結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35224(T2000−35224/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3370438号商標(以下「本件商標」という。)は、平成7年4月21日に登録出願され、「CAMPAGNE」の文字と「カンパーニュ」の文字とを二段に横書きしてなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同10年10月9日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第23号証を提出した。
(1)「CHAMPAGNE」は、原産地統制呼称法による原産地統制名称の代表的なものであり、シャンパーニュ地方産の発泡性ワインにのみ使用を許される名称であって、この表示を付した商品(シャンパン)は、我が国でも広く販売されている。
本件商標構成中の「CAMPAGNE」の文字は、原産地統制名称「CHAMPAGNE」と比較すると、「H」を除くほかは、その綴字を全て共通にするものである。
そして、一般に「外国の地名等については、欧文字の綴字を常に正しく記憶しているとは限らず、表示された文字より受ける印象が自己の記憶している地名と近似している場合には、その地名を想起し、該表示された文字が、その地名を表示したものと認識する場合も決して少なくない」ことは、平成2年審判第5496号についての審決において説示されていることからも明らかである(甲第20号証)。
してみれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、これに接する需要者は、本件商標の欧文字「CAMPAGNE」を原産地名称「CHAMPAGNE」を表したものと見誤る場合が少なくなく、恰もその商品が前記原産地統制名称ワインであるかの如く商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によって無効にすべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
品質誤認のおそれが生じるとするには、外観、称呼、観念の全てにおいて類似している必要はなく、外観において紛らわしく、その結果、品質の誤認が生じるおそれがあれば十分である。
消費者が酒類の商品を購入する際には、まずラベルに書かれている文字の外観が主要な判断要素となり、その見た目から特定の観念を認識し、またその見た目から生じるであろう称呼を認識するものである。つまり、かかる場合においては、称呼・観念というものは外観に引きずられて二次的に出てくるものであって、判断要素として大きな割合を占めるものは外観である。
被請求人は、本件商標を付した商品の外観を示す証拠方法として、乙第2号証を提出している。
確かに、下部のラベルには、「MERCIAN/Vin de/CAMPAGNE/カンパーニュ」と四段にわたって表記されている。しかし、「カンパーニュ」の片仮名文字は極めて小さく表記されているのみであり、問題となっている「CAMPAGNE」の欧文字が極めて大きく目立つように表記されている。また商品上部のラベルには「Vin de/CAMPAGNE」との欧文字での表記があるに止まり、片仮名併記は認められない。
甲第3号証にもあるように、著名な原産地統制名称である「CHAMPAGNE」の正式名称は「Vin de CHAMPAGNE」であり、「CHAMPAGNE」と綴り字が一文字違いの本件商標をひときわ大きく表示していることを勘案すると、本件商標を商品に使用した場合には、まさに商品の品質を誤認を生ずるおそれがある。このようなことから、乙第2号証は、品質誤認が生じないとする証拠にはならない。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。
両商標(「CHAMPAGNE」を引用商標という。)は、その外観、称呼においてはもちろんのこと、特に観念において、極めて著しい相違点を有していることは明白である。
請求人は、「H」の文字を除けば、両商標は、その綴字を共通にし、本件商標から引用商標を認識する場合も決して少なくない旨主張しているが、そのような理由で、我が国へ輸入される外国産の酒類の中でも特に著名にして高名、高価なシャンパーニュ産の発泡性ワインを扱う取引者・需要者をして、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるとは到底考えられない。
本件商標「CAMPAGNE/カンパーニュ」の有する観念が、フランス語で「田舎」「田園」、その他の明確な意味を有するのに対し、引用商標は、フランスのシャンパーニュ地方の地名、または同地で産する高級発泡性ワインの名称であり、両商標は、観念上明らかな相違点を有している。
請求人の挙げている審決例の「SANMORITZ/サンモリツ」は、特定の観念を有しないがゆえに、スイスの国際的な観光地、保養地、さらにウインタースポーツのメッカとして知られる地名「Saint Moritz」との関連を連想させ、商品の産地、販売地を表示したものと認識、理解するにとどまると判断されたことは明らかである。
また、両商標の称呼についても、明らかに相違している。
被請求人は、被請求人自身が本件商標を自らの製造・販売する国産ワイン商品について既に使用しているが(乙第2号証)、シャンパーニュ地方産の発泡性ワインであるかの如く、その品質について誤認を生じた等という例は一切ない。また、万が一にもそのようなおそれがあるのであれば、被請求人は、その顧客である取引者・需要者から、国産ワインのトップメーカーとしての見識を問われることは避けられず、企業としての被請求人が、そのような自己に不利益をもたらす行為に及ぶことはあり得ないことである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものでないことは明らかである。
本件商標は、上記に示したとおり、「CAMPAGNE」と「カンパーニュ」の文字とを二段に横書きしてなるものであるところ、「CAMPAGNE」の語は、「カンパーニュ」と発音され、「田舎、田園」等の意味を有するフランス語であり、これが特定の酒類の品質を表すものであるとする証拠はない。
この点について、請求人は、本件商標の欧文字部分と原産地統制名称の代表的なワインの名称である「CHAMPAGNE」とは「H」の文字の有無の差異のみであり、酒類の取引においては、商標の外観が主要な判断要素となることから、本件商標と「CHAMPAGNE」とを見誤るおそれがある旨主張している。
しかしながら、図形からなる商標或いは図案化された文字からなる商標の場合はともかく、通常の形状の文字からなる商標の場合においては、それが例え、酒類の取引であったとしても、文字の外観ばかりではなく、少なくとも、その文字から自然に生ずる称呼も商標を認識する際の重要な判断要素になるものとみるのが相当であり、外観が主要な判断要素であって、称呼、観念は外観に引きずれらて二次的に出てくるものであるとする証左はない。
しかして、本件商標の欧文字部分と「CHAMPAGNE」の文字とを比較するに、両者は、商標の識別上、重要な要素を占める語頭部分において、「CA」と「CHA」という、それ自体明瞭に識別し得る外観上の差異を有するものである。そして、英語にしても、フランス語にしても、「CA・・」ではじまる語は、「カ」或いは「キャ」と発音されており、これを「シャ」と発音する例は見当たらないから、「CA」と「CHA」の文字の差は、文字構成上の差ばかりでなく、音構成の点からみても、顕著な差異を有するものといえる。
してみれば、本件商標と「CHAMPAGNE」の語とは、外観において明かな差異を有するばかりでなく、「カンパーニュ」と「シャンパーニュ」という称呼における顕著な差異、加えて、「田舎、田園」と「シャンパン(酒)」という観念における差異をも有するものであるから、取引者・需要者が本件商標と「CHAMPAGNE」の語とを見誤るおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、原産地統制名称の代表的なワイン「CHAMPAGNE」であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
なお、請求人は、被請求人が提出した商品カタログ(乙第2号証)について主張するところあるが、仮に、商標の使用の状態により、商品の品質の誤認の問題があるとしても、それは別途の法条により解決されるべきものであり、又、請求人の挙げている審決例は、本件商標とは商標の構成を異にするものであるから、本件商標が商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるか否かの上記判断を左右することにはならない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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