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Trademark Appeal Case

周知商標と混同の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35420号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2628482号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2628482号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ETNIES」の欧文字を横書きしてなり、平成4年1月29日登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)、かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、同6年2月28日に登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第19号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第7号の規定に違反して登録がなされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。

(2)請求人は、スケートボード用シューズ等について本件商標が出願される以前から需要者の間に広く認識されている商標「ETNIES」の所有者である。

「ETNIES」商標に係る製品は主にスケートボード用シューズであって(甲第3号証)、スケートボード選手により使用されるような品質の高い製品であり、スケートボード関連商品の取引者、需要者、特にスケートボードの愛好者に広く知られているものである。

請求人は全世界的に「ETNIES」商標を出願、登録しているが(甲第4号証)、日本では請求人自らは販売しておらず、被請求人ほかの販売店を通していた(甲第5号証)。

「ETNIES」製品が米国のみならず、わが国においても、本件商標が出願された平成4年1月29日以前に複数の販売店を通じて販売されており、商標「ETNIES」がわが国の当該製品の取引者、需要者の間で既に周知となっていた事実は、以下に示すとおりである。

甲第6号証は、請求人の「ETNIES」商標に係る製品が、本件商標出願前の1992年1月以前から取引きされ、販売されていたことを示す、米国のスケートボード販売業者の証明書8通である。

「ETNIES」ブランドのシューズ及び被服は、わが国でも1990年以来複数の販売店を通じて販売されている。

本件商標が出願された1992年1月29日以前に商標「ETNIES」が請求人により使用されていた事実を示す証拠として、請求人の日本における販売店との間の、1990年及び1991年の取引書類の写しを添付する(甲第8号証)。これらの商品問合わせ、注文書、送り状等により、請求人が商標「ETNIES」の所有者であり、日本の販売店もそのように認識していたことは明らかである。

「ETNIES」製品は「Transworld SKATEBOADING」というスケートボードの専門雑誌に広告が掲載されているが(甲第9号証の1)、1989年から1992年の間、日本でも毎年7300冊以上販売されている。証拠として、当該雑誌の代表者の証明書を添付する(甲第9号証の2...「甲第9号証の1」と記されているが「の2」の誤記と認める。)。7300冊という部数は、当該雑誌がスケートボードという非常に限定されたスポーツの専門誌であることを考えると、決して少ない部数ではない。

同じく日本でも頒布されている国際的スケートボード専門誌「Thrasher」にも「ETNIES」商標に係る製品の広告が掲載されているが、1991年11月号の表紙には、スケートボード選手が「ETNIES」シューズを履いている写真が掲載されている(甲第10号証)。これらの専門雑誌は、被請求人のように運動用具に関する業務を行っている会社は、必ず目を通す雑誌である。

上記により、「ETNIES」商標が米国での使用及びわが国での1990年以来の使用により、本件商標の出願時には既に、わが国のスケートボード関連商品の取引者、需要者、特にスケートボード愛好者の間に広く認識されていた商標であることが明らかである。

よって、本件商標は、指定商品中の「運動靴」については、出願前に他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標であって、商標法第4条第1項第10号に該当していたにかかわらず登録されたものである。

また、本件商標が指定商品に使用された場合には、請求人所有の「ETNIES」商標に係る商品であるかのごとく需要者に誤認され、出所の混同を生ずるおそれがある。従って、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当していたにかかわらず登録されたものである。

(3)被請求人は1993年に請求人に接触以来、日本における「ETNIES」製品の販売を行っている。請求人は被請求人が本件商標の出願をしたことを知り、被請求人に書簡を送っている(甲第12号証)。被請求人は、「ETNIES」製品の他の販売店であるレバンテから商標使用料をとるために同社に接触したものである。

このことは、被請求人がレバンテにより販売されていた商品について調査していたことを示し、レバンテの店舗又は同社により開催された展示会(甲第13号証)等で、商標「ETNIES」に係る請求人の商品を目にしていたことを示すものである。被請求人は、オリジナルの「ETNIES」製品がどこで販売されているかを知っていながら、商標使用料をとるために本件商標を出願したものと考えられる。

なお、甲第17号証は、米国において請求人製品の販売会社、SoleTechnologyが、VANS社から受けた侵害通告に関する双方の書簡写しである。この侵害事件は被請求人が「ETNIES」商標を使用して販売した製品のデザイン等に対するものである。

