結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30617(T2000−30617/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2356235号の2商標(以下「本件商標」という。)は、「Blue Nile」の文字を書してなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成1年8月21日登録出願、同3年11月29日に設定登録、その後、平成12年4月3日に商標権の分割移転登録がなされ、第21類「身飾品,宝玉及びその模造品」を指定商品として、平成13年10月16日に商標権の存続期間の更新の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品「身飾品,宝玉及びその模造品」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
(1)本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、前記商品について使用していないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)乙第1号証について
被請求人は、乙第1号証の通常使用権許諾証書によって、同人が通常使用権者であったことを立証しようとしている。
しかしながら、この通常使用権許諾証書は、被請求人の側に立つものであることが明らかな、分割前の本件商標の権利者が被請求人に対して、一方的に作成、押印したものに過ぎず、被請求人が通常使用者であったことを何ら客観的に証明するものではない。
さらに、企業間で通常使用権を設定する場合は、このような許諾書ではなく、登録商標の使用に関して、対価、期間、地域等様々な条項を定めた使用権契約書を当事者間で交わすものである。しかも、通常使用権が許諾されたとされる平成11年12月20日から、わずか一ヶ月足らずの間に、本件商標が譲渡されている(甲第1号証:単独申請承諾書)。取引の経験則からして、商標権の譲渡の一ヶ月前に通常使用権の許諾がされることはあり得ない。
これらのことから、通常使用権の許諾がされたこと自体極めて疑わしいものと考えざるを得ない。
(3)乙第2号証について
被請求人の側に立つ者であることが明らかな同人の商品の販売を行っている者が一方的に述べたものであって、何ら本件商標の使用を客観的に立証したものではない。
さらに、この証明書に添付された写真は本件審判の予告登録後に撮影されたものであるから、取消を免れるための証拠方法としては全く価値のないものである。
(4)乙第3号証・乙第4号証について
これら納品書には「ブルーナイル」の文字が手書きで記入されているが、ここに述べた商品番号「PDJO0340313」、「PDA02410411」が本件商標の使用された商品であるならば、コードリスト等を提出することによって、容易にその事実が立証できる筈である。にもかかわらず、コードリスト等が提出されていないことは、商品番号「PDJO0340313」、「PDA02410411」が本件商標が使用された商品ではないと判断せざるを得ない。
さらに、上述したように、この納品書の日付時点では、被請求人は、通常使用権者ではなかった。
以上のことから、被請求人の提出した証拠は、(ア)本件商標の取消審判の予告登録前3年以内の使用、(イ)商標権者、専用使用権者,通常使用権者いずれの者の使用、(ウ)本件商標の指定商品についての使用のいずれの事項をも客観的に立証するものではない。したがって、商標法第50条の規定により本件商標の商標登録の取消は免れない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)本件商標は、本件審判の請求の予告登録の日前3年以内に通常使用権者(本件商標権者)により、日本国内において、商品「ペンダント、指輪などの身飾品」について使用されていたものである。
即ち、本件商標は、「Blue Nile」の欧文字を横書きしてなり、旧第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成1年8月21日に登録出願、同3年11月29日に登録された登録第2356235号商標の指定商品中の「身飾品、宝玉およびその模造品」に係る商標権が分割され、その移転登録が平成12年4月3日になされたものである。
ところで、被請求人は、本件商標権の分割譲渡交渉の際、一日も早い本件商標の使用を実現すべく、分割移転登録前の平成11年11月20日付けで分割前の商標権につき通常使用権の許諾を受け、指定商品中の「ペンダント、指輪などの身飾品」について「Blue Nile」商標の使用を開始したものである(乙第1号証乃至同4号証)。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)乙第1号証について
審判請求人は、「この通常使用権許諾書は、被請求人の側に立つものであることが明らかな、分割前の本件商標の権利者が被請求人に対して、一方的に作成,押印したものに過ぎず、被請求人が通常使用権者であったことを何ら客観的に証明するものではない。とか、取引の経験則からして、商標権の譲渡の一ケ月前に通常使用権の許諾がされることはありえない。」などと主張している。
しかしながら、該通常使用権の許諾は、以下に述べるような特殊な事情のもとになされたものであることを客観的に立証するものであることは明らかである。
