結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30818(T2000−30818/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3098838号商標(以下「本件商標」という。)は、「テクノゲル」の片仮名文字を横書きしてなり、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、平成5年1月12日に登録出願、同7年11月30日に登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は過去3年間商標権者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、この点からも、本件商標は不使用の商標である。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
2被請求人の答弁に対する弁駁
(1)被請求人が答弁書に添付した各資料は、以下に述べる理由により、本件商標が審判請求登録前3年間に使用されていることを証明するものではない。
(2)乙第1号証及び乙第2号証では、被請求人は売上伝票の写しを提出し、乙第3号証では、乙第1号証及び乙第2号証における納入した製品の納入先が作成した商品カタログの写しを提出し、乙第4号証では、「バイオロード45352V」の製品仕様書抜粋写しを提出し、乙第5号証では、医療用具製造製品届書写しを提出し、乙第6号証では、医療用電極の写真の写しを提出し、乙第7号証及び乙第8号証では、売上伝票写しを提出している。
しかしながら、本件商標が記述されているのは乙第1号証及び乙第2号証及び乙第6号証の別紙のみである。また、その記述も真に本件商標を指定商品に使用しているのか疑問を抱かざるを得ない。
(3)即ち、答弁書において「テクノゲル 45352V」「テクノゲル 6コイリ45352V」が「バイオロード」商標の電極「45352V」であると述べている。しかし、電極の品番が一緒であってもその前に付されている商標は異なっているため、乙第1号証及び乙第2号証と乙第3号証は製品が一致しているとは常識からすれば考えられない。被請求人はこれをOEMによる製品供給をしているために、製品には顧客の商標が付されているが取引書類や包装等に使用している旨述べている。
しかし、OEMは注文側の商標名で商品を受託生産することであり、ここで出来上がる製品は、当初から注文側の商品であり、製造者側の商品ではない。受託生産を受けた製品を他の取引者がそれを購入することは想定されていないOEMという形態により製造された商品は流通過程にのっているとはいえず、したがって、製造者は注文側の一機関にしかすぎないものと考えるべきである。即ち、被請求人が製造している商品の出所はあくまでも注文側であるべきもので、以後「バイオロード」という商標名が冠される商品を被請求人は代りに製造して、それを納入しているのである。
さらに、商標法上の商品は、「商取引の目的たりうべき物、特に動産をいう。」という解釈が取られているが、被請求人が製造している製品は、商取引の目的とはなっておらず、ここにいう「商品」ではない。商標法では「受託による自動車並びにその部品及び附属品の製造又は改造」という役務が登録されている(商標登録第4318769号及び第4316576号)。自動車に関する製品であるために本件事案と製造製品は異なるが、受託により製造する行為は役務であるとの見解を特許庁では示していることよりすれば、OEMで製造している被請求人の製品は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供にかかる物」であり、該取引書類に登場する名称は商品の出所を示す商標ではない。
(4)被請求人が主張する「バイオロード」が「テクノゲル」と同じであるとの説明には何ら根拠がない。
乙第4号証については、製品仕様書として商品の取引にあたりその納入仕様や規格等を報告するためのものである旨答弁している。しかし、そこでの商品名は「バイオロード 45355V」であり、「テクノゲル」商標を付した製品の仕様を記述したものではない。したがって、本件商標の使用を示す証拠にはならない。
