結論テキスト
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35297号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3307968号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおり、筆記体で「Pitti Shoes」の文字を横書きしてなり、平成6年8月26日に登録出願、第25類「雨靴,編上げ靴,運動靴,オーバーシューズ,木靴,作業靴,サンダル靴,短靴,釣り用靴,長靴,ハーフブーツ,婦人靴,防寒靴,メリヤス製靴,木綿製靴,幼児靴,麻裏草履,皮草履,スリッパ,フェルト草履」を指定商品として、同9年5月16日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第45号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
請求人「株式会社オギツ」は、昭和27年5月19日に設立された、皮革婦人靴の製造販売を目的とする会社であり、全国の百貨店と専門店を主な販売先として営業し、平成6年で230億円、平成9年では270億円の販売実績を残している(甲第3号証ないし同第8号証)。
請求人婦人靴のブランドとしては、「NINA RICCI」「GIVENCHY」などの有名ブランドと、「ing」「RASPINI」「Sarah」「LORA COMO」などの自社オリジナルブランドとを合わせ現在20種類以上のものを有し、製造販売している(甲第5号証ないし同第8号証)。
商標「Pitti」(以下、「引用商標」という。)は、請求人が昭和57年12月から市場に展開した自社オリジナルブランドの一つであり、現在に至るまで15年以上継続して使用しているものである。
引用商標を付した商品「婦人靴」は、阪急百貨店大阪中央店において、平成6年12月23日からの約半年間に、3725足(約2335万円)販売され(甲第9号証)、全国の百貨店と靴専門店に対して、平成7年に約24万足(15億円)、平成8年に約25万足(16億円)、平成9年に約31万足(20億円)販売されている(甲第10号証ないし同第12号証)。また、当該「婦人靴」について、平成2年から同6年の間の継続した販売事実は、甲第13号証ないし同第19号証(伝票中、品名/コードのPDが当該商品の商品記号)で確認できる。
甲第20号証(平成5年秋冬コレクション等及び請求人ショールーム内展示コーナーの写真)及び同第21号証(平成5年ないし同10年春夏秋冬のデザイン一覧表)によって、引用商標を付した商品「婦人靴」は、本件商標が出願されたのと同時期の平成6年の春夏には、多種類のデザインのものが展開されていたことが判る。
更に、前記販売の事実に加えて、請求人は、当該「婦人靴」を女性向け雑誌等に掲載し、広告活動を行っている(甲第29号証ないし同第39号証)。
以上の証拠によって、引用商標は、その商標を付した婦人靴が数多くのデザインで展開されていること、販売額・販売足数において大きな実績を残していること、継続的に販売してきたものであることから、少なくとも本件商標の出願時には、本件商標の指定商品を取り扱う靴業界において、請求人業務にかかる「婦人靴」を表示する商標として周知に至っていたものである。
その裏付けとして、全国百貨店の証明書、全国靴専門店の証明書、靴メーカーの証明書、靴箱製造者の証明書、靴中敷用ネームスタンプ製造者の証明書、同業者組合の証明書を提出する(甲第40号証ないし同第45号証)。これらをみれば、引用商標は古くから存しており、少なくとも当業界においては周知性を獲得していることはより明らかとなる。
そして、本件商標は、その構成中「Shoes」の文字が商品そのものを表すものとして把握される結果、「Pitti」の文字が商標の要部として認識されるものであるから、引用商標と類似する。
したがって、本件商標は、その出願時点で、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品について使用するものに該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
前述のとおり、引用商標が当業界においては周知となっているものであるから、本件商標は、これを「靴」について使用するときには、請求人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当し、その登録は拒否されるものである。
よって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件審判請求の理由及び請求人提出の甲各号証を総合してみるに、以下の事実が認められる。
a)本件無効審判の請求人である「株式会社オギツ」は、昭和27年5月19日に設立、主として「婦人靴」を製造・販売する会社であり、平成5年に240億円、本件商標出願と同時期の平成6年においては230億円の販売実績があったこと。
b)甲第13号証ないし同第19号証における納品書・請求明細書等の取引書類(平成2年、同4年ないし同6年)によって、引用商標「Pitti」は、少なくとも平成2年から継続して「婦人靴」に使用されていたと認められること。
