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Trademark Appeal Case

「SEALTEK」周知商標の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90288(T2000−90288/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4340990号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4340990号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成11年3月23日登録出願、第17類「ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキング」を指定商品として、平成11年12月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、その出願前、既に登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品「メカニカルシール」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている後掲(2)、「SEALTEK」の欧文字、「シールテック」の片仮名文字及び後掲(3)の商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似するもので、且つ申立人の使用商品「メカニカルシール」と類似する商品を指定商品とするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要旨

申立人「株式会社ニッテツ・ファイン・プロダクツ」は、本件商標と図形部分の色合いのみが相違する極めて酷似した後掲(4)に示すとおりの構成よりなる商標を、本件商標の出願(平成11年3月23日)前の平成6年頃より現在まで、商品「メカニカルシール」に使用している事実を、甲第24号証ないし甲第64号証により認め得るものであり、かつ、同商標は我が国において取引者・需要者の間に広く認識されている事実を申立人提出の甲各号証によって認め得るところである。

さらに、申立人の使用商品「メカニカルシール」と本件商標の指定商品は、共に「密封装置(管フランジの接触部分とかピストンの外周面とシリンダー内面の間のように流体の漏れを防ぐべき部分に設ける機械要素)」と呼ばれているものであり、その商品の生産部門・販売部門・用途・需要者の範囲等を共通にする類似の商品と認められるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見の要旨

上記3の取消理由に対して、商標権者は、つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標権者の前身ともいえるイタリア法人の「シールテック エス.アール.エル.」はサンドロ・ビドイア氏とシモネッタ・プリモン氏の二人のイタリア人により1989年に設立された(乙第1号証)。

イタリア法人登録原簿の抄録(乙第2号証)によれば、新しい会社である商標権者「エス.アイ.シー.エス.アール.エル.(シールテック インターナショナル.コーポレイション)」が1994年に設立され、その設立メンバーが記載されているが、その中に上記のビドイア氏も含まれている。

当初、「シールテック エス.アール.エル.」が、本件商標「SEALTEK」に関して、イタリア登録商標第518242号および国際登録第547574号の権利者であったが、これらの商標に係る全ての権利が、1994年11月28日付けで、商標権者に譲渡された(乙第3号証)。

商標権者は、本件商標と同一構成よりなる商標を2000年にイタリアで商標出願を行っている(乙第5号証)。

一方、国際登録については、本件と同一の「シールテック エス.アール.エル.」の名義で出願され、登録された(乙第6号証の1)。その後、この国際登録商標は更新されると共に(乙第6号証の2)、「シールテック エス.アール.エル.」から商標権者に譲渡された(乙第6号証の3)。

このように、過去には「シールテック エス.アール.エル」が、そして現在は商標権者が世界各国で商標「SEALTEK」の権利者である。

(2)本件商標「SEALTEK」は、商標権者の商標として世界各国で使用されている(乙第11号証の1〜23)。これらのインボイス(写)からも明らかなように、本件商標を付した商品が流通している国は、マケドニア、ポーランド、ベネズエラ、カナダ、ギリシア、日本、サンサルバドル、トルコ、メキシコ、マレーシア、スロべ二ア、アルゼンチン、ノルウェー、イラン、イスラエル、アメリカ、ロシア、オランダ、台湾、マルタ、ハンガリー、クロアチア、ドイツなど世界のほぼ全域に及んでいる。

商標権者は、本件商標「SEALTEK」の下で営業活動を行っているだけでなく、ウェブサイト「www.sealtek.com.」のオーナーでもある(乙第12号証)。このウェブサイトは世界中で視聴されている。

さらに、商標権者は、ドイツのフランクフルトで開催されたACHEMA2000のように、この分野において最も重要視されている商業・貿易フェアに積極的に参加し、シールテックのブースを設置した(乙第13号証)。

商標「SEALTEK」に付した商品の品質水準を確かなものとするために、商標権者は、ISO 9002を取得した(乙第14号証)。

(3)「シールテック エス.アール.エル.」は、1989年に日本の取扱業者「株式会社ディーパックジャパン」(後に、社名を株式会社シールテックに変更)に商品を出荷した(乙第15号証)。