商標「ETNIES」は請求人の創作に係る造語であり、特定の意味を有しない。従って、被請求人により偶然同じ商標が採択されたということは考えられない。被請求人は、本件商標出願当時、「スケートボート」という極めて限定された商品及びその関連商品について使用されていた「ETNIES」商標を、同じく「スケートボート」関連商品の取り扱い業者である被請求人が、本件出願当時知らなかったとは考えられない。事実、本件出願のすぐ後の1993年に、被請求人は請求人と接触して請求人製品の販売を開始している。

よって、本件商標は、請求人が「ETNIES」商標を日本においては未だ出願していないのを奇貨として先取りして出願されたものと考えられる。日本のスポーツ界が常にアメリカでの動向に注目していること、米国で人気のある製品はいち早く日本にも持ち込まれること、また、1980年代からのスケートボートの流行を考えると、被請求人には「ETNIES」商標の名声に只乗りしようとの意図が疑われても止むを得ない。従って、本件商標は他人の外国商標を先取りして登録したものとして、国際信義に反する商標として商標法第4条第1項第7号にも該当していたものである。

商標法第4条第1項第19号が新設され、外国商標の保護が厚くなった趣旨にも鑑み、外国商標「ETNIES」に請求人の企業努力によりわが国においても化体した信用が、その信用を利用する行為により損なわれるべきではない。

(4)答弁に対する弁駁

被請求人は、「証拠が外国語によるものであり、これら甲号証には審判請求人の主張事実を立証していると思われる記載が見当たらないものが多い。」、「各甲号証毎に主張事実を立証する箇所を特定し、その翻訳文を添付していただきたい。」と述べている。

しかしながら、主張事実を立証しているのはもとより各甲号証全体である。請求人は、請求の理由の中で、必要な個所には証拠の内容の説明をし、証拠によっては翻訳又は要訳をつけている。証拠の性質上、翻訳文がなくとも立証内容が一目瞭然と考えられるものには翻訳文は添付していない。

甲第8号証の取引書類の日付はすべて本件商標の出願前の1990年から出願直後の1992年である。これらの書類により、引用商標が本件商標の出願前から我が国において使用されていたこと、請求人のETNIES製品が米国各地のトレードショーに出品され、そこで日本の販売会社との商談が行なわれていたこと、等が明らかである。そして何よりも、これらの商品問合わせ、注文書、送り状等により、請求人が商標「ETNIES」の正当な所有者であり、日本の販売店もそのように認識していたことが明らかである。

被請求人は答弁書において、「本件商標出願後、請求人の商品をスポットで数回輸入したことはあるが、これらは本件商標商品の販売のために独自で開拓した国内の販売ルートに乗せて被請求人の商品を販売した場合、採算がとれるか否かを試しただけであり、その後は請求人の商品は一切扱わず、自己の商品にのみ本件商標を使用し、本件商標の宣伝広告及び販売拡大に努めてきた。」と述べている。

しかしながら、被請求人が、本件商標の出願後2年以上たった1994年から1995年に未だ請求人と取引関係にあったことは、甲第19号証の取引書類写しに示すとおりである。

この事実により、被請求人が請求人の製品を我が国で販売するために本件商標登録を取得したことが推定されるものである。

(5)以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第7号の規定に違反して登録がなされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。

(1)請求人が提出した甲号証は甲第1号証及び同第2号証を除いて全て英語によるものであり、翻訳文が添付されているのはそのうちの数箇所であり、他は該当個所の表示も翻訳文の添付もない。請求人は自己の提出した証拠を明確にしようとしないため、答弁が困難であるが、請求人の主張及び証拠に対し可能な範囲で以下答弁する。

(2)商標法第4条第1項第10号に関する主張について

請求人は「請求人のスケードボード用シューズは、スケードボード関連商品の取引者、需要者、特にスケードボードの愛好者に広く知られている。」旨主張し、その理由として「請求人は全世界に『ETNIES』商標を出願、登録している(甲第4号証)」旨主張している。

しかしながら、請求人の商標が広く知られている商標であるか否かの認定は、客観的に事実問題として判断されねばならない事項であるから、請求人商標の使用証拠に基づいて、その使用期間、使用方法、使用量、使用範囲等を総合勘案してなされるべきである。しかるに、請求人はそれら各国における使用証拠を全く提出していない。従って、請求人の商標がたとえ全世界に登録されていたとしても、それのみでは何ら同商標が広く知られていることの証明にはならない。使用されていなければ周知にも著名にもなる筈がないことは明かである。

