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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用態様

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30552号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2559855号商標(以下、「本件商標」という。)は、「PRESET」の文字を書してなり、第7類「建築または構築専用材料」を指定商品として、平成1年1月26日に登録出願、同5年7月30日に登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、商標法(平成8年法律第68号)附則第10条第2項の規定により、被請求人が使用していると主張する本件商標と相互に連合商標の関係にあった登録第2559856号商標(以下、「本件連合商標」という。)は、「PRISET」の文字を書してなり、第7類「建築または構築専用材料」を指定商品とし、平成1年1月26日に登録出願、同5年7月30日に登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網」についてその登録を取り消す、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証を提出した。

1 請求の理由

請求人が被請求人の営業活動について調査したところ、市場において入手可能なカタログ・パンフレットの類によるも、本件商標は、その指定商品のうち、上記商品に関して、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者および通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

なお、請求人は、商願平6一16322号商標の出願人である。この商標登録出願は、現在、平成8年審判第5723号として特許庁に係属中であり、この審判において、あらたな拒絶理由として本件商標の存在が示された。それゆえ、請求人は本件商標の登録の取り消しを求めることについて、重大な利害関係を有する。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙号各証により立証できることは、1989年4月に乙第1号証のカタログが発行されたという事実と乙第2号証の「コンクリートインサート」が過去のある時点で何個か製造されたという事実に止まる。この商品が少なくとも過去3年の間に商標「PRISET」を付して販売されたという事実は、これら乙号証によっては立証されていない。

1989年4月に印刷したカタログを必要に応じて顧客に提供しているというが、技術の進歩、商品の変遷の著しい現代において、10年前のカタログを依然として頒布しているという主張は、事実に即しているか否か疑わしい。

いずれにしても、3年以上継続して不使用ではないという以上は、過去3年以内の取引の事実を証明する必要がある。例えば、取引先からの注文書、納品書の控えあるいは商品受領書など、被請求人目身が保有するはずの取引書類の中にいくらでも見出されるはずであり、立証に困難は考えられない。

それにもかかわらず、10年前のカタログと製造の時期さえ定かでない商品見本のほかには証拠が提出されていないという事実は、商標「PRISET」が過去3年にわたって使用されていないということを雄弁に物語っている。

したがって、本件商標が不使用であっても連合商標を使用しているから本件商標の登録取消を免れるという被請求人の主張には理由がない。

(2)被請求人は、本件商標「PRESET」を,通常使用権者である株式会社イナックスが使用している、と主張して、乙第3号証を提出した。

乙第3号証は株式会社イナックス発行のカタログとのことであって、本件との関連において、下記の事項が記載されている。

表 紙 ・相対的に大きな英大文字で「PRESET」とあり、その右 に相対的に小さな英大文字で、「TILE」及び「PANE L」と二段に

・カタ力ナで「プレセット」と「タイルパネル」とを二段に

・カタカナで「プレセットタイルパネル」と一連に

3枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」( Pだけ長く)と書き、その下にカタ力ナで「プレセットタイ ルパネル」と一連に

・「高耐久」の項に「プレセットタイルパネル」と一連に

・「経済性」の項に「プレセットタイルパネル」と一連に

4、6枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」 と

8枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」と

・カタカナで「プレセットタイルパネル」と一連に(2カ所)

9枚目 ・カタ力ナで「プレセットタイルパネル」と一連に(2カ所)

10枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」と

・カタ力ナで「プレセットタイルパネル」と一連に(2カ所)

・「プレセットタイルパネル施工法」という語として

11枚目 ・カタカナで「プレセットタイルパネル」と一連に(4カ所)

12枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」と

・カタ力ナで「プレセットタイルパネル」と一連に

14枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」と

・カタ力ナで「プレセットタイルパネル」と一連に(3カ所)

15枚目 ・英字の大文字で「PRESET TILE PANEL」と

・カタ力ナで「プレセットタイルパネル」と一連に(2カ所)

