結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30915(T2000−30915/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2001489号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を「味 桜」の漢字とし、指定商品を第28類「酒類(薬用酒を除く)」として、昭和60年7月9日に登録出願、昭和62年11月20日に設定登録され、その後、平成9年8月19日に存続期間の更新登録がされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者又は使用権者の何れによっても、指定商品中「洋酒、ビール、果実酒」について少なくとも過去3年以上使用せられた事実は存しない。
よって、これが登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(ア)被請求人は、本件商標を酒税法上の「その他の雑酒」に使用しているところ、当該「その他の雑酒」はリキュールの一種である、と主張する。
しかしながら、酒税法は、その第3条第1項第12号で「『雑酒』とは、清酒、合成清酒、しょうちゅう、みりん、ビールで果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類及びリキュール類以外の酒類をいう。」と定義しており(甲第1号証)、被請求人が本件商標を使用していると称する商品が、「リキュール」従ってなお「洋酒」に属するものでないことは明らかである。むしろ、乙第2号証から明らかな如く、「その他の雑酒」が米、米麹、醸造酒精(アルコール)を原料としていることに徴すれば、当該「その他の雑酒」は、みりんに近似した日本酒に属する商品というべきである。
(イ)また、被請求人は、本件商標の使用証明書として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているが、これらは単なる写真(乙第1号証)、ラベル(乙第2号証)、売上伝票(乙第3号証)、得意先元帳(乙第4号証)及び報告書(乙第5号証)で、何れも被請求人自身の作成に係る所謂自己証明資料に過ぎず、客観的に商標の使用事実を示す証明書とは到底認められないものである。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると、答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
(1)答弁の理由
(ア)被請求人(商標権者)は、本件商標を「洋酒」について使用中であり、本件審判請求は成り立たない。
(イ)商標権者は、現在のところ継続して乙第1号証に示す商品を製造し、販売している。乙第1号証に示されたラベルの実物をさらに乙第2号証に示す。
即ち、乙第1号証商品は、その商標を本件商標と同一の「味桜」としてなり、本件商標の権利者である九重味淋株式会社の製造に係る「その他の雑酒」である。そして、乙第1号証商品は、たとえば乙第3号証の1ないし3に示すように、少なくとも平成11年11月中に各証拠に示された得意先あてに各数量ずつが販売された事実がある。言い換えると、商標「味桜」を使用した商品が審判請求から過去3年内に販売されたことは明らかである。念のため乙第3号証の1に係る得意先に関する得意先元帳のコンピュータアウトプットの一部を示す(乙第4号証)。ここにおいても、商標「味桜」を使用した商品が継続して販売されている事実がある。
(ウ)ところで、乙第1号証商品が属する「その他の雑酒」は、特許庁商標課編「商品及び役務の区分に基づく類似商品・役務審査基準」では積極的に例示されていない商品であるが、乙第2号証の「その他の雑酒」という表示は酒税法において規定された表示形態であり、この種の表示が義務づけられているものである。しかしながら、その実態は、リキュールの一種であり、指定商品としては「洋酒」に属するものである。酒税法においても洋酒の1つとして取り扱われ、その税額が決定されている。
乙第5号証は、被請求人が日本洋酒酒造組合に対して提出した「平成12年度4月分洋酒移出数量報告書」であり、当該組合の費用として自社が移出した洋酒の数量に応じて賦課金を支払うための計算書としての性格を有するものである。そのうち、右欄最下段に示された「雑酒(その他の雑酒)」が本件商標である「味桜」を使用した乙第1号証商品である。即ち、乙第1号証商品は市場においては洋酒として認識されているものであり、かつ、そのようにして取り扱われている商品である。したがって、本件商標「味桜」が本件取消対象である指定商品「洋酒」に現在も継続して使用されている事実は明らかである。
(2)弁駁書に対する答弁理由
(ア)請求人は、乙第5号証において、手書きで「味桜」が記載されている点について述べているが、被請求人は乙第5号証のみをもって使用の事実を証明しようとしているのではない。乙第5号証は、日本洋酒酒造組合に対して「雑酒(その他の雑酒)」の税額決定のために移出量を報告した書類であり、念のため「雑酒(その他の雑酒)」が被請求人の「味桜」を附したものに該当することを示すために記載したにすぎない。
(イ)請求人は、被請求人が「その他の雑酒」はリキュールの一種であると主張しているとするが、正確ではない。被請求人が答弁書第3頁冒頭にて主張した内容は、「その実態は、リキュールの一種であり、『洋酒』に属するものである。」というものである。即ち、本件使用商品「その他の雑酒」はリキュールに近いものであるとは説明しているが、酒税法上でのリキュールそのものであるとは言っていない点を理解すべきである。
酒税法では酒類について税額および税率を明確にするため、酒類を甲第1号証における第2条第2項に示すように「清酒、合成清酒、しょうちゅう、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類及び雑酒」に分類しており、「その他の雑酒」とは、第4条の表に示すように「発泡酒及び粉末酒以外の雑酒」であるとしている。そして、本件商標を使用した被請求人の酒類が酒税法上において「その他の雑酒」に該当することは、乙号証各号において証明している。しかしながら、酒税法では商標法における指定商品の如く明確な「洋酒」の区分がない。したがって、「その他の雑酒」が商標法における指定商品として何れに区分されるかが問題になっているということができる。この点については、乙第5号証に示すように、酒税としての現状の取り扱いは「日本洋酒酒造組合」の管轄になっており、実質的には「その他の雑酒」は洋酒であると認識されているものである。
