Trademark Appeal Case
著名商標の混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第13032号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第18類「傘」を指定商品として、平成6年10月31日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合州国ニューヨーク州在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー」が本願出願前より商品「被服、ネクタイ、眼鏡」等に使用して世界的に著名となっている商標「POLO」の文字をその構成中に有してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用する場合、恰も該商品が上記会社、あるいは同会社と、経済的に、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
第3 証拠調べ通知
当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」、「POLO」、「ポロ」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらを一括して「POLO商標」」という。)が各種記事、新聞等に紹介されている事実について、平成13年8月20日付で請求人(出願人)に対して通知した「証拠調べ通知書」は、要旨次のとおりである。
1 雑誌・新聞関係
(1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング(昭和58年9月28日)発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年には、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
ラルフ・ローレンのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が使用され、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。
(2)株式会社洋品界(昭和55年4月15日発行)「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」、株式会社アパレルファッション発行(昭和57年1月10日発行)「月刊アパレルファッション2月号別冊 海外ファッション・ブランド総覧」の「ポロ/POLO」の項、及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、ラルフ・ローレン標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、販売をしたことが認められる。
(3)前出「男の一流品大図鑑」(書証1)、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(書証2)をはじめ、株式会社講談社(昭和55年1月20日)発行「男の一流品大図鑑’81」、同社(昭和55年11月15日)発行「世界の一流品大図鑑’80年版」、同社(昭和56年6月20日)発行「世界の一流品大図鑑’81年版」、株式会社チャネラー(昭和53年9月20日)発行「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80年版」、株式会社講談社(昭和60年5月25日)発行「FASHION SHOPPING BIBLE’85流行ブランド図鑑」によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品について、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに紹介されていることが認めらる。
(4)ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章を模倣した、偽物ブランド商品が市場に出回っている事実も少なくない。例えば、1989年5月19日付朝日新聞には、「昨年二月ごろから、米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の・・・『Polo』の商標と、乗馬の人がポロ競技をしているマークをつけたポロシャツを・・・売っていた疑い。」なる記事が掲載された。また、1992年9月23日付読売新聞(東京版、朝刊)、1993年10月13日付読売新聞(大阪版、朝刊)、1999年9月9日付日本経済新聞等にも同様の記事が掲載され、昭和63年には既に、我が国において「Polo」ないし「POLO」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形などを使用した偽物ブランド商品が出回っていた事実が存在していた。
2 判決関係
判決においても、「我が国において、遅くとも昭和59年までには既に、引用標章(Polo)がラルフ・ローレンのデザインに係る被服等及び眼鏡製品を表す標章であるとの認識が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたものということができる。」旨認定している(東京高等裁判所 平成2年(行ケ)第183号 平成3年7月11日判決言渡)。
そのほか、東京地方裁判所 平成8年特(わ)第1519号(平成9年3月24日判決言渡)、東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日判決言渡)、平成11年(行ケ)第268号、同第289号(以上平成11年12月21日判決言渡)、平成12年(行ケ)第5号(平成12年9月28日判決言渡)、平成12年(行ケ)第453号(平成13年4月19日判決言渡)、最高裁判所 平成12年(行ヒ)第172号(平成13年7月6日判決言渡)等々、ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「ポロ」標章の著名性を認定した一連の判決が存在する。