(5)乙第5号証では医療用具製造製品届出書が提出され、別紙にその認可された販売名が記述されている。しかし、販売名に「テクノゲル」の記述がなされていたとしても、現実に取引されているのかどうかは明らかではない。したがって、乙第5号証は「テクノゲルSDC‐Q100」「テクノゲルSDC‐V」及び「テクノゲルSDC‐W」が医療用具であることは理解できても現実に取引されているかどうかは不明である。
(6)乙第6号証では、「テクノゲル 45352V」商品写真写しとされているが、これに「テクノゲル」商標が付されていないことは明らかである。即ち、この商品の出所は「日本GEマルケットメディカルシステム株式会社」であり、この商品名は「バイオロード」の品番「45352V」である。
(7)乙第7号証ないし乙第14号証も同じことで、商標法上の商品として医療用機械器具が取引されているとの証拠にはならない。
乙第15号証及び乙第16号証では、医療用低周波治療器の電極につけて用いるゲルパッドとその梱包状態を撮影したものが提出されている。そして、乙第17号証には乙第15号証及び乙第16号証の製品の内容を示すために、納入仕様書を提出されている。そして、乙第18号証では製品の伝票が添付されている。
しかし、乙第17号証の納入仕様書からすれば、乙第15号証及び乙第16号証に記述された「テクノゲル」は「製造業者名」を示すものであり、製品名を示していないことは明らかである。
(8)以上述べたとおり、本件商標が審判請求登録前3年間に「医療用機械器具」について(名目的使用ではなく)使用されていることは何ら証明されておらず、本件商標の登録は取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、商標権者によって、指定商品「医療用機械器具」につき使用されている。
以下、本件商標の使用事実を立証する。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は、主に人体の心電図測定に用いる医療用電極を被請求人会社が顧客に販売したことを示す売上伝票の写しである。
これらの売上伝票には、売上先、納品日、売上数量等とともに、本件商標と社会通念上同一の「テクノゲル」という商標が「品名及サイズ」の欄に記載されている。
乙第1号証によれば、1999年11月22日に「テクノゲル」ブランドの「45352V」という商品が500セット、乙第2号証によれば、1999年11月19日に「テクノゲル」ブランドの「6コイリ45352V」という商品が300セット、いずれも「NECメディカルシステムズ株式会社」(以下「NECメディカル」という)へ納品・販売されたことが分かる(納品日は、乙第1号証と乙第2号証の左下に記載されている)。
この納品・販売された商品がどのようなものであるかを立証するため、被請求人は、乙第3号証および乙第4号証を提出する。
乙第3号証は、乙第1号証、乙第2号証において製品の納入先として記載されたNECメディカルが1999年6月に作成した商品カタログの写しである。この中には、「バイオロード」というブランドの電極「45352V」の写真が掲載されている。これが、乙第1号証、乙第2号証において、それぞれ「テクノゲル 45352V」「テクノゲル 6コイリ45352V」と記載されている商品である。商品カタログの説明文から「バイオロード 45352V」こと「テクノゲル 45352V」は、病院の一般病棟やICU(集中治療室)等において心電図(ECG)測定その他の目的のために用いられる医療用の電極である。
(2)被請求人会社は、顧客に対し、人体の心電図測定等に用いる医療用電極をOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。したがって、各製品そのものには、被請求人から顧客に販売される段階で、すでにその顧客の商標が付されており、顧客はその電極を自己のブランドのもとに販売する。しかし、被請求人会社が顧客へ商品を販売するにあたっては、乙第1号証や乙第2号証に見られるように被請求人は自らの商標「テクノゲル」を取引書類に、あるいは製品の段ボール包装等に使用している。すなわち、被請求人会社とその顧客との間では、商標「テクノゲル」がこの医療用電極の出所表示として機能している。
