Trademark Appeal Case
著名商標と商号の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−90874(T2000−90874/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4384863号商標(以下「本件商標」という。)は、「朝日メディックス」の文字を標準文字とし、平成11年10月26日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,映写フィルム,スライドフィルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,文字・画像情報を記憶させたCD−ROM,写真複写機,家庭用テレビゲームおもちゃ」及び第16類「紙類,紙製包装容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,印字用インクリボン,製図用具,タイプライター,文書細断機,郵便料金計器,装飾塗工用ブラシ,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、平成12年5月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べている。
申立人は、「朝日新聞」をはじめ「週刊朝日」「俳句朝日」など「朝日」「アサヒ」又は「ASAHI」を含む印刷物を多数出版しており、「朝日」を含む題号は申立人の業務に係る印刷物を表示するものであると需要者の間に深く浸透しているから、「朝日」を含む本件商標が第16類「印刷物」に使用された場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、その指定商品中「印刷物」については商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標についてその指定商品中、第16類「印刷物」についての登録を取り消すべきものとする旨商標権者に対して通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
申立人は、「朝日」とも略称され需要者間に広く知られている全国紙の「朝日新聞」をはじめ、例えば、「週刊朝日」、「アサヒグラフ」、「アサヒカメラ」、「ASAHIパソコン」等の雑誌、「朝日文庫」、「朝日選書」、「朝日学習年鑑」、「朝日美術館」等の書籍等、「朝日」、「アサヒ」又は「ASAHI」の文字を含む印刷物を多数出版しており、これらの実状からすると、「朝日」、「アサヒ」又は「ASAHI」の文字を有する印刷物は、申立人の業務に係る印刷物であるとの認識が、取引者、需要者の間に浸透しているものというべきである。
そうすると、本件商標は、申立人の出版する印刷物の題号と同様に「朝日」の文字を含む「朝日メディックス」の文字よりなるものであるから、新聞、雑誌、書籍などの業界における上記事情からすれば、これをその指定商品中「印刷物」について使用した場合、取引者、需要者は、これを申立人の業務に係る印刷物であるかの如く、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第16類「印刷物」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
上記取消理由に対し、商標権者は、その意見を要旨次のように述べている。
(1)本件商標は権利者の商号の略称そのものである。
商号商標(商号の略称を含む)の場合、類否判断においてその旨が配慮される傾向にあるが、商標法第4条第1項第15号の適用においても同様に「商号の略称」であることが配慮されるべきである。
類否判断において商号商標であるから分離した称呼が生じない、と認定する理由は、そこには当該商標に接した需要者は、「商号の略称」であることを認識しつつ称呼するという事実が存在するからであろう。そうであれば、本件商標に接する需要者もまた、本件商標が「商号の略称」であることを認識しつつ、本件商標が発信する情報を認識するということができる。
そして、本件商標が発する情報は、「株式会社朝日メディックス」の取り扱いに係る商品である、というものであり、決して「朝日新聞社の商品である」という情報を発信するものではない。需要者は商号商標と理解して本件商標に接するのであるから、「朝日新聞社」という情報を認識するおそれはないのである。
したがって、本件商標が商号商標であるので、朝日新聞社の商品であるとの誤認・混同が生じる余地はない。
(2)本件商標は一体不可分の造語である。
取消理由において指摘する朝日新聞社発行の書籍類の題号は、いずれも「朝日」等の文字と書籍などの内容又は形式を表示する言葉(品質表示)を結合させたものである。
しかるに、本件商標「朝日メディックス」中「メディックス」部分は印刷物の内容も形式も理解させるものではない。「メディックス」に米語で「医者」程度の意味があるとしてもそれは単に辞書の上でのことであり、「メディックス」と言う文宇が「医者」を意味するものとしてわが国で使用されている事実はなく、普及した言葉でもない。
