sokuhyo

Trademark Appeal Case

商号と著名商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年異議第90700号
審判種別異議
結論other

結論テキスト

登録第4040139号商標の登録を取消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4040139号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成6年12月20日に登録出願され、別紙に表示したとおり「日立航空機株式会社」の文字を横書きしてなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買の代理又は媒介」を指定役務として、平成9年8月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の概要

本件商標は、昭和24年8月31日会社整理のため現在に至るも、正規の業務は中止されていることから、自己の業務に係る商品(役務)について使用するものでないこと明らかであるから、商標法第3条第1項柱書きに該当する。

また、別紙B(1)に示すほか、「日立」及び「HITACHI」が各類において防護標章として登録されていることは、とりもなおさず、その著名性の事実が認められたものであり、本件商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。

さらに、本件商標は、別紙B(2)に示す商標と類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 取消理由

平成10年7月24日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

<取消理由>

本件商標は、我が国において、株式会社日立製作所を中心としたいわゆる日立グループが商品及び役務に使用し、著名となっている「日立」の文字をその構成中に含むものであるから、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する者は、該構成中の著名な「日立」の文字部分に着目し、その役務が「株式会社日立製作所」或いは同社と組織的又は経済的に関連のある者若しくはその承諾を得た者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 商標権者の意見

上記取消理理由に対する平成10年12月29日付意見書において商標権者が述べる意見のうち、取消理由に示した商標法第4条第1項第15号に関する意見の要旨は、以下のとおりである。

(1)商標権者は、昭和13年東京市大森区入新井壱丁目百番地に本店を有する東京瓦斯電気工業株式会社の航空機部門が都下大和村(現在に東大和市)に移転し、昭和14年国の命令により株式会社日立製作所の系列に入り、その後日立航空機株式会社として昭和14年5月15日付けで株式会社日立製作所の取締役社長の小平浪平(創立者の1人)等により創立され、小平浪平か取締役社長を兼務した。その後、商号を昭和23年6月1日付けで日興工業株式会社に商号変更したが、昭和40年12月24日付けで日立航空機株式会社と元の商号に復帰した。そして、現在の精算人が正当な手続きを経て日立航空機株式会社を承継したのである。現在精算業務がほぼ終了し、商法上の法人に復帰する準備の一つとして企業再建整備法に基づく精算業務に関する公告を実施し(平成8年11月12日付け日本経済新聞朝刊掲載の公告)、その登記簿謄本記載のとおりの目的をより効果的に実施するために商標登録を受けたのである。

(2)本件商標と引用商標

▲1▼外観上の相違点

申立人も認めているとおり、引用商標が、本件商標と非類似であることは明白である

▲2▼称呼上の相違点

引用商標の「日立の社標」、「ヒタチ」、「日立」及び「HITACHI」からは、「ヒタチ」の3音の称呼が得られ、他方、本件商標「日立航空機株式会社」からは、[ヒタチコウクウキカブシキカイシャ」の13音の称呼が得られる。

したがって、3音の「ヒタチ」の称呼と「ヒタチコウクウキカブシキカイシャ」の13音の称呼とは、全体としてその長さの差は、明瞭に聴取されるから、全体としてその語感、語韻が相違し、称呼において両者は称呼上全く非類似で、語感、語韻が相違し、取引社会で取引者、需要者に明瞭に聴別され、誤認、混同を与えるおそれは全く存在しない。

▲3▼観念の点については、引用商標からは、日立市の地名或いは株式会社日立製作所の観念が得られるけれども、商標の類否を判断する基準から、通例として商標権者の商号商標「日立航空機株式会社」を直ちに想起させるものではない。したがって、観念上も取引者、需要者に誤認、混同を与えるおそれは全くないことは明らかである。

(3)出所の混同のおそれ

日立航空機株式会社は、上記(1)で述べたとおり、戦前に設立された会社であって、申立人である株式会社日立製作所は、日立航空機株式会社の創立、登記、存続の事実に黙示の承認を与えているものである。申立人と別法人の日立航空機株式会社の商号を有する法人が存在し、市場において企業活動しても取引者、需要者に何等誤認、混同を与えるものでなく、また、その誤認、混同の事実も存在しない。

以上の理由から、本件商標の要部が「日立」であるとする申立人の主張は当を得ないものであって、前述のとおり本件商標とその外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似である限り、申立人の商標「日立」又は「HITACHI」が著名であるとしても、その指定役務に本件商標を使用した場合、取引者、需要者が役務の出所について誤認、混同するおそれがないことは明らかである。

加えて、商標権者の「日立航空機株式会社」は、戦後一時中断したとはいえ、その後元の商号に復帰し、自己の商号商標について出願して登録を得ることは当然の行為であって、他人の著名商標をフリーライドする意図は豪もなく、商標権者は、「日立航空機株式会社」を正当に承継、その株式を所有しているものである。

したがって、この商標登録異議申立は、理由がない。

4 当審の判断

商標権者は、取消理由について意見を述べているので以下判断する。

(1)本件商標は、別紙に表示したとおりの構成よりなるところ、株式会社日立製作所を中心としたいわゆる「日立グループ」が商品及び役務に使用する日立」の文字からなる商標、「HITACHI」の文字からなる商標及び別紙B(2)▲1▼に示す「日立の社標」は、一般に広く知られ著名になっているものである。

(2)また、日立グループに属する会社は、「日立金属株式会社」、「日立電線株式会社」、「株式会社日立物流」のように、「日立」の文字に業種、業態を表す語を付した名称を採用している会社が数多く存在しており、「日立」の文字に業種、業態を表す語を付した名称の会社は「日立グループ」に属する会社であると一般に理解され認識されているということができる。

(3)本件商標中の「日立航空機株式会社」の文字は、「株式会社」の語に「日立」の文字と業種業態を表す「航空機」の文字とを冠した構成よりなるものであるから、本件商標に接する者は、「日立航空機株式会社」の名称の会社は日立グループの一員であろうと認識するものと認められる。

(4)商標権者は、「日立航空機株式会社は戦前に設立された会社であって、申立人である株式会社日立製作所は、日立航空機株式会社の創立、登記、存続の事実に黙示の承認を与えている。申立人と別法人の日立航空機株式会社の商号を有する法人が存在し、市場において企業活動しても取引者、需要者に何等誤認、混同を与えるものではなく、また、その誤認、混同の事実も存在しない」旨述べる。

しかしながら、商標法第4条第1項第15号に該当するか否かの判断時は商標登録出願の時であるから、商標権者の述べる如く、仮に、昭和14年当時、申立人が商標権者の会社の創立、登記、存続に黙示の承認を与えていた事実が存していたとしても、本件商標については、申立人は登録異議の申立てをしているのであって、本件商標の出願の時に、商標権者が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者と認め得る証左はない。さらに、商標権者が企業活動をしても誤認、混同を与えるものではなく、誤認、混同の事実も存在しないとの主張も立証を伴うものではない。

(5)したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。