(3)乙第4号証は、「バイオロード 45352V」の平成10年10月5日付製品仕様書抜粋写しである。この製品仕様書は、商品の取引にあたりその納入仕様や規格等を報告するために、被請求人会社が顧客であるNECメディカルへ提出しその内容につき承認を受けたものである。その記載によれば、「バイオロード 45352V」こと「テクノゲル 45352V」が、導電性のゲル体等からなる医療用の電極であり、これを被請求人会社が製造し、NECメディカルに納入していることが認められる。また、この製品仕様書第2葉には、製品の構造に関する記載があるが、これは、乙第3号証の商品カタログに掲載された製品の態様と一致している。
(4)ここで、被請求人会社が「テクノゲル」商標のもとに販売している商品と、NECメディカルが「バイオロード」商標のもとに販売している商品とが同じものであることを証するため、平成10年10月21日付医療用具製造製品届書写しを乙第5号証として提出する。この届書は、「テクノゲル」ブランド及び「バイオロード」ブランドの医療用電極を製造・販売するにあたり、その商品の詳細を被請求人会社が奈良県知事へ届け出たものであるが、この別紙中の「販売名」の欄の上3行には、「テクノゲル」と「バイオロード」とが併記されている。また、同じ段に記載されている「テクノゲル」と「バイオロード」の品番には同一あるいは酷似したものが採用されており、これらの記載によると「テクノゲル」商標のもと販売される商品も「バイオロード」商標のもと販売される商品も、製品としては同じものであることが分かる。
なお、NECメディカルは、「日本GEマルケットメディカルシステム株式会社」(以下「日本GEマルケット」という)に社名を改めた。それに伴い、製品そのものに付される商標は変更されたが(乙第6号証:医療用電極の写真写し参照)、被請求人会社が「テクノゲル」商標を使用して医療用電極を日本GEマルケットに販売する取引形態に変更はない(乙第7号証および乙第8号証:売上伝票写し参照)。
(5)上記のように、「テクノゲル 45352V」及び「テクノゲル 6コイリ45352V」は、もっぱら病院や医院において、主に心電図測定のために用いられる医療用の電極であり、その商品の性格や物性から見て、本件商標の指定商品「医療用機械器具」に該当する商品である。
(6)乙第9号証は、乙第3号証の商品カタログに掲載された「バイオロード SDC112」こと「テクノゲル SDC112」が、1999年11月12日にNECメディカルへ納品・販売されたことを示す売上伝票の写しであり、乙第10号証は、同じく「バイオロード SDC113」こと「テクノゲル SDC113」が、1999年11月11日にNECメディカルへ納品・販売されたことを示す売上伝票の写しである(納品日は、乙第9号証と乙第10号証の左下に記載されている)。これらの売上伝票においては、納品・販売される製品が、顧客の「バイオロード」ブランドの製品であって、かつ、被請求人会社の「テクノゲル」ブランドの製品でもあることを示すため、「テクノゲル」商標と「バイオロード」商標とが併記されている。
なお、「テクノゲル SDCI12」および「テクノゲル SDCI13」についても、NECメディカルが日本GEマルケットへ社名変更した後は、製品そのものに付される商標は変更されたが(乙第11号証及び乙第13号証:医療用電極の写真写し参照)、被請求人会社が「テクノゲル」商標を使用して医療用電極を日本GEマルケットに販売する取引形態に変更はない(乙第12号証及び乙第14号証:売上伝票写し参照)。
(7)乙第15号証の1及び2は、被請求人会社より出荷されている医療用低周波治療器の電極に取り付けて用いるゲルパッド「テクノゲル MED−SR−X,GP−7045」とその梱包状態を撮影した写真である。なお、このゲルパッドは「テクノゲル メディカル−SR−X,GP−7045」とも称されており、この「メディカル」や「MED」は、製品が医療用であることを示している。
乙第15号証の1によれば、段ボール包装の側面に本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」の印刷されたラベルが貼付されていることが分かる。
また、このラベルの記載や乙第15号証の2に表れた説明書の内容から、段ボールに収納された商品が「ゲルパッド」であることは明らかである。
乙第16号証の1及び2は、被請求人会社より出荷されている医療用低周波治療器の電極に取り付けて用いるゲルパッド「テクノゲル MED(メディカル−SR−X,GP−4035」とその梱包状態を撮影した写真である。乙第16号証の1及び2によれば、「テクノゲル」商標が商品「ゲルパッド」につき使用されていることが分かる。
