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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35153(T2001−35153/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4412247号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年10月7日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」を指定商品として、平成12年8月25日に設定登録されたものである。

2.請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1824049号商標は、「ちょっと」の文字を横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、昭和58年1月19日に登録出願、昭和60年11月29日に設定登録されたものであり、同じく登録第2070029号商標は、「ちょっと」の文字を横書きしてなり、第32類「加工食料品、その他の本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年10月20日に登録出願、昭和63年8月29日に設定登録されたものである(以下、一括して「引用商標」という。)。

3.請求人の主張

本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。

(1)「小鉢」の自他商品識別性について

本件商標の構成中、「小鉢」の部分は、自他商品識別力を有さない語である。すなわち、「小鉢」の語は、元々は「料理を盛りつける小型の鉢」を意味する語であるが(甲第5号証)、ここから派生して、「小型の鉢に盛られた料理」を意味する語として、本件商標の指定商品を取り扱う食品業界において広く使用されている(甲第6号証ないし甲第14号証)。

(2)商標法第4条第1項第11号について

前記(1)のとおり、本件商標「ちょっと小鉢」の構成中、「小鉢」の部分は、自他商品識別力を有さないため、本件商標の要部は「ちょっと」の部分となる。したがって、本件商標と引用商標は、ともに「ちょっと」と称呼される類似の商標である。

(3)商品の出所の混同について

引用商標は取引者、需要者の間で広く知られるに至っており、現実の取引の場において、本件商標は引用商標と混同を生じさせるおそれが大きい。

すなわち、引用商標は、請求人の製造、販売に係る「ちょっと」シリーズの商品の出所を表す標識として、1982年に使用開始され、現在では取引者、需要者の間で広く知られるに至っている。

請求人は、「ちょっとぞうすい」、「ちょっとそうざい」、「ちょっと肉じゃが」、「ちょっとどんぶり」、「ちょっと天津飯」といった「ちょっと」シリーズの商品を多数販売している(甲第18号証)。

請求人は「ちょっと」シリーズの商品について、テレビや新聞、雑誌等を利用して、多大な宣伝広告活動を行っている。また、該商品は、産経新聞、神戸新聞、毎日新聞等の一般紙のほか、食料醸界、日刊食品通信、日経流通新聞等の業界紙にも広く掲載されている(甲第20号証)。

これらの事実により、引用商標「ちょっと」は、請求人の製造、販売する商品を示す標識として取引者、需要者の間で広く認識されていることが分かる。そのため、現実の取引の場において、本件商標「ちょっと小鉢」の付された食品を手にする取引者、需要者は、その商品を請求人の「ちょっと」シリーズの新商品であると誤認する可能性が非常に高い。したがって、現実の取引の実情から考えても、本件商標は引用商標と混同を生じさせるおそれのある類似の商標といえる。

(4)被請求人の答弁に対する弁駁

(4−1)商標法第4条第1項第11号について

被請求人は、乙第4号証を提出し、本件商標についてされた異議決定において、本件商標は一連一体の商標であるとの判断がされている旨主張する。

しかしながら、この異議申立で争われていたのは、本件商標「ちょっと小鉢」と商標「小鉢」の類否であって、本件商標「ちょっと小鉢」から「ちょっと」との称呼が生じるか否かは、該異議決定とは全くの別問題である。

(4−2)商品の出所の混同について

本件商標と引用商標とはその構成の上から考えて互いに類似するものである。さらに、引用商標は取引者、需要者の間で広く知られるに至っており、現実の取引の場において、本件商標は引用商標と混同を生じさせるおそれが大きい。そのため、かかる取引の実情から考えても、本件商標は引用商標と類似するものである。

(5)結び

本件商標と引用商標とは、「ちょっと」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一または類似のものである。そのため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し商標登録を受けることができない。

4.被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

本件商標は、毛書体風の書体で「ちょっと小鉢」と一連に書された一体的な商標であって、「ちょっと」の文字部分のみが分離して看取、聴取されることは決してないものである。

(1)「小鉢」の自他商品識別性について

「小鉢」の文字部分は指定商品との関係において、十分に自他商品識別力を有する。

本件商標に係る指定商品と類似の商品を指定し、現在有効な商標として、「小鉢」の文字から構成される登録第1694251号商標・登録第1739860号商標・登録第2698316号商標が存在している(乙第1号証ないし乙第3号証)。これをもってしても、「小鉢」の文字が識別力を有さないとは到底いえない。

また、請求人は、「小鉢」の文字が食品業界で一般的に使用されている事実を明らかにするとして甲第6号証ないし甲第15号証を提出しているが、そこには、いずれも、家庭料理の調理方法の辞典や、日本料理の献立名の中で他の「前菜,刺身,酢の物,焼物,天ぷら,茶わんむし・ごはん・みそ汁・香の物」などの料理名と共に、あるいは明らかに料理であると認識させる態様で、つまり、「小鉢もの」あるいは「小鉢料理」を意図するものとして、単に省略形で「小鉢」と表示している例が散見されるにすぎない。

転々流通する商標法上の商品である食品について取引者・需要者が単に「小鉢」と指称することは皆無である。

以上より、「小鉢」の文字は明らかに自他商品識別力を有している。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、乙第3号証商標「小鉢」に類似するとして、商標登録異議申立を受け、この異議の決定で、「本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるものであると認められる。」との判断が示されている(乙第4号証)。

本件商標は、上記判断の通り、その態様からして、「小鉢」の文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき格段の事由は見出し得ない。

してみれば、本件商標は、全体の構成文字に相応して「チョットコバチ」の称呼のみを生じるものといわざるを得ず、この称呼も格別に冗長なものとは到底いえないから、「チョット」の称呼のみを生ずる引用商標とは相紛れるおそれのない商標であり、外観及び観念においても類似する商標ということはできないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商品の出所の混同について

請求人は、本件商標が、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用されると、商品の出所について混同を生じるおそれがある旨主張しているが、上述のように、本件商標と引用商標とは、そもそも、明らかに非類似の商標であって、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

5.当審の判断

本件商標は、別掲に示したとおり「ちょっと小鉢」の文字を毛筆体風の書体でまとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「チョットコバチ」の称呼もよどみなく一気に称呼し得るものである。そして、かかる構成において「ちょっと」の文字部分のみをもって取引に資されると見るべき格別の事由は見出し得ないものであり、また、請求人より提出された証拠によっては構成中の「小鉢」の文字が本件商標の指定商品との関係において自他商品識別の機能を有しないとは認められないものであるから、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして把握し認識されるとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、全体の構成文字に相応して「チョットコバチ」の称呼のみを生ずるものといわざるを得ないから、「チョット」の称呼を生ずること明らかな引用商標とは、称呼において相紛れるおそれのない商標というべきであり、また、両商標は、前記のとおりであって、外観及び観念においても類似する商標ということはできない。

してみれば、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似する商標とはいえないし、混同を生ずるおそれがある商標とは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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