結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35096号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第4044728号商標(以下「本件商標」という。)は、「バイオリソース」の片仮名文字と「Bioresource」の欧文字とを二段に書してなり、平成8年2月2日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き」を指定商品として、平成9年8月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4096865号商標(以下「引用商標」という。)は、「BIOSOURCE」の欧文字と「ビオスルス」の片仮名文字とを二段に書してなり、平成7年10月4日登録出願、第3類「シャンプー,化粧せっけん,その他のせつけん類,エッセンシャルオイル,その他の香料類,ジェル状及びパウダー状の化粧品,乳液,スキンローション,ハンドローション,その他の化粧水,日焼け用又は日焼け止め用化粧品,メイクアップ用化粧品,香水,ジェル状・スプレー式・泡状頭髪用化粧品,染毛剤,パーマネント用液,その他の頭髪用化粧品,毛髪脱色剤,その他の化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年12月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を概略次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証乃至同第8号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、商標法第8条第1項に該当するにもかかわらず、違法に登録になったものであるから、商標法第46条第1項第1号に基づきその登録を無効にすべきである。
▲1▼本件商標「Bioresource」と引用商標「Biosource」とは、ほとんど綴りが同じで、語中においてわずかに「re」の有無の違いしか存在しないから、外観上酷似することがわかる。
換言すれば、本件商標のように11文字という長い綴りからなる商標の類否判断において、その内に2文字の有無の差異しかなく、それが看者の目に止まりにくい語中にあるならば、両商標は外観上極めて相紛らわしいものというべきである。
▲2▼「Bioresource」と「Biosource」とは観念上も酷似するものである。
すなわち「Bioresource」は、「Bio」と「resource」とを結合してなることが明らかであるところ、「Bio」は英語で「生」、「生命」を意味し、「resource」は「源泉」、「供給源」を意味する。また、「source」は「根源」、「水源」、「情報源」などの意味が存在する(甲第3号証)。
そうすると、両者とも共通して「生命の源」のような意味合いに看取されるから、本件商標は引用商標と観念上類似するものである。
▲3▼本件商標中「Bioresource」も、引用商標中の「Biosource」も、それぞれ片仮名文字とは独立して自然な英語流の発音として「バイオリソース」、「バイオソース」の称呼が生ずることは明らかである。
そうすると、両者は、あまり印象に残らない語中において「リ」の有無という差異しか存在しないので、この程度の違いでは、両者は称呼上極めて相紛らわしい類似の商標というべきである。
▲4▼また、本件商標と引用商標の指定商品は実質的に同一であることは明白である。
(2)答弁に対する弁駁
▲1▼被請求人は、本件商標が外観上非類似である旨主張するが、商標法第50条第1項では、欧文字からなる商標について、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」を登録商標と同一とみなしている。これは、現実の商品取引界においては登録商標を使用する場合、使用状況に応じて自由に書体を変更して使用されているから、その範囲においては、登録商標の使用と同一視することが法制化されているものである。
そして、商標の類否判断においては、取引の実情を勘案するのが当然のことである。
そうであるとすれば、本件商標と引用商標との類否判断においては、両商標が同書体で表示された場合を想定してなされるべきであるところ、本件商標中「Bioresource」は、引用商標中「Biosource」と大部分を共通にし、わずかに2文字「re」の有無しか存在しないから、両商標はその外観上酷似するものというべきである。
▲2▼被請求人は、本件商標と引用商標はともに辞書に掲載された語ではないから、特定の観念を生じないものであり、両商標は観念上非類似である旨主張するが、およそ商標の観念とは、字義とは異なるものである。字義はもちろん観念となるが、観念は字義に加え意味合いも含む概念である。
すなわち、両商標のように、辞書に既成語として存在しなくても、「resource」に「源泉」、「供給源」の字義があり、「source」に「根源」、「水源」、「情報源」の字義があり、双方の字義が同じ「源」を意味するとすれば、両商標が全体としての意味合いであり観念である「生命の源」なる同一の観念が生ずると判断することになんの不合理もないものである。
よって、本件商標は、観念上引用商標と類似するものというべきである。
▲3▼被請求人は、引用商標には「BIOSOURCE」の「ビオスルス」を表示してあるから、これより「ビオスルス」の称呼が生ずる旨主張しているが、引用商標の言語「BIOSOURCE」は英語上存在する「BIO」と「SOURCE」の結合であるから、フランス語よりも英語に馴染み深いわが国の取引者及び一般需要者からすると、片仮名文字の「ビオスルス」以外に「バイオソース」の称呼も生ずるというべきである。
この判断は、発明協会発行特許庁商標課編「商標審査基準」商標法第4条第1項第11号の項中の「例えば、『白梅』における『ハクバイ』、『シラウメ』のように2以上の自然の称呼が生ずる文字商標は、その一方を振り仮名として付した場合であっても、他の一方の自然の称呼をも生ずるものとする。」と明記されている事実からみても不合理はなく、引用商標は、むしろ英語的発音が自然的称呼である(甲第4号証)。
そして、「バイオリソース」と「バイオソース」とはその間に「リ」音1音の差があるも、6音、7音というむしろ長音綴りからなる両商標においては、その差が前後の音にがき消され十分には聴取されないものである。
ことに、両商標はともに前半が高音で、後半が低音の抑揚で発音されるから、全体としての語感、語調が共通して看取されるものである。
したがって、両商標は、称呼上かれこれ相約らわしい類似の商標というべきである。
▲4▼このような請求人の主張が正しいことは、例えば、甲第5号証乃至同第8号証に示す、昭和54年審判第8955号、同55年審判第16408号、平成1年審判第8032号、同3年審判第11811号の各審決例をみても十分肯定できるところと思量する。