(8)乙第15号証の1ないし乙第16号証の2に表れたゲルパッドが、具体的にどのようなものであるかを証するため、乙第17号証として、「テクノゲル MED(メディカル)−SR−X,GP−7045」及び同「GP−4035」の平成7年3月1日付納入仕様書抜粋写しを提出する。この納入仕様書は、商品の取引にあたりその納入仕様や規格等を報告するために、被請求人会社が顧客(納品先と被請求人との間に介在する会社)へ提出し、その内容につき承認を受けたものである。なお、この製品仕様書6/7頁には、製品やその梱包に関する記載があるが、これは、乙第15号証の1ないし乙第16号証の2に表れた製品やその梱包の態様と一致するものである。
この「テクノゲル MED(メディカル)−SR−X,GP−7045」及び同「GP−4035」は、医療用低周波治療器の電極に取り付けて用いられる「株式会社日本メディックス」が販売するゲルパッドであって、被請求人会社から株式会社日本メディックスにOEM供給されている。このことは、乙第15号証の2および乙第16号証の2の写真において、製品に「株式会社日本メディックス」の製品説明書が添付されていることからも明らかである。
この「テクノゲル MED(メディカル)−SR−X,GP−7045」及び同「GP−4035」は、もっぱら病院や医院で用いられる医療用の低周波治療器の電極部において、電極と人体との間に介在し、人体に密着して低周波治療器本体から送られて来る電流を人体に伝える導電体として用いられる商品であって、その商品の性格や物性から見て、本件商標の指定商品「医療用機械器具」に該当する商品である。
(9)乙第18号証は、乙第15号証の1ないし乙第16号証の2において撮影されたものと同様の商品が販売されたことを示す売上伝票の写しである。この伝票の発行日は2000年1月20日であり、その売上伝票の内容から「テクノゲル」ブランドの「MED−SRX−GP7045」と「MED−SRX−GP4035」という製品各100セットが、「株式会社日本メディックス」に2000年1月20日に納入されたことが分かる(納品日は、乙第18号証の左下に記載されている)。なお、この売上伝票に表れた売上先は、上記の納入仕様書の提出先とは異なるが、これは納品先と被請求人会社との間に会社が2つ介在していることによる。
(10)以上の説明のとおり、本件商標は、商標権者である積水化成品工業株式会社によって、指定商品「医療用機械器具」につきその商品の出所を識別するために商品の包装に付され、その付された商品が譲渡され、あるいは商品に関する取引書類に標章が付されている。これらの行為は、商標法第2条第3項に規定する商標の使用行為に該当する。
被請求人は、請求人の提出した平成13年2月19日付審判事件弁駁書に対し、次の通り答弁する。
(1)請求人は、被請求人が「受託による製造」という役務を顧客に提供しているのであって、商品の譲渡をしているのではないと述べる。
しかしながら、乙第1号証等の売上伝票に記載されている税抜売上単価や売上金額は、顧客に代わり製造を行うという役務を提供したことへの対価ではない。
売上項目として「品名」が記載されていることからも分かるように、これらは製品の販売価額であり、そこには原材料費、設備償却費、人件費、利益等が含まれている。つまり、被請求人から顧客に製品の所有権が移転しているのであり、被請求人と顧客との間で行われているのは「商品の譲渡」にほかならない。
これに対し、請求人のいう「受託による製造」は、顧客から原材料や部品の供給を受け、それを組み立てたり加工を加えたりする役務であるところ、その所有権は原材料や部品の段階から顧客側にあり、所有権の移転は伴わない。
また、以下のことからも、被請求人と顧客との間で 「受託による製造」という役務の提供がされているのではなく「商品の譲渡」がされているといえる。
被請求人が製造し販売する医療用の電極やゲルバッドの原材料には、被請求人が独自に開発したゲル状のプラスチックが使用されている。よって、被請求人のこれらの製品と同一品質の製品を、顧客は被請求人以外の者から入手することができない。したがって、顧客は、その製品自体に取引価値を認めて被請求人と取引を行っているのであって、「製造という行為」の提供を被請求人に期待しているのではなく、その取引の動機からいっても、被請求人と顧客との間でなされている行為が「商品の譲渡」であることが分かる。