また、「日本では請求人目らは『ETNIES』商標商品を販売しておらず、被請求人ほかの販売店を通していた(甲第5号証)。」旨主張している。

しかしながら、本件商標の出願前は、被請求人が日本において請求人の商品を販売した事実はない。このことは、請求人の代理人事務所である鈴江特許事務所へ宛てたHAAS氏の書簡(甲第5号証)において、「コマリョーが日本において『ETNIES』商標を出願したのは、コマリョーがエトニーズと商業的な関係を持つ以前であったと言う貴方の理解は正しい」と記載されていることからも明かである。

被請求人が請求人と接触したのは、甲第12号証にあるように、本件商標出願(1992年1月29日)の約2年後の1993年12月である。請求人は、被請求人が本件商標を日本で出願済みで近々日本における権利者となることを知り、被請求人にロイヤリテイーを支払い、自己の商品を被請求人により日本で販売してもらうことを希望し、相互の利益のために協力し合うことを提案してきたのである。請求人がロイヤリテイーの支払いを自ら申し出たのは、当時まだ無名に近い請求人の商標が、先願主義を採用する日本の法制下においては、単に先使用であることのみを以て商標権者に対抗できないことを承知していたからに他ならないと推測される。しかしながら、被請求人は元々自己の商品に本件商標を使用するために出願したのであり、事実、本件商標を自己の企画発注した商品に使用していた為、請求人の誘いを拒絶し、その後も請求人との間にいかなる契約も締結していない。ただ、被請求人は、本件商標出願後、請求人の商品をスポットで数回輸入したことはあるが、これらは本件商標商品の販売のために独自で開拓した国内の販売ルートに乗せて被請求人の商品を販売した場合、採算がとれるか否かを試しただけであり、その後は請求人の商品は一切扱わず、自己の商品にのみ本件商標を使用し、本件商標の宣伝広告及び販売拡大に努めてきた。

審判請求書には、「『ETNIES』ブランドのシューズ及び被服は、我が国でも1990年以来複数の販売店を通じて販売されている。本件商標が出願された1992年1月29日以前に、商標『ETNIES』が請求人により使用された事実を示す証拠として、請求人の日本における販売店との間の1990年及び1991年の取引書類の写しを添付する(甲第8号証)。」と記載されている。

しかしながら、甲第8号証は商標の使用事実を証明する本件審判において重要な証拠であるにもかかわらず、全て英語の文書による証拠であって翻訳文が添付されておらず、内容が不明である。即ち、これら証拠において「ETNIES」なる文字が確認できないものもある上、取引書類の受け手あるいは送り手の会社名が ”etnies USA ”である為、「ETNIES」の文字が確認できる場合でも、これが会社の略称であるのか商標であるのか判別できない。また商品が不明のものもあり、本件商標の指定商品とは非類似の商品も含まれている。更にまた「Packing SLIP」なる2通の書類は同一書類のコピーである等、証明力のない証拠が多く含まれている。また、仮にこれらが全て「ETNIES」商標が付された靴あるいはその類似商品の取引書類であるとしても、これら証拠の多くが1991年の約1年間の取引であり、その販売総数もわずかであるから、請求人の商標が商標法第4条第1項第10号に規定されている周知商標に該当することを証明するに足るものでないことは明かである。

審判請求書には、「上記資料により、『ETNIES』が米国での使用及び我が国での1990年以来の使用により、本件商標の出願時に既に我が国のスケードボード関連商品の取引者、需要者、特にスケードボード愛好者の間に広く認識されていた商標であることが明かである。」と記載されている。

しかしながら、請求人が提出した米国における請求人の「ETNIES」商品の取引証拠(甲第6号証)は、「ETNIES」のカタログ乃至は商品を1992年1月1日以前に受け取ったという内容の米国における請求人の取引者の手紙7通と、1992年に「ETNIES」のカタログを印刷したという内容の手紙が1通であり、「ETNIES」商品を何時から販売しているのか、またその数量も不明である。