そうであるとすると、本件商標と引用商標との類否判断においては同様の判断がなされてしかるべきである。すなわち、両商標の語中の「リ」音の有無は微差にすぎないから、両商標を称呼上類似すると判断すべきである。
以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼・観念上類似し、指定商品も同一または類似の関係にある。
4.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べた。
(1)本件商標と引用商標の欧文字部分をみると、本件商標は「B」の文字のみが大文字であり、その他の文字は全て小文字で書されているのに対し、引用商標は全て大文字で書されており、また、本件商標はその語中に「re」の文字が含まれているから、引用商標と比較すれば、全体の長さは大きく異なる。
両商標の片仮名文字部分の外観にらいては、文字の構成、全体の長さが異なることは一目瞭然である。
したがって、本件商標と引用商標は、外観非類似の商標である。
(2)本件商標は「bio」と「resource」を結合した構成からなり、引用商標は「bio」と「source」を結合した構成からなる商標であって、それぞれの単語の意味は甲第3号証のとおりである。
しかし、本件商標及び引用商標の欧文字部分は、いずれも一連不可分であって、需要者が両商標中の「bio」、「resource」及び「source」の各部を別個に看取し、しかもこれらの語の意味を想起し、さらに請求人が主張するような観念が生じるものであると認識することはない。
また、英和辞典に「bioresource」及び「biosource」なる語の記載はない。
すなわち、本件商標及び引用商標は需要者に特定の観念を与えるものではなく、いずれも造語商標として看取されるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、観念非類似の商標である。
(3)本件商標と引用商標はいずれも欧文字と片仮名文字が二段併記された構成からなるが、わが国需要者は、本件・引用両商標の片仮名部分を商標の読み仮名であると認識し、これを片仮名の表記どおりに称呼すると判断して妥当である。
また、引用商標はその欧文字「BIOSOURCE」の下段に、これをフランス語的に称呼した場合の表音である「ビオスルス」を敢えて表示していることからすれば、需要者が引用商標を「ビオスルス」と称呼することを、請求人も希望しているのであろうと推測できる。
すなわち、本件商標から生ずる称呼は「パイオリソース」であり、引用商標から生じる称呼としては「ビオスルス」であると判断して然るべきである。
よって、本件商標と引用商標とは称呼上非類似の商標である。
なお、本件商標から「ビオリソース」の称呼が生じ、引用商標から「ビオソース」または「バイオソース」の称呼が生じるとも考えられる。
そして、請求人は「バイオリソース」と「バイオソース」を比べ、両者は「リ」の音の有無しか差異がなく、両商標は称呼類似であると主張しているが、引用商標から「バイオソース」の称呼が生じたとしても、本件商標の称呼中「リ」は、その前の音である「オ」またはその後の音である「ソ」のいずれにも吸収される音ではなく、発音の際の口蓋及び舌の動作も「オ」及び「ソ」とは明らかに異なるものであって、これが称呼の中心にあったとしても称呼全体に及ぼす影響は相当あるというべきであるから、本件商標と引用商標とは称呼非類似である。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれもが非類似の商標である。
5.当審の判断
本件商標は「バイオリソース」の片仮名文字と「Bioresource」の欧文字とを二段に書してなるのに対し、引用商標は「BIOSOURCE」の欧文字と「ビオスルス」の片仮名文字とを二段に書してなるから、両商標はその構成文字、文字配列等において外観上互いに区別し得る差異を有し、さらに、両者の欧文字部分のみを比較しても、本件商標は「B」を頭文字状に大文字で、続く「i」以下を小文字で表しているのに対し、引用商標は、全て大文字で表したものであるうえ、その構成中に「R」と「E」の文字を有しないものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察したとしても、外観において相紛れるおそれはないものである。
つぎに、両商標より生ずる観念についてみるに、本件商標及び引用商標はいずれも特定の語意を有する成語を表わしたものとは認められないものである。
そして、両者の欧文字部分のみをみると、本件商標は「Bio」と「resource」の、引用商標は「BIO」と「SOURCE」のそれぞれの語を結合したものとみられるところ、「bio」、「resource」、「source」のそれぞれの英単語には「生、生命」、「源泉、供給源」、「根源、水源」等の意味があるとしても、我が国において「リソース」、「ソース」と呼ばれる語は、それぞれ「資源、財源」、「情報などの出所、出典」等を意味する外来語として知られているものであり(「現代用語の基礎知識」1999年、自由国民社発行、「広辞苑」岩波書店発行)、それらの語に「bio(バイオ)」の語を結合したとしても、それぞれより直ちに特定の観念を生ずるとはいえないから、両者は観念において比較し得ないものである。
更に、称呼についてみると、本件商標は、その構成文字より「バイオリソース」の称呼を生ずるものであり、引用商標は、片仮名文字部分より生ずる「ビオスルス」の称呼の外、欧文字部分を英語風読みにした「バイオソース」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「バイオリソース」の称呼と引用商標より生ずる「バイオソース」の称呼とを比較すると、両称呼は、第4音において「リ」の音の有無の差異を有するものである。そして、この「リ」の音は、舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声音である関係上、前後の、声帯の振動によって発する音「オ」及び舌端を前硬口蓋に寄せて発する摩擦音「ソ」のいずれの音にも吸収されることなく、明瞭に発音されるものであるから、他の音を共通にするにもかかわらず、「リ」の音の有無が両称呼上に及ぼす影響は少なくないものがあり、両者をそれぞれ全体として称呼するも語調、語感を異にし、互いに紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、観念及び称呼のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項により、その登録を無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決る。
Next Action
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