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Trademark Appeal Case

著名商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35718号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4015257号商標(以下「本件商標」という。)は、「JACNEWMAN」の欧文字と「ジャックニューマン」の片仮名文字を二段に書してなり、平成7年8月31日出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物、運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年6月20日に設定登録がなされたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録の無効理由に引用する登録第2123340号商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服,布製身回品」を指定商品として、平成1年3月27日に設定登録されたものである。同じく、登録第2128351号商標は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服,布製身回品」を指定商品として、平成1年4月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第482764号商標(以下、これらを併せて「引用商標」という。)は、「ニューマン」の片仮名文字を縦書きに書してなり、第36類「被服,手巾,釦鉦及び装身用のピンの類」を指定商品として、昭和31年6月11日に設定登録されたものであり、そして、引用商標は現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人とする。」との審決を求めると主張し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第2号証ないし同第42号証を提出した。

(1)無効事由

本件商標は、以下の理由から明らかなように、商標法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第7号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によって無効にすべきものである。

(2)無効原因

ア.商標法第4条第1項第15号該当について

上記の引用商標は、それぞれ上記のような外観構成からなり、そこから「新しい男・人」の観念、そして「ニューマン」の称呼が生ずる商標である。

これらの商標は、請求人である「JACQUES JAUNET S.A.(ジャックジョネエス.アー.)」が、フランスをはじめとする欧米、アジア各国で、カジュアルウェアを中心とする衣類、靴等に長年にわたって使用している商標であり、請求人の商品であることを表示するものとして広く知られているものである。当該商標を付した商品は、日本を含め世界中で一流品としての信用が形成されており、数々の刊行物によって紹介されている(甲第5号証ないし同第41号証)。

したがって、本件商標の出願時(平成7年8月31日)には、請求人が衣類等に使用する引用商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者及び需要者の間に広く認識されていた商標であると言える。

一方、本件商標は、一般的な書体で書かれたアルファベット「JACNEWMAN」とカタカナ「ジャックニューマン」とを二段書きしてなる構成であり、その後半部において、請求人の著名な引用商標「NEWMAN」及び「ニューマン」と全く同一の文字を含んでいるものである。

本件商標がその構成全体として判断されることを請求人は否定するものではないが、請求人の引用商標「NEWMAN」及び「ニューマン」の世界的な著名性、特に「被服」などを指定商品とする本件商標の指定商品の取引界において極めて良く知られている実情に鑑みると、請求人の引用商標「NEWMAN」及び「ニューマン」がその構成中に含まれた本件商標が付された商品に接した取引者・需要者は、その構成中、広く知られた文字である「NEWMAN」及び「ニューマン」に着目し、その結果恰も請求人の取り扱い業務に係る商品、またはそのシリーズ商品であるかの如く、あるいは請求人と何らかの経済的・組織的関連があるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

さらに、平成11年7月1日より、周知・著名商標の保護等に関する審査基準が改正され、他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとするとされたことに鑑みても、著名な商標である「NEWMAN」及び「ニューマン」の文字と請求人名称の一部でもある他の文字「JAC」及び「ジャック」が結合した本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。

イ.第4条第1項第7号該当について

本件商標が請求人の著名な引用商標をその後半部に含むものであることは、上記のとおりであるが、それだけでなく、本件商標はその前半部においても、引用商標の商標権者である請求人の名称の一部までをも含んだ構成となっているものである。

すなわち、上述のとおり、著名な引用商標の商標権者である請求人の名称は「JACQUE JAUNET S.A.(ジャックジョネエス.アー.)」であるところ、このうち「S.A.(エス.アー.)」の部分は、フランス語における株式会社の意味を持つ部分であるから略され、一般的には「ジャック ジョネ」と略称されるものである。

したがって、請求人はその名称中に「JAC(ジャック)」の文字を有する一方、本件商標も同様にその前半部に「JAC」と「ジャック」の文字を含むものであるから、請求人の名称の一部と本件商標の前半部は同一の文字を含み、また同一の称呼「ジャック」が生ずるものであると言える。

以上のように、本件商標「JACNEWMAN / ジャックニューマン」は、単に請求人の名称の一部「JAC(ジャック)」と同一の部分をその構成の前半部分に含むだけでなく、また請求人の使用する著名な引用商標をそのまま後半部に含んだにすぎない構成となっているものである。

かかる構成からなる本件商標は、請求人にしてみれば、自らの名称の一部である「JAC(ジャック)」の文字と自ら使用する著名な商標である「NEWMAN」及び「ニューマン」を単に結合させただけのものにすぎないものである。

請求人とは何ら関係のない他人が、「請求人の名称の一部」と「請求人の著名商標」とを結合させただけにすぎない構成からなる本件商標を使用することは、本来みずからの営業努力によって得るべき業務上の信用の維持をはかる商標法の目的に反するだけでなく、世界的なファッションブランドとして著名な請求人の引用商標の著名性にフリーライドするものであり、商標に化体した莫大な信用を希釈化させるおそれがあるものと言わざるを得ない。

この点、例えば、ロンドンの有名なスポーツ用品専門店「Lillywhites」の名称を他人が出願したところ、これは「公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものと言わざるを得ない。」とし、商標法第4条第1項第7号に該当するとして、拒絶査定不服審判の請求を棄却した審決がある(甲第42号証;昭和58年審判第3232号審決)。

上記審決に鑑みても、同様に本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 被請求人の答弁

被請求人は何ら答弁していない。

5 当審の判断

本件商標は、前記のとおり「JACNEWMAN」の欧文字と、「ジャックニューマン」の片仮名文字とを二段に書してなるところ、「JACNEWMAN」及び「ジャックニューマン」の各文字は、それぞれ、同書、同大、同間隔をもって、外観上一体不可分に表してなるものであり、これより生ずる「ジャックニューマン」の称呼も格別冗長というべきものでなく、一連に称呼し得るものである。

ところで、請求人は、引用商標が請求人である「JACQUES JAUNET S.A.」がフランスをはじめとする欧米、アジア各国で、請求人の商品であることを表示するものとして広く知られている旨主張し、証拠として甲第5号証ないし同第41号証を提出しているが、これら証拠は、いずれも海外において発行された雑誌であると思われるが、これら雑誌の発行部数、わが国における配布部数等の証明はなされていない。してみれば、これら証拠をもって、引用商標が、日本国内において広く知られていたとする請求人の主張を裏付けるものとは認められないものである。

また、その他、本件商標より、「NEWMAN」「ニューマン」の文字部分を分離独立して認識しなければならない特段の事由も認め得ず、本件商標からは、書された文字に相応して、「ジャックニューマン」の一連の称呼のみを生じさせる造語よりなる商標とみるのが相当である。

これに対し、引用商標は、構成文字に相応し、「ニューマン」の称呼を生じさせる造語を表したものというのが相当である。

そこで、「ジャックニューマン」の称呼と「ニューマン」の称呼とを比較するに、両称呼は、前半部分において、「ジャック」の音の有無の差異を有するものであるから、両称呼は十分に聴別し得るものである。

さらに、本件商標と引用商標とは、上記したとおりの構成よりなるものであるから、外観上互いに区別し得るものであり、また、観念についても、何ら相紛れるおそれはないものである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観および観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異なものであること、加えて、引用商標が日本国内において知られていないこと上記のとおりであることから、本件商標をその指定商品に使用した場合、該商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について、取引者、需要者に誤認混同させるおそれはなく、かつ、公正な競業秩序を乱し、国際信義に反するものとも言い得ないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号の規定に違反して登録がなされたものということはできないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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