1990年に「シールテック エス.アール.エル.」は本件商標と同一の商標について日本で商標登録出願をしたが、その際に「シールテック エス.アール.エル.」と「株式会社ディーパックジャパン」が商標使用許諾契約を締結した(乙第16号証)。

この契約書には両社の代表者がサインしており、特筆すべきことは、「株式会社ディーパックジャパン」の代表者が、この契約書において、「シールテック エス.アール.エル.」が商標「SEALTEK」の権利者であることを認め、「株式会社ディーパックジャパン」はその商標についての使用許諾を求めていたことである。

なお、申立人は、本件商標権が、株式会社シールテックから、申立人の親会社である新日本製鉄株式会社釜石製鉄所に譲渡された旨述べているが、この譲渡行為は法的に無効である、なぜならば、上記の契約書で、「シールテック エス.アール.エル.」から「株式会社ディーパックジャパン」に許諾された権利は第三者に譲渡できないことが明記されているからである。申立人はこの契約の存在を知らないで、本件異議申立を行っているものと推察される。

商標「SEALTEK」を付した商品の包装用具は商標権者から提供されていた。例えば、ビドイア氏から三菱商事株式会社に送付された価格表には、1996年および1997年の包装用品の価格が記されている(乙第22号証の1および2)。このことから、商標「SEALTEK」が、ライセンシーである日本の会社によって管理されていたものではなくて、商標権者が法律的にも、実務的にも管理していたことが分かる。

(4)ビドイア氏は1991年に申立人の親会社と思われる「日本製鉄化学株式会社」を訪れた(乙第23号証)。

その後、商品に商標を付すのはビドイア氏の責任の下で行われるというシステムの下に、申立人と三菱商事株式会社とがビドイア氏の会社の代理店となった。申立人と三菱商事株式会社とが作成した日本における広告(写)を乙第24号証として提出する。この広告には商品の写真が掲載されているが、この商品のラベルには商標「SEALTEK」が付されており、ラベルの文字はイタリア語で記されている。例えば、「composto per mischiare alluminio」および「antigrippante senza metalli」という語句が見られるが、これらはイタリア語であり、「composition for mixing aluminum」、「anti‐seizure product without metals」という意味でる。このことからも明らかなように、商標「SEALTEK」はイタリア法人である商標権者により管理されていた。

5 当審の判断

申立人提出に係る資料、甲各号証及び商標権者の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

商標権者の前身である「シールテック・エス・アール・エル」は、1989年に設立(乙第1号証)された商品「メカニカルシール」等を取り扱うイタリア法人であって、本件商標をイタリア国及び国際登録をしていたものであるが、該商標権については、その後、商標権者に譲渡された(乙第3号証)(乙第6号証の3)事実が認められる。

一方、申立人は、株式会社博屋商行から株式会社ディーパックジャパン(平成2年3月1日、「株式会社シールテック」に改称。)に引き継がれた事業に基づき、本件商標に係る商品「メカニカルシール」の製造、組立を依頼された「新日本製鐵株式会社釜石製鉄所」の子会社であって、申立人が、我が国において、申立人の関連会社により引用商標を商品「メカニカルシール」に使用していた事実、また、申立人、申立人の関連会社及び株式会社シールテックの間で合意書等を作成した事実が認められるとしても、上記のとおり、本件商標は、1989年設立されたイタリア法人「シールテック エス.アール.エル.」より商標権者「エス.アイ.シー.エス.アール.エル.シールテック インターナショナル.コーポレイション」へ正当に譲渡されたと推認し得るものであり、該商標を商標権者が世界各国に使用していたこととも合わせ勘案すれば、引用商標の申立人の使用は、正当な権原に基づく使用であるとはいい難く、保護されるべき化体された信用が申立人のみに存するものとはいい得ないものである。

そうとすれば、本件商標は、これを商標権者がその指定商品について使用するときは、必ずしも、商標法第4条第1項第10号にいう「他人」であるとはいい得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。

よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。

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