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Trademark Appeal Case

同一称呼と役務の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2001−60069(T2001−60069/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

指定役務中「第41類 知識の教授」に使用するイ号標章は、登録第4406710号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4406710号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,書類の複製,速記,文書又は磁気テープのファイリング」、第41類「知識の教授,図書及び記録の供覧,映画又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」、第42類「デザインの考案,電子計算機・その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、平成11年4月12日に登録出願、同12年8月4日に設定登録されたものである。

2 イ号標章

被請求人が役務「About Internet Academy;インターネット業務一般、並びに,Support Guide;情報の提供」に使用するものと請求人が主張する標章は、甲第1号証に示された文字及び図形全体であるが、請求人の意図は、甲第1号証中、別掲(2)に示す「InternetAcademy」の文字部分について、本件商標の商標権の効力の範囲に属するか否かの判定を求めることにあるから、この「InternetAcademy」の文字部分を、「イ号標章」として取り扱い、判定をするものとする。

3 請求人の主張の要旨並びに答弁に対する弁駁の要旨

請求人は、被請求人が役務;About Internet Academy;インターネット業務一般、並びに,Support Guide;情報の提供、に使用するイ号標章は、登録第4406710号商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出している。

(A)請求の理由の要旨

(1)判定請求の理由

(イ)被請求人が、商標として、その役務に使用しているイ号標章(甲第1号証)は、Internet Academyなる文字と、通常あり得る図形の結合商標である。また、被請求人が同様に商標として、その役務に使用している参考資料の標章(甲第2〜7号証)も、前記に類似の商標である。 一方、請求人の登録商標は、INTERNET ACADEMYなる文字と通常ある図形の結合商標であり、被請求人が役務に使用している商標等は請求人の登録商標と、判例によれば、称呼同一である。

(ロ)被請求人の役務は、この標章「Internet Academy」に付随して記載されている通り、第35類のLesson Guideであるから、インターネット全般の、International;国際的通信業務である。また、第41類のパソコン入門知識の教授;業務教育についての知識の普及、更に第42類のプロフェショナル、ライセンス等電子計算機について高度の役務広範囲の情報の提供などが含まれる。一方、請求人の役務は、第35類のインターネットによる広告、経営の診断及び指導、市場調査、商品の販売に関する情報の提供、また第41類の知識の教授、図書等の供覧、更には、第42類のデザインの考案、電子計算機の高度の専門的な知識等の紹介などである。したがって、両者の役務は、同一の部分も甚だ多いから、同一ないし、類似の範囲にある。

(ハ)商標の類似とは、多数説によれば、原則として、2つの商標又は標章が、同一又は類似であり、かつ商品又は役務が同一又は類似の範囲内にあり、さらに両者が、需要者から見て相紛らわしい場合は、出所混同を生ずる場合があるので、類似である、とされる(網野誠;商標第5版、P421〜423)。この類似の状態は本件の両者の類似の態様に相当しており、相紛らわしいので、業務上の信用を維持するため、判定請求の理由が成り立つ。

(B)イ号標章の説明

本件におけるイ号標章は、甲第1号証に示すとおりのものである。イ号標章の構成要素について説明する。

甲第1号証の標章の外観は、Internet Academyなる白色の英文字が青緑色の背景の中に表され、その背景には、地球儀の一部のような漠然たる青緑色の図形が表されており、アフリカ、ヨーロッパの地図の形が表現されている。更にまた、電波を表すような白い曲線が3本描かれている。この外観を一言でいえば、インターナショナル即ち国際的通信網Internetを表現している。これは、Internetという特殊なものではなく、ごく普通に、Internetをイメージする程度にのものである。しかして、小さな文字でLesson Guide、インターネット教育システムと付記され、役務の内容を表す外観となっている。

次にイ号標章の称呼は、先ずlnternet Academy;インターネットアカデミーと通常称呼されることは確実であり、付記されているLesson Guide;インターネット教育システム等の小文字は、役務を表すもので、称呼ではない。

しかして、前記の図形から何等かの称呼を生ずるか、ということであるが、該図形は漠然たるヨーロッパ、アフリカ大陸を含み地球儀の一部を表している。したがって、イメージとしては国際的;インタナショナルを連想させる。すなわち、インタナショナルな通信網をイメージするものであるから、インターネットと殊更に別の称呼は出てこない。したがって、称呼は矢張り、インターネットアカデミーと同一になる。

