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Trademark Appeal Case

欧文字商標の外観称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35718(T2000−35718/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4344104号の指定商品中「第9類 理化学機械器具、測定機械器具、写真機械器具、光学機械器具」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、これを二分し、その一を請求人、残余を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4344104号商標(以下、「本件商標」という。)は、「AMITEQ」の欧文字を横書きしてなり、平成10年5月15日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,光学機械器具,レコード,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,自動車用シガーライター,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」を指定商品として、平成11年12月17日に設定登録がされたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2093873号商標(以下、「引用商標」という。)は、「AMETEK」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年12月23日に登録出願、第10類「精密測定機械器具、その他本類に属する商品、但し、医療機械器具を除く」を指定商品として、昭和63年11月30日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は「本件商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証を提出している。

本件商標と引用商標とは、以下に述べるようにその外観・称呼のいずれにおいても類似するものである。

(1)外観について

本件商標は、「AMITEQ」と欧文字を横書きで表記してなる商標であり、一方、引用商標は「AMETEK」と欧文字を横書きで表記してなる商標である。

両者は、ともに同じ字体のゴシック体をもって横書きにされており、その構成字数も全く同じ六文字で、第三文字及び第六文字が本件商標では「I」「Q」、引用商標では「E」「K」であるという差があるだけで、その余の文字の「A、M、T、E」の全部を共通としている。しかも相違点である第三文字のIとEは、一見見誤りやすい字形をなしている。

以上の点に鑑みると、これらが簡易迅速を旨とする商取引の実際において同種商品に使用され、しかも、隔離的に対比されることを考えれば、外観において互いに類似するものであるといえる。

(2)観念及び称呼について

両商標「AMITEQ」も「AMETEK」も欧文字で表記してなる商標であり、いずれも日本語として対応する意味が無く、何らの観念も生じない。

したがって、観念において類否は問題とならない。

しかしながら、上述の様に外観上類似しているばかりでなく、その称呼から見ても、以下に述べるように、両商標の間で混同誤認の虞が十分あることは明らかである。

(ア)本件商標の称呼について

本件商標は、上記構成の通り「AMITEQ」の欧文字よりなるものであるが、その構成文字に相応して、「アミテック」の称呼を生ずるのが相当であると解される。

被請求人も、本件商標と構成を同じくする社名を、実際の商取引において「アミテック」なる称呼で使用している。その証拠として、インターネット上での被請求人のホームページにおける会社概要の説明(甲第3号証参照)及び被請求人に係る帝国データバンク企業情報(甲第4号証参照)を添付する。

これら事実は、被請求人の商品の流通に関与する一般取引者・需要者において、本件商標から生じる称呼の一般的傾向の判断に影響を与える重要な事実であると思料する。

また、甲第5号証ないし甲第9号証に挙げるように、商標の構成部分において、「TEQ」もしくは「teq」の欧文字を「テック」と称呼する片仮名とともに登録・出願されている商標が複数ある。これらによれば、「TEQ」もしくは「teq」の欧文字で後半部を構成されている商標は、「テック」と称呼するのが普通であると認識されているといえる。

さらに、特許庁ホームページの商標検索における「商標出願・登録情報」の検索結果において、「TEQ」もしくは「teQ」の欧文字で後半部を構成されている商標からは「テック」との称呼が生じると掲載されている登録・出願商標を、甲第10号証ないし甲第20号証のように多数挙げることができる。このことから、「TEQ」の欧文字からは「テック」との称呼が生じるとの判断が、特許庁によりなされていることが窺がえる。

以上より、本件商標は当該文字に相応して「アミテック」との称呼が生じると判断するのが相当である。

(イ)引用商標の称呼について

一方、引用商標は、上記構成の通り「AMETEK」の欧文字よりなるものであり、その構成文字に相応して、「アメテック」の称呼を生ずるのが相当であるものと解される。

特許庁ホームページの商標検索における「商標出願・登録情報」の検索結果においても、引用商標の称呼は「アメテック」と掲載されている(甲第21号証参照)。これより、引用商標から生じる称呼は「アメテック」である、との判断が特許庁においてなされているといえる。

また、甲第22号証ないし甲第36号証に挙るように、商標の構成部分において、「TEK」の欧文字を「テック」と称呼する片仮名とともに登録されている商標が多数ある。したがって、「AMETEK」の欧文字から生じる称呼は、一般的に「アメテック」であるとの認識がなされていると考える。

以上より、引用商標は当該文字に相応して「アメテック」との称呼が生じると判断するのが相当である。

(ウ)本件商標と引用商標より生ずる称呼の類似性について

本件商標の「アミテック」の称呼と引用商標の「アメテック」の称呼とを対比するに、両者は同音数からなり、称呼の識別上重要な要素を占める第一音の「ア」をはじめ、後半部の「テック」の音を共通にしており、中間において「ミ」と「メ」の音が相違するのみである。

しかも、相違する「ミ」と「メ」の音は、いずれもマ行音に属する両唇を密閉し有声の気息を鼻腔に通じて発する鼻音であり、帯有する母音(i)と(e)も母音三角形において近接した紛れ易いものであり、両者は極めて近似した音である。