しかも、通常使用権の許諾は、元来、片務契約であり、商標権利者の一方的意思表示によりなされるものであり、かつ、専用使用権と異なり、登録が効力発生要件ではないことから、商標権利者の意思が確認できるもの(本件事案にあっては「通常使用権許諾証書」)が存在する限り、それが偽物であることなどが立証されない場合には商標権利者の意思が客観的に立証されたというべきであり、請求人の主張は失当である。
被請求人は、平成11年10月頃より、商品「ペンダント、指輪などの身節品」に「Blue Nile(ブルーナイル)」の商標を付して販売することを企画し、商標登録出願を検討したところ、「B1ue Nile」の文字からなる登録第2356235号商標が存在していることが判明した。
そこで、該登録商標が指定商品中の身飾品について使用されているかどうか調査してみたところ、使用の事実が発見できなかったので、商標権利者に商標権の譲渡につき打診してみたところ、「身飾品」についての分割譲渡契約が成立する感触を得るにいたったが、該登録商標に係る商標権は、すでに設定登録後7年以上経過しており、その間該登録商標が指定商品中の身飾品やその類似商品たる「宝石およびその模造品」について一度も使用されていなかったことも判明した。
このような事情の下では、折角商標権を譲り受けても、商標権の移転登録には相当の期間を要すること、移転登録以前に取消審判が請求されたら意味がなくなること、その段階では取消審判の予告登録もなされていなかったこともあり、該商標権の移転登録を有効にするためにも可及的速やかに商標の使用を開始する必要があった。
そのため、万一の場合を慮って、移転登録以前からの商標の使用を開始するために使用許諾を受けたものに他ならないし、念のため、被請求人は、平成12年1月14日付けで「blue nile」及び「ブルーナイル」の文字を二段併記してなる商標登録出願(商願2000一1654)をしている事実もある。
したがって、このような状況下での通常使用権の許諾については、請求人が主張するような疑問をさし挟む余地は全くないものである。
(ウ)乙第2号証について、
請求人は、乙第2号証について種々のべているが、その主張はすべて失当である。
乙第2号証は、添付の写真が仮令、本件審判の予告登録後に撮影したものであるとしても、証明者の社屋の入り口およびショールームを撮影したものであることおよび過去の事実を証明したものであり、取消を免れるための証拠方法として価値のないものでは決してない。
(エ)乙第3号証・乙第4号証について
請求人は、「乙第3号証・乙第4号証について、コードリスト等を提出していないことをもって、この納品書の日付け時点では、被請求人は、通常使用権者ではなかった。」旨主張している。
しかしながら、乙第3号証・乙第4号証は、取引書類の写しであり、納品書等の取引書類に商標を手書きで表示することは、取引の実際にあっては、普通に行われているところである。しかも、本件商標の使用の事実は、乙第1号証乃至同第4号証を総合して判断されるべきものであるから、これら書証が事実に反し、偽造されたものであること等を反証をもって立証しない限り、請求人の主張は失当であるといわなければならない。
なお、本件商標に係る商標権については、本答弁書と同日付けで合併による商標権移転登録申請書を提出していることを申し添える。
請求人は、請求の趣旨及び請求の理由において、「本件商標は、指定商品中『身飾品,宝玉及びその他の模造品』について取消す。」と主張しているが、「...指定商品『身飾品,宝玉及びその模造品』...」と認められるから、以上のよう認定して、以下判断する。
被請求人の提出した乙第1号証の「通常使用権許諾書」よりすれば、被請求人「株式会社 タカハシ」は、ティーピーダイヤモンド株式会社に本件商標について、地域、期間、内容を定めて平成11年12月20日付で通常使用権を許諾していたことが認められる。
同じく、乙第2号証ないし乙第4号証の「証明書」及び「納品書」よりすれば、ティーピーダイヤモンド株式会社の製造する「Blue Nile」のタグを付けたネックレス、ペンダント、指輪等を東京真珠株式会社が平成11年12月頃より展示販売していたこと、そして、該ティーピーダイヤモンド株式会社が東京大山株式会社及び株式会社リオインターナショナルに「ブルーナイル」なる商品番号「PDJO0340313」、「PDA02410411」のダイヤペンダントトップ及びダイヤリングを2000(平成12)年1月27日及び2000(平成12)年2月7日にそれぞれ納品したことが認められる。
そして、ネックレス、指輪のタグに表示された商標「Blue Nile」は、社会通念上本件商標と同一と認められる。
以上の各証拠を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録(平成12年7月12日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標をその指定商品中の「ペンダント、指輪」について使用していたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法50条の規定によりその登録を取り消すことはできない。
なお、請求人は、本件商標について通常使用権の許諾がされたことは極めて疑わしい旨主張しているが、同人は、具体的に、通常使用権許諾証書が偽物であることを何ら立証していないので、請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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