また、甲第9号証の1及び10号証は米国のスケードボード専門雑誌に掲載した請求人商標の広告であるが、甲第9号証の1の月刊誌には1991年4月から同年11月迄の都合8回、甲第10号証の月刊誌には都合14回の広告が掲載されているだけである。従って、提出された使用・広告の全証拠を総合しても、請求人商標が本件商標の出願時米国で広く認識されるようになっていたとは到底認められない。

また、甲第9号証の1の日本への1991年における販売部数は7313部であるとされているが、甲第10号証の雑誌は日本に販売された証明もない。従って、これらの証拠は、「ETNIES」商標を使用した請求人の商品が1992年以前に米国並びに日本において販売されたことを立証し得るのみで、請求人の主張するように、本件商標の出願時に請求人の「ETNIES」商標が日本においてスケードボード関連商品の取引者、需要者、特にスケードボード愛好者の間に広く認識されていたことを証明し得るものではない。ましてや、本件指定商品中の「運動靴」について、本件商標がその出願時、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとする前記請求人の主張は到底認められないものであり、何ら根拠のない主張である。

(3)商標法第4条第1項第15号に関する主張について

次に、請求人は「本件商標が指定商品に使用された場合には、請求人所有の『ETNIES』商標であるかのごとく需要者に誤認され、出所の混同を生ずる虞があるにもかかわらず登録されたものである。」と主張している。

しかしながら、請求人の商標は、本件商標の出願前に使用されていたとしても、本件商標の出願時、その指定商品「はきもの(運動用特殊靴を除く)、かさ、つえこれらの部品附属品」の日米の需要者に広く知られていた商標であると言えるものでないことは前述の通りであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合に、本件商標が請求人所有の「ETNIES」商標であるかのごとく需要者に誤認され、出所の混同を生ずることなど起こり得ない。

(4)商標法第4条第1項第7号に関する主張について

請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当していたと主張し、その理由を種々述べている。

請求人は、「被請求人はオリジナルの『ETNIES』製品がどこで販売されているかを知っていながら、商標使用料を取るために本件商標を出願したものと考える。」等主張しているが、これらは何ら根拠のない主張であるし、またこの様な当事者間の私的な権利関係の争いは、商標制度に関する公的な秩序の維持を図ることを目的とした商標法第4条第1項第7号の適用云々の問題ではないと思料される。

次に、被請求人が本件商標の出願後今日までに行ってきた本件商標の宣伝広告の事実を述べれば、被請求人が現在までに費やした本件商標の広告費用は、証明がとれた雑誌とテレビでの広告の総額だけでも8716万円に上っている(乙第1号証、同第2号証参照)。

請求人は、前述のごとく、1993年に被請求人が本件商標を出願し権利者となったことを知っていたにもかかわらず、本件商標の登録後その動向を窺っていた模様で、出願当時は殆ど無名であった本件商標が、出願人の営業努力と、多大の費用を費やして継続的に行ってきた宣伝広告努力の結果、漸次需要者に知られるようになり、売上げが急増してきたのを見定めて、登録後5年近くも経った今になって、本件無効審判を請求してきたものである。

このように、請求人の本件審判の請求は、他人の営業努力の成果や多大の費用を費やして行った宣伝広告の成果を、労せずして手にしようとしたものと考えざるを得ないものである。

請求人は、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当理由の結論として、「被請求人は『ETNIES』商標の名声にただ乗りしようとの意図が疑われてもやむをえない。従って、本件商標は他人の外国商標を先取りして登録したものとして、国際信義に反する商標として商標法第4条第1項第7号に該当していたものである」と主張している。

しかしながら、既に述べた通り、「ETNIES」商標の使用は、提出された証拠によれば1990年からであり、その販売数からみても、また広告年数、規模からみても、該商標が本件商標の出願時に米国において名声を得ていたとは到底認められないものである。

言うまでもなく、周知商標の保護は国際的合意事項であり、外国商標であるために周知商標の保護を欠く様なことになれば国際信義に反することは勿論であるが、外国商標であるからと言って、周知でも著名でもない商標を我が国法制の例外として扱い、国内商標より優遇しなければならない理由は存在しない。

(5)以上の次第で、請求人が主張する本件商標に対する無効理由は、いずれも証拠による裏付けのないものであり、何ら根拠のないものであって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第7号に違反して登録されたものではない。

