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Trademark Appeal Case

称呼の類似性:長音の区別

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35428(T2000−35428/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4350548号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年12月25日に登録出願され、「味王」の文字を横書きしてなり、第1類「植物成長調整剤類,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,原料プラスチック,パルプ,肥料,写真材料,陶磁器用釉薬」を指定商品として、平成12年1月14日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第501938号商標(以下「引用商標」という。)は、昭和31年7月18日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、旧商標法施行規則(大正10年農商務省令第36号)第15条の規定による商品類別第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同32年5月15日に設定登録、その後同52年8月3日、同62年2月13日及び平成9年4月18日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

本件商標の指定商品中、「植物成長調整剤類」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、前記したとおり「味王」の文字を書してなり、該構成文字に相応して「ミオー」なる自然称呼が生じる。

他方、上記引用商標よりは、「ミオ」の自然称呼が生ずる。

そこで、両称呼を比較検討するに、両者は語頭音「ミ」を共通にし、僅かに第2音に於いて「オー」と「オ」の相違が認められるに過ぎない。然るとき、両音は単に長音と短音の微差しかなく、実際には明瞭に区別聴取し得ず事実上同一音として聴取せられる音である。してみれば、時と所を異にして両商標を全体として一連に称呼するときは自ずと相似た語韻語調となり、彼此誤認混同を生じることは必至である。

よって、両商標は称呼上類似の商標たるを免れない。因に、以上に説述したところは、片仮名「ミオ」を含む商願平11−55628号(甲第3号証)に対し、本件商標と類似であるとする拒絶理由通知書(甲第4号証)を受けている事実によっても明らかなところである。

(2)以上のように、本件商標と引用商標とは称呼上類似の商標であり、また本件商標の指定商品「植物成長調整剤類」と引用商標の指定商品「薬剤」が類似であることは論ずるまでもなく明らかであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するにも拘らずこれに違反して登録されたものであり、自ずと商標法第46条の規定により無効とせられるべきものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。

(1)引用商標より「ミオ」の称呼が生ずるとする点は争わない。本件商標から「ミオー」の称呼が生ずる蓋然性は低く、これを「ミオー」と称呼するのはむしろ不自然である。商標の類似範囲はその自然的称呼を以て確定すべきであり、本件商標については「アジオー」の称呼を認定すれば足る。

(2)仮に本件商標より「ミオー」の称呼が生ずるにしても、これと引用商標とは、語尾の相違により、また、語調語感の相違により明確に聴別可能であって、「オー」音と「オ」音とを以て事実上同一音として聴取される事態は考えられない。

(3)本件商標は、漢字で「味王」と表記したものであり、仮名で「ミオー」或いは「みおう」と特定したものではない。「王」の語は「オー」或いは「オウ」と称呼されて初めて「王」の意を以て相手方に伝わる語である。これを単に「オ」と発音してしまっては、或いは、伝達する相手方に「オ」と聴取されてしまう程長音を詰めて発音してしまっては、そもそも「王」の意を成さない。

我々は、女王、大王、法王、帝王、覇王、蟻王などの単語を以てこれらを必ずジョウオー、ダイオー、ホウオー、テイオー、ハオー、ギオーと称呼する。ジョウオ、ダイオ、ホウオ、テイオ、ハオ、ギオとは絶対に称呼しないし、この様に相手方に聴取されることを極力回避する為、これらの単語については「オー」音にアクセントを置くのが通常である。かかる事情は、本件商標が一種の造語であっても変わらない。「ミオー」の「オー」が「王」の表音である以上、称呼「ミオー」において語尾の長音は必ず発音されるし、且つ、「オー」音は強音化する。

(4)一方、引用商標において、語尾の「オ」音が強音化したり、長音を伴う如くに引き延ばされて発音されることを推認させる事情はない。従って、両称呼においては、語尾部における長音の有無という明確な差異が必ず生じるのであって、しかも、当該長音を伴う「オー」音が強音化することにあってみれば、両者に生ずるかかる相違は、僅か2音で構成される極く短い商標にあって極めて大きいとしなければならない。需要者は、かかる相違を拠り所に、両者を明確に識別でき、従って、両者が相紛れることはない。

(5)本件商標と引用商標の称呼について上述のような相違点を列挙してもなお、「称呼」におて類似的要因を払拭し得ないとしても、「外観」及び「観念」により両商標を十分区別することができるのであれば、これらを類似商標とせず非類似のものとして取り扱うべき場合のあることもまた事実である。

