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Trademark Appeal Case

著名商標と類似称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35127号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件登録商標

本件登録第4012486号商標(以下、「本件商標」という。)は、「EFILA」の欧文字と「エフィラ」の片仮名文字とを上下二段に横書きにしてなり、平成7年12月4日に登録出願され、第23類「糸」を指定商品として、平成9年6月13日に設定登録されたものである。

2.引用に係る商標

請求人の引用する登録商標(以下、「引用商標」という。)は、以下のとおりである。

(1)「フィラ」と「FILA」の文字を二段に併記してなり、第17類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第1587837号商標。

(2)別掲の(1)に示すとおりの構成からなり、第26類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第1621833号商標。

(3)ともに「FILA」の文字を書してなり、それぞれ第21類又は第22類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第1655424号商標及び同第2539218号商標。

(4)いずれも別掲の(2)に示すとおりの構成からなり、それぞれ第26類、第24類、第22類、第21類、第12類、第4類、第23類又は第25類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第1621835号商標、同第1597967号商標、同第2447522号商標、同第1756792号商標、同第2212871号商標、同第1710909号商標、同第1964926号商標及び同第4012116号商標。

(5)ともに別掲の(3)に示すとおりの構成からなり、それぞれ第24類又は第22類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第2461057号商標及び同第2498594号商標。

(6)ともに別掲の(4)に示すとおりの構成からなり、それぞれ第3類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第3353785号商標及び同第4018470号商標。

(7)別掲の(5)に示すとおりの構成からなり、第22類登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第2498595号商標。

(8)以上のほか、いずれもその構成中に「FILA」又は「フィラ」の文字を有してなり、登録原簿記載の商品を指定商品とする登録第2536853号商標、同第2643136号商標、同第4091650号商標、同第2480933号商標、同第4066539号商標、同第2498593号商標、同第1459911号商標、同第1461167号商標、同第2307472号商標、同第2281332号商標、同第937075号商標、同第895750号商標及び同第1459912号商標。

3.請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨つぎのように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第40号証を提出した。

(1)請求人は、その法務部長であるフランコ マウラが公証人の面前で宣誓、供述している宣誓書(甲第31号証)に述べている如く、その源を1907年頃に発し、以来今日に至る迄約91年間、「FILA」商標を付した「テニスウェア−」「スポーツシューズ」「スキーウェア−」「登山用被服」「ヨットウェア−」「水泳着」を始め「化粧品」「宝石類」「時計」「めがね」「かばん」等々の製造、販売に従事し、今や、「世界のFILA」として当業界関係者は勿論一般需要者間において極めて広く認識されているものである。かかるグローバルな実績を裏書するかの如く、請求人は、その創業時以来世界の殆どの国において「FILA」商標を登録している(甲第31号証)。

更に、「FILA」商標を付した「被服」の1973年から今日迄の世界的販売実績は約3兆5000億リラに上り、同商標を付した「靴製品」の1983年から今日迄の世界的実績も約3兆8000億リラを示しているが、これ等数字は「世界的」とは云うものの主としてイタリア、日本、スペイン、スイス、オーストリア、フランス等に於けるものであって真の意味の「世界的」実績の一部と云うことが出来る(甲第31号証)。

また、ここに特記すべきは、「FILA」商標を付したスポーツシューズは米国市場においてここ数年ナイキ、リーポックに次いで第3位を占めている事実である。

請求人は、かかる販売実績と共に宣伝活動も極めて積極的に行い、その費用は1974年から1996年迄約5,500億リラを示しており、就中、ビョン ボルク、ボリス ベッカー、モニカ セレス、ガブリエラ サバチーニ、アルベルト トンバ、デボラ コンパニョーニのスポンサーとして世界に冠たる実績を上げている(甲第31号証)。

日本国においても、1971年以来、有力ライセンシー特に1987年以降は鐘紡(株)を通じて、上記商品の販売に努力した結果、本件商標の出願日のはるか以前において、すでに「FILA」商標を付した商品は請求人又は請求人の代理店又はライセンシーの製造、販売に係るものであると極めて広く知られていたものである。