c)婦人靴の写真が掲載された「ピッティ 1993年秋冬コレクション」(甲第20号証)及び平成5年・同6年の婦人靴デザイン一覧表(甲第21号証)よれば、本件商標出願と同時期の平成6年には、引用商標が多種類のデザインの婦人靴に使用されていたと認められること。
d)請求人が主要取引先(伊勢丹・高島屋・大丸・小田急百貨店等の全国主要都市の百貨店、全国の靴小売専門店・専門量販店)に販売した引用商標を付した「婦人靴」の数量及び金額は、本件商標の出願日(平成6年8月)後ではあるが、例えば、阪急百貨店大阪中央店においては、平成6年12月からの約半年間に3725足(約2335万円)が販売され、全国の百貨店と靴専門店に対しては、平成7年に約24万足(約15億円)が販売されたこと。
e)引用商標が昭和57年12月から婦人靴に使用されていて周知なものである旨を内容とする百貨店・靴専門店・靴メーカー・同業者組合等の証明書(甲第40号証ないし同第45号証)において、阪神百貨店・伊勢丹・近鉄百貨店・大丸・高島屋・松坂屋・東武百貨店・京王百貨店・東急百貨店・小田急百貨店等の東西の有名百貨店の殆どが証明していること。
以上によれば、引用商標は、本件商標の出願日前から請求人により「婦人靴」に使用されていた事実を認め得るものであり、遅くとも本件商標の登録出願時の平成6年には、請求人の「婦人靴」を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものということができる。
次に、本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標は、別掲のとおり、「Pitti Shoes」の文字よりなるものであるところ、その構成中後半の「Shoes」の文字が、「靴」を意味する語であって、商品「靴類」との関係においては、単に商品名を表したといい得るものであるから、これに接する取引者・需要者は、該「Shoes」の文字部分を省略し、自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる前半の「Pitti」の文字を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字中「Pitti」の文字部分に相応して、「ピッティ」又は「ピティ」の称呼をも生ずる。
他方、引用商標は、「Pitti」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「ピッティ」又は「ピティ」の称呼を生ずるものであること明らかである。
してみると、本件商標と引用商標とは、その外観において相違するところがあるとしても、それぞれ生ずる「ピッティ」又は「ピティ」の称呼を同じくする類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品中「雨靴,編上げ靴,運動靴,オーバーシューズ,木靴,作業靴,サンダル靴,短靴,釣り用靴,長靴,ハーフブーツ,婦人靴,防寒靴,メリヤス製靴,木綿製靴,幼児靴」は、引用商標の使用をする商品「婦人靴」と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品「婦人靴」を表示するものとして需要者間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものといわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標が本件商標の登録出願時には、請求人の「婦人靴」を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものであることは前示(1)の認定のとおりである。
しかしながら、本件商標をその指定商品中、「婦人靴」とは製造者、流通経路等を異にする非類似の商品である「麻裏草履,皮草履,スリッパ,フェルト草履」に使用した場合、本件商標の登録出願時における引用商標の周知の程度からみれば、これに接する取引者・需要者をして直ちに引用商標を想起するほどまでに、引用商標が周知・著名になっていたものとは認め難く、かつ、右認定を左右するに足る証拠もない。
してみれば、本件商標は、その指定商品中上記商品に使用するときは、請求人若しくは請求人と何らかの関係のある者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。
(3)結論
以上によれば、本件商標は、その指定商品中「雨靴,編上げ靴,運動靴,オーバーシューズ,木靴,作業靴,サンダル靴,短靴,釣り用靴,長靴,ハーフブーツ,婦人靴,防寒靴,メリヤス製靴,木綿製靴,幼児靴」については、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
また、本件商標は、その指定商品中上記商品を除く残余の商品については、引用商標の使用をする商品とは非類似のものであって、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものでなく、また、同第15号の規定に違反して登録されたものでないことも前示(2)の認定のとおりであるから、これら商品についての登録は無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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