なお、小さな赤丸の中に、白魚のようなマークも見られるが、この部分からは、何らの称呼も出てこない。

さらに観念のイメージであるが、前記したように図形が地球儀の一部であるから、国際的通信なるイメージと共に、Lesson Guideが中文字で記載されているので、インターネットについての「知識の教授」をイメージする観念であることは、明らかである。

さらにまた、該標章の右下には、小さな赤丸の中に、白魚のような小図形が描かれており、JMS株式会社メデイアサポートと、イ号標章使用者の社名が入っているので、同社がイ号標章使用者であることを示している。

(C)被請求人による類似標章の使用について、重要参考資料として説明する。

被請求人は、前記イ号標章のほかにも、それと類似し、かつ、請求人の登録商標にも類似する標章も多数使用しているので、それらについても、重要参考資料;イx号標章として説明する。これらの標章使用者は被請求人と同一人である。

(イ)甲第2号証を、重要参考資料;イ2号標章として説明する。

その外観は、バックの青色ないし緑色の中に、白色で浮かび上がらせた、英語の「Internet Academy」なる文字によりなるものである。またその図形は、前記「Internet Academy」の文字の背景のような態様で、全体で見ると、格子状ないしは市松状のものであり、青色ないし緑色の小四角形状要素を縦横に配列し、ところどころを白色に打ち抜き、左下の青色小四角形の中に、筆記体のアルファベット黄色の小文字eを配してなる、結合商標である。また、記号としては、唯一前記の筆記体のアルファベット黄色の小文字eが記号として認めることが出来る、という内容の標章である。

称呼としては、前記によって、図形からは、特別な称呼は出てこないので、インターネットアカデミーと称呼されることになる。

次に観念としては、パソコンによる、国際的通信についての研究教授学校という意味となる。

役務は、商標としてこれを見ると、Online Lessonというのは知識の教授であるから第42類に相当し、Lesson Guideは、情報の提供でもあるので、第35類にも相当している。

なお、「ビシネスモデル特許出願中」なる文字も付記されており、商標登録出願については、説明がないから、何等かの商標法上の権利はあるとはいえないと推定され得る。

(ロ)甲第3号証を、重要参考資料;イ3号標章として説明する。

その外観は、黄色の地色の中に、液晶パソコンを操作している、人物の姿が漠然と表されており、その下に「インターネットアカデミー」は、と記載されている。さらに、下方に、JMS、日本メデイアサポートと付記されているので、これは、この標章を商標として使用者であり、したがって、ここでは「インターネットアカデミー」は社名ではなく、商標であって、前記、黄色の図柄との結合商標と解せられる。

称呼は、しかして、この図からは、インターネットを操作している人のイメージが出て来るが、インターネットと特に変った称呼は出て来ない。したがって、この商標の称呼はやはり、「インターネットアカデミー」に止まるものといえる。

観念については、「インターネットアカデミーは常に最新のレッスンを提供します」と書いてあるから、インターネット通信技術の教授の観念を有している。役務としては、レッスンであるから、知識の教授であり、明らかに第41類に属している。

(ハ)甲第4号証を、重要参考資料;イ4号標章として説明する。

この外観は、やはり、大形の英文字で書いてあるInternet Academyであり、その上に添ってLesson Line Upと小形文字で書いてあるが、これは明らかに役務を表している。その他は、パソコン画面が記載されているので、商標の外観としては、大形の英文字で書いてあるInternet Academyだけである。次に、称呼は、商標としては言うまでもなく「インターネットアカデミー」だけで、他に商標としての称呼は生じない。

観念としては、小形文字でLesson Line Upと添え書きしてあるので、インターネットについての「知識の教授」を意味するものである。役務は、前記の通り、「知識の教授」であるからこれも第41類に属する。

(ニ)甲第5号証を、重要参考資料;イ5号標章として説明する。

この標章も、商標としての外観は、大形文字のInternet Academyと、人間の手の一部を表すような絵との結合商標である。称呼としては、その絵からは何も特別な称呼を生じないからインターネットアカデミーだけである。