(2)「FILA」及び「フィラ」の周知著名性については特許庁においても夙に認めているところであり、その具体例は以下の通りである。

(イ)商標:「FILA」、商願平6−2483号(第2類)

結果:拒絶査定

理由:本願商標は「イタリア国ピエラ、ビアーレ チェサーレ バティス ティ26」に所在の「フィラ スポーツ ソチエテ ベル アチオーニ」が「被服、運動用具、靴類、鞄類」等の商品に使用して著名な商標である「FILA」の文字を書してなるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、あたかも上記会社の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

適用条文:商標法第4条第1項第15号 (甲第32号証)

(ロ)商標:「FILATEC」、商願平5−100319号(旧第12類)に対する登録異議申立事件

結果:異議申立理由あり、拒絶査定

理由:登録異議申立人が「FILA」なる商標を商品「テニスウェア−、スキーウェア−、水泳着、スポーツ用品、かばん」等について使用し、取引者・需要者間に広く認識されていることは、本願商標出願前に異議申立人の提出に係る証拠等によって認めることができる。そして、本願は前半部において「FILA」の文字を有しているから、出願人が本願商標を指定商品に使用するときは、恰も本件登録異議申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。

適用条文:商標法第4条第1項第15号 (甲第33号証)

(ハ)商標:「Filage」、商願昭57−79283号(第17類)に対する登録異議申立事件

結果:異議申立理由なし、登録査定(登録第2496407号)

理由:本願商標は、全体が一体のものとして把握され、「フィラージュ」と称呼されるのに対し、引用商標は「フィラ」の称呼を生ずるものであるから、「FILA」、「フィラ」が「スポーツウエア−、テニス用具」について、本願出願前より広く認識されていることは認められるとしても、両商標は別異のものであって両者間に商品の出所について混同を生じるおそれはない。

商標:「Filage」、登録第2496407号(旧第17類)に対する登録無効審判事件

結果:登録第2496407号商標の登録を無効とする。

理由:本件商標の「Fila」と「ge」は書体をやや異にし、外観上結合商標と認識され、観念上は構成文字全体として、特定の意味を有しない一種の造語と認識される。他方、請求人の「FILA」、「Fila」は「テニスウェア−、ゴルフウェア−、バッグ、アクセサリー」等について日本国を含む世界各国において著名である。本件商標の指定商品は、上記商品と生産、販売、原材料、用途、需要者層を同じくする場合が多い、よって、本件商標をその指定商品に使用するときは、取引者、需要者が「F ila」の文字のみを捉え、請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると理解する場合が少くなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあったものといわざるを得ない。

適用条文:商標法第4条第1項第15号 (甲第34号証)

(ニ)商標:「フィラエ」、商願平5一9948号(第25類)に対する登録異議申立事件

結果:異議申立理由あり、拒絶査定

理由:本願商標は、特定の意味合いを持たない一種の造語であり、これより「フィラエ」の称呼を生ずるが、その末尾音「エ」は語末にあって聴取し難いものである。他方、引用商標「FILA」は、1907年頃から、今日に至る迄継続して使用され、本願出願時には、「テニスウェア−」「スキーウェアー」「登山用被服」「ヨットウェアー」「水泳着」「化粧品」「スポーツ用品」「宝石類」「時計」「めがね」「かばん」等について世界的に当業界関係者、一般需要者間に広く認識されていたものである。してみれば、本願指定商品は、運動用特殊衣服、洋服等被服関連業界においても密接な関連があることは明らかであるから、「フィラエ」からなる本願商標を、その指定商品に使用する時は、取引者、需要者は商標中の「フィラ」の部分に注目し、該商品が、前記のことに著名な登録異議申立人あるいは同人と何らかの関連がある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断する。

適用条文:商標法第4条第1項第15号 (甲第35号証)

(ホ)商標:「FILA/フィラ」、商願昭55−106075号(旧第22類)

結果:拒絶査定

理由:本願商標は、イタリアのマグリフィチオ ビエレーゼ フラテリ フィラ ソシエタ ペル アチオー二(*本請求人旧名称)が商品「テニスラケット、テニスウェア−」について使用して、著名な商標となっている「FILA、フィラ」の文字よりなるものであるから、これを本出願人が本願指定商品に使用した場合には、上記会社の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるものと認める。