よって、本件商標はその登録を無効とされるべきではない。

4 当審の判断

(A)請求人提出の甲各号証に基づく事実認定

(イ)甲第6号証は米国におけるスケートボードの取扱業者による証明書と認められるところ、

1葉目の書面には「.........HAD RECEIVED ETNIES CATALOGUES AND PRODUCT BEFORE JANUARY 1,1992.」(.........エトニーズのカタログと製品を1992年1月1日以前に受け取った旨)との記述が認められる。

2葉目の書面には「.........WE RECEIVED ETNIES CATALOGS IN OUR COMPANY BEFORE THE DATE OF JANUARY 1992.」(.........私たちはエトニーズのカタログを1992年1月以前に会社で受け取った旨)との記述が認められる。

3葉目の書面には「.........We received ETNIES catalogues before January 1992.」(.........私たちはエトニーズのカタログを1992年1月以前に受け取った旨)との記述が認められる。

4葉目の書面には「.........had received Etnies catalogs prior to January 1,1992.」(.........エトニーズのカタログを1992年1月1日より前に受け取った旨)との記述が認められる。

5葉目の書面には「.........RECEIVED CATALOGS AND ORDER FORMS BEARING THE ETNIES NAME AND LOGO PRIOR TO JANUARY 1,1992.」(.........エトニーズの名称とロゴに関係するカタログと注文票を1992年1月1日より前に受け取った旨)との記述が認められる。

6葉目の書面には「.........DID RECEIVE ... ABOUT ETNIES SKATEBOAD SHOES PRIOR TO JANUARY 1,1992.」(.........エトニーズのスケートボード用の靴に関する...を1992年1月1日より前に受け取った旨)との記述が認められる。

8葉目の書面には「.........RECEIVED CATALOGS BEARING THE NAME OF ETNIES PRIOR TO JANUARY 1,1992.」(.........エトニーズの名称に関係するカタログを1992年1月1日より前に受け取った旨)との記述が認められる。

(ロ)甲第8号証(平成11年11月18日付提出の弁駁書(第2回)添付の再提出のもの。以下同じ。)の1の(1)は、MORIMURA BROS.(U.S.A.)社(本号証の(7)及び(8)により日本にも事務所を構えていると認められる。)によるETNIES USA社(以下、単に「エトニーズ社」と記す。)宛の1991年10月8日付の書面と認められるところ、ここには「OUR MAJOR CUSTOMERS ARE EXPECTING TO SHOW YOUR SHOES TO RETAILERS TO HAVE QUICK MARKETING IN JAPAN」(わが社の顧客たちが、貴社の靴を小売商に提示して日本で速やかに流通させることを期待しています旨)との記述が認められ、また、同号証の(2)ないし(7)の書面によれば、本件商標出願以前に両社間で業務に関する書面のやりとりが行われていたことが認められる。

(ハ)甲第8号証の2の(1)は、東京都世田谷区所在のADVANCE MARKETING社によるエトニーズ社宛の1990年11月8日付の書面と認められるところ、ここには「WE ARE CURRENTLY SELLING VANS HERE BUT MANY OF OUR DEALERS ASKED ABOUT THE ETNIES.WE LIKE TO REPRESENT YOUR SHOES IN JAPAN .........」(わが社は現在はVANS社の商品を販売しているが、わが社の多くの取引先からエトニーズについて聞かれている。貴社の靴を日本で取扱代理したい旨)との記述が認められ、また、同号証の(2)ないし(10)(但し、本件商標出願後のものと認められる(7)を除く。)の書面によれば、本件商標出願以前に両社間で業務に関する書面のやりとりが行われていたことが認められる。

(ニ)甲第8号証の3の(3)は、埼玉県所沢市所在のPROLINE社によるエトニーズ社宛の1991年3月2日付の書面と認められるところ、ここには「Is this shoes avalable NOW?」(この靴がすぐ入手できますか?)との記述及び「ETNIES」のロゴが付された商品「靴」の写真が表示されていることが認められ、また、同号証の(1)、(2)、(4)、(5)によれば、両社間でエトニーズ社の取り扱いに係る商品「靴」に関する書面(商品送り状を含む)のやりとりが行われていたことが認められる。

(ホ)甲第8号証の4(但し、本件商標出願後のものと認められる(3)を除く。)によれば、本件商標出願前に、大阪府大阪市所在のSENRI BOEKI社とエトニーズ社との間で、互いの業務に関する書面のやりとりが行われたことが認められる。