観念としては知識の教授を主とすることは明らかである。役務は、前記の通り「知識の教授」であるから、第41類に属する。

(ホ)甲第6号証を、重要参考資料;イ6号標章として説明する。

この標章は、説明文章と色が多少異なるが、前記甲第4号証と同様な標章である。

したがって、外観は大形文字のlnternet Academyであり、称呼はインターネットアカデミーだけであるが結合されている半地球儀の図形からは、特に別の称呼は生じない。

観念は、レッスンと付記されていることもあり知識の教授である。したがって、役務は前号同様、第41類に属する。

(ヘ)甲第7号証を、重要参考資料;イ7号標章として説明する。

この標章は大形文字のlnternet Academyがあり、下の方に地球儀の半分のような図形と女性の写真が記載されているが、後二者は商標的使用ではない。したがって、商標の外観は、lnternet Academyだけである。称呼もインターネットアカデミーだけで、他に称呼は生じない。

観念としては、総合サポートセンターと付記しているがやはり知識の教授である。役務は前号同様、第41類に属する。

(D)本件商標についての説明

甲第8号証の1は、前記、請求人の商標登録証であり、登録番号は、第4406710号であり、該商標が表示されており、甲第8号証の2は、その続葉であって、指定役務の続きが詳細に記載されている。該商標の外観は、横に長い矩形の中が濃紺の地色に彩色され、ほぼその中に、白、黄、燈、紅、赤の、5本のフラッツシュを表す形状が描かれている図形と、INTERNET ACADEMYなる英大文字を2段に表してなる結合商標である。称呼は上記フラッツシュ形状からは、直接的には出て来ないから、「インターネットアカデミー」と称呼されることは、明らかである。次に、観念としては、パソコンのインターネットに関して、研究、教授をする一種の学校をイメージすることが明瞭である。

しかして、その指定役務は、前記、登録証、甲第8号証の1及び2の記載は次の通りである。

第35類 広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,書類の複製,速記,文書又は磁気テープのファイリング。

第41類 知識の教授,図書及び記録の供覧,映画又は音楽の演奏の興業の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,レコード又は録音済み磁気テープの貸与。

第42類 デザインの考案,電子計算機・その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与。

したがって、指定役務は上記の内容によって登録されているものである。(E)イ号標章ないし参考資料イx号標章と本件商標との比較

以上述べた諸事実により、両者を比較すれば、下記のとおりとなる。

(イ)外観の比較

イ号標章ないしは参考資料のイx号標章は、前記のとおり、いずれも「Internet Academy」なる英文字に、場合により若干の絵柄図形との組み合わせにより成るものである。これに対し、本件商標は、前記したとおり、英大文字の「INTERNET ACADEMY」と図形の結合商標である。我が国の多数説(例えば、網野誠著;商標)では、大文字も小文字も同一と見ているので、両者の外観比較においては、少なくも類似の範囲内にあり、また、参考資料のイx号標章については、商標として使用されている部分は、同一のものが多い。したがって、両者の外観は、同一ないしは類似の範囲内にあるものといえる。

(ロ)称呼の比較

イ号標章ないしは参考資料のイx号標章の、いずれも、前記のように「インターネットアカデミー」以外の特別な称呼は生じない。これに対し、本件商標の場合も、前記の通り「インターネットアカデミー」以外の特別な称呼は生じない。従って、両者の称呼は同一であるということが出来る。

(ハ)観念の比較

この点、大文字も小文字も全く同じであって、「INTERNET ACADEMY」の観念は、パソコンのインターネットについての研究所、学校などのイメージである。

しかして、イ号標章ないしは参考資料のイx号標章は、場合により、図形と結合になっているものもあるけれども、いずれも「インターネットアカデミー」以外の特段の観念を生じない。

これに対し、本件商標は「INTERNET ACADEMY」であって、その観念は前記の通りである。しかも、それに結合されているフラッシュの図形も、単に電波という観念があるのみで、これは相互電波通信網であるインターネットにもともと含まれている概念であるから前記の観念に含まれているものである。したがって、前記イ号標章の観念は、本件商標の観念と同一であることが分かる。

(ニ)役務の比較

前記したごとく、イ号標章ないしは参考資料のイx号標章の「lnternet Academy」には、必ずlesson又はレッスンが、付記されているので、その役務は「知識の教授」であることは、明らかであり、第41類に属している。

これに対し、本件商標の指定役務は、前記した通り、第41類の「知識の教授」も含まれている。したがって、イ号標章ないしは参考資料のイx号標章の役務は、論理上、同一であることが明確である。