上記したところから明らかなように、一カ所として「PRESET」や「プレセット」という表示はなく、すべて「PRESET TILE PANEL」または「プレセットタイルパネル」という、一連の表示である。つまり、このカタログに使用された商標は、「PRESET」ではなく、「PRESET TILE PANEL」および「プレセットタイルパネル」である。

被請求人は、「TILE PANEL」「タイルパネル」が商品を表示する一般名称であると主張するかも知れない。しかし、そのような主張を支持する記述は、少なくとも乙第3号証の中には見当たらない。被請求人は、第二答弁書の中で、乙第3号証の見開き右頁(A4版のコピーである副本においては、3枚目)の「専用の軽量タイルをあらかじめ工場で下地に張り付けた、ワイドなユニット面積のパネル仕様」なる記載を引用しているが、乙第3号証の中についに「タイルパネル」という語は表われないし、「タイルパネル」なる語が上記引用部分に記載された製品の一般名称として使用されている、という根拠は、見いだせない。

してみれば、「PRESET TILE PANEL」「プレセットタイルパネル」は、あくまでもこれ自体で,その全体で商標であるといわざるを得ない。

乙第3号証をもって、本件商標「PRESET」が使用されている、とする被請求人の主張は、根拠を持ち得ない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証及び通常使用権設定の商標登録済通知書(写し)を提出した。

(1)商標権者は、本件商標と連合関係にある「PRISET」につき、カタログ(乙第1号証)およびその商品(乙第2号証)の通り「プラスチック製建築専用材料」について現に使用しているものである。

乙第1号証には、上段に大きく目立つ色付きの「プリセット」が表示され、その後に「コンクリートインサート」と表示されている。このうち「コンクリートインサート」は用途表示であり、商標として識別力のある部分は「プリセット」である。同様に下段には、着色された目立つ英文文宇で「Priset」と記載され、その後に色なしの表示で「Concrete Inserts」と記載され、この後者部分も前記同様に用途表示であり、商標としての顕著性のある部分は「Priset」である。

そして、その商品の内容として見開きページ左側には「プリセットコンクリートインサートは、プラスチック(ポリプロピレン)の円筒に金属製のナット及びワッシャーを組み込んだ最も新しいアイデアの先付けアンカーです。」と記載されており、その使用状態を示す一部破断説明図が左ページ上段に、全体的形状が左ページ下段及び右ページさらには裏表紙に記載されている。そしてその使用の手順、取付例が見開きの右頁に夫々記載されている。

この乙第1号証のカタログには、その表表紙下段に89一04と記載され、1989年4月に大量に印刷されたものである。それ以来、毎年一定量この商品は市場に流通する。そして現在でも、1989年4月に印刷した乙第1号証の本カタログを必要に応じて顧客に提供している。

よって、本商標権者はその商標権と連合関係にある商標をその指定商品のうち少なくとも「プラスチック製建築専用材料」について使用していることは明らかであり、商標権の取消し理由は存在しない。

(2)本件商標の通常使用権者である株式会社イナックスのカタログ(乙第3号証)を新たな本件商標の使用の証拠として提出する。

このカタログは、本件商標の「PRESET」において、不使用取消審判の対象指定商品(類似群コード:07A03)の合成建築専用材料につき使用している証拠である。

即ち、先ず同カタログの表の表紙には「PRESET」の商標が大きな文字で表示されていると共に、その各文字の1/4程の大きさで、その後ろに三段で、「TILE/PANEL」と記載され、本件商標と同一の商標がカタログに使われている。