適用条文:商標法第4条第1項第15号 (甲第36号証)

(ヘ)商標:「FILA/フィラ」、商願昭55−106076号(旧第24類)

結果:拒絶査定、審判請求、審判取下

理由:本願商標は、イタリアのフィラ社が「スポーツ用衣服、テニス用具等に使用している著名な商標「FILA/フィラ」の文字を書してなるものであるから、このような商標をその指定する商品について使用するときは、上記会社の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

適用条文:商標法第4条第1項第15号 (甲第37号証)

(ト)商標:「FIALA/フィアラ」、商願平2‐36919号(旧第17類)に対する登録異議申立事件

結果:出願取下 (甲第33号証)

以上の事実に鑑みれば、「FILA」、「フィラ」の周知著名性は特許庁においても遠く昭和55年頃から顕著な事実となっていたものと云わねばならない。

上記先例中、特に注目すべきは、商標「フィラエ」(商願平5‐9943号)と本件商標「EFILA/エフィラ」との対照である。

前者にあっては、「フィラエ」中の「エ」音が末尾にあって聴取し難いとの理由を以って、引用著名商標「フィラ」と類似するものと認定されたものである。

しかしながら、本件商標は単に「エフィラ」なる片仮名文字のみで構成されるものではなく、欧文字「EFILA」をも帯同しているから、「FILA」について広く接している取引者、需要者が時と所を異にして「EFILA」、「FILA」を目にした場合であっても、前者が外観上後者と密接な係りのある商標であろうと認識するであろうことは誠に見易い道理である。この意味において、周知著名商標に付加された語が該著名商標の後部に存在する場合は類似し、同前部にある場合は類似しないとの認定は取引の実情に著しく遊離したものと云わなければならない。

換言すれば、著名商標への付加語がわずか1文字または1音(又は少数文字、少数音)である場合は、右付加語が後部であれ前部であれ、該合成商標は取引者、需要者をして該著名商標と彼此誤認せしめるおそれの著しく高いものであると云うことである。

(3)ところで、商標の類否は、その使用される商品の一般取引者層の通常の注意力を基準とすべきであると同時にそれぞれの商品の種類、性格、形状、構造、大きさ等使用される商品の属性や更にそれ等商品の取引者層の種類、商品が取引される業界の商慣習その他の取引の実情等にも配慮を加えた上で、客観的に判断されるべきものであることは過去数多の審査、審決、判例等に照し明らかである。

具体的に云えば、商品の取引者層が知識階級に属するか、特殊の専門家であるか否か、老人か子供か、男性か女性か等により商標に対する反応が異なるから、このような事情も考慮されなければならないのである(株式会社有斐閣発行「商標」新版増補第354頁)。

かかる見地から、本件商標の指定商品を見るに、それ等商品中、特に「ししゅう(刺繍)用絹糸、毛糸、ガラス繊維糸、混紡絹糸、混紡毛糸、混紡無機繊維糸、絹より糸、金糸、銀糸」等は若き婦女子が主たる需要層であろうことは容易に首肯しうるところであろう(甲第39号証)。ところで、かかるヤング婦女子は、個人差はあるものの、人生経験の未熟さ、ヤング特有の性急さ等から一般的に判断力、注意力において拙速であることは否むことが出来ない。又、これ等商品の取引業界においても、メーカー、卸売業、小売業の如何を問わず取引が電話、ファックス等の手段によって迅速に為されることが極めてしばしばである。

しかして、この様な状況下では、例えば本件商標を付した「ししゅう用絹糸、毛糸、ガラス繊維糸、金糸、銀糸」等が全国有名百貨店、小売店等に陳列された場合、これ等の主需要層である若き婦女子が、これ等商品を購入するに際して該商標の欧文字「EFILA」中「FILA」の外観に注意を引かれるであろうことは殆ど疑いを容れないところである。

又、称呼においても、「エフィラ」は「エ」音、「フィ」音、「ラ」音のいずれに強勢を置くことなく、平板に発音されるであろうから、巷間「フィラ」の称呼をしばしば耳にしているこれ等需要者が「エフィラ」を「フィラ」と誤聴又は「フィラ」と係りのある商標ではないかと誤認するおそれは甚だ大きい。

