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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35471号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2713977号商標(以下、「本件商標」という。)は、「フィリップエンディオ」の片仮名文字と「PHILIPENDIO」の欧文字を二段に書してなり、平成4年1月30日こ登録出願、第23類「時計、眼鏡、これらの部品および附属品」を指定商品として、同8年5月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効理由に引用する登録第512236号商標(以下「引用A商標」という。)は、「PHILIPS」の欧文字を横書きしてなり、昭和32年4月11日に登録出願、第21類「時計並にその各部及び附属品」を指定商品として、同33年1月14日に設定登録され、その後、同53年7月3日、同63年2月26日及び平成10年2月10日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

同じく、登録第512237号商標(以下「引用B商標」という。)は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、昭和32年4月11日に登録出願、第21類「時計並にその各部及び附属品」を指定商品として、同33年1月14日に設定登録され、その後、同53年7月3日、同63年2月26日及び平成10年2月10日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

同じく、登録第645188号商標(以下「引用C商標」という。)は、「フィリップス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和37年12月7日に登録出願、第23類「時計、眼鏡、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同39年6月19日に設定登録され、その後、同49年9月30日、同59年8月23日及び平成6年10月28日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第7号証を提出した。

(1)本件商標と引用の各商標を比較するに、本件商標は「フィリップエンディオ」と「PHILIPENDIO」の文字を一連に書いてなるも、前半部の「PHILIP」「フィリップ」と後半部の「ENDIO」「エンディオ」は異質のイメージを有する言葉であり、また一連の称呼も多少冗長さを感じさせ、故に前半部分に印象が残る商標である。

ところで「PHILIP」「フィリップ」は男性名として知られているものであるが、同じ「フィリップ」もその欧文字は「PHILIP」、「Philipp」、「Philippe」の他、「Phillip」とも綴られ(甲第6号証)、引用A、B商標の欧文字はこの中、「PHILIP」に「S」を付したものであり、この「PHILIPS」は申すまでもなく請求人の創業者のファミリーネーム(姓)である。

(2) 一方、本件商標は、一見人名のような印象を与えるものではあるが、人名であれば「PHILIP ENDIO」と綴られ、「ENDIO」がファミリーネームと考えられるものの、これが一体として書いてなる場合、「姓」を表示したものか「名」なのかの判断がつきかね、単なる造語と考えて差し支えないものと思われる。

そこで、本件商標を造語商標としてみた場合、称呼上7〜8音の長さであり、語調上「フィリップ」と「エンディオ」に分断され、前者は人名として知られているものの、後者は全く意味不明の言葉であるところから、全体が記憶される場合があるとしても、「エンディオ」に比し「フィリップ」の方が格段に印象に残り易く、したがって、本件商標から「フィリップ」の略称をも生ずることは否定し得ないと考える。

したがって、「フィリップ」と引用の各商標から生ずる「フィリップス」の称呼は無声の摩擦音で弱音の「ス」の有無にすぎず、彼此相紛らわしく互いに出所の混同を生ずるほどに聴き誤るおそれのある類似の商標である(甲第7号証)。

(3) 以上により本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録は無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁するところがない。

5 当審の判断

よって判断するに、本件商標は、上記のとおりであって、上段に書された「フィリップエンディオ」の文字と下段に書された「PHILIPENDIO」の文字は、いずれも同一の書体で一連に書されているものであり、その構成において左程冗長なものとはいえないばかりでなく、これより生ずると認められる「フィリップエンディオ」の称呼も一気に称呼するのに困難なほど冗長というほどのものではなく、淀みなく一連に称呼し得るものといえるものである。そして、構成中の「PHILIP」「フィリップ」は、欧米人の男性の名を表した文字として知られているといえるものであるから、本件商標は、全体として欧米人の一氏名を表したものと容易に理解されるとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、全体としての一体性が強固であるといえるから、構成各文字に相応して「フィリップエンディオ」とのみ称呼されるものといわなければならない。

ところで、請求人は、本件商標から「フィリップ」の略称をも生ずることは否定し得ないものであると主張している。

しかしながら、欧米人の氏名(フルネーム)を表す場合ファーストネームとファミリーネームの間にやや間隔をおいて表記することは通常見受けられるところであるが、本件商標のごとく、その構成中に欧米人の名を表すものとしてよく知られている文字(本件商標にあっては「PHILIP」「フィリップ」)を有している場合にあっては、たとえ全体の構成各文字が一連に書してなるとしても、構成中の他の文字(本件商標にあっては「ENDIO」「エンディオ」)の語義について特に詮索することなく、全体として欧米人の一氏名を表してなるものと認識、把握されるといえるから、他に格別の事情が存するとは認められない本件商標にあっては一般的な欧米人の男性の名である「PHILIP」「フィリップ」の文字部分のみが抽出されて称呼されることはないといわざるを得ない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

他方、引用の各商標は、構成中の「PHILIPS」(引用A、B商標)及び「フィリップス」(引用C商標)の文字に相応して、それぞれ「フィリップス」の称呼が生ずるものである。

しかして、本件商標より生ずる「フィリップエンディオ」と引用の各商標より生ずる「フィリップス」の称呼が非類似のものであることは明らかなものである。また、本件商標は、全体として欧米人の一氏名を表してなる商標と観念されるから、引用の各商標の観念とは類似するとみるべき点もなく、かつ、それぞれの構成よりして外観において互いに相紛れるおそれもないものである。

してみれば、本件商標と引用の各商標とは、称呼、観念、外観のいずれの点においても類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により、これを無効にすることはできない。

よつて、結論のとおり審決する。

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