これについて、請求人は弁駁書第2頁中段において、「むしろ、乙第2号証から明らかな如く、『その他の雑酒』が米、米麹、醸造酒精(アルコール)を原料としていることに徴すれば、当該『その他の雑酒』は、みりんに近似した日本酒に属する商品と云うべきである。」と主張しているが、酒類の区分を無視した主張である。即ち、米などを原料としているものであっても、たとえば乙第5号証の欄の冒頭に「リキュール類(米使用)」と記載されているように、リキュールに分類される酒類も存在するのであり、原料が米であるから日本酒の類であると考えるのは早急である。いずれにしても、「その他の雑酒」は酒税法において清酒、合成清酒、みりん、しょうちゅうなどとは異なる分類に属しており、これを日本酒であるとするのは無理がある。しかも、現行酒税において「洋酒酒造組合」の管轄として取り扱われ、当時の大蔵省もそのように認識して酒税を徴収している「その他の雑酒」を洋酒ではなく日本酒であるとするには、適用法律の違いはあれども、法律間の齟齬が生じることは明らかであり、混乱を生ぜしめる原因となる。
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
しかして、本件審判の取消請求に係る商品は、前記のとおり「洋酒、ビール、果実酒」であって、被請求人は本件商標を「洋酒」について使用しており、これが前記取消請求に係る商品に該当する旨述べているので、以下、検討する。
(1)被請求人(商標権者)は、その提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証及び請求人の提出に係る甲第1号証からして、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求の登録前3年以内に、酒税法における酒類の定義及び分類によるところの、種類(酒税法第3条)中の「雑酒」に属し、その品目(酒税法第4条)中の「その他の雑酒」についての使用は認められるものである。そして、乙第2号証によれば、その原材料とするところは「米、米麹、醸造酒精、糖類、調味料(アミノ酸)、酸味料、カラメル色素、香料」と表示されていることが認められる。
(2)「その他の雑酒」とする商品表示は、被請求人も述べるとおり、商標法施行規則別表(改正、昭50通産令85)及び特許庁商標課編「『商品区分』に基づく類似商品審査基準(改訂版)」には積極的に例示されていない商品であるところ、これら省令別表ないし類似商品審査基準において「洋酒」の概念に属する商品として例示する酒類は「ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、ジン、アブサン、リキュール、ビタース」とするものであって、原材料を「米、米麹、醸造酒精、糖類、調味料(アミノ酸)、酸味料、カラメル色素、香料」とし、「その他の雑酒」と表示された本件商標の使用に係る商品が上記した「洋酒」のいずれかの酒類とその原料、製法等を同なじくし、或いは、同なじ類の酒類と認識、理解されているとの実情は見出せない。
そして、これら「洋酒」の概念に属する例示商品と酒税法における酒類の定義、分類及び品目(酒税法第3条、同第4条)中の酒類とを対比すれば、例示の「ウィスキー、ブランデー」が酒税法の「ウィスキー類」に、例示の「ウオッカ、ラム、ジン」が酒税法の「スピリッツ類」に、及び例示の「アブサン、リキュール、ビタース」が酒税法の「リキュール類」にそれぞれ相応するとみられるものであって、省令別表ないし類似商品審査基準における「洋酒」の商品概念は、酒税法の「ウィスキー類、スピリッツ類、リキュール類」と大体同じとみて差し支えないものといえる。
また、酒税法において「その他の雑酒」とする酒類は、省令別表ないし類似商品審査基準における「洋酒」とその概念を同じくするといえる「ウィスキー類、スピリッツ類、リキュール類」とは、別個の商品として分類し定義されているものである(甲第1号証)。
(3)してみると、被請求人の提出に係る甲各号証からは、本件商標の使用に係る商品が「その他の雑酒」として取引に資されている点を認め得るとしても、「洋酒」の範疇に属するものということはできない。
この点について、被請求人は、乙第5号証に示すように、酒税としての現状の取り扱いは「日本洋酒酒造組合」の管轄になっており、実質的には「その他の雑酒」は洋酒であると認識されている旨述べ主張する。
しかしながら、「平成12年度4月分洋酒移出数量報告書」(乙第5号証)に表示の「雑酒(その他の雑酒)」とする酒類は、「リキュール類」とは別個の品目及び細目として表示されているものであり、さらに、これが本件商標の使用に係る商品であるとの整合性も確かなものでなく、また、該酒造組合の名称中に「洋酒」の文字を含むことのみをもって、該報告書に表示の「その他の雑酒」が「リキュール類」であるとするほか、「ウィスキー類、スピリッツ類」に属するもの、すなわち、省令別表ないし類似商品審査基準における例示商品「ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、ジン、アブサン、リキュール、ビタース」と同様に「洋酒」範疇に属するものといえない。
このほか述べる被請求人の主張をもって、本件審判の取消請求に係る指定商品についての使用は証明されない。その他前記認定を覆すに足りる証拠はない。
(う)そうすると、本件商標は、その指定商品について本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていなかったものといわざるを得ない。したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「結論掲記の指定商品」について、商標法第50条の規定によりその登録は取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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