(F)前記イ号標章ないしは参考資料のイx号標章がいずれも、請求人の本件商標の商標権の効力の範囲に属するとの説明。

本節を論ずるに当たり、商標法の条文そのもの、並びに特許庁編の工業所有権法逐条解説の文章そのものは、著名顕著であるから、証拠提出は省略する。

(イ)商標権の効力は、商標法第25条に専用権の規定があり、商標権者は指定役務について、登録商標の使用をする権利を専有し、すなわち、他人のその使用を禁止、排除する権利、すなわち専用権を有する。さらに、商標法第37条第1号に禁止権の規定があり、他人が該商標権のうちの類似範囲の商標の使用をすることを禁止し又は排除する権利を有する。また、該類似範囲は同条第1号に規定されるところであり、指定役務についての登録商標に類似する商標の使用、又は指定役務に類似する役務についての登録商標もしくはこれに類似する商標の使用、と規定されている。

さらに、登録商標等の範囲は、商標法第27条に規定され、登録商標の範囲は願書に記載した商標に基づいて定め(同条第1号)、指定役務の範囲は願書の記載に基づいて定めなければならない旨(同条第2号)規定されている。

したがって、本件は、該登録商標の願書の記載のとおりにより、効力範囲が判断されるべき事実内容を有するものである。

(ロ)次に、商標自体の類否判断については、著名なる網野誠氏著「商標」の第423頁(甲第9号証の1)に、東京高裁の判例(東京高判昭33.2.27)が紹介されている。この判例によると、商標の類否判断は、比較対象の両商標の、外観、称呼、観念の夫々が独立して判断基準となるものと云わなければならない、としている。

これを換言すると、その両者の、外観、称呼、観念のいずれか1つが類似であれば、他の要素が類似しているかどうかは判断するまでもなく後願の登録は認めるべきではない、すなわち、両者は類似とされるべきである、と判示している。

(ハ)上記、商標法そのもの、並びに著名なる判例、多数説に、前記イ号標章等、及び、本件商標の商標権の効力範囲を適用する。

(a)前記述べた通り、外観について、イ号標章並びに参考資料のイx号標章は、いずれも、「Interhet Academy」に、場合により、特殊でない図形を結合させているので、上記述べた、本件商標の要部「INTERNET ACADEMY」に、要部同一の外観類似である。

(b)また、称呼についても、イ号標章等に結合されている図形から、いずれも、特別な称呼を生じないから、「インターネトアカデミー」なる称呼となるが、これに対し、本件商標の称呼も、上述の通り「インターネットアカデミー」であり、したがって、称呼は両者同一である。

(c)次に、観念についても、前記の通り、イ号標章等の観念は「インターネットについての研究所とか学校」というイメージであるから、上記の本件商標の観念と完全同一である。

(d)以上により、商標そのものは、本件商標の願書の記載、及び登録証の記載、並びに著名な判例、多数説により、イ号標章等の標章は、本件商標と、外観、称呼、観念のいずれにおいても同一又は類似である。しかも、上記著名な判例多数説は外観、称呼、観念のいずれか1つが同一又は類似であれば、その両者の商標は、同一又は類似であるとされている。したがって、商標そのものについては、イ号標章等は本件商標の範囲内のものである。

(e)役務についても、イ号標章等は、インターネットレッスンという、業務であることは、前記の通り明らかであり、「知識の教授」であるから、第41類であり、これに対し、本件商標の役務も第41類の「知識の教授」を、もともと範囲中に含んでいるので、イ号標章等の役務は本件商標の役務の範囲内にある。

(f)以上論じたところにより、標章ないしは商標そのもの、並びに役務についても、すべて、本件商標の効力の範囲内にあることは、明白、かつ確実である。

(g)なお、商標権の効力の及ばない範囲(商標法第26条)についても、検討したが、イ号標章等の使用者は、lnternet Academyについては、ビジネスモデル特許を出願したことが、甲第2号証に明記されているので、商標権には何等の関係がないので、商標法第26条各号に該当していないことも明らかである。さらにまた、前記同様の理由により、商標法第32条の先使用権もないことも明らかである。

