Trademark Appeal Case
「シンバイオテクス」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90332(T2001−90332/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4449617号商標(以下、「本件商標」という。)は、「シンバイオテクス」の片仮名文字と「Synbiotics」の欧文字とを上下二段に書してなり、平成12年2月18日に登録出願、第29類「乳製品,食用油脂」を指定商品として、平成13年1月26日に設定の登録がされたものである。
2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当すると主張し、その理由を要旨次のように述べている。
本件商標を構成する「シンバイオティクス」、「Synbiotics」の各文字は、ビフィズス菌、乳酸菌等の腸内有益菌である「プロバイオティクス/probiotics」と、当該有益菌の増殖因子となり得る各種オリゴ糖である「プレバイオティクス/prebiotics」とを含む微生物や物質を指称するものである。
そして、この「シンバイオティクス」、「Synbiotics」の語により指称される微生物や物質は、人の腸内における有益細菌の生育を促進させることにより、整腸作用その他の具体的効能を有するものとして、例えば本件指定商品「乳製品,食用油脂」に応用(添加)されることが少なくない。
したがって、本件商標をその指定商品中前記商品に使用した場合には、これに接する者に、当該商品の品質を理解させるとどまり、他方、これを前記商品以外の商品に使用した場合には、当該商品の品質につき誤認を生じさせるおそれがある。
3 本件商標の取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成13年10月26日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の各点が認められる。
(1)「食品と開発 VOL.34 ’99ーNO.2」(1999年2月1日 株式会社健康産業新聞社発行)(甲第1号証)によれば、「プロバイオティクスとプレバイオティクスの研究は、...宿主固有の微生物生態系と宿主の相互作用の理解を基礎とする応用研究に他ならない。プロバイオティクスもプレバイオティクスも、さらに両者を併用するシンバイオティクス(synbiotics)もその根底にある思想は宿主の腸内フローラを制御して健康に寄与させることにある。」、「プロバイオティクスは抗生物質アンチバイオティクスに対比する概念で、共生を意味するプロバイオシスに起源する。」、「プレバイオティクスはGibsonによる造語であり、食事成分に起源する多くの糖質で腸内フローラを修飾しうる物質が対象となる。」及び「...プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせたものをシンバイオティクス(synbiotics)の用語で提案している。」等の解説がされていること。
(2)「独立行政法人農業技術研究機構 動物衛生研究所九州支所のインターネットホームページ」(甲第2号証)によれば、「生菌剤(プロバイオティクス)」の項において、「2.プレバイオティクス,シンバイオティクスとはプレバイオティクスとなりうる有用菌の腸内増殖促進物質」と解説されていること。
(3)「プリマハム株式会社のインターネットホームページ」(甲第6号証)によれば、「1.プロバイオティック乳酸菌とは」の項に「人の消化管内の常在菌叢を改善し、人の健康に役立つ有用乳酸菌を総称して、プロバイオティック乳酸菌と呼んでいます。」と解説されていること。
(4)「株式会社ヤクルト本社のインターネットホームページ」(甲第7号証)によれば、「プロバイオティクスの定義」の項に「プロバイオティクスは抗生物質に対比される言葉で、生物間の共生関係を意味する生態学的用語を起源としています。プロバイオティクスとは、『腸内フローラのバランスを改善することにより、宿主(人など)に有益な作用をもたらす生きた微生物』と定義されています。」と解説されていること。
以上の各点よりして、乳酸菌製品を取り扱う業界ないしはこの種商品の取引者、需要者間においては、「シンバイオティクス」(synbiotics)の文字(語)は、人の健康に役立つ有用乳酸菌「プロバイオティクス」(probiotics)とその腸内増殖促進物質「プレバイオティクス」(prebiotics)を合わせたもの又はその両方の作用を併せ持った物質を表す用語であって、人の腸内における有益細菌の生育を促進させる微生物又は物質を指称するもの、すなわち、商品の原材料、品質等を表示するものとして容易に理解され、かつ、通用しているものとみるのが相当である。そして、本件商標は、その指定商品中にこの種微生物又は物質を原材料に使用して製造する製品が含まれるものといえる。
そうとすれば、本件商標をその指定商品中のシンバイオティクスの作用効果を備えた商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その品質、効能又は原材料を表示したものと理解するに止まり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、かつ、これを前記以外の商品について使用したときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号の各規定に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
本件商標権者は、上記3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
本件商標についてした上記の取消理由は妥当であって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の各規定に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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