即ち、横書きの欧文字「MIO」及び縦書きの片仮名文字「ミオ」をT字型に結合させた態様の引用商標と、漢字のみから成る標準文字商標「味王」に接した場合、両者は一見して区別し得る。また、引用商標からは特定の観念が生じないのに対し、本件商標からは「味の王様」、或いはこれから転じて「非常においしい」の如き意味合いで理解することができる。両商標から受けるこれらの違いに着目すると、両者によって表象される商品の出所が混同するとは到底考えられない。

(6)本件商標が引用商標に類似すると考え得る唯一の根拠は、本件商標から不自然な「ミオー」の称呼を認定し、且つ、これを限りなく「ミオ」に近いものとして理解するという点のみにあるが、両商標を対比させ、過去の判例の趣旨を勘案しつつ一般的出所混同の可能性を論じるとすると、両者の間には混同の蓋然性がないと解する方が合理的である。商標の構成態様・構成文字の別を考えると両者を外観上見誤るおそれは皆無であるし、その一方からのみ日本人にとって理解可能な観念が生じること明らかだからである。なお、本件商標が「ミオー」と称されて電話取引される場面を想定する必要があるとしても、その発音の基礎となる表示が漢字の「味王」であることに変わりはなく、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認め難いものについてはこれを類似商標とすべきではない

(7)以上の通り、本件商標「味王」と引用商標「MIO/ミオ」が称呼上相紛れるおそれはなく、引用商標と本件商標とは非類似の商標と目するのが相当である。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号には該当せず登録無効とすべき理由は存在しない。

5 当審の判断

本件商標は、前記のとおり「味王」の漢字よりなるところ、漢字は表意文字であって、「味」は味覚を表し、「王」は、例えば「王様」の王として親しまれているものであるから、これよりは「味の王様」の如き観念とともに、第一義的に「アジオウ」の称呼が生じ、後半の「オウ」の音部分が、母音が重なることから「ウ」音を長音として簡略化される場合が多く「アジオー」としても称呼されるものである。

また、該文字(語)は既成の熟語として知られているものではなく、一種の造語であり、その称呼も「アジオウ」「アジオー」に特定されるものともみとめられないことから、全体を音読みにして「ミオウ」「ミオー」の称呼が生ずることも否定し得ないところである。

そうとすれば、本件商標よりは、「アジオウ」「アジオー」の他、「ミオウ」「ミオー」の称呼をも生ずるものというべきである。

これに対し、引用商標は、別掲に示すとおり「MIO」の文字を上段に横書きし、「ミオ」の文字を下段に縦書きに配してなるところ、当該片仮名文字が称呼を特定して表記したものとみて自然であるから、その構成文字に相応して「ミオ」の称呼を生ずるものである。

そして、引用商標は、その構成文字に照らし、特定の意味合いを看取し得ない造語商標といえるものである。

そこで、まず、本件商標から生ずる「ミオー」の称呼と、引用商標から生ずる「ミオ」の称呼を比較するに、両称呼は、共に2音という極めて短い音構成からなるところ、第2音において、「オ」と「オー」という長音を伴うか否かの差異を有するものである。

そして、極めて短い2音という音構成において、前記の差異が称呼全体に及ぼす影響は非常に大きいものといわざるを得ない。

請求人は、「オ」及び「オー」の音を、明瞭に区別できない事実上同一音として聴取せられる音と主張しているが、本件商標から生ずる「ミオー」の称呼中の「オー」の音は、「王者、王様、第一人者」という意味合いで広く親しまれた漢字「王(オウ)」に相応し、強く発音される称呼部分であるから、短略化して、「オ」に近い音として発音する場合には、表意文字である漢字「王」の意味合いをも変えてしまうものであって、称呼する者の意図を無視した称呼方法といわざるを得ない。

しかして、本件商標「味王」から生ずる「ミオー」の称呼は、その長音部分が明瞭に発音されるものであって、引用商標から生ずる「ミオ」の称呼とは判然と区別されるものとみるのが相当である。

また、「アジオウ」「アジオー」「ミオウ」と「ミオ」の称呼は、構成音において明らかな差異を有しており、相紛れる余地はない。

さらに、本件商標と引用商標は、前記のとおりの構成よりなることから、外観において互いに区別し得る差異を有すると共に、引用商標は、特定の意味を有しない造語と認められるものであるから、観念において、両者は比較することもできないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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