(G)以上のとおり、前記イ号標章等は、明らかに、本件請求人の登録商標の効力の範囲内にあることが確実である。

(H)結論

上記、論証致したところにより、本件、イ号標章並びに参考資料とてのイx号標章は、すべて、本件商標の効力の範囲内にある。

(I)答弁に対する弁駁

被請求人の答弁書の内容は、根本的事実に反し、また、商標理論、商標使用の通説にも反しているので、以下のとおり、商標法に正確に基づいて弁駁する。さらに、商標法の判例にも反していることが、明らかであるから、やはり、被請求人が該登録商標の役務と類似の役務に使用する類似のイ号標章(甲第1号証)(甲第2〜8号証はすべて類似の標章)は、登録第4406710号商標の商標権の効力範囲に属する。

(1)弁駁内容の論理的詳細な説明

被請求人の答弁の内容を項分けして整理記載すれば、次のようになっていることが確認される。

(a)イ号標章が特定されていない。

(b)被請求人が、そのイ号標章を使用している役務は、商標法上の独立した役務とは認められない。

(c)Internetは普通名称である。Academyも普通名称である。よってlnternet Academyも普通名称である。

(d)Internet Academyなる商標の登録出願は、以前に商標法第3条に該当し、登録を拒絶された例がある。

(e)本件判定は、商標法第26条第1項3号に該当するので商標権の効力はおよばない。

(f)イ号標章が判例(東京高判昭和30.1.25等)により本件商標と称呼同一もしくは類似である証明について何ら反論がない。

(g)被請求人による先使用権の証明も出来ない。

(h)先願調査をしたというが、その証拠の提出もない。

(2)弁駁内容各論

(a)イ号標章の特定

被請求人は、イ号標章が特定されていないといっているが、これは全く事実に反している。すなわち、請求人の判定請求書の第2頁第9行より第16行までに立証している通りであって、甲第1号証に立証する、Internet Academyなる文字と通常ありうる特定の意味を有しない図との結合標章が、イ号標章であり、被請求人;(株)日本メデイアサポートが使用中であると明確に特定している。更にその通常あり得る図形からは特別な称呼は出て来ないから、この場合は判例;東京高判昭30.1.25(甲第9号証の1〜3)等により商標、標章の称呼は、他の要素、すなわち外観、観念から独立して判断されるべきものなので、本件の場合は「称呼同一」である。よって少なくも被請求人使用の該標章は、請求人の前記登録商標の類似の範囲以内にあると、(役務も別記の通り類似の範囲内)明確に特定している。

したがって、被請求人の答弁書中、先ず、「イ号標章が特定されていない」という記述は、事実に反する強弁であり、むしろ特許庁に対する欺瞞的陳述である疑いが大きいといえる。

(b)被請求人のイ号標章使用の役務は商標法上の独立した役務ではない、なる答弁も、法論理上明らかに成り立たない。これも、請求人の判定請求書の第10頁「役務の比較」の節に指摘しているとおりであり、被請求人はその広告に「Internetのlesson」と表示しているので、実質上「知識の教授」に該当し、役務の第41類に属している事実を記載してある。したがって、完全に商標法上の該役務についての、商標もしくは標章の使用に該当している。しかして、「独立して」なる文言は、商標の使用を法律によって定義した商標法第2条のどこにもない。従って、「独立して」は要件ではないから、「独立して」も、「独立していない場合」も、役務の場合は、同法第2条第3項の第3〜7号に該当していれば、商標法上の該役務についての商標の使用に該当していることは、明らかである。したがって、この点についても、被請求人の答弁は完全に間違いであり、論理的不正であり特許庁に対し、欺腕的なものであるといえる。

(c)Internetは普通名称である(乙第1号証)。Academyも普通名称である(乙第2号証)。よって、Internet Academyも普通名称である、と被請求人はいっている。しかしながら、Internet Academyが普通名称ならば、字引にある筈ですが、甲第10号証の研究社の英和大辞典にもなく、甲第11号証の同社の和英大辞典にもなく、最近では甲第12号証のコンピューター辞典にもない。何故なれば、Internet Academyが普通名称であるということが、完全な間違いであるからである。これに類した、有名な例を引くと、甲第13号証の1;岩波書店の広辞宛に見られるように、「味」というのは、味覚に関する普通名称であり、「素」は甲第13号証の2〜4までに証されるように、物質のもととなるもの、で普通名称であるが、これらの普通名称を結合させるとこの場合は普通名称ではなくなり、甲第13号証の5のとおり、商標となり、著名な登録商標である。したがって、普通名称を結合させると、必ず普通名称になる、という被請求人のこの点の答弁も大間違いである。