(ヘ)甲第8号証の5の(1)は、エトニーズ社による大阪府大阪市所在のHASCO INTERNATIONAL社宛の1991年9月25日付の書面と認められるところ、ここには「We are able to fill your order of etnies footwear」(わが社は、貴社によるエトニーズの靴の注文に応じることができます旨)との記述が認められ、また、同号証の(2)ないし(5)(但し、本件商標出願後のものと認められる(3)を除く。)によれば、本件商標出願前に両社間で業務に関する書面のやりとりが行われたことが認められる。

(ト)甲第9号証の1は米国のスケートボード専門雑誌「TRANSWORLD SKATEboarding」1991年4月から11月号の写しと認められ、また、甲第10号証は米国のスケートボード専門雑誌「THRASHER」1990年2月から1991年12月号の写しと認められるところ、これらによれば、本件商標出願前に米国において、商品「スケートボード用靴」に商標「ETNIES(etnies)」(以下、請求人及びその関係者が、商品「スケートボード用靴」に使用する商標「ETNIES(etnies)」を「引用商標」という。)が使用されていたことが認められる。

(チ)甲第17号証は米国のVANS社とエトニーズ社及びSoleTechnology社(エトニーズ社の関連会社と推認し得る)との間における商標権侵害通告に関する書面と認められるところ、その1葉目ないし2葉目の書面は、米国VANS社がSoleTechnology(エトニーズ)社に対して同社が日本及び米国で販売している商品「靴」はVANS社の商標権を侵害するので該商品の販売中止を申し入れる旨の1997年9月17日付の通告書(写し)と認められる。

また、3葉目ないし6葉目の書面は、SoleTechnology社代理人が米国VANS社宛に、指摘を受けている商品「靴」は、SoleTechnology(エトニーズ)社が販売しているのではなく日本の「Komaryo」社が販売しているものであり、SoleTechnology(エトニーズ)社は該商品の製造・販売・流通には関わっていない旨を述べた書簡(写し)と認められる。

(B)被請求人の業務に関する情報

名古屋市中小企業情報センター(名古屋市千種区吹上2−6−3所在)掲載に係るインターネット情報「”情報なごや”で最近取り上げた企業一覧」中の「(株)コマリョー」(被請求人のことと認められる)の頁(http://www.info-c.city.nagoya.jp/company/nov/komaryo.html)には以下の記載が認められるものである。

「.........例えば同社はヘップサンダルから出発してケミカルシューズ、靴へと取扱品目を拡大していくが、.........同社が輸入品を扱い始めたのは今から15〜16年前の1980年代初頭である。そのきっかけとなった一つが、同社が靴分野へ進出を計った際、当時の日本国内の生産流通系列に阻まれて靴の仕入れ先を国内で確保出来なかったことである。社長は当時の業界では珍しかった輸入品への積極的取り組みという形でこの難関に取り組んだのである。.........同社の輸入先は欧米、アジアにまたがって世界20ケ国に及ぶが、その海外ネットワークは商社に頼らず同社で構築したものである。.........」。

(C)認定事実に基づく判断

前記(A)の(イ)によれば、本件商標出願前に、米国において請求人の関連するエトニーズ社の取り扱いに係る商品「スケートボード用靴」のカタログが頒布されていたということができ、また、前記(A)の(ト)の事実をも合わせて検討すれば、本件商標出願前に、「ETNIES」商標が使用された商品「スケートボード用靴」が米国の市場に提供されていたといえるものである。

一方、わが国においてスポーツとしてのスケートボードは、主に青少年を中心に親しまれているものであって、国民全体に広く親しまれているスポーツとは認められないことから、該スポーツ用具の取扱業者(販売店)は、一般の運動具店ではなく専門の取扱業者(販売店)が主といえるものである。

しかして、前記(A)の(ロ)ないし(ヘ)を総合すれば、本件商標出願前に、日本のスケートボード用具の取扱業者(5社)とエトニーズ社との間で、エトニーズ社の取り扱いに係る商標「ETNIES」が使用された商品「スケートボード用靴」に関する取引交渉が行われたと認め得るものである。

そうとすれば、引用商標は、わが国のスケートボード用具に関わる当業者間において本件商標出願前に著名性を得ていたとみても差し支えないものと判断される。

これらに加えて、前記(B)における被請求人の事業活動の紹介内容を総合すれば、被請求人は、米国を含む海外における商品「靴」の市場調査の過程などにおいて、引用商標の存在を知ったものと推認するに難くないものである。