次に、その商標の使われる商品として、「合成建築専用材料」が同カタログ見開き右頁の「施工性」の欄に記載されている。即ち、同欄には、「専用の軽量タイルをあらかじめ工場で下地に張り付けた、ワイドなユニット面積のパネル仕様。専用金具を使用するスピーディーな乾式工法で、従来に比べ大幅に工期を短縮。さらに、工費の削減にも役に立ちます。」と記載されている。この「専用の軽量タイルをあらかじめ工場で下地に張り付けた」商品の意味は、同頁最上段の写真の如く、一例として48枚のタイル板をコンクリート板に予め張りつけて、全体の大きさが縦455ミリ、横1820ミリの定尺板に形成したものである。このことをさらに明確にした記載が、同カタログ第9頁第2欄に存在する。即ち、同欄には、この商品は「繊維混入セメントケイカル板+せっ器質タイル」と記載され、補強のために繊維が混入されたセメントケイカル板の表面にせっ器質タイルを接合した合成板であることを明確にしている。

この合成板は、先に述べた如く、請求人の不使用取消の指定商品の一つである「合成建築専用材料」に相当する。即ち、「合成建築専用材料」には、類似商品・役務審査基準に例示されているように、「合成板,床用・壁用又は天井用の音響吸収材,床面用又は壁用の合成舗設材等」が含まれる。

ここにいう合成板は、一般的には2枚以上の材料を厚み方向に重ね合わせて一体化したものを意味し、このカタログの商品を含む。このように、コンクリート板と多数のタイルとを厚み方向に一体に接合して、大きな合成板とすることにより、同カタログ第11頁、第14頁に示す如く、各種金具により簡単に家屋の縦胴緑等に固定することができるものである。

なお、「合成建築専用材料」のうち「床用・壁用又は天井用の音響吸収材」の市販品の一例としては、ガラス繊維の表面側及び裏面側に補強紙を被覆して一体的に合体したもの、その他が広く知られている。それらの商品における「合成」の意味には、複数の建築用材料を重ね合わせて一体化したものである。

次に、このカタログの頒布日は、審判請求の日(平成11年5月11日/1999年)より3年以内である1997年7月である旨の記載が裏表紙に表示されている。

よって、本件商標の少なくとも通常使用権者(別紙の通り設定登録されている)は、その指定商品のうち「合成建築専用材料」について使用していることは明らかである。

第4 当審の判断

被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した乙号各証中の株式会社イナックスの「住宅用乾式外装タイルパネル プレセット/タイルパネル/’97―’98」と題する商品カタログ(乙第3号証)をみるに、同カタログの表紙において本件商標と同一の綴りの「PRESET」の文字を大きく表し、その右側に「TILE/PANEL」の文字を二段に表しており、また、次の見開き右頁、3頁、5頁、7頁、9頁においては、それぞれ「PRESET」の文字の後に1文字分の間隔を設けて「TILE PANEL」の文字を表していることを認めることができる。

そして、同カタログにおいて前記商標が使用されている商品は、表紙の「住宅用乾式外装タイルパネル」の表示、同カタログ中の商品表示及び同カタログ中の「専用の軽量タイルをあらかじめ工場で下地に張り付けた、ワイドなユニット面積のパネル仕様。専用金具を使用するスピーディーな乾式工法で、従来に比べ大幅に工期を短縮。さらに、工費の削減にも役に立ちます。」、「繊維混入セメントケイカル板+せっ器質タイル」等の記載に徴すれば、住宅用外装に用いられる繊維が混入されたセメントケイカル板の表面にせっ器質タイルを接合したパネル状の合成板であるとみるのが相当であり、該商品は、本件審判の取消請求に係る指定商品中の「合成建築専用材料」に包含される商品と認め得るものである。

そうとすれば、前記使用に係る商標中の「TILE PANEL」の文字部分は、商品の品質、形状を表す自他商品の識別機能を有しないものか、あるいは極めて識別力の乏しいものというのが相当であるから、使用に係る商標は、「PRESET」の文字部分のみをもって取引に資されるとみられるものであって、したがって、本件商標は、「合成建築専用材料」に包含される商品「合成板」に使用されていたとみて差し支えがないということができる。

しかして、前記商品カタログは、1997年7月発行のものであり、株式会社イナックスは、本件商標権の通常使用権者と認められる。

してみれば、被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により、その請求に係る指定商品に包含されている商品「合成板」について使用していたものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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