次に、あまり有名でない例も挙げる。甲第14号証の1は「ハイタッチ」の例であるが、一般に、ハイは高いことを示す形容詞と普通名詞、または普通名称であり、タッチは接触をあらわす普通名詞であるが、両者の結合は、商標法上は普通名称ではなくなり、創造語として登録されている。同様に、Internet Academyは、どんな辞典にもないのであるから、当然に普通名称ではなく、創造語の一種として商標登録されたことは間違ない。

被請求人は、この点で、先願調査をしたところ、商標法第3条で拒絶になっている例があった。したがって、請求人の登録商標も普通名称であるから商標法第26条で商標権の効力が及ばない、といっているが、これは、次の明確な理由によって、大間違いであり、欺瞞である。

(d)被請求人は前記先願調査の証拠を全く提出しないで、事実を自己に有利に不当に歪曲して記述している。

一方、請求人側の調査によれば、前記先願の拒絶査定理由は、普通名称だからではなく、「知識の教授」に類する、自己の業務が存在しておらず、これは、商願平9‐134801;商標登録出願人は個人でありしたがって、商標登録出願における、当該役務商標使用の主体的要件を欠いたためであった。また、該拒絶査定の理由は、条文でいうと、商標法第3条第1項第1号ないしは第3号によるものではなく、同第3条柱書によるものであった。他人に使用してもらうためでは拒絶は当然である。

一方、実際にインターネット教授を業として経営している本件請求人が商標法第3条のすべての要件を満足して、商標登録を受けたものであって、被請求人はこの点でも、自己に不当に有利にはかるために、事実に反する陳述と欺瞞を行なっている。被請求人が前記先願調査の証拠を提出しないのは、被請求人にとって不利な内容であるからである。

(e)また、被請求人は、本件判定は、被請求人が該役務について使用してる標章は、本件商標に対して、商標法第26条第1項第3号により、商標権の効力が及ばないことを主張しているが、これも論理上完全に誤りである。 商標法第26条第1項第3号を論ずること自体、すでに、被請求人が使用中の標章も役務も本件商標の少なくも類似範囲内のものであることを認めているということである。また、何回も立証した通り、請求人の登録商標は普通名称ではないことが明らかであるから、商標法第26条第1項項第3号中の「当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する商標」には全く該当する余地がない。さらに、被請求人は「無効審判をするまでもなく」などと言っているが本件商標には、上述とおり、無効理由は全然ないのであるから、被請求人の答弁は、この点でも大間違いであるし、根本的全面的にも、法論理上誤りである。

(f)被請求人は、イ号標章が判例(東京高判昭和30.1.25)により本件商標と称呼同一もしくは類似であることが証明されていることについて何ら反論がない。反論できないことは、被請求人使用のイ号標章とその役務が本件商標の商標と役務の、少なくも同一ないし類似の範囲内のものであることを認めていることになる。

(g)被請求人は、そのイ号標章について、先使用権の証明もない。これは本件商標が登録され、周知著名となりつつある、その後において使用を開始し、他人の信用を利用して、不当な利益を得る目的で使用している可能性もあることを意味している。

(h)被請求人の調査結果について、証拠提出がないのは、被請求人の不利になるものである点可能性が高く、欺瞞的答弁であるといえる。

(i)さらに、本件商標は、被請求人のいうような、いわゆる「慣用商標」(商標法第3条第1項第2号、同法第26条第1項第4号)ではないことも明瞭である。また、その定義は、網野誠著「商標」第5版第213頁にも明記してあるとおり「役務については、同種類の役務に関し、営業者の一定範囲において、付飾的に普通に傍用されるに至った結果、もはや営業の得意の標識としての機能を失ったものをいう」と定義されている。

しかしながら、本件商標の場合は、その登録後においては、商標権者の他には被請求人が同一ないし類似の範囲の役務に使用を開始しただけであるから、該役務に関し普通に使用されるに至ったという事実は全くないので、事実上、慣用商標ということは出来ない。

