品、うこん(うっちん)を混入した化粧品」について使用した場合、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず、また、前記商品以外の指定商品について使用した場合、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

4 商標権者の意見の要旨

上記3の取消理由に対して、商標権者は、つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(甲各号証の表示は適当でないので、乙各号証として取り扱う。)を提出した。

商標権者が「うっちん化粧品」を出願したのは、「うこん」の「う」の文字を頭として愛称化し「うっちん」としたもので、出願をした当時は「うこん」なる語は知られていたが、「うっちん」なる語は一般化していなかった。指摘の「うっちん」は、沖縄県の一部において、方言として使用されていたかも知れないが、一般化していたとは考えられない。

商標権者は、登録異議申立人提出の証拠と共に、インターネットによる「うっちん」の語彙を検索し「うっちん」の語彙は「うこん」を意味する沖縄地方の方言であることも了解した。しかし、「うっちん」「うこん」は、乙第1号証ないし乙第5号証並びに乙第7号証ないし乙第11号証及び乙第13号証の如く、共に商標登録され現在に至っている。商標権者が本件商標を出願した当時は、インターネットによる「うっちん」の語彙を検索することはあり得ず、文献による照合も困難な時期であった。このようなことから、本件商標が「取消」になることは了解できないものである。

前述の如く、「うこん(うっちん)」は、色、味、匂い、手触り等、独特の性質があり、また、商品の品質表示も明確になってきた今日、品質の誤認が生じるおそれはあり得ない。

5 当審の判断

本件商標は、「うっちん化粧品」の文字を書してなるところ、その構成中、前半の「うっちん」の文字は、「ウコン」を意味する沖縄地方の方言として知られているものである。

ところで、本件商標の構成中の前半の「うっちん」の文字については、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出の甲第1号証によれば、「日本薬草全書」(新日本法規出版株式会社 平成7年9月22日 発行)の「ウコン」の項に「生薬名:【局外】鬱金,宇金【ウコン】(根茎)」の記載が認められ、同じく、「薬草の名前と由来」の項の「別名および方言」の項に「キゾメグサ(黄染草,方言:ウッチン(鬱金の変化したもの)」の記載がそれぞれ認められる。

そして、該甲第1号証によれば、「ウコン」は、「単子葉植物で、高さ50〜170cmで、地上部の偽茎,葉がカンナに似た多年草」であることが認められる。

また、「ウコン」の文字及び「うっちん」の文字については、同じく、甲第2号証によれば、「がんこ!村上の<スーパー健康塾>生薬『ウコン』が効く」(現代書林 1996年11月30日 発行)に「バイオの技術で苦味と独特な匂いを押さえた発酵ウコンが登場し、やっと日本の緑茶のような形で飲まれる」の記載が認められ、同じく、「・うっちん茶」の項に「生のウコンの皮をむき1センチほどの厚さに切って、じっくり煮出します。・・・スライスした乾燥ウコンでも同じように煮出してつくります。・・・」の記載が認められ、同じく、「・うっちん酒」の項に「・・・旅のつれづれに鬱金酒の香りと色を楽しんで詠んだ詩ですが、この鬱金はウコンではなくサフランであると、・・・沖縄のうっちん酒は、乾燥ウコンをスライスして泡盛につけます。・・・」の記載が認められ、同じく、「・うっちんジューシー」の項に、「沖縄にはジューシーという郷土料理があります。本土でいう炊き込みごはんです。鳥肉あるいは魚肉を小さく切ったものと、ニンジン、ヒジキ、シイタケなどを順番に油でいためて、おろしウコン入りのだし汁で米を炊きます。ウコンが肉の臭みを消し、食欲をそそる芳ばしい香りに変えてくれるのです。」の記載が認められ、同じく、「・うっちんの味噌汁」の項には「味噌汁におろしたウコンを入れるだけ。・・・魚など臭みの強いものが汁物に入るときは、やはり臭い消しとしてウコンを加えます。」の記載が認められ、「・うっちんの砂糖てんぷら」の項に「ウコンの生の根茎が手に入ったら、ぜひとも試してほしいのがこのてんぷらです。砂糖とすりおろしたウコン、卵、小麦粉とベーキングパウダーを混ぜ、直径3センチほどのたねをつくり、低めの温度で揚げます。・・・ウコンと調和した甘さといい、かわいらしい形といい、子どものおやつには最適です。」の記載が認められる。

さらに、申立人の提出の甲第3号証によれば、「化粧品種別許可基準 1999」(株式会社薬事日報社 平成11年4月10日発行)によれば、「連番」の「227」の項に、「ウコンエキス」の文字の記載が認められ、同じく、「連番」の227」の項に「(1)清浄用化粧品」、「(2)頭髪化粧品」、「(3)基礎化粧品」、「(4)メークアップ化粧品」、「(5)芳香化粧品」、「(6)日焼け・日焼け止め化粧品」、「(7)爪化粧品」、「(9)口唇化粧品」、「(10)口腔化粧品」及び「(11)入浴用化粧品」の記載がそれぞれ認められ、「ウコンエキス」の語が「化粧品」の原材料として使用されていることが認められる。

以上の事実によれば、「うっちん」は、「うこん」を表す語として用いられているものといえるものである。

そうとすると、「うっちん化粧品」の文字よりは、「うこんを原材料とする化粧品若しくはうこんを混入してなる化粧品」を表示すると認識するものと判断するのが相当である。

してみれば、「うっちん化粧品」の文字からなる本件商標をその指定商品中「化粧品」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記事情から、「うこんを原材料とする化粧品」等を認識するにとどまり、単に商品の品質、原材料を表示したものと理解し、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認識しないものと判断するのが相当であり、また、本件商標をその指定商品中「歯磨き、せっけん類」に使用するときは、商品の品質について、誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、その指定商品の第3類「化粧品、歯磨き、せっけん類」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

なお、商標権者は、過去の登録例を引用し、本件商標は、登録されるべきである旨主張しているが、本件は、その登録例といずれも事案を異にするものであるから、商標権者の主張は採用できない。

よって、結論のとおり決定する。

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