さらに、前記(A)の(チ)によれば、1997年秋の時点で、件外米国のVANS社は、日本で販売されている、請求人(あるいは関係者)以外の者の取り扱いに係る、商標「ETNIES」が使用された商品「靴」の出所について、それがあたかもエトニーズ社の取り扱いに係るものであるかの如く出所の混同をしたことが認定できる。

(D)本件商標と出所の混同について

被請求人は、引用商標はその出願時において、米国においても、わが国においても、請求人の取り扱いに係る商品「スケートボード用靴」に使用するものとしての著名性は獲得しておらず、出所の混同を生ずるおそれはなかった旨主張している。

そこで、以下、引用商標との関係で本件商標が出所混同をきたすおそれがあったか否か検討する。

ところで、出所の混同に関して最高裁判所は、平成12年7月11日言渡の判決において次のように判示している(平成10年(行ヒ)第85号)。

「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」

そこで、これを本件について照らしみるに、本件商標「ETNIES」は、特定の語義を有しない独創性のある造語と認められるものである。

しかして、このような造語よりなる商標に、その採択者(最初の使用者)以外の他人に対する登録阻却効を広く与えたとしても、当該他人が受ける法的不利益は小さいというべきである。

なぜならば、このような造語商標が異なる者により重ねて採択される確率は、一般の既成語が重ねて採択される確率と比べて極めて低いといえ、そうであれば、その採択確率の高低により後発の採択者が受ける法的不利益の度合いが勘案されても差し支えないというべきである。

これに対して、被請求人は、本件商標を同人が独自に採択したものであるとか、あるいは、本件商標を被請求人が採択した事情、すなわち、被請求人が受けるべき法的利益の度合いが大きく勘案されるべき事情を説明してはいない。

そうとすれば、被請求人が本件商標に関して守られるべき法的利益を小さくみてもあながち不合理とはいえないものである。

もっとも、被請求人は、「自己の商品にのみ本件商標を使用し、本件商標の宣伝広告及び販売拡大に努めてきた。」「出願当時は殆ど無名であった本件商標が、出願人の営業努力と、多大の費用を費やして継続的に行ってきた宣伝広告努力の結果、漸次需要者に知られるようになり、」と述べ、乙第1号証ないし同第3号証を提出している。

しかしながら、これら乙各号証によっては、本件商標が商品「靴」に使用された事実は窺えるものの、どのようなかたち・内容で、どの程度の範囲に広告宣伝されたのかが明らかではなく、これら号証のみによっては、本件商標が、その出願前に被請求人の取り扱いに係るものとして周知・著名となっていたと認定するには十分とはいえないものである。

しかして、引用商標は、本件商標出願前に、米国及びわが国のスケートボード用具に関わる当業者間で著名性を得ていたといえるものであり、また、被請求人及びその関係者以外の者が使用する「ETNIES」商標は、米国のVANS社に対し、それがあたかもエトニーズ社の取り扱いに係る商品であるかの如く出所の混同を生じさせた事実が存するところである。

そして、本件商標の指定商品中の「はき物(運動用特殊ぐつを除く)」中の「運動ぐつ」は、「スケートボード用靴」(販売部門、品質、用途、需要者層などを考慮すれば「運動用特殊ぐつ」の範疇の商品と判断される。)と用途、需要者層などを共通にする互いに関連の深い商品といえるものである。

してみれば、本件商標はその出願時に、わが国のスケートボード用具に関わる当業者間において、あたかも請求人あるいはその関係者の取り扱いに係る商品であるかのごとく商品の出所についての誤認・混同を生じさせるおそれを有していた商標というべきである。

(D)請求人が提出した証拠方法について

被請求人は、「請求人が提出した甲号証は甲第1号証及び同第2号証を除いて全て英語によるものであり、翻訳文が添付されているのはそのうちの数箇所であり、他は該当個所の表示も翻訳文の添付もない。請求人は自己の提出した証拠を明確にしようとしない」と述べている。

確かに、請求人の甲各号証に関する対応には被請求人が主張するような適切さに欠ける点が見受けられるものの、そのことをもって甲各号証の成立を否定することはできないというべきである。

5 結論

以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたというべきであるから、その登録は同法第46条第1項第1号の規定により無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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