Trademark Appeal Case
著名商標との混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第16510号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「POLO MALLET」の欧文字を横書きしてなり、第18類「毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,馬用毛布,その他の乗馬用具,犬の胴着,その他の愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成6年8月2日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由及び当審における求釈明(審尋)
【原査定の拒絶の理由】
原査定は、「本願商標は、その構成態様からみて、『POLO』の文字及び『MALLET』の2語の成語からなると看取されるが、これはアメリカ合衆国ニューヨーク市出身の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンのデザインに係る被服類、眼鏡等の製品を表す標章として永年使用して著名な『polo』の文字を含むものであるから、このような商標を、出願人が本願指定商品に使用する場合、需要者は上記人若しくはこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
【当審における求釈明(審尋)】
当審において、本願について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお商標法第4条第1項第15号に該当すべきものとする理由及び証拠調べの結果について、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対して通知した審尋の内容は以下のとおりである。
<審尋書>
(1)(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
わが国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の各商標(以下「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されている。
(2)そして、(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッションブランド総覧1980年版」における「ポロ/Polo」の項、ボイス情報(株) 昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項及び同63年10月29日付けの日経流通新聞の記事の記述によれば、わが国においては、ポロ・ファッションズとの契約に基づき、西武百貨店が昭和51年にポロ・ファッションズから使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(株式会社スタイル社 1971年7月発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「男の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社 講談社 同56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社 講談社 同60年5月発行)において、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
(4)なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、判例時報1401号)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)があるほか、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同289号(以上11年12月21日言渡)及び最高裁判所の判決(平成12年(行ヒ)172号・平成13年7月6日判決言渡)等の一連の判決がある。
(5)さらに、引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊、同4年9月23日付け読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付け読売新聞(大阪版)朝刊、同10年6月8日付け朝日新聞夕刊等において報道されている。
ところで、「POLO MALLET」の文字よりなる本願商標は、その冒頭部において上記認定の著名商標「POLO」を含み、かつ、その指定商品は、いわゆるファッション関連商品を多分に含むものであって、上記ラルフローレンの取扱いに係る各商品と、需要者を共通にする場合が少なくないものである。
そして、上記(1)ないし(5)の認定によれば、本願商標をその指定商品について使用した場合、需要者は、上記引用商標の著名性よりして、構成中の「POLO」の文字に着目するとともに、上記ラルフローレン又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 請求人の主張及び求釈明(審尋)に対する意見
請求人は、請求の理由及び求釈明(審尋)に対する意見を要旨次のように述べている。
本願商標を構成する「POLO MALLET」は、「ポロ競技用の木づち」を意味する英語であるから、本願商標は「ポロマレット」の一連一体の称呼を生じ、一体的に一つの観念を生ずるものであって、たとえ構成中に「POLO」の文字を有するとしても、その部分に着目されることはなく、需要者、取引者が、引用商標との間に商品の出所について混同を生じさせることはあり得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
5 当審の判断
本願商標についてした当審の証拠調べ結果とそれに基づくさきの認定判断は妥当なものであって、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、他人の業務に係る商品の如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
請求人(出願人)は、本願商標は英語の成語よりなるものであって、一連一体の称呼及び観念を生じるものであるから、引用商標と出所混同のおそれはない旨述べているが、本願商標については、商標自体と引用商標の著名性、本願商標に係る指定商品と引用商標に係る使用商品の取引者、需要者層の関連性、及びこの種商品に対する需要者一般の注意力の程度等、取引の実情を総合判断するに、前記認定を相当とするものである。そして、本願商標が全体として特定・固有の意味合いの熟語的文字として需要者一般に理解され親しまれているというのであればともかく、本件においてそのような事情はなく、その証拠も見出せないから、それら理由を述べる出願人の主張は妥当でなく、採用の限りでない。
してみれば、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、これと同旨の理由により、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
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