したがって、本件商標「朝日メディックス」は、多数の「朝日」関連印刷物の一角をなすものと理解されることはなく、−体不可分の造語としてのみ認識されるのである。
そして、本件商標は商号の略称であるから、本件商標に接した需要者は朝日新聞社を想起することなく、権利者会社との関連を想起するのである。
(3)以上のとおり、本件商標は権利者の商号であり、造語である。これらの要素の相乗効果により、本件商標は朝日新聞社を想起されることはない。 したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした取消理由には妥当性はないものである。
5 当審の判断
本件商標について、その指定商品中の第16類「印刷物」についての登録を取り消すべきものとした先の取消理由は妥当であって、本件商標はこの点に関する限り他人の業務に係る商品とその出所について混同を来すものといわざるを得ない。
商標権者の述べる意見は、以下の理由により、いずれも採用することができない。
(1)商標権者は、本件商標は権利者の商号の略称そのものであり、これに接する需要者は「商号の略称」であることを認識しつつ、本件商標が発信する「株式会社朝日メディックス」の取り扱いに係る商品であることを認識するから、申立人の商品であるとの誤認・混同が生じる余地はない旨主張する。
確かに、商標権者の述べるとおり、本件商標の構成は「朝日メディックス」の文字よりなるものであり、商標権者の商号「株式会社朝日メディックス」の文字から法人の種類を示す「株式会社」の文字を除いた部分と構成文字が一致する。
しかしながら、本件商標をその指定商品中の第16類「印刷物」に使用した場合、これに接する取引者、需要者が本件商標を商標権者に係る商号の略称であると認識するというためには、「朝日メディックス」の表示がその旨取引者、需要者の間において広く認識され、或いはその取り扱いに係る商品(印刷物)を表示するものとして取引者、需要者間において広く認識されている等、特段の事情の存在を明らかにすべきものと解されるところ、商標権者は何らの証拠も提出せず、それら事情を全く明らかにしていない。
そうすると、「朝日メディックス」の表示に関する周知事情は全く判断することができず、また、商号一般の場合と異なり商標権は全国単一の権利であるから、本件商標について商標権者の述べる事情を考慮に入れる余地はなく、したがって、本件商標に接する取引者、需要者がこれより直ちに商標権者の取り扱いに係る商品の如く認識するとみるのは困難といわざるを得ない。
してみれば、この点を理由とする商標権者の主張は妥当性を欠くものというべく、その理由をもって先の取消理由の認定を覆すことはできない。
(2)商標権者は、申立人発行の書籍類の題号はいずれも「朝日」等の文字と書籍などの内容又は形式を表示する言葉(品質表示)を結合させたものであって、本件商標はこのような構成のものではないから、一体不可分の造語と認識されるものである旨主張する。
しかしながら、「メディックス」の文字(語)が特定の意味合いをもって親しまれた語とはいえないとしても、「朝日メディックス」の文字よりなる本件商標の全体からは、一体不可分の造語とのみ認識されるものでなく、むしろ、商標自体とそのほかこの種印刷物又は出版物の需要者一般の注意力の程度、当該他人の商標の著名性等、取引の実情に照らし総合判断するに、本件商標は当該印刷物の分野に関し商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
すなわち、本件商標は、それ自体文字種が異なる「朝日」の文字と「メディックス」の文字とにより構成されており、視覚上、比較的容易に両文字部分に分離して看取し得るものである。そして、取消理由に示したように、「朝日」、「アサヒ」又は「ASAHI」の文字(標章)(以下「申立人商標」という。)は、申立人に係る新聞をはじめ雑誌、書籍等の各種印刷物を表彰するものとして取引者、需要者の間に深く浸透しているというべきであるから、本件商標を印刷物に使用した場合、取引者、需要者は前記事情よりして、「朝日」の文字部分に着目し、これより直ちに申立人商標を連想、想起すると共に、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く認識する蓋然性は極めて高いというべきである。
してみれば、本件商標の不可分性を理由とする商標権者の主張は妥当でなく、その理由をもって先の取消理由の認定を覆すことはできない。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の第16類「印刷物」について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標は、同法第43条の3第2項により、上記商品についての登録は取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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