顧客は、販売上の利便性から、被請求人に顧客自身の商標を商品に付したり、商品説明書を添付したりすることを、付随的なサービスとして被請求人に求めるにすぎず、被請求人も商品の販売促進の一方策としてそのニーズに応えているにすぎない。
(2)ここで、被請求人が、ゲル状のプラスチックを独自に開発し、自らそれを用いた医療用の電極等の拡販を図っている証左として、新たに乙第19号証ないし乙第23号証を提出する。乙第19号証は商品カタログの写し、乙第21号証は会社案内の抜粋写しであり、その他の証拠方法はこれらの印刷年月日を証するためのものである。
(3)以上述べたように、被請求人が顧客へ医療用の電極やゲルバッドを有償で納品する行為は「商品の譲渡」にあたる。そして、その譲渡の際、被請求人は商品が自己の業務に係る商品であることを示すために、商品の包装や取引書類に本件商標「テクノゲル」を使用している。一方、顧客は、本件商標「テクノゲル」に化体した被請求人の業務上の信用を信じ、その商標のもとに販売される商品が一定の品質を備えていると理解し商品を購入するものであり、「テクノゲル」は被請求人と顧客との間で、出所を表示し品質を保証する標識、すなわち商標として機能している。
なお、乙第19号証や乙第21号証の文言から分かるように、被請求人は、商品の販売先を限定することなしに本件商標「テクノゲル」を用いて医療用の電極等についての広告を行い商品の拡販を図っている。これによって、被請求人は独自に開発したゲル状プラスチックとそれを応用した医療用電極等が自己の「テクノゲル」ブランドであることを示している。一方、これらの商品カタログ等に接した者は、それによって「テクノゲル」商標の付された商品が被請求人の製造・販売に係るものであることを知り、以後は、本件商標が付されていることで、そこに化体した被請求人の業務上の信用を信じ商品を購入するものである。この点でも、「テクノゲル」は、商品の出所を表示し品質を保証する商標として機能している。
(4)次に、請求人は、被請求人と顧客との間で取引されている製品は、流通過程に乗っていないので、商品でないと述べる。
しかしながら、乙第18号証の売上伝票によれば、被請求人と納品先との間に他の会社が介在し、これら数社の間で商品が取引がなされているから、本件商標「テクノゲル」を付した製品は流通過程に乗っているといえる。
また、そもそも「流通過程に乗る」というのは、なにも多数の業者間を製品が転々とする場合に限られるものではない。乙第1号証や乙第2号証の製品のように、二者間であっても、現実に有償で取引されている限り、製品が流通しているといえる。流通経路が生産者(被請求人)と需要者(顧客)との間で直結しているにすぎないのである。
また、請求人は、被請求人が顧客の一機関にすぎないとも述べている。
しかしながら、被請求人は、顧客とは全く別個の法人であり、医療用の電極やゲルバッドの原材料の仕入れ、品質の管理、その他製品の製造に関して、顧客から綿密な指揮監督を受けているわけでもない。被請求人は、上述したように、独自に商品の原材料を開発し、商品の製造・販売を行っているのであり、顧客に従属した立場で取引を行っているわけではなく、顧客の一機関と見なされるような関係にはない。なお、被請求人は顧客に対し製品仕様書を提出しているが、これは被請求人が顧客との行き違いを避ける目的等から、商品の納入仕様や規格について自主的に報告・確認を行うためのものにすぎない。
さらに、被請求人が、顧客の一機関でないことは、上記の乙第19号証の商品カタログや乙第21号証の会社案内を頒布することにより広告をし、同一の商品を他社にも販売すべく活動をしていることからも明らかである。
(5)請求人は、乙第1号証及び乙第2号証と乙第3号証とは、商標が異なっているため製品が一致しているとは考えられないと主張する。
しかしながら、この点に関し、被請求人は乙第5号証の「医療用具製造製品届書」を提出している。先の答弁書においても述べたが、乙第5号証の内容からすると、「テクノゲル」の商標のもとで販売されている商品も「バイオロード」の商標のもとで販売されている商品も、製品としては同じものであることが分かる。また、乙第9号証、乙第10号証、乙第12号証、乙第14号証の売上伝票においても、「テクノゲル」と「バイオロード」とが併記されており、このことからも両商標が付された製品が同一であることが分かる。請求人は、「常識からすれば」両商標が付された製品が一致するとは考えられない、と単に述べるのみで根拠は全く示しておらず、その主張には何ら説得力がない。