したがって、被請求人の当該役務に当該登録商標の使用は、明らかに違法であり、不正使用である。

(j)結論 上記に詳細に論じたとおり、被請求人の答弁内容は、被請求人が不法に使用中のイ号標章の特定についての欺瞞を始めとして、該標章使用の態様についても、さらに、当該登録商標は普通名称であるなど、至るところ事実に反し、すべて商標法に反している。しかも、著名となりつつある本件商標を不正に使用し、不当な利益を得ようとしている疑いがある。商標法は、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、あわせて需要者の利益を保護する」(商標法第1条)という公共的目的をも有するものである。公共性が害されるおそれがある場合には、早急に法的措置を講ずる必要がある。

4 被請求人の答弁の要旨

本件判定請求は、成り立たないとの判定を求め、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。

(A)答弁の理由

本件判定請求は、甲第1号証をもってイ号標章を説明しているのみで、末だイ号標章が特定されていないばかりでなく、イ号標章を使用しているとされる役務も「About Internet Academy」及び「Support Guide」は、商標法上の独立した役務とは認められないし、「インターネット業務一般」及び「情報の提供」の範囲も不明確であるから、これを理由に本件判定請求は却下されるおそれがある。

しかしながら、被請求人としても、本件判定請求が本案の審理に入らずに上記の理由により却下されることを本意としないし、請求人のイ号標章の説明を総合すれば、実質的には甲第1号証中に表示された「Internet Academy」の文字をもって、イ号標章を特定したと見られないこともないから、仮に、該「Internet Academy」の文字をもって、イ号標章を特定し、かつ、イ号標章が使用されている役務が「インターネットに関する知識の教授」に特定したとしても、請求人の意図に反することにはならないので、以下の通り答弁する。

甲第1号証中に表示された「INTERNET ACADEMY」の文字は、被請求人が提供する役務の広告用パンフレットの表題として「インターネット教育システム」、「パソコン入門」等の役務の内容を表示する語と共に使用されているものであり、かつ構成中の「Internet」の文字(語)は、「世界中にひろがったコンピューターの通信網」(乙第1号証参照)を意味するものとして、また、「ACADEMY」の文字(語)は、「(a)学園;学院;専門学校。(b)学士院;芸術院。(c)大学や研究所など、専門的な学問研究にたずさわる機関の総称」等(乙第2号証参照)の語義をもって、それぞれよく知られているところである。また、近時のIT(情報通信技術)の普及に伴い、例えば、「パソコン教室」、「パソコンスクール」、「パソコンカレッジ」等の語がインターネットの知識や技術の教授等の役務の提供場所或いは役務の質(内容)を表示するためのものとして不特定多数の者により普通に使用されている事実は立証するまでもない顕著な事実であり、これら用例中の「教室、スクール、カレッジ」の語以外にも、「塾、学院、教習所」等の語が種々の役務分野において、他の語と結合されて役務の質(内容)又は提供場所を表示するためのものとして普通に使用されているのと同様に「技術や知識を教える機関」の意味合いをもって、「ACADEMY(アカデミー)」の語が普通に使用されている事実もある(乙第3号証参照)。

このような、事実が存することからすれば、「INTERNET ACADEMY」の文字は、「インターネットに関する知識や技術を教える専門機関(団体)」等の意味合いを容易に認識させるに止まるものであり、これを「インターネットに関する知識の教授」について使用しても、これに接する需要者は、上記「パソコン教室」、「パソコンスクール」、「パソコンカレッジ」等の語同様、単に、インターネットの知識の教授に関する役務の質(内容)或いは提供場所を表示したと認識するに止まり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべきである。このことは、請求人も本件判定請求書4ページの下から5行目以下において、「イ号標章の観念は、インターネットについての「知識の教授」をイメージするものであることは、明らかである。」及び同8ページの(4)本件商標についての説明の項で「INTERNET ACADEMY」の文字について、「観念としては、パソコンのインターネットに関して、研究、教授をする一種の学校をイメージすることが明瞭である。」旨述べ自認しているところである。