本件商標は外観上一連に表示されているとは云え、全体として、何等特定の具体的合理的概念を呈するものではないから、これを一連に観察しなければならない必然性は全くなく、特に上記の如く、世界的著名商標を包含している商標の場合には、これを単なる造語商標と認定することはあまりに形式的判断と云うべく取引の実情を看過した非現実的認定と云わなければならない。

してみれば、本件商標は右著名商標と称呼、外観において著しく類似する商標と云わざるを得ず、かかる類似商標がその指定商品に付されて市場に出現する時は、取引者、世人一般は該商品が本件請求人又はそのライセンシーの製造、販売に係るものであろうとその出所に付いて誤認、混同するであろうことは疑いない。

かくして、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するものであることは何人もよく肯ふところであろう。

(4)請求人は、特に「スポーツウェア、スポーツシューズのFILA/フィラ社」として世界的に知られているものである。してみれば本件商標は、右著名商号の要部に単に「E」又は「エ」の1文字を付加して成るものにすぎず、右著名商号要部を充分に意識したものと云わざるを得ない。されば、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものである。

(5)本商標権者が請求人の世界的信用にフリーライドせんとすることは明らかであり、創業以来今日迄該商標の名声を孜々として守り抜いて来た請求人にとって全く許容し難いものである。

4.被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第3号証を提出した。

(1)本件商標に対して、請求人は、その所有する商標「FILA」が著名であるとして本件商標が商標法第4条第1項第15号に、更に申立人会社が「FILA社」又は「フィラ社」として周知であるから同第8号に該当すると述べている。しかしながら、以下の理由から、本件商標は上記法条に該当するものではない。

(2)本件商標は、商標「FILA」「フィラ」や請求人の社名から採ったものではなく、本願指定商品の原料「糸」の一種である「長繊維」の英語「FILAMENT」(フィラメント)の「フィラ」と、この糸の開発記号「E」を付加して「EFILA/エフィラ」としたもので、出願人が案出した造語商標である。

(3)次に、本件商標と引用各商標を称呼の面で比較すると、本件商標の語頭音である母音の「エ」が聴く者に強く認識され、促音を含めてわずか4音の短い称呼では「エ」「フィラ」とが分離して認識されることはなく、本件商標と引用商標「フィラ」とは決して聴き誤ることのない別個の商標と判断されるので、被請求人がその指定商品に本件商標を使用したとしても、請求人の引用各商標の指定商品と出所の誤認を生ずるとは考えられない。

(4)更に、商標法第4条第1項第8号に該当するか否かについては、両商標の外観、称呼の相違から、造語商標である本件商標「EFILA/エフィラ」の後半部「フィラ」が請求人の名称であるとみなければならない理由はないから、本号にも該当するものではない。

(5)また、本件商標に対しては、請求人から本審判請求とほぼ同理由の商標登録異議申立(平成9年異議第90265号:甲第1号証)を受けたが、『本件商標の文字態様が、同書,同大一体不可分の構成よりなり、殊更、構成中の「FILA」の文字部分のみを分離して看取しなけらばならない特段の事情も認められない。また、下段の片仮名文字は、上段の欧文字の読みを特定した振り仮名と認められ、これより生ずる「エフィラ」の文字も簡潔で一気に呼称し得るから本件商標は全体を一体不可分の構成よりなる商標であり、異議申立人の略称を含む商標とはいい得ずまた、両商標は、商標が著しく相違するものと認められるものであるから、例え商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、申立人の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといえる。従って、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び第15号に違反して登録されたものということはできない。』との登録の維持の決定がなされている。

(6)請求人はまた、被請求人の商願平6−109214号(登録第3368693号)及び商願平6−109216号(登録第3370722号)商標「フィラシス」の2件に対しても同様の内容の異議申立を行ったが、上記(5)と同じ理由で「異議理由なし」の決定が成されている(乙第2号証及び乙第3号証)。