(6)請求人は、「乙第17号証の納入仕様書からすれば、乙第15号証及び乙第16号証に記述された『テクノゲル』は「製造業者名』を示すものであり、製品名を示していないことは明らか」と述べる。
しかしながら、乙第15号証の1や乙第16号証の1に表れたラベルには、製造業者名として「積水化成品工業株式会社」が明記されている。よって、その上方に記載されている「セキスイ テクノゲル」の部分は、被請求人の属する積水グループの著名なハウスマーク「セキスイ」と商品のペットマーク「テクノゲル」とを表したものと理解するのが自然であり、上記のような請求人の主張はなんら理由がない。
このように、医療用のゲルパッドの包装に、ハウスマークとペットマークとを表したと解される「セキスイ テクノゲル」と書かれたラベルが貼付され、乙第17号証の納入仕様書にも商品名として「テクノゲル」が記載され、乙第18号証の売上伝票においても品名として「テクノゲル」が記載されている。また、乙第18号証によれば、この「テクノゲル」なる製品が、有償で顧客に納入されたことが分かる。これらの事実によれば、被請求人が、自己の製造した「医療用ゲルパッド」であることを示すために、本件商標「テクノゲル」を使用していることが明らかである。一方、顧客は、本件商標「テクノゲル」が付されていることにより、それが被請求人の製造・販売に係る一定品質を備えた商品であることを知るのであり、次回もこの「テクノゲル」の付されていることを目印にし、そこに化体した被請求人の業務上の信用を信じて同じ商品を購入する。つまり、「テクノゲル」は、被請求人と顧客との間で、出所を表示し品質を保証する標識、すなわち商標として機能している。
(7)被請求人は、ここでさらに乙第24号証として「財団法人医療機器センター」が発行する「医療機器総覧’99」という書籍の抜粋コピーを提出する。これによれば、被請求人の販売する生体電気現象検査用電極の製品名として「テクノゲル」が記載されており、第三者である公的機関の目から見ても、これが医療用電極に関する被請求人のブランドとして受けとめられていることが分かる。
なお、ここでも、「テクノゲル」と「バイオロード」とは併記されており、両商標の付される製品が同一であることが理解できる。
(8)以上述べたように、平成13年2月19日付の弁駁書における請求人の主張はいずれも失当であり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、指定商品「医療用機械器具」につき、商標権者によって、その顧客との間で自他商品識別標識として使用されていると認められるところである。
乙第5号証によれば、被請求人会社は、平成10年10月21日に奈良県知事に「医療用具製造製品届書」を提出し同日付で受け付けられた事実、そして、この届書に係る製品は「生体電気現象検査用電極」であり、その販売名は「テクノゲルSDC‐Q100、バイオロードSDC100」、「テクノゲルSDC‐V、バイオロードSDC‐V」、「テクノゲルSDC‐W、バイオロードSDC‐W」等であることが認められる。
また、乙第24号証によれば、「財団法人医療機器センター」が平成11年1月10日に発行した「医療機器総覧’99」の「生体電気現象検査用電極」の項には「積水化成品工業(株)」「テクノゲルSDC‐Q100,バイオロードSDC100」「テクノゲルSDC‐V,バイオロードSDC‐V」「テクノゲルSDC‐W,バイオロードSDC‐W」との記載が認められる。
そして以上の事実と、「『テクノゲル』商標のもと販売される商品も『バイオロード』商標のもと販売される商品も、製品としては同じものである」旨の答弁書における被請求人の主張を考え合わせると、本件審判の請求の登録(平成12年8月16日予告登録)前3年以内に日本国内において被請求人(商標権者)が、本件商標の指定商品である「医療用機械器具」に属する商品「生体電気現象検査用電極(医療用電極)」について、本件商標と社会通念上同一といえる「テクノゲルSDC‐Q100」「テクノゲルSDC‐V」「テクノゲルSDC‐W」の文字よりなる商標(これらの商標中の「SDC‐Q100」「SDC‐V」「SDC‐W」の部分は、商品の記号、符号と見られるものである。)を使用したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。