第4 当審の判断
1 「POLO」商標の著名性について
請求人(出願人)に示した、上記のラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「POLO商標」についてした証拠調べ、(1)ないし(4)の事実及び2の判決を併せ考慮すると、該商標は我が国においては、遅くとも本願商標の出願の時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においてもなお継続しているものと認めることができる。
なお、前記の「証拠調べ通知書」に対し、相当の期間を指定して応答する機会を与えたが、請求人からは何らの意見、応答もない。
2 商品の出所の混同について
本願商標は、別掲に示すとおり、「GREENWICH」及び「POLO CLUB」の欧文字を上下二段に書し、これに重ねるようにポロ競技用具の一である打球棒(マレット)と思しき図形をクロスさせて表現してなるものである。
そして、本願商標はそのかかる構成において、該文字部分と図形部分とを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事由があるとは認められないものであり、また、「GREENWICH」、「POLO」及び「CLUB」の各文字はそれぞれ既成の意味を有する語であって、これらの語を結合してなるものであることは明らかであるとしても、全体として不可分一体の既成の観念を示すもの、或いは、現存する団体名を指称するものとして我が国世人一般に認識されているものとは認め難いものである。
また、本願商標の構成中には、前記1において、その著名性を認定した「POLO商標」の基幹商標ともいうべき「POLO」の文字を有してなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、「POLO」の文字部分に着目し、該文字部分をもって強く印象づけられると同時に、ポロ社又はラルフ・ローレンに係る事業と関連付けて把握する場合が少なからずあるとみるのが相当である。
してみると、本願商標をファッション関連の商品の一であるといえる指定商品「傘」に使用した場合、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンに係る商品を表示するものとして広く知られている「POLO商標」を連想・想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。そして、その混同を生ずるおそれは、本願出願時から現在においても継続しているものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人(出願人)は、審判請求書の請求の理由において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証及び別紙1及び2を提出している。
(1)本願商標の構成要素はロゴデザインの「GREENWICH POLO CLUB」及びその上に表示された「ポロマレットの図」であって、単に「POLO」が彼此識別の対象にされるような機能は全く考えられない。本願商標の称呼は「グリニッチ ポロクラブ」であり、その観念は「米国のグリニッチに所在するポロクラブ」を想起させるものであり、「ポロ」の称呼や、「POLO」の観念を生じさせるものではない。
(2)「ポロ」とは、四人一組の両チームが馬上から打球棒で木製のボールを打ってゴールに入れるホッケーに似た馬上競技で、日本では馴染みの薄いスポーツであるが、「ポロシャツ」等の名称は日本語化している。普通名称化した「POLO」を含む全ての表示表現態様を一私人に独占使用させることは、他人の商標選択の自由を著しく制限する不当なものである。
(3)「POLO」そのものよりも、ラルフ・ローレンの方が周知性を発揮しているものであり、米国ではポロ競技業界誌発行会社「FLEET STREET」等が、ポロシャツ・Tシャツ等に「POLO」を付して、自由に販売している。我が国の登録商標中「POLO」を構成要素とするものは多数現存する。
(4)しかしながら、本願商標が特定の団体名称(米国のグリニッチに所在するポロクラブ)を表したものであるとしても、我が国一般のポロ競技に関する認識の程度、関心の度合い等よりして、国情を著しく異にする米国同様に理解し得るとみるのは適切でなく、該構成より直ちに特定・固有のクラブ・団体ないしその記章として認識し把握されるとみるのは困難といわなければならない。さらに、「POLO商標」の著名性は前述したとおりであるから、語源や採択の意図が何であれ、それを商標として採択し、使用したときに需要者がどのように認識し印象づけられるかとの観点からみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の出所混同を生ぜしめないとする根拠とすることはできないものであってその主張は認められない。
また、請求人は「ポロシャツ」等の名称が普及して日本語化しており、この様な普通名称化した「POLO」を独占使用させることは好ましくない旨述べているが、「ポロ」の語が襟付き半袖シャツの名として普通名称となった「ポロシャツ」の略称として使用される例があるとしても、これをもって全ての商品について「POLO」が普通名称化したものとは到底言い得ないものであって、本願指定商品「傘」との関係においても同様であるから、請求人の上記主張は認められないものである(東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第250号参照)。
そのほか、請求人は、「POLO」を構成要素とする商標が多数登録されている旨述べているが、本願商標が「POLO商標」とは別個のものとして周知・著名となっているとの証左は認められないところであって、本願商標については、前記認定・判断を相当とするものであり、また、件外他人に係る登録商標の存在をもってこの認定を覆すに足りないから、これらの点を述べる請求人の主張は採用することができない。
4 結び
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。