してみると、「INTERNET ACADEMY」の文字は、インターネットの知識の教授に関する役務について使用しても、単に、役務の質(内容)或いは役務の提供場所を表示したものと認識されるに止まるものであり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるばかりでなく、甲第1号証には、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであること明らかな「JMS」及び「株式会社日本メディアサポート」の文字が使用されていることからも、甲第1号証における該「INTERNET ACADEMY」の文字の使用は、商標としての使用に当たらないものというべきである。また、本件商標は、甲第8号証の1からも明らかなように、図形と「INTERNET」と「ACADEMY」の文字を二段併記した文字との組み合わせよりなるもであり、該登録商標構成中の文字部分は、第41類の指定役務中の「知識の教授」の概念に包含されている「インターネットに関する知識の教授」については、上記した理由により、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。 さらに、被請求人が調査したところによれば、本件商標よりも先願である「インターネットアカデミー」及び「Internet Academy」の各文字を二段併記してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務とした平成9年商標登録願第134801号商標が商標法第3条に該当するものとして、拒絶されている事実もある。

よって、本件判定請求に係るイ号標章は、「INTERNET ACADEMY」の文字と特定されたものであるとしても、該文字を「インターネットの知識の教授」の概念に属する役務について使用しても、商標法第26第1項第3号に該当し、該登録商標に係る商標権の効力は及ばない。

5 当審の判断

請求人は、請求の趣旨において、イ号標章は被請求人が役務「About Internet Academy;インターネット業務一般、並びに,Support Guide;情報の提供」に使用していると述べているが、係る役務表示では、被請求人が、イ号標章をいかなる役務に使用しているものであるのか、不明確である。しかしながら、甲第1号証ないし甲第7号証からすると、被請求人は、イ号標章を、役務「インターネットに関する知識の教授」(以下「本件役務」という。)に使用しているものと理解し得るから、以下、イ号標章が本件役務について、本件商標の商標権の効力の範囲に属するか否かを判定する。

なお、本件役務以外の役務については、上記のとおり、役務内容が不明確であるから、イ号標章について、判定することができない。

そこで、本件商標とイ号標章の類否について判断する。

本件商標は、別掲(1)に示す構成よりなるところ、濃紺地の横長矩形内に、紫、ピンク、橙、黄、白の色彩からなる5つの幾何学図形を配してなる図形部分と、その下段に、「INTERNET」と「ACADEMY」の欧文字を二段に書した文字部分からなるものである。しかし、図形部分と欧文字部分が常に一体不可分のものとしてのみ把握されるとみるべき特段の事情は認められないものであり、また、「INTERNET」「ACADEMY」の欧文字は、上下二段に表されているが、同書同大でまとまりよく書されているので、全体として「INTERNET ACADEMY」を表すものとして理解されると認められる。そして、「INTERNET」の欧文字は「コンピューターの通信網」、「ACADEMY」の欧文字は「学園、学院、学士院、芸術院」等の意味を有する語であるが、これら両語を併せた「INTERNET ACADEMY」の欧文字よりは、固定的な意味合いを看取できるものとはいい難い。また、これが特定の役務の品質を、直接的かつ具体的に表示するものとして用いられている事実も見当たらないことから、「INTERNET ACADEMY」の欧文字は、本件役務に使用する場合、自他役務識別標識としての機能を果たすものといわざるを得ない。

以上のことより、本件商標は、上下二段に書された「INTERNET」「ACADEMY」の欧文字に相応して「インターネットアカデミー」の称呼を生ずるものと認められ、また、この文字部分は、「インターネット」の意味の英語「INTERNET」と、「アカデミー」の意味の英語「ACADEMY」を組み合わせてなるものと理解されるものである。

一方、イ号標章は、別掲(2)の構成中の「InternetAcademy」の欧文字よりなるところ、これが自他役務識別標識としての機能を果たすものであることは、上記「INTERNET ACADEMY」の欧文字の場合と同じである。そして、イ号標章よりは、「InternetAcademy」の欧文字に相応して、「インターネットアカデミー」の称呼を生じ、「Internet」と「Academy」の英語を組み合せてなるものと理解されるものである。

してみれば、本件商標の文字部分とイ号標章とは、外観において、上下二段に大文字のみで書してなるものと、一連に小文字を交えて書してなるものという違いがあるとしても、「インターネットアカデミー」の称呼を共通し、「インターネット」の意味の英語と、「アカデミー」の意味の英語を組み合わせてなるという点において観念が共通であり、互いに紛れるおそれがある類似のものということができる。

また、イ号標章を使用するという本件役務は、本件商標の指定役務中「知識の教授」に含まれているものである。

したがって、役務「インターネットに関する知識の教授」に使用するというイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものといえる。

よって、結論のとおり判定する。

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