また、これに続く「テック」の音が強く響くために、この差異が全体に及ぼす影響はわずかなものというべきであり、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の音感音調が近似し非常に紛らわしく、識別され難いものといわざるを得ない。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において極めて類似の商標である。

上記主張は、甲第37号証ないし甲第62号証に挙げる審決例からも明らかである。

(3)商品の類似について

本件商標の指定商品中には、「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,光学機械器具」が含まれている。

よって、明らかに、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似であるといえる。

(4)以上述べた如く、本件商標は引用商標と外観・称呼のいずれにおいても類似し、指定商品も同一又は類似である。

また、本件商標の出願日は平成10年5月15日であり明らかに引用商標の出願日昭和60年12月23日よりも後願であるので、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べている。

(1)外観類似の主張に対して

請求人は、本件商標が引用商標とその外観において類似していると主張している。

しかし、本件商標が、「AMITEQ」という態様からなるのに対して、引用商標は、「AMETEK」という態様からなるものであるので、外観において明らかに相違している。

元来が、文字というものは、人間の知性によって、その外観・外形のわずかな相違まで識別され、認識されるものであるから、明らかに相違する文字が表されている場合、その外観をもって取引関係者及び一般消費者が混同することは到底ありえない。

(2)観念類似の主張に対して

請求人は、本件商標と引用商標と対比するにあたって、どちらも観念を生じないので、観念における類否は問題とならない、としているが、失当である。

本件商標においては特段の観念が生じないが、引用商標からは、それなりの観念が生じる。

米国企業にあっては、その国名を表す「AMERICA」と業務内容を示唆する語との、省略形による組み合わせ造語商標が多々みられる。

例えば、「AMERICAN」「EXPRESS」をもって、「AMEX」というが如きであり、やや古くは「BANK」OF「AMERICA」をもって、「BANKAME」という例もある。

引用商標も、その例に漏れず、「AME」「TEK」つまり、アメリカのテクニックという意味合いの観念が色濃く生じる。これに対して、本件商標にあってはそのような観念は全く生じない。

(3)称呼類似の主張に対して

本件商標「AMITEQ」は、全くの新造語であるから、そこから如何なる称呼が生じるのかは、容易には即断し難い。

請求人は、商標権者が代表取締役を務める会社の社名が「アミテック」であるから、「AMITEQ」からは「アミテック」の称呼を生じると主張しており、引用商標「AMETEK」からは、「アメテック」の称呼を生じると主張している。また、「i」と「e」が相違する商標間において称呼類似と判断された例を証拠としていくつか列挙している。

しかし、仮りに本件商標と引用商標において、それぞれ、請求人主張のような称呼が生じるとしても、本件にあっては、取引関係者及び一般消費者が混同するほど称呼において類似しているということができない。

称呼の類似とは、商標を音に唱えてそれを聴き取ったときの類似度に関わるものにほかならない。50音表の何番目であるから、互いに類似している、などと観念的に一律には必ずしも断定することができないものである。

そこで、「アミテック」と実際に音を発音し、また、「アメテック」と実際に音を発音してみれば、即座に理解できるように、両者において、アクセントの置かれ方が明らかに相違しており、称呼において顕著な相違が生じてくる。

すなわち、本件商標にあっては、「アミテック」というように、最初の「ア」と「ミ」に均等にアクセントがかかり、「テック」は弱い。

これに対して、引用商標にあっては、「アメテック」というように、最初の「ア」はかなりの弱音であり、2番目の「メ」に強音のアクセントがかかり、「テック」は「メ」よりは弱音であるが、最初の「ア」よりは強い。

このようなアクセントの違いは、聴者をして各第2音の「ミ」と「メ」の相違を明らかに際立たせる。

以上から明らかなように、称呼においても本件商標と引用商標とは相違しているので、請求人の主張は失当である。

(4)むすび

以上の通り、本件商標が引用商標に類似しているとはいえない。

第5 当審の判断

本件商標と引用商標は、上記に示すとおりの構成よりなるところ、これらはいずれも特定の観念を有しない造語を表したものと認められるものであるから、前者より「アミテック」、後者より「アメテック」の各称呼をも生ずるものとみるのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「アミテック」の称呼と引用商標より生ずる「アメテック」の称呼とを比較するに、両称呼は第2音の「ミ」と「メ」以外の全ての構成音を同じくするものである。

そして、相違する該「ミ」と「メ」の音にしても、いずれもマ行に属する両唇を密閉し有声の気息を通じて発する鼻子音〔m〕に発音上近似する母音「i」及び「e」をそれぞれ結合した比較的近似した音であり、かつ、聴者の印象に残りにくい中間音の差異でしかない。

そうとすれば、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は小さく、両称呼を一連に称呼するときは、語調語感が近似しこれらを互いに聴き誤るおそれが少なくない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観及び観念上相違する点が認められるとしても、称呼上相紛らわしい類似する商標と言え、かつ、本件商標の指定商品中「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,光学機械器具」は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、その指定商品中「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,光学機械器具」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものと認められるものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とする。

しかしながら、本件商標の指定商品中「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,光学機械器具」以外の商品については、商品の生産者、需要者、用途等よりみて、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品とは言えないから、これらの商品の登録については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとは言えず、この点に関する審判請求は成り立たない。

よって、結論のとおり審決する。

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