5.当審の判断

(1)商品の出所の混同のおそれの有無について

(イ)標章の類似性について

本件商標は、「EFILA」の欧文字と「エフィラ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものである。しかして、上段の欧文字をみると、その各文字は同じ大きさ、同じ書体をもって、等間隔に表されており、これをいずれかの文字部分で分離して観察しなければならないとする特段の理由は認められない。就中、その構成中「FILA」の文字部分を限定して抽出する格別の事情も認められない。また、下段の片仮名文字も同じ書体をもって等間隔に表されており、これが上段の欧文字の表音を表したものとみて自然であり、これらより生ずる「エフィラ」の称呼は、簡潔で一気に称呼し得るものである。そして、上記構成の欧文字及び片仮名文字は、いずれも特定の語義を有しない一連の造語よりなるものと認められるものである。してみれば、本件商標は、全体として造語よりなる商標というべきである。

一方、引用商標は、上記2.に示した構成からなり、いずれもその構成より「フィラ」の称呼を生ずるものである。

しかして、本件商標と引用商標とを比較すると、両者はその構成が明らかに異なり外観上においては十分に区別し得るものである。また、本件商標より生じる称呼「エフィラ」と引用商標の称呼「フィラ」とは、前者の音構成後半に後者と同じ「フィラ」の音を含むけれども、称呼を識別する際に重要な要素といえる語頭において、「エ」の音の有無の差異を有しており、かつ、当該「エ」の音がその余の音と分離するとか、格別に微弱なものとして発音・聴取されるとすべき事由も見出せないから、音数の極めて短い称呼における前記の差異が称呼全体に与える影響は決して小さいとはいえないものである。してみれば、それぞれを一連に称呼するも、その語感・語調が異なり、彼此紛れることなく判然と区別し得るものである。さらに、本件商標は前記のとおり特定の観念を生じさせない造語であるから、引用商標とは観念上比較し得ない。

してみれば、両商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできない。

(ロ)引用商標の周知性について

請求人提出の甲各号証及びその主張によれば、引用商標は、商品「テニスウエアー、スポーツシューズ」等に使用され、本件商標の登録査定時はもとよりその登録出願時において、上記商品の需要者の間に広く知られるに至っていたといえるものである。また、引用商標はファッション関連の商品を中心としてかなり広範囲の商品の需要者に知られるに至ったといい得るものではあるが、しかしながら、全証拠に照らしても、「糸」の取引に係わる取引者・需要者間に広く知られるに至っていたものと積極的に認め得る証拠は見出せない。

(ハ)商品間の関連性等について

本件商標の指定商品「糸」は、繊維を線状の長い連続体にしたもので、織物や編物、組物などの素材に供されるためのものであって、スポーツウエアやスポーツシューズ等の引用商標の使用に係る商品とは、その性質や用途及び生産者・流通経路等が全く異なるものであり、その間に関連性が高いとは言い難いものである。また、「糸」はそれを用いて次に何らかの生産、製作等を行う者がその需要者というべきであり、その中には婦女子が含まれるとしても、両商品の需要者が共通しているとまではいえない。

(ニ)以上よりすれば、スポーツウエアやスポーツシューズ等について、引用商標が、本件商標の出願時において、その需要者間では広く知られるに至っていたと認められるけれども、これと類似性の低い本件商標をその指定商品「糸」に使用した場合において、本件商標の構成中の欧文字の一部に「FILA」を含むとしても、引用商標の使用商品と関連性が高いとはいえない商品「糸」の取引者・需要者が、これよりスポーツウエアやスポーツシューズ等に使用されている引用商標を想起し連想して取引にあたるとは言い難いものである。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が請求人あるいはこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると認識され、その取引者・需要者が商品の出所を誤認し混同を生ずるおそれがあるとはいえないと判断するのが相当である。

なお、請求人が挙げる審査例等は、商標の構成態様及び商品相互間の関連性おいて本件とは別異のものであるから、事案を異にするといわざるを得ないものである。

(2)また、本件商標は、前述のとおり「エフィラ」の称呼を生じさせる一連の造語からなるものとして把握・理解されるというのが相当であるから、請求人の名称の略称を含むものに該当するとは認められない。 (3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号に違反して登録されたものとは認められないから、同法第46条第1項の規定によって、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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