Trademark Appeal Case
DAAの識別力と商標類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−90984(T2000−90984/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4392176号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年1月7日(パリ条約による優先権主張1998年7月19日、アメリカ合衆国)に登録出願、「SmartDAA」(標準文字)の文字を書してなり、第9類「モデム・コンピュータ・留守番電話機等を通信線に接続する電子回路」を指定商品として、平成12年6月16日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人が引用する登録第4356623号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「スマート」と「SMART」の文字を二段に書してなり、平成7年7月5日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,ロケット,遊園地用機械器具,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,事故防護用手袋,消防車,消防艇,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,犬笛,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム,潜水用機械器具」を指定商品として、平成12年1月28日に設定登録、同じく、登録第4356634号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「SMART」と「スマート」の文字を二段に書してなり、平成8年11月20日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,ロケット,遊園地用機械器具,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,潜水用機械器具,犬笛,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器」を指定商品として、平成12年1月28日に設定登録されたものである。
3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、引用A及びB商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)「DAA」の用語がインターネット上に記載されているからといって、「Data Access Arrangement」の略称として取引業者、需要者の間に広く知られていると断定することはできない。一般に技術用語において、英文表示すると名称が長くなるものについて各語の頭文字のみで略して表記することは頻繁になされていて、「DAA」として略記されるのは、これのみではない。
乙第1号証は、アメリカのホームページによるものではあるが、「DAA」なる用語が、いろいろな回路等の略語として使用され得ることを示すものであり、特定の製品もしくは回路について「慣用」されているものではないことを示唆している。もちろん、本件では、日本における慣用性が問題となっているが、電子応用機器の分野における技術は、アメリカが先行するものが多く、その用語もアメリカのものを便宜上そのまま借用している場合がほとんどである。
つまり、異議申立人の引用しているインターネット上の証拠は、それらのホームページ作成者がアメリカの技術用語の一つをそのまま借用しただけであり、これらにより日本において「慣用」されているという事実を立証することはできないと解すべきである。
因みに、他の「Decimal Adjust for Addition」が日本で「DAA」として表記される例、及び本件商標の指定商品と同分野における市販の用語辞典に「DAA」の文字が掲載されていないことを示すものとして乙第2号証ないし同第4号証を添付する。
したがって、本件商標の指定商品について「DAA」の用語が慣用され、識別力がないと断定することはできない。
(2)本件商標は、最初のみが大文字の「Smart」の後ろに、大文字のみの「DAA」をスペースを介さずにそのまま続ける変則的な構成になっており、これにより全体として顕著なデザイン性を呈するように工夫されている。このような変則的結合によるデザイン性の創出により、2語が不可分かつ一体的に結合してなる新たな商標である印象を需要者に与え、これにより全体として識別性を生み出すものである。
したがって、本件商標は、安易に2語に分断して類似性を判断すべきではなく、全体として考察すべきものであり、この観点からして、引用A及びB商標とはその外観、観念、称呼の全ての点において明らかに非類似のものである。
5 当審の判断
本件商標は、前記構成のとおりであるところ、その構成からみて、「Smart」と「DAA」の欧文字を結合したと容易に看取されるばかりでなく、全体として特定の意味合いを有する熟語を構成するともいい難いものであって、他にこれを常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとする格別の事情は見当たらない。
そして、本件商標は、これを全体として称呼するときは「スマートディーエイエイ」と比較的冗長なものであること、及び異議申立人提出の甲第5号証ないし同第13号証によれば、その構成中後半の「DAA」の文字が「データ・アクセス機器」を意味する「Data Access Arrangement」の略語として使用されていて、それ自体、自他商品識別力の希薄な部分であること等を併せ考慮すれば、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、これに接する取引者・需要者は、「DAA」の文字部分を省略し、前半の「Smart」の文字部分のみを捉えて、これより生ずる称呼・観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「スマートディーエイエイ」の一連の称呼を生ずるほか、「Smart」の文字部分に相応して、「スマート」の称呼・観念をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用A及びB商標は、前記構成のとおりであるところ、その構成文字に相応して、いずれも「スマート」の称呼・観念を生ずると認められるものである。
してみれば、本件商標と引用A及びB商標は、それぞれ生ずる「スマート」の称呼・観念を共通にする類似の商標であり、かつ、引用A及びB商標の指定商品は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品を包含するものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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